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130年ぶりにキログラムの定義が改定されるかもしれない件

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(著) (編集)

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 ものの単位は国によってさまざまだ。

 たとえば重さなら日本ではキログラムが一般的だろうが、アメリカなどではポンドを使ったりする。ちなみに1キログラムは2.2ポンドあるいは1000グラムだ。

 ところで、その意味をちゃんと理解しているだろうか?

 計測の単位について世界中で同意を得ることは想像以上に難しい。じつは今、重さの単位に関する定義が約130年ぶりに変更されようとしている。

キログラムはどうやって決められているか?

 現在、世界標準となっているキログラムは「国際キログラム原器(IPK)」という、プラチナとイリジウム製の円柱が基になっている。

 国際キログラム原器は40年に1度計測され、きちんと1キログラムであることが確認される。ところが、最近の計測結果からは、IPKの重さは不安定であることが明らかとなっている。

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国際キログラム原器 (CG画) image credit:wikipedia/commons

 このために、貿易や科学の分野、さらにはロケット工学のような厳密な精度が求められる分野に混乱を引き起こしかねないと懸念されている。

 それだけではない。現在IPKはフランスにある国際度量衡局で厳重に保管されているのだが、万が一、事故が起きて紛失でもすれば世界から1キロを知る手段が失われてしまう。

 そんな問題のある原器の重さを基に1キロを定めているなど不思議にも思えるかもしれない。だが、それが長年世界で採用されてきたことにはきちんとした理由がある――それ以外の方法で1キロを知るのが困難だからだ。

計測学における単位の発展

 さまざまな単位は自ずと決まっているとお考えかもしれない。

 例えば、1日なら24時間、1時間は60分、1分は60秒といった具合だ。しかし歴史的に見ると、それらは世界で観察される自明の現象を基にして定義されているのが本当だ。

 計測学においては、そうした自明の現象はアーチファクトと呼ばれている。

 航空宇宙技師のマックス・フェイギンは自身のツイートの中で、科学者はアーチファクトと比べて何かを測るやり方を乗り越えようと長年努力してきたと述べている。

 たとえば、かつて1秒は地球が太陽を1周するのにかかる時間の1/31556925.9747の時間であるとされた。しかし現在では、セシウム133原子の中の電子が9,192,631,770回振動するのにかかる時間と定義されている。

 なぜこんなにも面倒なやり方をと思うかもしれないが、原子の振る舞いを用いることで、宇宙のどこにいようとも、1秒が1秒であることをかなりの確かさで知ることができるというメリットがある。

 要するに、科学者は、計測単位を決めるために人為的な対象を比較することをやめて、普遍的な定数に求めようとしているのだ

 ――それなのに、キログラムだけはできなかった。

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シテ科学産業博物館に展示されているキログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている image credit:wikipedia/commons

キログラムの特殊性

 秒は、キログラムやメートルほか4つの単位と一緒に国際単位系(SI単位)を構成する。これは計測単位の基本となるもので、そのほとんどはアーチファクトを用いずに定義されている。

 ところがキログラムについては、複雑怪奇な重力を考慮せねばならないために、アーチファクト抜きで定義することがきわめて困難だった。

 質量と重量は混同されやすいが、じつは別物で、物の中にどれだけ物質があるかを意味する。科学者が国際キログラム原器抜きでどうにかキログラムを定義したいと考えているのもこのためだ。

プランク定数でキログラムを新しく定義

 そして採用されたのがワット天秤である。現在、アメリカ国立標準技術研究所やイギリス国立物理学研究所など、いくつかの研究所で開発中のこの機器は、プランク定数を基にキログラムを定義できると期待されている。

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メリカ国立標準技術研究所のワット天秤 image credit:wikipedia/commons

 プランク定数とは、量子論を理解するにあたって中心的な役割を果たす物理定数である。

 要するに、ワット天秤は質量を決めるために、重量を測るのではなく、2枚の板の間の電磁力を測ることで決める。それも真空の中でだ。

 つまりは電力によって物体の質量を計測する。それにはいろいろややこしい計算式があるのだが、物理はちんぷんかんぷんだという人なら、それでキログラムを原器なしで再定義できることだけ覚えておけばいいだろう。

 なお、これが新しい定義として採用されるには、今月13~16日に開かれる国際度量衡総会で承認される必要がある。130年ぶりに歴史が塗り変わるだろうか。今、キログラムに注目だ。

References:RIP the Kilogram, Which Will Never Be the Same Again | Inverse/ written by hiroching / edited by parumo

追記:(2018/11/10)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 71件

コメントを書く

  1. こんな記事を読まされたら、気になって気になって、寝られなくなっちまう !

