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墓掘り人の技術を競う、世界墓掘りコンテストがハンガリーで今年も開催

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(著) (編集)

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 2025年9月6日、ハンガリーのセクサールドにあるアルソヴァーロシ墓地で、世にも珍しいコンテストが開催された。その名も「墓掘りコンテスト」。

 この大会は、ハンガリーの墓地管理協会が主催し、2016年に開催されて以来、コロナで中断された2年間を除いて毎年開催されており、今年で8回目を迎える。

 その目的は、墓掘り人たちの高度な技術を世間に知ってもらい、墓堀り人に付きまとう暗く不吉なイメージを払拭し、その技術を次代へ引き継いでいくためだ。

 ハンガリーのみならず、土葬文化が残る他の国からも参加者が集い、最も速く、規定通りの墓を掘り、埋め戻したチームが優勝となる。

「墓掘り人」の技術を競うコンテスト

 墓掘りコンテストのルールは、2時間以内に地面を掘り、規定通りの墓穴を完成させる。さらにその後15分以内で正確に埋め戻すというもの。

 最も速く、規定通りのサイズに墓を掘り、元通りに埋めたチームが優勝となる。

 墓穴のサイズは長さ2m、幅80cm、深さ1.6m。掘り出す土はなんと約2.5tにも達するという。

 2人1組で必死に作業してやっと間に合うかどうかという、スピードはもちろん、正確さや細部へのこだわりも厳正に審査される。実にハードな作業なのだ。

 この日の大会には、ハンガリー国内はもちろん、チェコやセルビア、ロシアなどからのチームもエントリー。合計21チームによる熱い競技が繰り広げられた。

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優勝はハンガリーのチーム

 その結果、ハンガリー代表として出場した「パラクレートス社」の墓堀り人、キス・ラースローさんとナジ・ローベルトさんのチームが、わずか1時間半強という素晴らしいタイムで、2年連続3度目の優勝を果たした。

 ナジさんは優勝インタビューで、この快挙について、次のように語っている。

私たちは特別な準備はしていませんでした。日々の仕事で身につけたルーティンのおかげで優勝できたのです。

今年は去年や一昨年よりも土が硬かったですね。でも全体として悪くない結果で終われたと考えています

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不吉なイメージを払拭し、プロの職人としての尊厳を得るために

 このコンテストを主催しているのは、ハンガリー墓地管理運営者協会(MTFE)でで、今回の大会は、そのメンバーであるパンテオン・ケジェレティ・ゾルガルタト社が運営を担当した。

 同社の代表取締役オルソリア・ニャカス・バルナ氏は、それぞれのチームが最高のコンディションで技を披露できるよう、数週間前から準備を進めてきたことを強調した。

 また、MTFE会長のヴァルガ・ヨージェフ氏は、この大会の目的について以下のように説明する。

彼らは毎日この仕事をしています。墓穴を掘るのは相当な体力が必要です。それを続けているのはすごいことなんです。

私たちは、彼らを表舞台に出して、彼らが日常の職場から少し離れて、自分たちの腕前を堂々と競える場を作りました。

初期には多くの批判も寄せられましたが、時間が経つにつれて社会的に受け入れられるようになりました。

人の死と葬送という、人間の根源的な営みに直結する職業の重要性が、徐々に理解されて来たのです。

弔いは文化の一部であり、人間の人生にもともと含まれているものです。

墓掘りに従事する人々、そして葬儀の現場で働く人々は、プロとしてきちんと敬意を払われるべきなのです

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 海外では、墓掘り人というのは、どうしても陰鬱で不吉なイメージが付きまとう仕事であり、社会からの偏見も根強いものがある。

 このネガティブなイメージを変え、誤解を解消し、墓掘り人たちがプロフェッショナルとして、敬意をもって接してもらえるようにすること。

 そして彼ら本人がプロ意識を持ち、誇りをもって技術を継承していけるようにすること。それが、このコンテストを開催するそもそもの目的だったのだ。

Nem mindennapi megmérettetés – Országos sírásó versenyt rendeztek Szekszárdon_2025.09.08.

