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太陽光発電、ソーラーパネル効果の重要な欠陥が40年の研究を経て明らかに(英研究)

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(著) (編集)

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Bruno Glatsch / Pixabay
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 太陽光発電(ソーラー発電)は、太陽電池を用いて太陽光を直接的に電力に変換する発電方式だ。

 災害時などの停電時でも自家発電ができることや、自家消費による家庭の光熱費を削減できること、また余った電力を地域の電力会社に売って収入を得られることなどがメリットとなる以外にも、環境問題が取り沙汰されている昨今では、CO2を発生しないクリーンなエネルギーとして注目を集めている。

 しかし、この素晴らしいテクノロジーにもいくつかのデメリットはある。デメリットを払拭し、いかに効率的に太陽光発電を使用するかという研究は、長きにわたり行われており、現在も進行中だ。

今回、イギリスの科学者たちがソーラーパネル効果に重要な欠陥があることを、40年の研究を経て発見した。どうやら、太陽電池の製造に使用されるシリコンに欠陥があるようだ。

太陽電池の製造に使用されるシリコンに欠陥

 大規模な設備で太陽電池(セル)を使用すると、システムが高電圧化し、回路に電流漏れが生じて、劣化や出力低下が起こる不具合が発生することについては、既に明らかにされている。

 今回の新たな研究では、太陽電池の製造に使用されるシリコンの材料に欠陥があったことがわかった。これは、以前には発見されなかったことだと研究者らは述べている。

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Sebastian Ganso / Pixabay

LID現象により2%の効率低下を生じている

 研究発表によると、ソーラーパネルの設置直後、太陽電池に含まれている酸素とホウ素が太陽光によって出現し、電子を分解してしまう光誘起劣化(LID)という現象が起こっているそうだ。

 世界中のソーラーファームに設置されるパネル数が増えると、このLID現象により出力低下の不具合が生じ、再生不可能なエネルギー源を補わなければならない大規模なコスト被害をもたらすことになるという。

 事実、LID現象による効率低下で世界全体が生じるエネルギーの損失は、イギリスの15の原子力発電所が生み出すエネルギーよりもはるかに多いと推定されている。

 この欠陥によって、太陽電池を使用して最初の数時間で、2%の効率低下を引き起こしているというのだ。

環境的または経済的影響のため、太陽電池パネルの効率の低下は過去40年で科学的にも工学的にも大きな関心を集める課題となっています。しかし、それに取り組む研究は多くても、これまで問題解決には至っていませんでした。

 この語るのは、今回の研究者の1人であるイギリスのマンチェスター大学に在籍するトニー・ピーカーさんだ。

シリコンの弱点を徹底調査

 トニーさんを始めとする研究者らは40年にわたって270もの論文が決定付けることができなかったことを発見するため、今回は太陽電池の製造材料であるシリコンの弱点を見つけようと、DLTSと呼ばれる電気的および光学的手法を使用して研究を行った。

  DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)とは、半導体における深い準位(トラップ)を測定する方法だ。

 このDLTS分析では、太陽電池の電荷が太陽光から変換されると、電子の流れが閉じ込められるということが判明した。

 つまり、作り出すことができる電力レベルが減ってしてしまうということだ。この欠陥は、ソーラーパネルが実際に加熱されるまでは活発化されないことがわかった。

 また、より高品質のシリコンは、より長い「寿命」を持つ電荷担体(光子エネルギーを運ぶ電子)を持っていたことも判明。よって、これらのトラップが効率の低下に関連しているという考えを裏付けていることとなった。

 更に、シリコンからトラップを除去するためのプロセスとして、暗所で材料を加熱することで、劣化がもとに戻ることもわかったそうだ。

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PublicDomainPictures / Pixabay

早急な対応が必要

 今回、LID現象の謎が解決されたことは大きいが、「欠陥の存在が証明された以上、早急に修正を必要としなければならない」と研究者らは指摘する。

効率が2%低下というと、たいしたことのように思えないかもしれませんが、これらのソーラーパネルが、世界の総エネルギー需要の大部分を担う責任があると考えると、影響は大きく、発電能力の大きな損失にも繋がるのです。(トニー・ピーカー)