    • +2
  2. そんなもん、4度で水1L用意すればええやんけ、と思った人は文系

    • +1
    1. ※4
      1リットルは1kgだから体重計で簡単に図れるしね!

      • +2
  3. あーそういうことね 完全に理解した(わかってない)

    • +20
  4. なんか基準が定められてるんだろうとは思ってたが、その基準がモノだったとは知らんかった…

    • +8
  5. >例えば、1日なら24時間、1時間は60分、1分は1秒といった具合だ。

    1分が1秒のわけないだろ

    • +13
  6. >国際キログラム原器は40年に1度計測され、きちんと1キログラムであることが確認される

    これはどうやって確認してるのかわからないけど
    基準を計測するとか頭の良い人がいるんだな

    • +5
  7. キログラム原器が変わると、メートルグラム法も若干誤差出てくるんじゃない?
    メートル原器って確か、キログラム原器が正確性の裏付けだったような。

    • 評価
    1. ※10
      今のメートルは秒と光速で定義してるから問題ない
      メートル原器はもう引退して文化遺産的な扱いになってる

      • +8
    2. ※10
      もちろんメートル原器はもう使われていないよ

      • +6
    3. ※10
      ttps://www.nmij.jp/library/units/length/
      既に物質量基準に変わってる。

      • +6
  8. 原器ってもう使われてないのかと思ってた。
    他の単位は物理量基準になってるのに、kgだけはなってなかったのか

    • +3
  9. 「計測学においては、そうした自明の現象はアーチファクトと呼ばれている。」
                  ↓
    「計測学においては、そうした自明の現象(以外)はアーチファクトと呼ばれている。」
                 じゃね?

    • +1
    1. ※13
      マックスさんのツイートでもアーティファクトじゃなくて普遍的な性質から秒を定義し直したって言ってるし、ちょっと意味取り違えてるっぽいよね

      Finally, in the 1960s, technology advanced enough to redefine the second not from an artifact (like the Earth) but from a fundamental property of the universe.

      • +2
  10. キログラム原器がきちんと1キログラムあることを測るのは一体どうやってたんや

    • +2
    1. >>14
      重要なのはみんなが同じ重さ・単位を共有することだよ。
      キログラム原器の重さが1kgの定義で、これが必ずしも今まで1kgとされてた重さと完全に一致する必要はない。

      • +5
  11. 地上の物質には重力と自転方向の力と遠心力がかかっているのに静止質量とか、よく求められると思う。

    • -2
  12. 重さは身近にあるだけあって自然環境の影響を受けやすい、精密測定だと気圧や気温、湿度はもちろん月との位置関係や太陽との距離、一昨日の天候や測定場所の地盤まで、測定方法を発明しても既存値の否定となると検証に数十年とかかるので、さらに先の長い話になる

    • +1
  13. 物に頼ると、錆びたり削れたりしても狂うからな。
    表面に汚れが付いて重くなったり、錆びて重くなったり、一部が欠けて軽くなったりする。木材みたいに水分吸って重くなるものさえあるだろう。

    もちろんそういうのが起こりにくい素材を厳選してキログラム原器を作ったんだろうが、取り扱いには細心の注意が必要なのは変わらないし、常に誤差が生じるのも避けられない。とかそういう苦労話かなと想像。

    • +5
  14. 話が難しすぎる
    文章に猫が足りないからなのよ

    • +3
  15. >国際キログラム原器は40年に1度計測され、きちんと1キログラムであることが確認される。

    これは分かりにくい
    世界に40ある国際キログラム原器の複製とキログラム原器を比較するんですね
    1992年の校正で原器のほうが約50マイクログラム軽くなっていたそうだ
    質量の測定は双方の比較なので、国際キログラム原器が軽くなったのか、世界各国の複製が重くなったのか判断できないそうだ

    前にアボガドロ定数を使った定義を検討していたけどそっちはやめたのか

    • +6
  16. どんな基準でもいい、自分が48キロになりさえすれば。
    手段はえらばん!

