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大昔に起きた超新星爆発が地球の多種多様な生命の進化に影響を与えた可能性

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(著) (編集)

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超新星爆発のイメージ図この画像を大きなサイズで見る
 image credit:NASA
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 かつて起きた超新星爆発が、地球上の生命の進化を加速させ、多様化をうながした可能性があるという。

 巨大な星が超新星として爆発すれば、桁外れのエネルギーを放出し、鉄などの重元素が作られ、それが宇宙にばら撒かれる。その痕跡はこの地球でも見られる。

 米カリフォルニア大学サンタクルーズ校による新たな研究では、超新星爆発によって地球が浴びた放射線量を調べ、地球上の生命にどのような影響があったのか調べている。

 それによると、大昔の超新星爆発は、地球の生命の多種多様な進化に影響をもたらした、宇宙からの贈り物かもしれないというのだ。

超新星爆発の放射線は地球に届き痕跡を残す

 地球上の生命は、地球と宇宙、両方に由来する電離放射線に常にさらされている。

 地球由来の放射線は数十億年のうちにだんだんと減っていく。宇宙由来のものは、減少こそしないものの、それでもその時々で揺らぎがある。

 たとえば、近くで超新星が爆発すれば、地球が浴びる放射線レベルは激増することだろう。果たしてそれは地球上の生命にどのような影響を与えるだろうか?

 カリフォルニア大学サンタクルーズ校のケイトリン・ノジリ氏らによる研究チームによると、海底に蓄積されている200万~300万年前の鉄同位体「60Fe」は、そうした超新星爆発によってもたらされたものだという

 それは約456光年の距離にある「上部ケンタウルス・おおかみ座アソシエーション(Upper Centaurus Lupus association)」か、228光年の距離にある「きょしちょう座・とけい座アソシエーション(Tucana Horologium association)」で発生したと考えられている。

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超新星爆発のイメージ図 Photo by:iStock

宇宙に存在する巨大な泡状構造「ローカルバブル」

 だが、もっと古い500万~600万年前の鉄同位体は、地球が”バブル”に突入した時にもたらされた。

 このバブル構造は「OB型星」という星によって作られたものだ。

 OB型星は、熱くて重く短命であることが特徴の恒星で、通常は「アソシエーション」というグループで形成される。

 OB型星は生涯を通じて強力な”風”を放出しており、それによって星間物質に熱いガスの泡(バブル)が作られる。

 じつは私たちの太陽系は500万~600万年前にそうした泡の1つに突入し、今もその中にいるのだ。

 その泡のことを「ローカルバブル」や「局所泡」といい、大きさは1000光年ほどある。

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ローカルバブルのイメージ図。今、太陽系はその中にある image credit:NASA

 研究チームの推定によれば、ローカルバブルの始まりはかなり激しいもので、それが形成されるには、過去1500万年で15回の超新星爆発が必要だったと考えられるという。

 また太陽系が突入した600万年前からだと9回の超新星爆発があったと推定されている。

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左図)ローカルバブルと近くのアソシエーションを示したもの、右図)それらの銀河座標。2018年に発見されたバブルは「上部ケンタウルス・おおかみ座アソシエーション」で起きた超新星爆発の名残である可能性が高い/Nojiri et al., Astrophysical Journal Letters, 2024.

超新星爆発の放射線が地球の生命多様化を促した可能性

 今回の研究では、そうした複数の超新星爆発によって地球が浴びた放射線の量も計算している。

 それが生物に与える影響ははっきりしていない。だから以下の話はあくまで推論だ。

 だが研究チームによると、超新星爆発の放射線はDNAの二重鎖を切断するほどの威力だった可能性があるという。そのダメージは深刻で、染色体を変化させ、細胞を殺してしまう恐れもある。

