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不運を呼び寄せてるのは脳の妨害によるもの。科学的メカニズムを知れば対処可能

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(著)

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Image by Istock gremlin
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 自分には運がない、ついていないと感じたことはないだろうか?やることなすこと裏目にでて、呪われているんじゃないかなんて思うことも。

 だが実はそれ、脳のせいかもしれない。

 メルボルン大学などの研究チームによると、不運の正体はストレスで脳が「ネガティブ・モード」に陥り、そこに時間制限のプレッシャーが加わることで、チャンスをあえて拒絶してしまう仕組みにあるという。

 脳が仕掛けるこの罠を知れば、不運の連鎖を断ち切り、自分の手で結果を制御することが可能になるかもしれない。

 この研究成果は『Communications Psychology』(2025年11月28日付)に掲載された。

参考文献:

ストレスとプレッシャーが正しい判断を狂わせる

 オーストラリアの名門、メルボルン大学のカルロ・ドロック博士らの研究チームは、ストレスとプレッシャー(時間的制約)が人間の判断にどう影響するかを調査した。

 実験では、まず参加者に厳しい監視下でのスピーチや暗算を課し、意図的に強いストレス状態を作り出した。

 このとき、体内ではストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が上昇し、脳は脅威に備える警戒モードに入る。

 この余裕がない脳の状態で、さらに「早く解かなければならない」というプレッシャーを与えながら難しいパズルを解かせたところ、参加者の回答精度は急激に低下した。

 特に制限時間が厳しくなるほど、本来なら避けられるはずの初歩的なミスが多発したのだ。

 私たちが日常生活で「ついていない」と感じる出来事の多くは、こうしたストレスで視野が狭まった脳が引き起こす機能不全の結果といえる。

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Image by unsplash Lucian Alexe

追い詰められた脳はチャンスを見逃してしまう

 なぜ脳は追いつめられるとミスを連発するのだろうか。

 研究チームが視線の動きを追跡するアイトラッキング技術で分析したところ、ストレスを感じている人は、正しい決断に必要なデータを見る時間が極端に短くなっていることがわかった。

 ドロック博士は、この状態を「悲観的なバイアス」と呼んでいる。

 ストレスと時間的な制約のダブルパンチを受けた脳は、可能性を探すのをやめ、リスクや問題点ばかりを過剰に気にするようになる。

 その結果、目の前に幸運なチャンスが転がっていても、そこに目がいかず、気が付いても「どうせダメだ」と無意識に拒絶してしまうのだ。

 不運の正体は、外部からやってくる災いではなく、余裕を失った自分自身の脳が情報を正しく処理できずに自ら仕掛けた「妨害」の結果なのである。

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Image by unsplash Christian Erfurt

脳があえて損をする方を選ぶ「認知の断絶」

 不運のメカニズムは、単なる判断ミスだけではない。

 2025年に発表された、ニューサウスウェールズ大学の別の研究では、さらに複雑な脳の働きが指摘された。

 彼らは、画面に表示される図形を選んでポイントを競うオンラインゲームを用いた実験を行った。

 最初はどちらが損をする図形か伏せられていたが、途中で画面に「この図形はポイントが減ります」と明確な答えが表示される。

 それにもかかわらず、全体の約10%の人々は、損をすると理解している図形をわざわざ選び続けたのだ。

 これは脳内で「正しい知識」と「実際の行動」をつなぐ回路がうまく機能しなくなる「認知の断絶」が起きていることを示している。

 この状態に陥ると、頭ではわかっていながらも、自ら不運な道へと突き進んでしまう。

 彼らは自分の行動が間違っていると自覚しているが、どうしても正しい行動へ修正できない。

 この認知の断絶は、客観的には自業自得に見える状況を「自分は運が悪い」という言葉で正当化させてしまう原因となる。

 知識を適切な行動に変換するリンクが脳内で途切れているため、何度も同じ失敗を繰り返してしまうのだ。

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Image by unsplash Hailey Kean

不運の連鎖を断ち切る方法

 イギリスの心理学者リチャード・ワイズマン氏は、かつて自称「不運な人」を観察し、彼らが足元に落ちている5ポンド札(約1,000円)にすら気づかないほど視野が狭くなっていることを証明した。