    • +1
  17. とりあえずアメリカはマイル表記やめてkm表記にしろ
    マイル表記ほど不便なものもない

    • +11
    1. ※28
      生活で慣れれば違和感がなくそれが通常になってしまう。

      逆に30年近く普段の生活で触れてないメトリック方式だとホント計算しなきゃ理解できなくなる。

      でも十進法のほうが何かと都合が良いのは同意。

      • 評価
  18. これに関わってる日本の研究者が9月の「サラメシ」にでてた。

    • +1
  19. シリコン球で原器作るみたいなのがあったと思ったけどさらにその先に行くのか

    • 評価
  20. ってか、そう基準を変えられても・・。
    結局ご都合主義かね。

    • -12
  21. 写真のキログラム原器、なんかへこんでない?

    • 評価
  22. みんなのコメントも相まって勉強になる記事だった
    物理の単位ってCGの世界でも結構つかわれてるから、その辺も改定後つくったものと以前のものでは誤差が出るようになるのかな?さすがに無いか(無いといいな)

    • 評価
  23. 地球上ならどこでも同じ1kgかと思ったら重力密度の差異によってその地点ごとに重力が微妙に異なるからキャリブレーションは必要だしな
    地球内部だって長い時間をかけて対流し密度は異なってくる

    • 評価
  24. ところで、1Kgは、赤道付近と南極付近では何グラム違うの?
    バネ計りでわかるのかなー?

    • 評価
    1. ※41
      最も重力が強くなるのは北極付近で、その重力加速度は9.83メートル毎秒毎秒になります。逆に最も重力が弱くなるのは、熱帯地域の最高峰であるペルーのワスカラン山頂(標高約6700メートル)で、重力加速度は9.76メートル毎秒毎秒を示します。
      この二か所なら7gくらい違うそうだ

      • +7
  25. 文系俺(1キロは1キロだろ……何の話してんだ……?)

    • +2
  26. メートルが確立してるなら水1リットルを1キロで定義出来ないの?
    水を純水とかにしてもダメなのかな?「これが原器です」みたいなオブジェがなきゃダメ?

    • 評価
    1. ※44
      調達のしやすさって点では今の原器より一般的だけど
      基準の体積が温度やら圧力やらで簡単に変動するし勝手に蒸発して軽くなるし
      それを防ぐための施設や入れ物も必要になるしで
      今の原器より管理大変になるゾ

      しかしこと相対性理論によれば長さや時間すら伸び縮みするからなぁ…普段自分たちが定数として扱ってるもの(光速とか)すら常時変動していると思うとわからんくなってくるな。どうあがいても変えられないプランク定数で定義できるならそれに越したことはない
      非常に良い記事だ

      • +1
      1. 米49
        削るどころか触れるだけで重さ変わるような原器なんですけど、そういうデマ書いてて楽しい?

        • -1
    2. ※44
      温度・気圧などで変動が大きすぎて精度出せないんじゃないかなぁ。
      水分子何個分と定義しても、正確な測定はできないしね。

      プランク定数のほうは記事にあるワット天秤で測定可能。

      • +1
    3. ※44
      そういうキログラム原器から派生した物差しを使わずにキログラムを定義したいということだと思いますよ。

      それにもし純水だとしても、大気中で扱う以上その水には絶対に何らかの気体が溶け込むので原器としては適さないんだと思います。(真空にすると水は液体でいることができないので体積で測ることもできないですしね)

      • +1
  27. そんな事より俺の抜け毛を止める方法を教えてくれ~~~~~~~~!!