 太陽光発光システムについてはまだまだ画期的な進歩が求められており、自然の中に多くのヒントを得ながら、太陽電池パネルの効率を更に高めるための更なる研究が続けられている。

 なおこの論文は、『Journal of Applied Physics』で発表された。

追記(2019/06/27)本文を一部修正して再送します。

References:After 40 Years of Searching, Scientists Identify The Key Flaw in Solar Panel Efficiency/ written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 60件

コメントを書く

  1. ねえ、ちょっと!
    再生可能エネルギー発電促進賦課金みんなも払ってるよね?
    ロスの分も払ってたかと思うともう悔しいのよ!

    • +12
    1. ※1
      ロス分は賦課金にカウントされないから安心しな

      • 評価
  2. ソーラーパネルの改良は勿論必要だと思うけれど、発電効率が量産品の高品質版で20%、低価格品で15%程度が現状だからね(高価格品は30%を超える物も有るみたいだけど)2~3%くらいの効率改善では、まだまだ先が長い改良になりそうだ。メカ物全てにおいて、改良作業てのは地道な努力の積み重ねなんだろうけど。でも、充電池等の技術開発で得られたノウハウを応用して、大き目のブレークスルーが来る予感もする。今後100年間くらいは人類とっての技術的な発展期になると思うよ(たぶん)。

    それにしても研究者は良くやったと思うと同時に、40年間研究しても2%の改善とは…本当に技術改良の大変さを思い知らされる話だと思った。

    • +20
  3. 太陽光発電って処分にも困るし、もう少し処理も楽で効率のいい
    モノは作れないのかな

    • +17
  4. 太陽光発電は効率との飽くなき戦いだもんね、
    「825発電システムのムサイ、下がれ。影を落とすと出力が下がる」
    下手な真似するとアサクラさんにえらい怒られます。

    • +3
    1. ※7
      ひょっとして、シリコンとシリコーンを取り違えてらっしゃる?

      • +2
  5. パッシブスキルで2%アップなら欲しいところだけど、費用と手間を考えるとうーんって感じだなぁ・・・(ゲーム脳

    • +3
  6. >この欠陥によって、太陽電池を使用して最初の数時間で、2%の効率低下を引き起こしているというのだ。

    で、数時間以降は?

    最初の数時間だけ2%の効率低下なら誤差レベルだ
    なんの問題もない

    と、いうように解釈されかねないおそまつな論文だ

    • -28
    1. >>9
      よほどお粗末な読み方しなけりゃ、そんな捻くれた解釈しないだろ。
      論文とか研究になにか恨みでもあるのか?

      • +15
      1. ※16
        >>よほどお粗末な読み方しなけりゃ、そんな捻くれた解釈しないだろ。

        いいだすのは多いと思いますよ。実験とかの実証知らない見ない聞かないのエコ信者とか、利権がらみ(ソーラー発電業者とか)の界隈から。

        • -1
      2. >>16
        残りの98%が生きてるなら大丈夫やろ

        って真っ先に思ったけど

        • -5
  7. >太陽電池に含まれている酸素とホウ素が太陽光によって出現し、
     電子を分解してしまう光誘起劣化(LID)
    電子は何に分解されるんだろう。何にしろすごいエネルギーが必要なはず。

    • 評価
  8. 2%低下するからなんなんだって感じだな
    98%の性能を出してるなら何の問題もないだろ
    経年で大幅に低下し続けるなら問題だが、基本的に40年放置し続けて電気作れるもんだし

    • -28
    1. ※11
      「イギリスの15の原子力発電所が生み出すエネルギーよりもはるかに多いと推定されている」んですが

      • +12
      1. ※17
        総合計はそうかもしれんが、数時間後に2%減って以降変わらないんであれば、98%状態が100%な性能とみなしていいかと。
        車の燃費がカタログスペック通りじゃないって文句言う人はいない。
        カタログより実走行では性能が落ちることを不満に思いながらも皆納得してるからだ。なぜソーラーパネルで同じことができないんだ?