 今回のメルボルン大学の研究も、この発見を裏付けている。

 不運とは天から降ってくるものではなく、自分の脳が作り出した否定的な世界観と、そこから生じる「焦りによる誤った選択」の積み重ねによって形成されるのだ。

 この不運の連鎖を止める鍵は、自分自身の判断を過信せず、一歩引いて状況を見ることにある。

 研究者は、自分のミスを状況のせいにする「帰属バイアス」が、自己修正を妨げていると指摘する。

 焦っているときほど周囲の冷静なアドバイスを聞き入れ、脳が陥っている悲観的なパターンを意識的に書き換えよう。

 そうすることで、これまで運命だと思っていた不幸な流れは、自分の力で制御できる幸運へと変わっていくはずだ。

References: Acute stress impairs decision-making at varying levels of decision complexity / Causal inference and cognitive-behavioral integration deficits drive stable variation in human punishment sensitivity

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この記事へのコメント 17件

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  1. 将棋してるとこうなること多い

    • +8
  2. 「わかっちゃいるけどやめられない」 これも人の性じゃ

    • 評価
  3. 不運の連鎖と負の連鎖をごちゃまぜにしてる

    漢字変換ミス?

    • -5
  4. まだ慌てる時間じゃない って脳内のエースが言ってる

    • 評価
  5. 科学 「人はテンパっちゃう生き物です」
    ぼく 「なんたる不運」

    • +12
  6. 作業者個人というか…、
    これ、むしろ、上司にこそ必要な忠告ではないだろうか。

    無意味な罵倒で余計なストレスを掛けたり、
    思い付きで「やっぱこうして」と納期直前にどうでもいい仕様変更を指示したり、
    普通にしてれば問題なく処理をこなせる社員なのに
    わざとケアレス・ミスを誘発させようとしているとしか思えない無能上司もいる。
    それでいて「部下がミスばっかりする」と愚痴って、
    なおさら重箱の隅をつつくような叱責を増やし、さらにプレッシャーを加える。

    • +36
  7. 運が悪い時に起こる具体的な事象の何割かは自分自身が気分転換するだけで防止、解消できるってことだな
    これはコスパが良いしお得な理屈だ
    採用しよう

    キャプテンハーロックのセリフ
    「男は時々何をしてもまったく駄目だという時があるのだ。やればやるだけおかしくなるだけですることなすこと無駄な努…ふふ、いいか、そういう時男はな、酒でも飲んでひっくり返って寝てればいいんだ」
    これは理にかなった対処法なのだなぁ

    • +19
  8. しんどい時こそ、AIに相談というか、書き出すことで自己整理+ポジティブな励ましと客観的な意見もらえていい時代になったなって思う

    • +1
  9. >焦っているときほど周囲の冷静なアドバイスを聞き入れ、脳が陥っている悲観的なパターンを意識的に書き換えよう。

    冷静なアドバイスをくれる「周囲」がいないんですが…
    「つらい時には周囲を頼ろう」というアドバイスも同じく

    • +7
  10. 視野搾取や不幸の原因か
    鳥瞰して物事を考えるとか青空に思いを馳せるくらいの余裕が必要なのかもね

    • +8
  11. 認知の不全に運とか絡める必要ねーだろと思う

    • -2
  12. 広範に、チームプレイで事にあたる時、怒鳴ったり叱責するやつは無能ってより一般化していこう
    まぁ考えればわかる事なんだけど、それすらわからない故に、なんだろうね
    おめーのことだよ、昔のバイト先のヒス店長

    • 評価
  13. いいこと知れた!ありがとう

    ここにもまさに不運な人がこの説に否定的な書き込みをしているんじゃないかと内心ワクワクしながら見にきたが以外といなかった

    • -4
  14. 明確に“間違い”が設定されてる単純な実験ですらこれだから、ストレスフルで複雑な実生活はもう脳のキャパオーバーだよね。

    • +2
  15. これわかる。
    簡単な仕事を立て続けに失敗して上司にさんざん怒られてた時がある。
    時間をかけて何度も何度も何度も書類をチェックして、しっかり確認した後で提出したら、些細なミスが発覚して結局しこたま怒られた。
    あの時以上に自分をがっかりしたことはなかった。

    • +3
  16. 負の連鎖になっているように感じる状態でも進化の過程でそうなってるとしたらそこに意味があるんじゃないのかな?
    例えばストレスで正しい判断が出来なくなってる時にあんまりアクティブに動かないようにする為の仕組みとか?

    • -2

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