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合成顔料、エジプシャンブルーの塊がローマ皇帝ネロの宮殿で発見される

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(著) (編集)

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© Parco archeologico del Colosseo, photograph by Simona Murrone
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 ローマの中心部にあるローマ帝国の第5代皇帝ネロの宮殿、ドムス・アウレアで驚きの発見があった。最近行われた考古学調査で、約2000年前の絵画装飾に使われた色鮮やかな顔料が壺に入った状態で見つかったのだ。

 特に注目を集めたのが、重量2.4kgもの「エジプシャンブルー」と呼ばれる青色の合成顔料の塊だ。

 エジプシャンブルーは、世界最古の合成顔料のひとつであり、その鮮やかな青は古代の職人たちの技術力を今に伝えている。

壺の中に入っていた当時の貴重な顔料

 この発見を発表したのは、コロッセオ考古学公園だ。2024年1月20日、同公園がFacebookで発表した内容によれば、発掘チームは色鮮やかな顔料が保存された容器を発見したという。

 考古学者が顕微鏡や分光分析を用いて解析した結果、黄土色の「イエローオーカー」、鮮やかな赤色の「リアルガー」、そして「レッドアース」といった顔料が含まれていたことが判明した。

 しかし、最も驚くべき発見は、高さ15cm、重さ2.4kgの巨大なエジプシャンブルーの塊だった。通常、この顔料は粉末状や小さな粒の形で発見されることが多く、これほど大きな塊が見つかるのは非常に珍しい。

 また、宮殿内のフレスコ画を装飾するための顔料を職人たちが作った工房跡も発見された。

 こうした工房はさまざまな顔料を準備するのに不可欠で、壺の中から見つかった残留物から、その技術と手法について新たな洞察が得られた。

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皇帝ネロの宮殿から発見されたエジプシャンブルーの塊 © Parco archeologico del Colosseo, photograph by Simona Murrone

エジプシャンブルーはなぜ特別なのか?

 エジプシャンブルーはフリットとも呼ばれ、自然界には存在しない合成顔料だ。シリカ、石灰石、銅を含む鉱物、炭酸ナトリウムの混合物を高温で熱して作る。

 複雑な化学反応を伴うこのプロセスは、ローマの建築家ウィトルウィウスが著書『建築論』の中で初めて言及した。

 エジプシャンブルーは、紀元前3000年紀に古代エジプトとメソポタミアで初めて使われ、すぐに地中海世界全域に広まって、のちのローマの芸術と装飾に欠かせない素材となった。

 この顔料は、繊細に細かく描かれたフレスコ画においても際立って鮮やかな色彩を表せることで価値が高かった。

 その汎用性は、肌のトーンに微妙な陰影をつくったり、衣服のひだに深み加えたりとさまざまな手法を駆使する芸術家たちにとって大変貴重なツールとなった。

 また、目を際立たせ、まるで光を帯びているかのような質感を表すのにも使われた。時がたつにつれ、この顔料は洗練されたローマ芸術の象徴となり、豊かな視覚効果を生み出すことから、その評価は不動のものとなった。

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 見つかった顔料の塊(インゴット)の大きさや重さは注目に値する。通常、この顔料は粉末状か小さな球体で見つかることが多い。

 今回発見された大きな顔料の塊は、ドムス・アウレアで作業していた職人たちが高い専門性をもち、高度な手法で宮殿に装飾を施していたことを示している。

 この発見は、当時の宮殿が醸し出していたと思われる壮麗さと贅沢さを強調し、建設に携わった職人たちの卓越したスキルと上品で優雅に磨き上げられたセンスを浮き彫りにしている。