        • -21
        1. ※19
          数時間後2%減って以降変わらない、ではなく数時間あたり2%減っている、でありその後も継続してるんですよ

          • 評価
          1. ※27
            仮に貴方がおっしゃっていることが真なら、かなり問題ですね。
            でも、数時間後に 2% 減なら、数時間後に元の 98% になってます。それが継続するとその数時間が 180 回……半年くらいですかね、計算すると 0.026 →元の 2.6% になっちゃいますよ。おかしいと思いませんか。

            • 評価
      2. ※17
        イギリスの15の原子力発電所ってアバウトすぎると思うよ・・・

        全世界の太陽光発電vs全世界の原子力発電で比較とかならまだわかるが。

        • -11
      3. ※17
        2%の低下がイギリスの原発15基に相当って事は世界中の太陽光発電100%が原発750基相当って事じゃん。
        原発って世界に500基くらいしか無いじゃん。

        太陽光発電マジ原発超えてんじゃん。
        すげえな太陽光

        • +4
    2. >>11
      これを解決すれば2%増えるってことだよ

      メーカー的には新設と置き換えで優位に立てる

      • +7
    3. ※11
      例え2%の違いでも、国とか地球全体の違いになると大きいと思うよ?それに現在の2%の改良が次の世代の2%の進歩に繋がると思うし、100年後には20%とか40%とかの大きな改善になって居るかも知れない。でもそういう改善も、現在の努力が無いと達成できないんだ

      • +13
  9. コストダウンのために太陽光パネルは半導体より低グレードのシリコンウェハ使ってるからね。

    • +4
  10. そもそもメンテする気ない施設だし
    ボロくなったら作り直すか撤去でしょ
    どれひとつとっとても製造コスト分発電出来たパネルはないと思うけど

    • +7
  11. ぼく「ほーん、2%ってたいしたことないじゃん」
    総理大臣「じゃあ消費税8%から10%に上げても大丈夫だよな!」
    ぼく「やべえ!2%でかい!」

    • +45
    1. ※15
      因みに2%上がると
      庶民の年収から5万減る計算になる
      5万貧乏になるってこと そうとうでかいよ

      高校生の一割は貧困です
      学費を払えないで辞めていく人もクラスで数人居ます
      見た目では解らないそうです
      可哀そうな話です
      それも東京都の話ですよ

      • 評価
  12. 砂漠の大平原に太陽光発電所作って地下に充電器設置すればどうだろう?3%位は誤差範囲と言える電力作れるんじゃないかなー。その間にもっと性能のいい自然発電の研究すれば?

    • -6
    1. ※18
      移動ロスでよけい効率悪くなるよ

      • +1
  13. 壊れると有害物質垂れ流し
    産業廃棄物扱い
    常に発電中で電気が流れているので
    素人が触るのは危険

    • +11
  14. 宇宙太陽光発電にとっては悪いニュースだね。

    • 評価
  15. 2%とか3%って割合で聞くと大したことないなってつい思っちゃうけど
    総発電量に換算して考えるとものすごい量になるんだよねえ

    • +10
  16. ソーラーパネルが急にオモチャから実用レベルになったのってこの10年くらいだし
    しょうがなくね

    • -1
  17. 劇的に性能の上がるブレイクスルーがないと現状の費用と生産性が合わん
    法の支援あっての制度なんて意味がない、発電も蓄電も進歩が遅すぎ
    石油関係の圧力で革新的技術が世に出ない?んーな訳ねーだろー