 私たちが今いることからわかるように、それで地球上の生命が死に絶えることはなかった。だが当時の生命に突然変異を引き起こし、種の多様化をうながした可能性はある。

 たとえば1つの事例として、200万~300万年前にアフリカのタンガニーカ湖でウイルスの多様化が加速したことが挙げられている。

 確かなことは不明だが、これが本当に超新星の影響なのだとしたら、生命の進化にも何らかの影響があったとしてもおかしくはない。

 地球の生命は、多かれ少なかれ、常日頃から放射線にさらされている。つまりそれは環境の1つの構成要素なのだ。ならば地球の生命の多様性を考える上で、放射線を無視することは絶対にできないだろうと研究チームは主張している。

 ただ現時点では、生命の進化を左右するような放射線レベルもそれに要する時間も不明だ。

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近くの超新星(SN)からの距離と地球が浴びる放射線の関係を表したもの。平均線量は、爆発後から最初の10万年(破線)から1万年(実線)の期間で計算された。一番下の点線は現在のレベル。これによって地球の生命が絶滅することはなかったが、種の多様化がうながされた可能性はある/Nojiri et al., Astrophysical Journal Letters, 2024

 とは言え、この研究は、宇宙の環境が地球の生命に強く働きかけていることを示唆している。

 私たちは普段、そんなこと気にも留めないだろう。だが過去の超新星爆発で放たれた放射線は、地球史のどこかの時点で生命の進化を加速させたのかもしれないのだ。

 もしもその爆発がなければ、地球の姿は今とはまるで違うものだったかもしれない。

 この研究は『Astrophysical Journal Letters』(2024年9月18日付)に発表された。

追記(2024/10/01)本文を一部訂正しました。

References: How a Nearby Supernova Left its Mark on Earth Life - Universe Today

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この記事へのコメント 10件

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  1. 可能性なら

    もしかしたら俺の屁もバタフライ効果で人類の進化に貢献した可能性もあるな

    • -4
    1. それはない
      人類の進化の集大成がお前の屁だ

      • +3
  2. これは前から言われてるよね
    たしか80年代に聞いたことがある
    証拠が固まりつつあるってことかな

    • +6
  3. 宇宙から地球に飛来する放射線には、太陽系外から超新星爆発などによって加速されて飛んできた「銀河宇宙線」と、太陽のコロナから噴出した太陽風や太陽フレア粒子として飛んで来る「太陽宇宙線」がある
    なぜに超新星爆発限定?

    • -3
    1. 地球の地表は基本的には太陽風や地球自身の磁場など、
      複数のシールドによって放射線はかなり減衰され、守られている
      そのシールドを突破し、大規模な影響を与える様なエネルギー放出が超新星爆発

      • +4
  4. 200万年~300万年前にタンザニアのウィルスの多様化が加速されたとして
    同時期の他の生命への痕跡はどうなっているんだろうか
    アウストラロピテクスが破滅的な放射線に晒された結果
    僅かに生き残った個体がホモ・ハビリスに進化したのかね

    • 評価
  5. 素粒子に個性があり、「複雑化」して原子、元素、分子へと・・ この仕組み原動力は何なのか

    • 評価
  6. 宇宙は無重力っていうけど、微細ながらどこかの重力の影響うけてるとされてる。
    なので宇宙で起きた出来事の影響は、地球にも及んでるのは当然かもしれない。
    極めて気付きにくいだけで。

    • +1
    1. 素粒子の間に働く4つの力、電磁気力、弱い力、強い力、重力のうち重力だけが反対向きの力つまり斥力がなく、一番弱いけど無限に遠くまで届くとされています。みんなが見ていても当たり前すぎて重力に気づくのは人類の歴史上ニュートンの登場まで待たなくてはならなかったのです。地球の生物は生物の発生(細胞分裂のときのことね)でも地球並みの重力があることが前提となっておりますので無重力では初期の胚の生存率が低いことが知られています。ってことで影響はそれなりに大きいと思いますよ

      • 評価
  7. 夜空を見上げた星の光が
    何十億年も前に発した光だと思うと
    僕らはすげー長生きしてるよね?

    • 評価

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