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足を舐める悪魔?1921年のイランの写本に描かれた奇妙な怪物たち

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 アルゼンチンの伝奇作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス。彼が自分の迷宮世界と結びつけたその人生は、ある種、図書館員のような人生だ。そこに並べられた小説は、彼が自分の文章を通して織り込んだ隠れた学術的参考文献ともいえる。

 ボルヘスは、こうした文献的傾向をノンフィクション『幻獣辞典』に気まぐれに持ち込んだ。この本は、世界中に伝わる昔の民話や神話、悪魔学の話から、異質なクリーチャーたちを一挙にまとめたものだ。

古代に登場したキマイラ(怪物)の魅力

 これら昔話がどのようにしてただの想像の域から、遥か遠方へと発展していったのかについて、ときにボルヘス自身が述べることもあった。

 例えば、ギリシャ神話のキマイラ(怪物)を作り出した”突拍子もない想像力”は、滑稽な姿の生き物が人々の間に浸透し始めた証拠で、突拍子もないその姿が、現代のわたしたちが事典の中で見るキマイラの定義になっていると。

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 ボルヘスがユダヤの悪魔たちと呼ぶ、詳しく説明するにはあまりにも数が多すぎるカテゴリーについて、それを調べるのはとてつもない労力だが、何世紀にもわたって、エジプト、バビロニア、ペルシャが、ただでさえ独創的な中東世界をさらに豊かにした、と書いている。

 天使論より一般的ではない分野だが、このなんとも魅惑的な多彩なイラストの影響は、時と共にさらに広まっていった。

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土着の怪物が自由に混ざり合って魔界の世界を広げる

 『タルムード』(ユダヤ立法の集大成)に記録された土着の怪物たちは、まもなく、ヨーロッパのキリスト教社会やイスラム世界の多くの悪魔たちと完全に合体し、少なくとも3つの大陸から出てきた怪物たちが、錬金術、占星術、オカルト世界とさらに自由に混ざり合って、13世紀から現代に至るまでの広範な魔界を形作ることになった。

 例えば、20世紀初頭の1902年、イラン中部の都市イスファハンの予言についてのイラストは、古代のこうした流れをくんで描かれたもので、1921年に新たに加えられた一連の水彩画だが、中世初期のものと間違われやすいものだった。

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 アートや文学、思想の歴史のためのサイトPublic Domain Reviewにはこうある。

これらのすばらしい絵は、バビロニアのタルムードのラビが主張しているように、1000年前にさかのぼる昔から今日まで続く、近東の悪魔学伝統に基づいて描かれている。

悪魔を崇める場面がないのは、”目が見ることを許されているのなら、どんな生き物も悪魔の前に面と向かって立つことはできない”からだ

 物語の作者や予言者の知識は、悪魔や精霊を支配する力をもつ聖書のソロモンのおかげだと、ペンシルベニア大学宗教学の博士号候補アリ・カルジョー=ラヴァリーは書いている。

 イスラム以前の近東の悪魔の描写は、頻繁に魔術的、護符的な目的のために利用された。こうしたイラストが描かれた当時に、アレイスター・クロウリーのようなオカルティストがやっていたようなことだ。

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イランの写本に描かれた怪物たち

 写本に描かれている56のイラストすべてが、悪魔的な怪物を表わしているわけではないという。角があり、フォーク状に分かれた舌をもつ生き物の中のほかに、大天使ガブリエルやミカエル、十二宮に関連する獅子や子羊、蟹、魚、蠍などの生き物も見られる。

 しかし、大部分はやはり悪魔がメインといっていい。ボルヘスは、風変わりな生き物たちをなにから産み出したのだろうか? 彼が視力を失う前にこのイランのこのイラストを見ていたのなら、間違いなく大喜びしたことだろう。

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 カギヅメ、4本の角、突き出した赤い舌をもち、縞模様の腰巻をつけた青い男は不気味だし、口髭、ジャガイモのような鼻、ブチ模様のある皮膚をしたヤギ男は、どうにも食えないごった煮のようだ。

