この画像を大きなサイズで見る沖縄に生息するリュウキュウクチキゴキブリは、ペア形成時に互いの翅を食べ合う行動を行う。
その後に形成されたつがいは、巣に侵入した他個体だけを攻撃し、パートナーには攻撃しないことが日本の研究で確認された
昆虫が特定の配偶相手を識別し、それ以外を排除する行動を実験で示したのは世界で初めてである。
この研究成果は『Royal Society Open Science』誌(2026年3月4日付)に掲載された。
参考文献:
翅を食べ合うことで「唯一のパートナー」を形成(兵庫県立人と自然の博物館)
https://www.hitohaku.jp/research/h-research/20260304news.html
Cockroaches that eat each other’s wings become exclusive partners
https://phys.org/news/2026-03-cockroaches-wings-exclusive-partners.html
翅を食べ合い絆を深める、クチキゴキブリのつがい行動
沖縄に生息するリュウキュウクチキゴキブリは、ペア形成時に互いの翅(はね)を食べ合うという特異な配偶行動をとる。
翅を食べ合ったオスとメスは、ペアボンドと呼ばれる強い結びつきを持つつがいになる。
兵庫県立人と自然の博物館、沖縄科学技術大学院大学とシドニー大学の研究チームは、ペアボンド形成後に、他の個体を巣に侵入させたところ、パートナーには攻撃せず、侵入者だけを攻撃する行動が確認された。
この画像を大きなサイズで見るリュウキュウクチキゴキブリのつがいの行動を観察
研究チームは、つがいを形成したリュウキュウクチキゴキブリの行動を調べるため、朽木の巣に見知らぬ成虫を侵入させる実験を行った。
リュウキュウクチキゴキブリは、森林の朽木の中で生活するクチキゴキブリの一種で、沖縄本島や奄美諸島の森林に生息する。
成虫の体長は約28〜35mmで、大きめのコオロギほどの大きさになる。腐った木を食べながら生活し、朽木の内部に巣を作る。
オスとメスは一緒に暮らし、協力して子育てを行う。
一般的な家に出るゴキブリとは異なり、森の分解者として重要な役割を持つ。
リュウキュウクチキゴキブリの配偶行動では、雌雄が互いの翅をかじり取って食べる「翅の食い合い」と呼ばれる行動が起きる。
オスとメスは交尾の前後に相手の翅を少しずつかじり取り、最終的に翅は短く欠けた状態になる。
翅を失うと飛ぶことはできなくなるが、朽木の内部で生活するため飛行の必要は少ない。
翅を失う変化は元に戻らないため、この行動はつがい関係への強い結びつきを生む可能性がある。
実験では、互いの翅を食べ合ったペアと、まだその行動を行っていないペアを比較した。侵入個体にはオスとメスの両方を用い、つがいの反応を観察した。
この画像を大きなサイズで見る翅を食べ合うと侵入者を攻撃、クチキゴキブリのつがい行動
観察の結果、翅の食い合いを終えたペアは、侵入してきた個体がオスでもメスでも攻撃した。体当たりや追い払いなどの行動によって侵入者を巣から排除しようとする様子が確認された。
一方で、同じペアのパートナーに対して攻撃が行われることはほとんどなかった。また、侵入個体と交尾する例や、パートナーを乗り換える行動も確認されなかった。
翅の食い合いをまだ行っていない段階では、侵入個体に対する攻撃はほとんど見られず、排他的な行動は確認されなかった。
この画像を大きなサイズで見る昆虫で初めて示された排他的なつがい関係
今回の研究は、リュウキュウクチキゴキブリが特定の配偶相手を識別し、つがい以外の個体を排除する行動を実験で明らかにした。
動物の研究では、特定の相手と長期間続く排他的な関係は主に鳥類や哺乳類などの脊椎動物で知られてきた。
昆虫でもペアで生活する種は知られていたが、配偶相手を識別して侵入者だけを排除する行動を実験で示した例はほとんどなかった。
研究チームは、互いの翅を食べる行動が相手の識別や協力関係の形成に関係している可能性があると考えている。
References: Hitohaku / Royalsocietypublishing / PHYS
















すご
ちょっとイイ話ですね
ゴキブリに愛を教えてもらいました
素敵ですね
ゴキブリに生まれ変わろう
オンブバッタとかは排他的つがい関係では
ないの?つながりっぱなしやん?
