この画像を大きなサイズで見る通貨とは経済システムの根幹をなすものである。日本であれば「円」がそれにあたり、日本銀行券すなわち紙幣と、補助貨幣である硬貨が流通している。
キャッシュレス化の影響で、その数は減ってきているといわれているが、それでも物理的に流通している紙幣は、現在国内で187億枚とも言われている。
お札となれば、その辺の紙に印刷すればいいわけじゃない。
人と人の手の間を行き来し、何度も折りたたまれたり丸められたりするわけだから、まずは丈夫さが求められるし、偽造しにくい紙じゃなければ困る。
日本では紙幣を印刷する紙として、ジンチョウゲ科のミツマタの樹皮から作られる和紙を採用してきた。
だが現在、この原料に異変が起きている。なんとその9割が、海外からの輸入品。そしてその大半が、ネパール産のミツマタなんだそうだ。
ネパール産のミツマタを紙幣の原料に
ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)はジンチョウゲ科の落葉低木で、ヒマラヤから中国南西部が原産地とされている。
名前の由来は、枝が三つに分かれる特徴があることから。ジンチョウゲの仲間だけあって、花は甘く芳しい香りを放つ。
だが新紙幣の発行にともない、原料であるミツマタの不足が深刻な問題になった。そこで白羽の矢が立ったのが、原産地であるネパールに生えている近縁種だ。
現地では「アルゲリ」と呼ばれており、学名はEdgeworthia chrysantha。日本のミツマタと同じミツマタ属に属しており、樹皮の繊維を漉いて作った紙が、ネパール国内で長く用いられてきた。
このネパールのミツマタに目をつけた日本企業の「かんぽう」が、1990年代に日本への輸出を視野に入れた生産を開始したのだ。
この画像を大きなサイズで見るもちろん、最初からうまく行ったわけではない。当初は生産されたミツマタ繊維のうち、実際に使えるのは20%程度しかなかったという。
だが加工技術の支援を行い、厳しい生産管理を続けた結果、現在ではなんと99%が「Aクラス」と判定されるまでに高品質なものになっているそうだ。
この画像を大きなサイズで見るミツマタが貧しいヒマラヤの村を豊かに変える
生産を行っているのは、標高2,000m級のヒマラヤの村々。都市部から離れているだけでなく、厳しい地形と気候が災いし、目立った産業もなくインフラも整っていない、発展から取り残されている地域である。
車が通れる道路すらなく、村人たちは現金収入を得るために、インドや中東の国々へ出稼ぎに行くことを余儀なくされていた。
だがその斜面と寒冷な気候こそが、ミツマタの生育にはぴったりだった。事業が軌道に乗った現在、村々には多くの雇用が生まれ、出稼ぎで家族がバラバラになることもなくなった。
現金収入も飛躍的に増え、繊維を運ぶための車両が通れる道路も、政府からの資金援助を受けて建設が始まっているとのこと。
だが、日本でもキャッシュレス化が進んでおり、紙の紙幣の需要がいつまで続くかわからない。完全になくなることはないにしても、需要は減少傾向にある。
この画像を大きなサイズで見る2015年のネパール大地震では生産が一時止まり、日本への供給にも影響が出た。これを機に、日本ではネパール産に頼りきる体制を見直す動きが進んでいる。
一方でネパール側も、将来的な需要変動を見据えて、紙幣原料だけに依存しない収入源づくりを始めている。そこで候補として浮上しているのがワサビで、さらにキーウィフルーツのような果物の栽培にも乗り出そうとしているという。
この画像を大きなサイズで見る手漉紙の長い歴史を持つネパール
実はネパールには、同じジンチョウゲ科の「ロクタ」と呼ばれる植物を使った、手漉紙の長い伝統がある。
現地では「ロクタ紙(ロクタ・ペーパー)」と呼ばれており、お土産なんかにもよく利用されている。
日本でもエスニックグッズを扱うお店に行くと、カラフルなブッダが印刷されたカレンダーやレターセットなんかを見かけることがあるかもしれない。
このロクタ紙、なんと1,000年は持つと言われるほど丈夫な紙で、日本の和紙のような手漉きの風合いが魅力的だ。
ロクタ紙の歴史は700年とも1,000年を超えるとも言われていて、公文書や宗教的な文書などに長く用いられてきたという。
和紙よりもちょっと分厚くてゴワゴワした手触りが、ロクタ紙の持ち味だ。以前はかなり素朴な紙だったけれど、最近は薄手のものも作られるようになっていて、カラフルできれいめなデザインの紙も増えてきた。
ラッピングペーパーやランプシェイドといった雑貨も人気で、現在ではこのロクタ紙もネパールの特産品の一つになっている。
最近は日本でも取り扱うところが増えてきているので、見かけたらぜひ一度手に触れて、その風合いを感じてみてほしい。
神社のおみくじもネパール産?
なお、かんぽうではネパール産のミツマタを使った名刺や、和紙グッズを制作・販売しているそうだ。
さらに大阪の住吉大社のおみくじも、このミツマタを使った和紙で作られていて、ネパールで一枚一枚、手刷りで印刷されているんだとか。
意外と知らないところで、ネパール産の和紙は使われているらしい。興味のある人はぜひこちらの映像も見てみよう。
追記(2025/12/09):本文中のわかりづらかった表現を訂正して再送します。
References: Japanese Yen, Made in Nepal
















日本語がおかしい
また、2015年に起きた大地震で、一時的にせよ生産がストップする事態が起きたことから、日本ではネパール産に頼る現状への見直しが進めらている。
そこで今、現地で次の世代の特産品として注目しているのが、なんとワサビなんだとか。その他キーウィフルーツのような果物の栽培も視野に入れているという。
三又、楮が和紙の材料というね
近所に三又が植えてあり春の遅いころに咲いてるけど…
めちゃ臭い(いやそれほど広くは臭わないけどね)
枝は名前の通り、三つに別れて伸びていく不思議な姿だ
またかみの話してる、、AA略。
昔見たときは三割だったのに順調に伸ばしてるなぁ(良いことか悪いことかわからないけど)
少なくとも現地の方々の福音にはなっていると信じたいです。 何かを始めるにもまずはキャッシュとくると日本向けであっても紙の材料を生産してキャッシュを得ているので、ステップアップの準備は整いつつあると思います。 もし、旧来の生活を望むなら的外れですけど。
反対にもっと日本で生産というのも記事中の地震の話と危機管理から必要そうに思います。 しかし、お札って虫等に食われなければ 1000 年以上ももちそうなのね
特定の外国に依存しすぎてる産業は日本にとって損失しかもたらさないってのが中国の一件でもう十分明らかになったよね。
タダで技術を外国にあげ続けた結果、日本になにも残らなくて円安になり高い負担で外国製品を買う羽目になってる。
もういいよこういうの。
外国との安売り競争で国内産業が衰退した、という話じゃなくて、そもそももう国内ではほとんど取れないから外国から輸入しているだけでしょ。
農産物や水産物なんて、いくらでも例があるし、最初から国産だけで足りているもののほうが少ないと思います。
技術(知識)は物と違って、いくら与えても手元から無くなる性質のものではないのだから、
今の日本に何も残っていないと感じるのだとすれば、それは外国にタダで技術をあげ続けたせいではなく、
国内産業を振興することに失敗した・怠ったからに他ならない。
紙の産地で紙幣の真贋がわかるということか?
確か日本の場合は、ミツマタを使った和紙を勝手に作ると罰せられた様な気がする。
贋札を見分けるペンやライトなんかも、本来はお札に含まれていない物質に
反応する物なんだし。
紙は貴重な素材