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米海軍がNASAのために撮影した不気味な水中物体。海に潜むその正体とは?

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(著)

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Image credit: U.S. Navy
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米海軍のダイバーが太平洋の海で、な巨大な円盤のような物体をとらえた。水中に沈んだ古代文明の遺物や地球外文明の乗り物が潜伏しているようにも見える。

 その正体は、NASAの有人月探査計画「アルテミス2」で使用された宇宙船オリオンの一部、底部を保護する耐熱シールドだ。

 このシールドは、海面に降り立った機体の底で、再突入時の猛烈な熱を耐え、4人の宇宙飛行士の命を守り抜いたのだ。

 前回の無人飛行では耐熱シールドの表面が剥がれ落ちる問題が発生したが、今回は、再突入の経路を調整することで、損傷を大幅に抑えることに成功した。

参考文献:

太平洋に潜む物体は宇宙船オリオンの耐熱シールド

 米海軍のダイバーたちが太平洋の海中で、ある奇妙な物体の姿をカメラに捉えた。

 その外見は、まるで古代に水没した遺跡、あるいは巨大な爬虫類のウロコ、地球外文明の水中基地のようにも見える。

 しかし、この写真に写っているのは、月探査計画「アルテミス2」で、4人の宇宙飛行士を救った宇宙船オリオンの底部を覆う耐熱シールドだ。

 宇宙船はパラシュートで海へ降りる「着水(スプラッシュダウン)」という方法で地球に帰還するため、回収されるまでは機体の下半分が海に浸かった状態になる。

 その水面下にある船体の底を、ダイバーが初期点検のために撮影したのがこの写真である。

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4人の宇宙飛行士が搭乗したNASAのオリオン宇宙船は、SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットの上部に搭載され、4月1日水曜日の午後6時35分(米国東部時間)にフロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターの発射台39Bから打ち上げられた。Image credit:ASA/Michael DeMocker

ウロコのような模様は耐熱シールドの耐熱タイル

 このウロコのような幾何学的な模様は、機体を熱から守るために、耐熱シールドドの表面に耐熱タイルを敷き詰めてあるからだ。

 実はNASAの専門家たちの間では、この耐熱シールドの安全性について激しい議論が交わされていた。

 2022年に行われた無人飛行「アルテミス1」では、地球への帰還時に深刻な問題が発生した。

 音速の約35倍という猛烈な速度で大気圏へ突入した際、機体前方の空気が激しく押しつぶされる「断熱圧縮(だんねつあっしゅく)」によって、周囲の空気は数千度もの高温ガスへと変化し、耐熱シールドを猛烈に加熱した。

 本来、耐熱シールドは表面が炭化して少しずつ溶け落ちることで熱を逃がす仕組みだが、前回は設計者の想定を超えて大きな破片が欠落してしまった。

 そのため、人間が乗り込むアルテミス2でも同様の破損が起きれば、乗組員の命に関わると危惧されていたのである。

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Image credit: U.S. Navy

軌道の調整により、耐熱シールドが宇宙飛行士を守り抜いた

 2026年4月10日、アルテミス2は無事に地球への帰還を果たした。

 NASAはこのミッションに際し、耐熱シールドの設計を根本から変えるのではなく、地球への戻り方である「再突入の経路」を工夫することで解決を図った。

 機体の底面に熱が集中しすぎないよう、大気圏に突入する角度やタイミングを緻密に調整したのである。

 着水直後、海面に浮かぶ機体の安全を確認するために海軍のダイバーが底部へ潜り、耐熱シールドの至近距離調査を行った。

 その結果、耐熱シールド表面の大きな欠落は劇的に減少しており、再突入の経路変更というNASAの試みが成功していたことが確認された。

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2026年4月11日、カリフォルニア沖の太平洋上で、NASAのオリオン宇宙船統合マネージャー代理のルイス・サウセド氏(左)が、NASAのフライトサージョンであるリチャード・シューリング氏、NASAの宇宙飛行士リード・ワイズマン氏、カナダ宇宙庁(CSA)の宇宙飛行士ジェレミー・ハンセン氏、NASAの宇宙飛行士クリスティーナ・コック氏、ビクター・グローバー氏とともに、USSジョン・P・マーサのウェルドックでオリオン宇宙船を点検 Image credit:NASA/Bill Ingalls

月面着陸に向けた着実な一歩

 回収された宇宙船オリオンの機体は、今月末までにフロリダ州のケネディ宇宙センターへ運ばれる予定だ。そ

 こでNASAのチームは、耐熱シールドのサンプルを抽出したり、内部をX線でスキャンしたりといった詳細な検査をさらに進める。

 今回の成功は、2027年に予定されているアルテミス3、そして2028年の人類の月面着陸ミッションに向けて、大きな自信を与える結果となった。

 宇宙飛行士たちが時速約3万7000kmという猛烈な速さで地球の大気圏に突入しても、現在の耐熱シールド技術で十分にその命を守りきれることが証明されたからだ。

References: Guess What This Creepy Underwater Thing Is That Was Photographed by US Navy Divers for NASA

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この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1. 無事に帰って来るまでが遠足…
    地球帰還を無事に終えるまでがミッション!

    • +12
  2. 半世紀以上前にできたことを今更テストしている不自然さ

    • -25
    1. 今の技術でもまだ改良が必要なら、やっぱり月面有人飛行なんか嘘だったんだって思っちゃうよね

      • -6
  3. はやく月面基地(ムーンベース)を作ってくれ
    そうすれば人工衛星も管理し易くなると思う(宇宙ステーションの修理とかも)

    • +1
    1. 見てる見てるw
      もう守護神的に祀り上げて良いと思う。
      海底に沈む耐熱の神

      • 評価
  4. >地球に帰還する際、音速の約35倍という猛烈な速度での摩擦熱によって・・・

    良くある誤解ですが “摩擦熱” ではありません。大気との “摩擦” による加熱ではなく、そのほとんどが “断熱圧縮” による熱です。
    ===
    宇宙船の再突入での「断熱圧縮」の説明
    宇宙から高速で大気に突っ込むと、機体の前にある空気が逃げる時間がなく、一気に押しつぶされる。
    1.この「押しつぶされた空気」が 断熱圧縮で数千℃に加熱される。
    2.その高温ガスが機体表面を加熱する。
    ここで重要なのは、機体そのものが空気とこすれて熱くなるのではなく、“圧縮されて高温になった空気”が機体を熱する。という点です。
    ===

    • +5
  5. 今はこの手のブツは「仕方ないよね」で、割とどっさり海に投げ捨てているんだけど。
    そんな感じで、散らかしてきた破片とかが、スペースデブリになった事を思えば、かたづけていかなきゃダメなんじゃないかなぁ。

    • +4
    1. サービスモジュールに取り付けられていた跡だね
      「3D-MAT NASA」で検索すると色々見つかるよ

      • 評価
  6. やめろー下手に刺激を与えたら封印された宇宙怪獣が目覚めるぞー!

    • 評価
  7. 突入時の内部の様子、みんなこれ撮影して良いのかなってくらいにガチビビりしてて(流石の宇宙飛行士も怖いのかな?)と思ったけど
    試作機の話があったならしゃーないわそりゃびびる…

    • 評価

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