あれは、繫がりっぱなしでオスがガードしておかないと
他のオスと交尾してしまうからで、
逆に言えばメス側は排他的ではなく、チャンスがあればウェルカムなのでは?
「レベルE」に出てきそうな話で興味深い
朽木で生活するには羽根が邪魔だけど、自分では取り除けないから
相互に食べあうことで羽根を排除し、生活しやすくするための生存戦略ですかね?
自切ではなくて食べてもらうという点でもなんか面白い
実際、中程にある翅の食い合いスケッチを描いた研究者・大崎さんへのインタビュー記事でも、その説を挙げてあった。(ちなみに、朽木環境を再現した暗所では 写真を撮るにも光度が足りず難しいので、イラストに起こしたらしい。)
朽木の中では翅が邪魔なだけでなく、カビやダニの温床になりやすく、デメリットの方が大きい。
羽蟻など新しい巣穴に移動して不要になった後は翅を自切する昆虫もいるが、リュウキュウクチキゴキブリは重量級の体格だから、そういう自切のための切れ目がある構造の翅だと強度的に飛行に耐えられず、互いに食いちぎる方式に落ち着いたんじゃないかと推測していた。
近日上映!感動のラブストーリー 「君の翅翼が食べたい」
なんてロマンチックなGなんだ
スキマスイッチ「雫」のフレーズが頭をよぎった
説明を読んだ印象では「翅が残っているのが未交尾個体の証で、翅を失った個体は最早つがい選びの対象外」という性選択のサインなのかと思いきや、大崎さんの他の記事を読むと「最初から翅を除去した個体でも問題なく交尾まで進んだ」とあって、意外だった。
ちなみに、排他的一夫一婦制を貫く相手はそれなりに慎重に選んでいるらしく、出会ってまず触角を擦り合わせて、そこで気に入らない相手なら進展しないらしい。OKそうならグルーミングを始めて、翅の食い合いと交尾が同時並行で進むフェーズまで遷移すると 後は最終段階まで突っ切ることが多いんだそうな。
そうやって選んでいても最初の時点での翅の有無が問題にならないのなら、愛の儀式うんぬん「食いちぎる」ことに特別な意味があるのではなく、「つがいになって飛行不要の終の棲み処へ移る」と決めた以上、翅の除去自体は淡々と独身時代の不要物処分でしかないんじゃないだろうか…?
この記事じゃわからないけど侵入者の羽が短かった場合は排除するんだろうか?
短い羽のつがいが長い羽の個体を排除しているとも捉えられる
BDSMみたいやな・・・
なんだろう…この投稿にすごいG(重力)を感じる
浮気されるのはまだ食べ合ってないからなのか
「浮気」というか、食い合い前だと
決まりかけた流れの中でも一応まだ相手探しの婚活市場にいる段階で、
もう引き返せない「不可逆的な一対一ペアの形成」が成立するターニングポイントが
翅の食い合いという境い目なんじゃないかという印象を受けた。
(論文では、原因として、翅の損傷による化学物質の放出・触覚刺激・神経内分泌系の変化などの仮説を挙げている。)
翅の食い合い前だと、交尾だけはした後であっても、侵入者を積極的には攻撃しない。
翅の食い合い後だと、たとえ伴侶より身体能力が優位な異性であろうが
乗り換えたりせず、一貫して侵入者を激しく排除する。
リュウキュウクチキゴキブリは、虫にしては珍しく手厚い育児をするタイプだから、翅を放棄して定住の朽木に縄張りを定め 繁殖活動に入ったら、何があってもペアが一丸となって巣を守る方が生存に有利なのだろう。後から現れた魅力的な異性は、家の和を乱すだけの存在。