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第六感は腸にあった 腸内の神経細胞が食欲を制御するしくみを解明

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(著) (編集)

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image credit:unsplash
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 腸にいる微生物たちが、私たちの行動や感覚に影響を与えていることはこれまでの数々の研究で明らかとなっている、だが、他にも秘密が隠されていたようだ。

 アメリカ・デューク大学の研究によると、腸内の神経細胞が細菌の放出するタンパク質を感知し、脳に「満腹」の信号を送っていることが明らかになったのだ。

 つまりお腹の中の腸内細菌たちが、私たちに内緒で「もうお腹いっぱい」と脳に囁いているのだという。

 この感覚は「神経微生物覚(neurobiotic sense)」と呼ばれており、いわゆる第六感の一種として注目されている。

 研究はマウスで行われたが、将来的には肥満や精神疾患の理解にもつながるかもしれないという。

この研究は『Nature』誌(2025年7月25日付)に掲載された。

腸内細菌と脳が会話、お腹いっぱいのサイン

 私たちの腸の中には、約100兆個もの微生物が生息している。

 細菌やウイルス、真菌などが集まってできたこの環境は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と呼ばれ、免疫や消化、そして心の健康にまで関わっていることが、近年の研究でわかってきた。

 そんな腸内の細菌たちは、「鞭毛(べんもう)」と呼ばれる器官で腸内を移動している。

 その鞭毛を構成するタンパク質のひとつが「フラジェリン(flagellin)」だ。細菌が動くたびに、このフラジェリンが腸内に放出される。

 今回の研究では、私たちの腸がこのフラジェリンを“感じ取って”いることが明らかになった。

 腸の中には、「ニューロポッド」と呼ばれる神経細胞のような細胞が存在している。そこには「TLR5(トール様受容体5)」という受容体があり、なんとこのTLR5がフラジェリンを感知することができるのだ。

 そしてこの感知の先にあるのが、「迷走神経」。これは腸と脳をつなぐ主要な神経で、ここを通じて腸から脳へとシグナルが送られていく。

 つまり、腸内でフラジェリンが検出されると、「もうお腹いっぱいだよ」というサインが脳に届く、そんな神経のやりとりが行われているというのだ。

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Photo by:iStock

腸内細菌が「食べすぎ」を止めていた?

 では微生物たちは一体どんな話を脳としているのか? 研究チームはそれを確かめるために、マウスを使って実験を行った。

 その実験では、まずマウスに一晩エサを与えず、お腹を空かせておく。翌日、そんな腹ペコのマウスの腸にフラジェリンを投与する。

 すると奇妙なことに、お腹を空かせているはずのマウスが、思ったほどエサを食べなくなるのだ。

 それとは対照的に、TLR5を持たないマウスに同じことをすると、お腹いっぱいエサを食べ、急激に体重が増えたという。

 この結果は、腸から脳へのシグナルが「満腹感」に関するもので、私たちが食べ過ぎを防ぐための重要な感覚である可能性を示している。

 研究チームは、これを「神経微生物覚(neurobiotic sense)」と呼び、新たな“第六感”候補として注目している。

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Photo by:iStock

食事や生活習慣は私たちの行動をどう変えるのか?

 この研究では、お腹の中に腸内細菌の出すタンパク質を感知する仕組みがあり、これを通じて、満腹感や食欲が左右されている可能性が明らかにされた。

 100兆もの微生物で構成された小さな宇宙のような腸内細菌叢は、食事・ライフスタイル・環境によって大きく変化する。

 腸内細菌が私たちの行動を左右するのなら、腸内細菌を左右する食事やライフスタイルもまた、私たちの行動に影響を与えていると言えるかもしれない。

 研究チームの今後の課題は、どんな食事が腸内細菌叢をどう左右するのか調べることであるそうだ。

 「この研究は、微生物が私たちの行動にどう影響しているのかを解き明かすカギになるかもしれません。肥満や精神疾患を理解する上でも、大きなヒントとなるでしょう」と、研究を率いたデューク大学のディエゴ・ボルケス氏は語っている。

 もちろん、今回の発見はマウスを使った研究に基づくもので、人間でも同じような働きがあるかどうかは、これからの研究が待たれるところだ。

 今後は、どんな食事や生活習慣が腸内細菌叢に影響し、それがこの“第六感”にどう関係してくるのか、詳しく調べられていくという

References: Nature / Popularmechanics

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この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1. なるほど、俺には腸内細菌も第六感もないことがわかった

    • +12
  2. 最近暑すぎて35度超えるとその日の記憶がなくなり、37度超えると食欲がなくなる…、なお33度で食欲と体重は戻る

    • +1
  3. 嘘だな

    タンパク質や脂肪が多い食事(肉、揚げ物など)が胃から腸に移動するだけで約3~4時間以上かかる
    それから満腹になってどうするよwww

    • 評価
    1. 血糖値なんかは食事中から上昇するくらいだから
      食べたものの一部はかなり短時間で腸まで行ってるのでは
      腸内細菌はそれを敏感に察知して
      フラジェリンの放出量が増えてるのかもしれない

      • +5
    2. 最近、こういうストーリーが面白くてしっかりしている風な論文(嘘か本当かは問わない)が本当に多いですね。Natureも金欠だから面白ければなんでもアリな風潮なんでしょうね。

      • -3
    3. 味覚も絶対満腹感に関わってると思う

      俺の仮説だが、食べ物が入ってくると
      飢餓用に貯蔵していた栄養を先行して血中に放出しているのだと思う
      (小麦、半熟卵は明らか吸収では説明できないほど満腹感が早く来る。高エネルギーだと体が学習していて安心して貯蔵分を手放しているのかと)
      これなら吸収を待っているよりパフォーマンスもすぐ取り戻せて生存に有利

      • 評価
    4. 水だって大腸で吸収されるはずだけど、大腸に届く前に満足してしまうじゃん。

      • +6
    5. 満腹感を感じるのは主に血糖値の上昇によるものみたいだよ
      食べすぎを防ぐならゆっくりとした食事をすることだね
      人間の食べ物は、食べやすくできているから難しいんだけど

      • 評価
  4. >フラジェリンに対して免疫反応が起きやすい理由として、2つの事実が挙げられている。1つはフラジェリンが有鞭毛細菌には極めて多量に含まれていることであり、もう1つは自然免疫に関与するToll様受容体の1種(TLR5)がフラジェリンを認識することである。

    有鞭毛細菌が活発に活動することが人体にとって良いことだとは言えなさそう

    • 評価
  5. 疲れもストレスもなく体調万全で大好物も嫌いなものも入ってない食事ならそうかもしれんが…
    スイカしか食べたくないよう

    • +1
  6. もっと大きい声で言ってくれないとわからない!!

    • -1
  7. フラジュリンが食欲抑制に効くといいね
    例えば(いわゆる)副作用で食欲増進させる薬に添加されればかなりの生活改善が期待できるし
    結果、健康寿命が伸び医療費軽減にも、ピンコロなら負担は減る

    しかし『第六感』はいただけない
    平衡感覚,上下感覚、など他にもたくさんのものがあるからだ

    • +3
  8. この研究進んだら、空腹感を消す薬とか出てきそうでコワ

    • 評価

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