繰り返し出てくる不穏なテーマは、ベッドで眠る者のところに現れる悪魔。寝ている者の歯を引っこ抜いたり、目をえぐり出したり、サメの歯がついた尾をもつ、爬虫類と猫をかけ合わせたような姿の悪魔が、足を舐めているシーンもある。

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 こうしたイラストには、オランダの画家ヒエロニムス・ボスを思わせる遊びの要素がある。彼はこうした奇怪な創造物に相当真剣に取り組んでいたようだ。

 大昔のイラストレーターも、同じだったのかもしれない。健康や金、家など物質的な物に執着する人間どもの苦しみの産物としてのイラストについて、こんな疑問がわくかもしれない。

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 ぬくぬくと布団にくるまって寝ている人間の目をえぐりとったり、足を舐めたりする悪魔を想像したとき、このアーティストはどんな具体的な心配ごとに悩まされていたのだろうかと?

 Public Domain Reviewでは、こうした奇妙なイラストをもっとたくさん見ることができる。

References:openculture/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 30件

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  1. 足の裏をなめる怪物って、あかなめかな??って思った
    シルクロードを通じて日本の妖怪が輸入された、なんてこともあるかもしれない

    • -2
  2. 日本で言う妖怪の浮世絵みたいな感じか
    妖怪は洒落から生まれたものも多いがこれはいちおうどこかしらに由来あるものたちなのか

    • +5
  3. ニッチな性癖の人たちみたいで面白い

    • +12
    1. >>5
      妖怪って変態の事じゃないかなって大人になってから思ったわ

      • +17
      1. ※6
        今の時代なら変質者が出たー!ってなることも
        知識のない時代なら妖怪の仕業だー!ってなるもんなあ

        • +1
  4. ぼくの考えたさいきょうのモンスターかな?

    体育座りくん好き。

    • +1
    1. ※9 1チームで共食いになりそう・・・

      • 評価
  5. 漫画や劇画の世界にも、中途半端にデッサン力がある下手 っていう絵描きがいるよね。

    • +3
  6. 刑罰に拘束してヤギに足の裏を舐めさせるってあったね
    塩分が欲しくてずっと舐め続けるから、皮が削げて血が出ても舐められ続けるという過酷なものらしい
    この絵もそういうヤギの習性から発想を得たのじゃないだろうか

    • +2
  7. 糖尿病の初期自覚症状に『寝ている時、安静にしている時の脚の違和感くすぐったさ、平らな床にも関わらず足の裏で感じる凸凹感』が在る
    ・・・此れと足を舐める悪魔との関係在りや無しや。

    • +2
  8. やたらイキイキしててすごいひょうきんな顔
    だらしない体つきのおっさんが腹出してプリーツスカート履きましたよ、みたいなかんじ
    全然怖くなくてイイネ!

    • +2
  9. 足が濡れたように感じるのは糖尿病による神経障害の症状じゃね?

    • +2
  10. 寝ている時、特に明け方に足を舐める猫型の悪魔ならうちにいる。
    舐められていても起き上がらずに耐えていると、
    ガシっと掴まれたうえ、かじられながら蹴られるというおまけつき。
    舐められたらすぐに起きよう。そして缶詰を開けようと寝るときには思うんだけど、
    ほぼ毎朝蹴られるので足が傷だらけですが。

    • +5
    1. ※21
      ♪わたしは~あーくまぁ
      ♪げぼくを~とーりこにするぅ

      • 評価
  11. どの時代、どの国でも悪魔は楽しそうで、聖なる者はつまならそう

    • -1
  12. いつも思うんだが、古代人の考えるモンスターって何でみんな頭がいっぱい生えてるんだ?

    • +1
    1. >>23
      「ひとりの人間の中に潜む多面性」に対する恐怖から生まれたのではなかろうか
      とか言ってみる

      • +3
  13. レストレスレッグスを絵で表現したのかな

    • +1
  14. 体育座りでワンコの口の人の可愛さが凄まじい。

    • +1
  15. 布団から足だけだしてたら怖くなってくる理由ってこれか

    • +1

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