中欧諸国で墓掘りコンテストが開催される理由

 実は中欧諸国では、いろいろなところでこの「墓掘り大会」が開催されているという。

 スロバキアでは2012年から、国際葬祭・火葬サービス見本市のイベントとして開催がスタートした。

 2024年にはポーランドでも、ネクロエキスポ(葬祭見本市)でタイムトライアルとして開催されたほか、ロシアでも火葬場が主催する競技として行われているらしい。

 この競技の「4強」はハンガリー、スロバキア、チェコ、ポーランドで、これらの国々のチームはルールを共有し、お互いの大会に出場し合っている。

 今のところ、墓掘りコンテストが世界の他の場所でも開催されているという情報は見当たらないようだ。

 その理由としては、他の地域では人手ではなく重機による墓掘りが一般的になってきていること、火葬の割合が増えていることも挙げられるだろう。

 ・文化的な理由で、墓掘りが今も手掘りで行われているこれらの地域では、「職人芸」としての墓掘りの実用性と必要性が、今も息づいているのである。

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 最初に墓掘りコンテストと聞いたとき、よくある話題集めの珍イベントかと思った人もいたんじゃないかと思う。

 だがハンガリーをはじめとした中欧諸国では、墓掘りコンテストはこの職業の社会的地位の向上や、文化的意義の再評価、地域社会との連携強化など、多面的な効果をもたらしている。

 今後もこの取り組みは、墓掘り人というプロフェッショナルな熟練労働者の、社会的な地位と認識を変えていくモデルケースとして注目され続けるだろう。 

 今回優勝したハンガリーチームのキスさんは、最後に次のように語っている。

私たちにとっていちばん大事なのは、墓堀人という仕事がきちんと認められることです。

村や町という単位だけでなく、国全体で多くの人たちがこの仕事を理解し、評価してくれたら嬉しいです。

私たち墓堀人なしでは、いつか人生の終わりにやって来る一連の過程は成り立たないのですから

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この記事へのコメント 16件

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  1. >今年も開催
    8回目…いや埋葬は必要な技術とは思うよ、うん

    • +4
  2. こういう人たちって別に不吉というよりも金貨や埋蔵金の袋を埋めているヒーハー!なイメージだなぁ 映画とかだと

    • 評価
  3. 日本だと火葬技術コンテスト???
    レアからウェルダンまで調整できるかとか…

    • +4
    1. 日本の火葬は、灰粉でなく、骨格標本よろしくキレイに骸骨を残すことが求められるから、
      体重や体脂肪率、水分量、ドライアイスで冷やされていた度合いなど
      諸々の条件を見ながら 火加減や時間を微調整するノウハウが必要なんだそうだ。

      • +15
    2. マジレスすると、火葬の技術は大事。焼け残りがあったらダメだし逆に骨(特に喉仏)が残るようにしないといけないから常に焼け具合を確認している。
      余談が、鳥葬にも監視員がいて鳥が食べやすいようにいろいろいじって調整してくれてる。

      • +15
    3. インドだと薪(3000円)も買えなかったりするので、燃やすほうも必死
      また金銀出た時は燃やす人のものになるけど、めったに出ないそうだ

      • +2
  4. 墓掘り大会の趣旨と違ってしまうのは承知で
    せっかく掘り返して埋めるなら
    大会の合間に大根とかイモとか何か植えてみたい

    • +4
  5. 日本にもコンテストあるよ。
    こっちは水道管工事の人とかが競うらしいけど。

    • +9
    1. 自衛隊チームがかなりの強者で土建チームと熾烈な戦いを繰り広げてるそうな。

      • +1
  6. God of War で墓堀人に化けたゼウスが穴を掘っていてゲーム終盤に主人公が地獄から脱出するときの出口になっているけれども欧米のプレイヤーにとっては面白みも違うんだろうか

    • +1
  7. 自分はカトリック信徒だけど、外国人は死に対する感覚が日本人とは異なり、かなりライトなんだよね。外国人信徒が増えたので葬儀や追悼ミサが増えたけど、みんなでハグしたり楽しい会話したりと世界が違うんだよね。

    日本だと葬祭業者主催の葬儀体験や棺桶に入る体験とかあるけど、基本的に死んだら火葬だし、墓はお骨を入れるスペースがあるタイプがほとんどだけど、墓石に名前を入れる作業やその他職人の仕事があるし、そういう仕事があるから遺族は安心して任せられるのかもね。最近は墓を持たずに手元供養等選択肢は広がってるけど、見送りの仕事は大事だね。

    • +1

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