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ヤモリの隠された「第六感」を発見、低い振動を感知できる能力は爬虫類で初めて確認

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(著) (編集)

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トッケイヤモリこの画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
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  動物は人間にはない驚きの能力を持つことで知られる。最新の研究で明らかになったのは、ヤモリには深く低い振動を感知できる隠れた「第六感」があるという。

 この新事実が判明したのは、「トッケイヤモリ(Gekko gecko)」や「オオヤモリ」と呼ばれるヤモリだ。

 水色の皮膚にオレンジの斑点が色鮮やかなこのヤモリは、他の爬虫類と同じく、高音に特化した耳を持っており、1600~2000 Hzから5000 Hzを超える音を聴いている。

 その一方で第六感として感じ取っている機能しているのは”第2の耳”のようなもので、これは低音に特化しており、50~200 Hzの振動を聴くことができる。

 爬虫類で振動を感知できる種が見つかったのは初のことで、魚が陸上に進出するまでの聴覚の進化を紐解くヒントになるという。

ヤモリの第六感は低く深い振動を聴く第2の耳にあった

 トッケイヤモリで発見された第2の耳とは、内耳の中にある「球形嚢(きゅうけいのう)」という器官のことだ。

 この器官はトッケイヤモリだけでなく、私たち人間の耳にもある。それどころか、魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類に共通している。

 だが私たちの球形嚢は音を聴くことはできず、そのかわりに平衡感覚を司っている。

 これで音を聴けることが知られているのは、魚類と両生類だけだった。

 ところが今回、爬虫類であるトッケイヤモリもこれで聞き耳を立てていることがわかったのだ。

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トッケイヤモリ Photo by:iStock

 これを発見したのは、米国メリーランド大学の生物学者ダウェイ・ハン氏とキャサリン・カー氏だ。

 両氏はトッケイヤモリの脳をくわしく調べ、球形嚢が後脳にある「VeO(nucleus vestibularis ovalis)神経細胞」に直接つながっていることを発見した。

 じつは正確に言うと、トッケイヤモリは球形嚢で空気を伝わる音を聴くわけではない。おそらくは地面や水中を伝わってくるゆっくりとした振動を”聴く”と考えられている。

 そうした振動を感知した球形嚢は、そのサインをVeO神経細胞へ送り、それがさらに聴覚中脳へと伝えられ、ヤモリに知覚される。

 一方、VeO神経細胞には耳のほかの器官からの情報が伝わってこないので、通常の音は聞こえないと考えられる。

 このことを確認するために、研究チームは振動する台を利用して、振動に対する球形嚢とVeO神経細胞の反応を観察してみた。

 すると50~200 Hzの周波数に対して感度がよく、一番よく聴こえるのは100 Hzであることが確認された。

 こうした反応が普通に耳で聴いて起きている可能性もあったので、同じ周波数を、振動ではなく、音(空気の振動)として聴かせてもみた。

 だが、こちらではなんの反応も見られなかった。やはり普通の音とは違う”音”のための耳であるようだ。

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実験によってトッケイヤモリが球形嚢で振動を感知していることが確認された/Han and Carr, Cell Reports, 2024

球形嚢で振動を感じることがわかったのは爬虫類ではじめて

 これまで球形嚢で振動を感じる動物は、魚類と両生類しか知られていなかった。同じことが有羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)で確認されたのは、トッケイヤモリが初めてとなる。

 とは言え、トッケイヤモリが第2の耳で何を聴いているのか、くわしいことは不明だ。彼らは非常に騒がしい生き物で、その大きな鳴き声は普通の耳で十分聴けるのである。

 研究チームによると、第2の耳は地面や水中を伝わる振動を感知するのに役立つと考えられるという。また風・雨・捕食動物などが立てる低音を感知するのに便利なのかもしれないそうだ。

 あるいはコミュニケーションにも使われているかもしれない、というハン氏は、プレスリリースでこのように述べている。

ヘビやトカゲの多くは、声もなく、耳も聞こえないと考えられてきました

ですが、実際にはこの感覚経路を利用して、振動でコミュニケーションを交わしているのかもしれません

だとすれば、動物の知覚についてのこれまでの常識はくつがえるでしょう(ダウェイ・ハン氏)

 この発見は、動物が水中から陸上へと進出する中で、聴覚がどのように進化したのかを明らかにするヒントとしても貴重なものだ。

 なお、ほかのトカゲやヘビにもトッケイヤモリに似た構造が見られることから、第2の耳は爬虫類では一般的なものである可能性もあるとのこと。それを確かめるために、さらなる研究が必要であるそうだ。

 この研究はジャーナル『Cell Reports』(2024年10月4日付)に掲載された。

References: Scientists Uncover Auditory “Sixth Sense” in Geckos | College of Computer, Mathematical, and Natural Sciences | University of Maryland / Scientists Discover a Mysterious 'Sixth Sense' Hidden in Geckos : ScienceAlert

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この記事へのコメント 9件

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  1. >ヘビやトカゲの多くは、声もなく、耳も聞こえないと考えられてきました

    ↑ヤモリって捕まえたらキュウキュウ言うよね

    • +2
  2. > 1600~2000 Hzから5000 Hzを超える音を

    あれ?案外可聴範囲が狭くね?人間だと若い人なら20kHzくらいまで聞こえるのに
    それに低域の方も、こっちは普通の耳とは違った機能みたいだが、周波数自体はそこまですごく低いわけでもないし

    • 評価
  3. >>トッケイヤモリ(Gekko gecko)

    ヤモリなのにゲコゲコ

    • +6
  4. 人間の球形嚢は垂直方向の直線加速を感じることができるそうです
    地面の振動でもあごを地面につけていれば感じられるのかも

    • 評価

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