皇帝ネロの富と権力の象徴の宮殿「ドムス・アウレス」

 「黄金の家」を意味する皇帝ネロの宮殿、ドムス・アウレスは、ローマを壊滅状態にした西暦64年の大火の後、ネロの命によって建設された記念碑的な宮殿だ。

 市の中心部にあるオッピオの丘に建てられ、ネロの権力と富の象徴となった。

 この宮殿の建設は火災の後すぐに始まり、数年にわたって続いた。68年にネロが亡くなる前にはほぼ完成していたという。

 このプロジェクトの規模と建設の速さは、当時としては前例のないもので、ローマの建築家や技術者たちの優れた才能の証といえる。

 ネロは個人的に宮殿の細部にまで関心をもち、できるだけ早く完成させることにこだわっていたため、建設は急ピッチで進められた。

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ローマ皇帝ネロの胸像。イタリア、国立考古学博物館所蔵 Sailko/CC BY-SA 4.0

エジプシャンブルーの芸術的・文化的意義

 エジプシャンブルーの塊がほかの顔料と一緒に見つかったことから、ドムス・
アウレアの装飾に関わった職人たちの才能と献身がよくわかる。

 コロッセオ考古学公園のディレクター、アルフォンシーナ・ルッソ氏は、職人たちは希少で高価な材料と時代を遥かに先取りした高度な技術を使っていたと指摘する。

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ドムス・アウレアの内部 Davide Mauro/CC BY-SA 4.0

エジプシャンブルーの深い青が醸し出す魅力は、信じられないほどです。ドムス・アウレアは、この美しく貴重な宮殿の数々の部屋を装飾した芸術家たちが使った色彩の輝きをもう一度活性化させ、蘇らせるのです(ルッソ氏)

 この発見は、ルネサンス芸術の研究にとっても重要な意味をもつ。ルネサンス期、芸術家たちはドムス・アウレアのフレスコ画を再発見し、古代ローマの豊かな装飾スタイルからインスピレーションを得た。

 ラファエロの「ガラテアの勝利」はエジプシャンブルーの使用に影響を受けた有名な芸術作品のひとつだ。

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ラファエロがエジプシャンブルーを多用して1512年に描いた「ガラテアの勝利」 public domain/wikimedia

 ドムス・アウレアから見つかったエジプシャンブルーのインゴットは、古代ローマ人の見事な技術的、芸術的な業績を思い起こさせる。

 豪華な装飾と最高級の素材を革新的に利用したこの宮殿は、ローマ帝国のエリート層が抱いていた文化的洗練度をはっきり表している。

 ドムス・アウレアは、建築物としての偉業であると同時に、芸術的知識と職人技の重要な宝庫でもあり、学者たちの心を奪い、美術史家たちを狂喜させ続ける驚くような発見をもたらしてくれる。

References: Facebook / Large Egyptian Blue Ingot Recovered from Nero’s Imperial Palace | Ancient Origins

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この記事へのコメント 11件

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  1. 当時の塗料で青や紫は大変貴重で下手したら
    黄金より価値があったはずだよ。
    全然色合いが変化してないのも凄いね。
    何千年も前の物なのに

    • +13
    1. 黄金より高い青はラピスラズリ由来のウルトラマリンブルーのほうだと思う
      エジプシャンブルーも良質のものはいいお値段だったぽいけど

      • +7
    2. これを古代の人が合成したということが凄いよね。
      どんだけの知識と技術と審美眼をもっていたんだろう。
       
      ラピスラズリの青も綺麗で高価だけど、あっちは天然の鉱物だから。

      • +6
  2. 日本刀やコンクリなど古代のほうが品質が上なものが多いのは
    なんとも不思議だ
    難しくて廃れたのかわからないけど、現在でも復活出来いいものなら
    ぜひ復活お願いします

    • +9
  3. 何が凄いかって、おそらく確たる化学反応の概念を知らずに、経験的に複雑な化学合成物を作っていたらしいところだよ。

    • +6
  4. プルシアンブルー
    は安全地帯で聞いた。

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  5. インゴット!!
    って聞くだけでなんだがパワーを感じる

    • 評価
  6. 青があれば空も海も描ける。
    地球の風景として青は圧倒的なスケールなのに、それを描く為の青の顔料は極めて貴重(希少)というのは興味深い。

    • +4
  7. 綺麗な青だなあ。古代ローマの都、どれだけ美しかったんだろう…

    • +3
  8. これらの宝物が、帝国崩壊時は管理も崩壊して忘れ去られるのうに放置されていた、ということかな

    • 評価

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