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世界初の雪だるまは?どんな姿?その起源と歴史を探る

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(著) (編集)

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1918年、アイオワ州ニューホールの雪だるまこの画像を大きなサイズで見る
public domain/wikimedia
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 雪が降ると自然と作りたくなる雪だるまだが、最初に雪だるまがつくられたのはいつだろう?そしてどんな姿をしていたのだろう?

 太昔から作られていた可能性もあるが、記録に残されているものとしては7世紀の中国、14世紀の中世ヨーロッパ、ミケランジェロまで遡ることができる。

 この記事では、ユーモラスで時に奇妙な雪だるまの姿を通して、人間と雪の深い関わりを紐解いていこう。

雪だるまの歴史と進化

 2000年代始め、世界唯一の雪だるま史家であるボブ・エクスタイン氏は雪だるまの創造主を探し求め、14世紀後半の中世の時祷書(じとうしょ)にたどり着いた。

 時祷書は中世ヨーロッパで使用されたキリスト教の祈りや礼拝のための手引書で、挿絵や装飾が施された写本である。

 それはハーグ王立図書館が所蔵するもので、溶けかけた腕と脚を持つ雪だるまが火に焼かれている様子が描かれている。

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 だがさらに古い雪だるま先祖がいる可能性がある。

 文章による記述だけなら、7世紀初頭の中国道教の文献『奉道科戒』に、象牙を彫って作った像、木を削って作った像、さらに「雪を積み上げて作られた像」の記述がある。

 もしかすると雪だるまの起源はさらに遡り、旧石器時代の人々ともつながりがあるのかもしれない。人

 人間が最初に何かを真似て作ってみたいという衝動にかられたとき、雪という素材は簡単に利用できる手軽な材料となったのだろう。

多種多様な変化を遂げた雪だるま

 雪だるまは溶けてしまえば痕跡が残らないため、その発展の過程を追跡するのは非常に難しい。

 宗教的な人物を除けば、雪だるまは世界でもっともよく知られている肖像といえよう。

 ヨーロッパからアメリカ大陸、アジアからオセアニアまで、何世紀にもわたって冬の風物詩である雪だるまの個性は、それを作った人たちと同じくらい多様だ。

 1511年、ブリュッセルの祭りで地元の人々は、疫病が蔓延する長い冬の間の不満を100体以上の雪だるまを作ることで表現した。

 その中には、性的な内容や風刺を含むものも多く、当時の社会状況が反映されていた。

ルネッサンス期にはミケランジェロも雪だるまを作る

 ルネッサンス期(14~16世紀)には、10代のミケランジェロが1492年の吹雪の後、ピエロ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチのためにとても美しい雪だるまを作った。

 当然のことながら数日後には溶けてしまったが、この溶けた雪だるまがフィレンツェのこの大芸術家特有の技法の鍵を握っているとされた。

 この雪だるまはミケランジェロの他の彫刻作品にも影響を与えたと考えられており、「未完成の美」を象徴するものとしてアートの歴史に残っている。

 今だったら、大変価値のある雪だるまだったことだろう。

世界最古の雪だるま写真

 19世紀になって写真が発明されると、春がやってきても雪だるまは溶けてしまうことなく、写真の中で永遠に凍りついたまま残されることになった。

 その場にいなくても、のちの人間が雪だるまの証拠を目にすることができるようになったのだ。

 最古の雪だるま写真は、ウェールズ初の女性写真家メアリー・ディルウィンが1853年頃に撮影したものだ。

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メアリ・ディルウィンの「雪だるま」1854年頃、ウェールズで撮影されたとも思われる public domain/wikimedia

 その他、フー・マンチュー(中国人)を表した「ミスター・スノウ」、アゼルバイジャンの巨大な雪だるま「氷河の父」、1906年のモスクワのロシア風雪だるま、オーストラリアの警察に手錠をかけられた犯罪者の雪だるま、雪でできたビクトリア女王などの写真が残っている。

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クラレンス・ルロイ・アンドリュース「氷河の父」1902年 oregondigital
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雪のヴィクトリア女王、1890年 public domain/wikimedia
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1906年、モスクワの雪だるま public domain/wikimedia
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オーストラリア、バララットでパイプを吸っている雪だるまを逮捕するイラスト、1909年頃 State Library Victoria

 その他、フィンランド、フランス、トルコ、中国、ドイツ、日本などでさまざまな雪だ
るま写真が撮影されている。

 子どもや兵士、芸者など一般の人たちが溶けかけた少し不気味な雪だるまの前でポーズをとっている構図が多いようだ。

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日本の女性たちと雪で作られたのではなさそうな雪だるまの絵葉書、1910年頃 public domain/wikimedia
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若い芸者と雪だるま、1907年 public domain/wikimedia
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1913 年頃、フランス領インドシナのハイフォン、トンキンからフランスのリヨンに送られた絵葉書 public domain/wikimedia

 20世紀になると、男女の区別のない中性的だった雪だるまは、実際の人間の姿を写すさまざまな形で描かれるようになった。

 グリーティングカード、ポスター、雑貨にも採用されるようにもなり、逆に世間の不満のはけ口のスケープゴートにされることもあった。

 雪だるまの人気は現在でも残っている。チューリッヒのゼクセロイテン祭りでは、春の訪れを祝うために担ぎだされ、バーニングマン・オン・アイスのように、巨大な雪だるま像を焼いて、冬を追い払う行事がある。

