この画像を大きなサイズで見る海に浮かぶ巨大な氷山がひっくり返る瞬間をとらえた映像が話題を呼んでいる。
2026年7月25日、グリーンランド西岸の町イルリサット沖で、巨大な氷山が約1時間かけて崩れ続けたのち、横倒しにひっくり返った。
氷山は海中で溶けて重心が変わるとバランスを崩して転覆し、巨大な波を引き起こす。
幸いけが人はなかったが、地元では氷山による突然の津波を警告する看板が立てられるほど危険な現象なのだ。
1時間崩れ続けた巨大氷山がひっくり返る
2026年7月25日、グリーンランド西岸の町イルリサットの沖合で、海に浮かぶ巨大な氷山が崩壊をはじめた。
最初は一部の氷が割れて海に落ちるだけだった。
しかし氷が崩れ落ちるたびに氷山の形が変わり、それが引き金となって次々と連鎖的な崩落が起きた。
氷の壁が音を立てて海へなだれ込み、白い水しぶきをあげて波が広がる。
この画像を大きなサイズで見るおよそ1時間にわたる崩壊のすえ、残った氷山全体がゆっくりと横倒しに回転しはじめた。
これまで海面下に隠れていた面が大きくせり上がり、深い青色をした氷の底が姿を現したのだ。押しのけられた海水は大きな波となって周囲へ広がっていった。
町の住民がこの光景を撮影し、動画はSNSで一気に拡散された。
ライブ配信を行うアファーTV(AfarTV)も、現地に設置した4Kカメラで一部始終を記録していた。
ネットで出回っている短い映像は、この1時間に及んだ崩落の最後、氷山が回転する瞬間だけを切り取ったものである。
溶けて重心が変わることで起きる氷山の転覆
氷山は海に浮かんでいるが、水面から出ている部分は全体のごく一部にすぎない。大半は海の中に沈んでいる。
氷山は形と重さの釣り合いが取れた状態で浮いており、釣り合いが崩れないかぎり同じ姿勢を保ち続ける。
ところが氷山は海の中で溶け、波を受けて割れていく。溶け方や割れ方は場所によって違うため、氷山の重さの分布は少しずつ変わっていく。
やがて元の姿勢では浮いていられなくなると、安定する向きを求めて一気に回転する。
7月25日の崩落が1時間も続いたのは、氷が崩れるたびに釣り合いがさらに狂っていったからだ。
積み重なった崩落の末に、氷山は重心が移りきって横倒しになった。
この画像を大きなサイズで見る転覆が引き起こす津波の危険性
氷山が回転すると、高い位置にあった氷が海中へ落下し、沈んでいた巨大な氷が急浮上する。
この上下の入れ替わりによって、大量のエネルギーが海へと解き放たれる。
氷河学の研究において、氷山の転覆が生み出す波は津波と呼ばれている。
厚さ1kmに達するような巨大氷山が1個転覆した場合、数万トンの火薬に匹敵するエネルギーが数分間かけて放出されるという試算もある。
グリーンランドのフィヨルドでは、人の命や沿岸の建物を脅かすほどの高さの波になることがある。
イルリサット市では海岸に「極めて危険。浜辺を歩かないこと。死亡または重傷の恐れがある。
氷山による突然の津波の危険」と書かれた警告看板を設置し、注意を呼びかけている。
記録的な勢いで溶け続けるグリーンランドの氷
イルリサットの沖に浮かぶ氷山は、町の南に広がる世界遺産「イルリサット・アイスフィヨルド」から流れ出てきたものだ。
その奥にあるセルメク・クヤレク(Sermeq Kujalleq)は、1日に数十mという世界最速級のスピードで進む氷河である。
この画像を大きなサイズで見るここで分離した巨大な氷山は、外洋へ出る前の浅瀬で座礁し、そこで溶けながら、割れたり転覆したりする。
氷山が溶けて転覆すること自体は自然のサイクルだが、現在問題視されているのは、グリーンランドの氷が失われる速さだ。
NASAの衛星観測によると、グリーンランドの氷は2002年以降、毎年約2640億トンという規模で失われ続けており、これが世界の海面上昇につながっている。
2026年にスペインのバルセロナ大学の研究チームが発表した研究では、極端な融解によって生み出される水の量が、1990年以降でおよそ6倍に激増していることが示された。
氷河の融解は地球のあらゆる場所に様々な影響を与えている。
References: Unesco.org / Science.nasa.gov











