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人間の体内からこれまで知られていないウイルスに似た微生物を発見、「オベリスク」と名付けられる

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(著)

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 人間の体内には様々な微生物が存在するが、その中から未知なる存在が発見された。研究者らは、このウイルスのような存在を「オベリスク」と命名している。

 謎めいたオベリスクは遺伝物質を持つ。だが検出可能な配列はなく、ほかの生物学的物質との構造的な類似性もない。

 スタンフォード大学の生物学者イワン・ジェルデフ氏らによれば、この発見は、ごく単純な遺伝子分子と、より複雑なウイルスとの間にある空白を埋めるヒントになると考えられるという。

人間の口や腸内から発見された3万種のオベリスク

 「オベリスク(Obelisks)」という名前は、それが古代エジプトの尖った塔のような構造をしていることに因んだもの。

 それはRNA(リボ核酸)を持つが、長さはわずか1000文字(つまり1000個のヌクレオチド)程度でしかない。

 どうやらこれまでオベリスクが見つからなかったのは、このRNAの短さが原因のひとつであるようだ。

 『bioRxiv』(2024年1月21日投稿)に投稿された未査読論文では、公表されている540万の遺伝子配列データセットを調べ、3万種類のオベリスクを見つけたと報告している。それは人間の微生物叢の約10%に存在していたという。

 あるデータセットでは、口から採取されたサンプルの50%でオベリスクが検出された。さらに腸内など様々な部位に、種類の違うオベリスクが存在するらしいことも明らかになっている。

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photo by iStock

オベリスクは体内の細菌に寄生している

 今回の研究では、人間の微生物叢(マイクロバイオータ)から、オベリスクを宿している細菌を取り出すことにも成功している。

 それは「ストレプトコッカス・サングイニス(Streptococcus sanguinis)」という口の中にいる常在菌で、その中に潜むオベリスクは、1137個のヌクレオチドでできた輪を持っていた。

 ほかのオベリスクがどのような相手に”寄生”しているのか不明だが、研究チームは、少なくともその一部は細菌の中にいると考えている。

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photo by Unsplash

オブリスクの共通点はあるタンパク質を作る設計図を持っていること

 それぞれのオベリスクの共通点としては、それらが新しいタイプのタンパク質(のちに「オブリン」と命名)を作るための設計図を持つらしいことが挙げられる。

 オベリスクの遺伝物質の半分以上は、この設計図によって占められている。

 このオブリン・タンパク質は、どの種類のオベリスクが作ろうとよく似ている。このことから、このタンパク質はオベリスクの複製プロセスに関係している可能性もあるという。

 また、このようなタンパク質の設計図を持つことから、オベリスクは「ウイロイド」というまた別のRNAループと区別することができる。

 それでいて、タンパク質の殻を作る遺伝子をもたないらしいことから、新型コロナのような「RNAウイルス」とも違うと考えられる。

 くわえて「プラスミド」(細菌などの中にある自己増殖性の”DNA”)に比べると、かなり大きい。

 現時点で、オベリスクを宿す細菌が受けている影響や、オベリスクが細胞から細胞へと拡散する手段もわかっていない。

 こうしたことから、オベリスクは本質的にウイルス性ではなく、「RNAプラスミド」に近い存在と考えられるそうだ。

References:Viroid-like colonists of human microbiomes | bioRxiv / ‘Obelisks’: Entirely New Class of Life Has Been Found in The Human Digestive System : ScienceAlert

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この記事へのコメント 19件

コメントを書く

  1. ミトコンドリアのように取り込んだ生物細胞の名残だろうか

    • +5
  2. これがオレの体内のオベリスクだ!
    ワハハハハハ!

    • +5
  3. オシリスとラーも見つけて名付けなきゃな

    • +5
  4. 微生物「強靭!無敵!最強!粉砕!玉砕!大喝采!」

    • +1
  5. このタンパクの機能とか、オベリスクの起源が気になりますね…そしてこれがヒトにどんな影響を及ぼしているのか

    • +4
  6. 細胞を持たないわけだから微生物ではないね。
    ウイルスより単純な構造となると
    多くの定義では生物ですらないことになるだろう。

    • 評価
  7. タンパク質を取らない生活してると胃腸にタンパク質を合成する細菌が常駐するようになったりするのはこれの仕業か?

    • +1
  8. 増殖の仕組みも自前で持たないウイルスでも増殖したいという目的があるけど
    このウイルスとも呼べない配列のカケラちゃんは生物のさらに手前のなにかで
    物質と生命の間なんだろうなぁ…
    こういうのってタンパク質にしかないのかな
    微細な磁力の繰り返しパターンから発生する電磁記録的な生き物とか妄想したけど。やっぱりこの星で生命たるには水とタンパク質からはじまるしかないのかな。

    • +1
    1. >>13
      過去には存在していなかったものが近年になって人類の進化の過程で新たに発現してしまった可能性もあるのでは?
      故に今まで発見されるはずもなかったとも解釈できる気がしました

      • 評価
      1. >>15
        新たに出現というのは考えにくいな、生物の歴史はこれまでにも何億年とあったのに
        それがつい最近になって発現したと考えるより単に見つからなかっただけor分類が追いつか
        なかっただけ、と考える方が現実的だと思う(細菌と古細菌とが分けられたのも比較的最近だし)大体古細菌は形態や名称こそ細菌と似ているだけで、細菌とは異なる系統の生物なので
        モノリス(ウイルスより単純な何か)もこのタイプに入るんじゃないのかな。
        それにただのタンパク質がいきなりウイルスや細菌(バクテリア)などに進化しましたって
        考えるより何か中間的な存在があるのは不思議じゃないよ、生物進化のミッシング・リンク
        的な存在が今回見つかったとも言えるでしょ。
        コンピューターだって初期の真空管計算機からいきなりパソコンに進化したわけじゃない
        のと同様だよ。

        • +2
    2. >>13
      水という何でもいろんな物質を溶かせる溶媒がある環境の星だとタンパク質ベースの
      炭素生命体しか出ないよ(労力が少ないほうが繁殖に有利だし)。
      「微細な磁力の繰り返しパターンから発生する電磁記録的な生き物」こんな生き物は
      普通の地球型惑星じゃなくてそれこそ強力な磁力圏を持つガス惑星とか超高温状態
      が状態化しているとか海王星型惑星の地表や大気中といったもっと異質な環境を
      持った惑星ででしか進化しないと思う(或いは中性子星の表面とか)。
      電磁気力を使って「自己の情報をコピーないしダビング」させるためにはそのコピー
      させるための媒体が必要なんだけれど、SFでよくある珪素生物だとこのコピー先には不向き
      なんだよね。常温常圧だとケイ素―ケイ素結合は「非常に不安定」なのとケイ素を中心に
      構成される化合物は炭素の化合物より種類が少ないので使える生命体に進化しそうな
      選択肢が少ない。炭素生命体で電磁気力使う生命体だとしてもわざわざ電磁気力
      なんていうエネルギーを沢山使う反応を利用するのか??って考えるともっと楽な方法を
      取ると思うよ。

      • 評価
  9. どうしても遊戯王のあいつを思い出してしまう

    • +3
  10. ウイロイドっていうのがあるけどそれともまた違うのかな?

    • 評価
    1. >>20
      脳は血液脳関門があるから、そうやすやすと異物を受け入れそうもない気がする

      • 評価

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