    • +4
  18. 原発推進したいだけだろう。
    あれが利権なのは日本に住んでいればわかるはず。

    • -5
  19. パネル製造に必要な電力を太陽光で賄えるようになったって本当なのかな

    • +1
    1. ※33
      それは本当。製造から廃棄までにかかる全電力を発電するのにかかる期間(EPT)は2年くらい。それ以降はエネルギー的に黒字になる。
      1990年頃はパネルの寿命とEPTがどっちも10年くらいだったんで、赤字になるって話があった。その後、封止剤が改良されたり大型パネル量産で生産効率が上がって、1995年くらいから数年で黒字になる様になった。この頃作られたパネルが使用期間20年を超え始めてるけど、効率は初期の90%くらいを保持しているから黒字期間は結構とれてるよ。

      • +3
  20. 最新の太陽光パネル発電変換効率って民生用で22.1%なんだって。
    イメージでは50%に近いレベルと思っていたのに残念。

    • +3
  21. 経年劣化も当然あるし、ソーラー設置に森林伐採とか自然破壊してる本末転倒な事してる場所もあるし、何より処分が大変。有毒物質をたくさん使ってるから処分するにも一苦労。
    はっきり行ってソーラー使うと自然環境が悪化するろくでもないもの

    • +5
  22. 2%の効率低下ってのは光エネルギーの変換効率が2%低下するのか、
    それとも発電開始時の効率を100%としたときの2%分低下するのか。
    どっちなんだ。
    大きな違いだぞ

    • 評価
  23. 欠点、欠点と連呼する割には内容がショボかった。

    • -7
  24. 最初に2%分のダメージが入るのか
    はたまた
    持続して2%分の毒ダメージが入り続けるのか

    • +1
  25. 「太陽電池に含まれている酸素とホウ素が太陽光によって出現し、電子を分解してしまう」は違うぞ。太陽電池に光が当たると、その中に含まれる酸素がシリコンの中を移動してホウ素と結びつく。酸素とホウ素が結びつくと、そこが電子やホール(電子が抜けた穴)を捕まえる働きをする。その結果発電効率が落ちる。

    • +7
    1. ※46
      電子を分解っていうからクォークとかニュートリノとかそういう話しかと思ったw

      • +1
  26. 現状の相対的な効率性は如何ほどなんだろうか。
    ソーラー発電はエコではあるがお金持ちの電気、なんて事になるんだろうか。

    • 評価
  27. 太陽光発電パネル作る時点で全然クリーンじゃない件

    • -3
  28. まあでも、従来の送電もロスがあるわけですし

    • -2
  29. もしかしたら下手にソーラーパネルで日光を遮るよりも、その日光で地球や植物に
    エネルギーを蓄えて貰った方が利用効率が良かったりするのかもしれない

    • +2
    1. ※53 砂漠にソーラーパネルを置けば日陰で苔とか生えるかもしれない

      • -1
  30. ソーラーパネルって小さい破片だけでも発電するから、台風でパネルが飛ばされて割れたときとか大変なんだよね
    あとは、風力発電とかは羽根を止めれば発電停止するけど、ソーラー発電だとパネルだけで発電するから、水没してたり破損してるパネルにはむやみに触らないほうがいい
    ソーラーパネルって簡単に発電できる優れものだけど、思ってるより危険

    • 評価
  31. ちなみに、火力も原子力も、タービン使うもの全部、地球の平均気温が上がればそれだけ熱効率が下がって発電量落ちるからね。
    これ豆な。

    • 評価
  32. ド素人考えだけど、安全だと言われてもソーラパネルだけは屋根に設置したくないな~。近所の多くの家は、樹脂で連なった瓦風のイミテーション瓦の上にソーラーパネルを取り付けてあるけど、台風で飛んでこないことを願ってる。

    • +1
    1. >>59
      ソーラーパネルを設置する瓦土台はちゃんと固定されてるからね。ソーラーパネルが飛ばされるんだったら屋根ごと飛ばされてるね。まともな業者なら

      • 評価
  33. 日々進化してどんどん良くしてるのに文句を言う奴は粗ばかりを指摘するのな

    最初から完璧なら車じゃなくてUFO飛んでるわ

    • -1

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