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チューリッヒのゼクセロイテン祭りで焼かれる雪だるまの図 public domain/wikimedia

 映画においても、ジョルジュ・メリエスの1899年の『La Statue de Neige』から、2024年のネトフリのロマンス『ホット・フロスティ』まで、スクリーン上の雪だるまの意味合いは常に変化し続けていて、絶えることはない。

 芸術人類学者アルフレッド・ゲルは、「ホムンクルスの原理」ついて説明している。それは世界中の信仰体系において、目や口のような開口部をとりつけた塊はほぼ人間のように見え、自分たちと同じように命を吹き込まれたかのようになるというものだ。

 雪だるまにも同じような魔法の変化がある。空から落ちてきた白い物体をボール状に丸めて積み重ね、目には果物や石、鼻はニンジン、帽子などを頭に乗せればできあがり。ゴーレムやピノキオとは違って、雪の粘土でできた雪だるまは春がくれば溶けて土に帰っていく。写真を撮って残さない限りは。

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エドワード・ジョージ・チャイルド「ミスター・スノー」ニュージーランド、オヒンガイティのストークス・ホールにて、1898年 natlib.govt
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オーストラリア、ヴィクトリア州マウント・ヴァファローで、3人の女性と陽気な雪だるま、1890~1930年頃
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雪の女性、1910年頃 public domain/wikimedia
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フランスのグリーティングカード、1910年頃 public domain/wikimedia
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アメリカテネシー州の作家ロバート・スパークス・ウォカーが子どもたちのために作った雪だるま、1912年 collections.chattlibrary
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ジョン・フリンの幻灯機スライド。女性と子どもたちと頭部のない雪だるま、1912年頃 nla.gov.au
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イリノイ州エバンストンのネルソン・L・バックの自宅で、ヘイゼル・バック・ユーイングの姪たちと婦人参政権を訴える女性運動家の雪像、1915年12月15日 digital.library
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アドルフ・ディートリッヒ・リドウォールによる雪だるまと集団の写真。雪だるまのモデルはハンス・フォン・エッセン男爵だと思われる。スウェーデン、1920年 digitaltmuseum
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ルイス・フレッケンシュタイン「雪だるま」1924年 Museum Collection
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1929年にトルコ、イスタンブールで作られた雪のモンスター Istanbul’s Winter Diary
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ヴォードヴィルのスター、フリッツィ・リッジウェイが雪だるまを溶かすのに何が必要かを見せている、と新聞の見出しに書かれていた。ハリス&ユーイング撮影 1924年 loc.gov
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1945年1月6日、イタリアのボフォース高射砲の近くに雪だるまを作るイギリス軍の砲手たち public domain/wikimedia
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雪だるまスターリンの前で撮影するリトアニアのパルチザン 1947年 kariuomeneskurejai

最新の雪だるまは?

 ここまで、古き良き時代の雪だるまにノスタルジーを感じていただいたが、ここからは最新の雪だるまだ。

 AI生成技術が発達した今、雪だるまはカルトと化した。昔の人はこんな雪だるまが誕生するとは思いもよらなかったことだろう。

 以下の映像は、デジタルクリエイターのdoopiidooさんがAIで作り上げた、カルト的雪だるまである。これも後世に伝わったりしちゃうんだろうか?

References: “How He Came to Life One Day”: Photographs of Snowmen (1854–1950) — The Public Domain Review

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この記事へのコメント 13件

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  1. 日本のはさすがに達磨があっての雪だるまだから昔の方がそれに忠実だったんだな
    欧米は彫刻文化強いしスノーマンって呼ぶしで人型多いし、トルコの形は逆にトルコ語でなんて呼ばれてるんだろ

    • +14
  2. 海外のスノウマンは過去記事のゴールデンレトリバーのナラさんが宿敵認定しても当然だわっていう造形だらけ。日本の雪だるまも昔はホントにダルマだったのがいつの間にかドラえもん体型になってたのだな。

    • +1
  3. 日本のとフランスのグリーティングカードは雪製じゃない撮影用かな

    • +1
  4. 写真がすごく面白いです。 多分洞窟の壁に絵を描いた人たちがいたんだから、なんらかの雪の像は言葉を話す前から作ってたんじゃないかな。 そのころの像も見てみたいがかなわぬ夢ですわ……

    • +5
  5. 英語圏の男性雪だるまたちがみな、せっかくだからとパイプ(かタバコ)を所望しているところに明確な様式を感じますね

    • +5
  6. >雪で作られたのではなさそうな


    違うの?
    雪だと思い込んでた

    • +1
  7. 芸者さんの口に手を当てるぶりっ子仕草がこの時代からあったことに一番ビックリしたw

    • +5
  8. 日本では徒然草の中に「雪仏(ゆきぼとけ)」という記述が出てくるのが最古かな

    • +2
  9. フランスのグリーティングカードの女の子たちがつけている脚絆みたいな後付のブーツみたいなの可愛いな

    • +1
    1. リアル嗜好の海外雪だるまのデフォルメと違って
      日本は凹凸表現をあっさり諦めた真っ黒の目と口だけの
      ゆるかわいいセンスがこの時代から完成してるのがおもしろいね

      • +4
    2. 表情がどう見ても「すみっコぐらし」でカワイイ

      • 評価

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