    • 評価
  28. ヤードポンド法は柱に吊るされるのがお似合いだ!(SI単位系過激派)

    • 評価
  29. 重力が弱い地域ってのは女子が喜ぶスポット。飲まず食わずでそこまで行って、そこで測った体重を後生大事にしまい込むもの也。

    • 評価
  30. 改正になると全ての基準が見直されることになります。
    圧力及びガス密度、量り売りで使用される計量器等。

    • 評価
    1. ※51
      現在の測定可能な精度では(ほぼ)差が出ないように定数を決めるので、そんな日常レベルでの影響はない

      • +2
  31. 4つあるっていうけど、
    時間(秒)
    長さ(m)
    重さ(g)
    と、あとひとつは何?
    質量と重量を分けて2つってこと?

    • 評価
    1. ※52

      >秒は、キログラムやメートル”ほか”4つの単位と一緒に国際単位系(SI単位)を構成する。

      だから全部で4つじゃないよ
      ちなみに国際単位系のところのリンク(ウィキペディアだけど)で確認できる
      電流 (A)
      熱力学温度 (K)
      物質量 (mol)
      光度 (cd)

      • +1
  32. 日本に置いてあるキログラム原器が、一番重さの変動が少ない。
    とか言われてた様な。
    とある国のキログラム原器が非常に変動が激しく、原器の
    側面に大きな傷がついていたとか。
    原器は白金を主にした合金だから、少しかすめ取って
    売っちゃったかなんかしたんですかね。

    • -1
    1. ※53
      さすがにそれはないでしょ。
      今現在、プラチナって1グラム3400円だよ。
      少量削った程度では、大した金にならない。

      • 評価
  33. タイトル見て「何もしなくても痩せられる!?」と勘違いした

    • +1
  34. テロリストが爆破したりしたらちょっとだけ混乱を起こせるわけか

    • 評価
  35. ワット天秤のワット=電流・電圧、これを生み出しているコイルの状態いかんでそれが変化してしまうからある速度で動かすことによって誤差をなくすという事自体がもう困難なような気がするのだが・・
    m=e/c×c 光だって重力でひん曲がりますがな・・重さを普遍的に正確にって無理なんぢゃね?

    • 評価
  36. C12が1molあるときの質量を0.012kg(12g)で定義してたと思ってたけど、順序が逆でC12が12gになる原子の数をアボガドロ数として定義してたのね。良い復習になりました。

    • 評価
  37. そんな事より、今日は ポッキーの日だぞ。

    • 評価
  38. メートル法って、地球の円周をちょうど4万キロにしたのが元で、
    そこから1000cm2の水が1kgになったって聞いたな

    • 評価
  39. 毛根が死んでる俺には関係のない話だったわw

    • 評価
  40. 時期尚早だと思うなあ。
    質量と重力は同じではない。質量はわずかに重力に勝る。
    とはいえ、そこに明確な関連性があるのは確かで、リサ・ランドールとその仲間達はそこから重力と次元の相関性を指摘している。重力の一部は別の次元に「逃げている」と言う説で、その移動量はこの世界の重力子の量に左右される。地球の周りの重力量は宇宙のあらゆるところから届く重力波によって絶えず変化していて、つまり、これがキログラム原器の質量が安定しない最大の理由である可能性があるわけだ。
    それが正しいと仮定すれば、電磁力での計測は無意味だ。電磁力はエネルギーの一種であるから、結局重力波の影響を受けてしまうので正しい重力量を測ることはできず、キログラム原器のように微増減を繰り返すことになるだろう。
    しかし、重力と次元の相関性が理解できれば、物体の持つ「真の重力量の計算式」がわかるようになって、それこそこの宇宙不変のアーチファクトになる。

    • 評価
  41. 原子単位で数えればいいんじゃないかな。1kgよりももっと小さい量を基準にしたり。
    つまり、ナノテクを進歩させるのが急務。

    • 評価
  42. なぜ「グラム」ではなく「キログラム」を基準にするんだろう?
    基準の方をグラムにして、現在グラムである単位を「ミリグラム」にしたほうがいいのでは?

    • -1
  43. キログラムを再定義
    ttp://www.nikkei-science.com/201705_074.html

    多分これを読めばもっと詳しくわかる。

    • 評価

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