メインコンテンツにスキップ

地獄のオタマジャクシと恐れられていた、古代生物「クラッシギリヌス」の頭の復元に成功

記事の本文にスキップ

27件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 恐竜が登場する以前、3億3000万年前の石炭紀に、地球上には恐るべき捕食者が存在した。「地獄のオタマジャクシ」の異名を持つ「クラッシギリヌス(Crassigyrinus scoticus)」だ。

 これまで、巨大なオタマジャクシのような姿をしていると考えられており、学名も「厚みのあるオタマジャクシ」という意味がある。

 ところが最近の研究によると、どうやらオタマジャクシっぽくないらしい。

 残されていた化石の頭骨の断片をつなぎ合わせ、CTスキャンと3Dビジュアライゼーション技術を駆使し、クラッシギリヌスの頭蓋骨を初めて再現することに成功した。

 その結果、クラッシギリヌスはどちらかというと、現代のワニに近い姿だったようだ。

地獄のオタマジャクシと恐れられた「クラッシギリヌス」

 「クラッシギリヌス(Crassigyrinus scoticus)」は、石炭紀(3億5920万年~2億9900万年前)に生息していた堅頭類の仲間だ。

 原始的な肉食動物だが、これまで発掘された化石は状態がひどく悪いため、あまり詳しいことはわかっていない。

 足が4本ある「四肢動物」で、その当時の両生類グループである「炭竜目」と「分椎目」のちょうど中間のような姿をしている。

 じつはクラッシギリヌスは、水から陸に移動した最初の生物に関係していると考えられるのだ。

 それが生息していたのは、現在のスコットランドと北アメリカの一部にある湿地帯だ。だが、陸に上がってから再び水辺に戻ったのか、そもそも陸に上がる前だったのかはわからない。

この画像を大きなサイズで見る
3億3000万年前、スコットランドと北アメリカの湿地帯に生息していた恐るべきクラッシギリヌス/Image credit: Bob Nicholls 2018:

オタマジャクシというよりは、現代のワニに近い

 学名が示す通り、その姿はオタマジャシに似ているとされてきたが、もしかしたらそれは勘違いだったのかもしれない。

 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームが『Journal of Vertebrate Palaeontology』(2023年5月2日付)で発表した最新の研究によれば、手足が短く比較的平らな体は、むしろ現代のワニに似ているだろうというのだ。

 研究の主執筆者ローラ・ポーロ氏は、プレスリリースで説明する。

体長2~3メートルほどのクラッシギリヌスは、当時としてはかなり大きな動物でした。

水面下で待ち伏せして、強力な力で獲物に噛みつくという、おそらく現代のワニに似た行動をとっていたでしょう

 クラッシギリヌスはそうした環境に適応しており、濁った水の中を見通すための大きな目や、水中の振動を感知する感覚器「側線(水中生物が水中で水圧や水流、電場の変化を感じとるための器官)」があったことも判明している。

 一方、鼻の前方には隙間があり、これが何のためのものかはまだよくわかっていない。

 ポーロ氏の推測では、シーラカンスのような電気を感知する器官や、ヘビが化学物質を感じるための「ヤコブソン器官」のような、狩りに役立つまた別の感覚器があったのではないかという。

この画像を大きなサイズで見る
砕けた化石の破片から復元された頭部は、現代のワニに似ていた/Image credit: Porro et al

 これまで予想されていた復元図を見ればわかるように、クラッシギリヌスの頭は、かなり高さがあるもので、確かにオタマジャクシやウツボを思わせる。

この画像を大きなサイズで見る
クラッシギリヌスの旧復元図 / image credit:WIKI commons

 ところが今回、ポーロ氏らが化石をCTスキャンして集めたデータに基づき、3Dモデルを作ってみたところ、ウツボのような頭蓋骨はあり得ないことがわかったという。

 口蓋が広く、頭蓋骨の上部が狭い動物が、そのような頭蓋骨であるはずがなく、むしろ現代のワニのような形だったと考えられるそうだ。

 研究チームは現在、クラッシギリヌスにどのような動きができたのか、生体力学的シミュレーションを実施する予定であるとのことだ。

References:Scientists reveal face of 10-foot ‘killer tadpole’ that terrorized Earth long before the dinosaurs | Live Science / Crushed Scottish fossils reconstructed to reveal ancient predator’s skull / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 27件

コメントを書く

  1. 一番上の画像みたいな顔に生まれたら
    「え?怒ってる?」ってしょっちゅう
    聞かれて大変だろうなぁ、、、、

    • +6
  2. オタマジャクシの怪獣ヘドラ♪
    タンカ~ばっさり真っ二つ~♪

    • 評価
  3. 川にワニ型のオタマジャクシが泳いでいるのは見たくないな

    • +5
    1. >>4
      ドシドシとゴルフ場横断したりね

      いや見てみたいかも
      動画とかで

      • +5
    1. >>5
      AIにやらせるにしても復元に関して有力な学習データベースってあるのかな?
      既存生物の骨格をなるべく多く3D化し、学習させたDBとかだろうか…

      • +3
    2. >>5
      今は無理。
      ネットワークに腐る程転がってる素人の考えた勝手な絵とか集め出して雑なコラージュ作って終わる。

      学者が何十年〜百数十年かけて証拠を前に議論や検証を重ね尽くしたうえで、今の再現図が作られてるんだよ。その上で更新があるのは当たり前、学問はどんどん進むからね。だから今回のような変化も起きる。

      が、それは素人がちょっとこういう話題を知って描くのとは訳が違うんよ。一時期大流行りした全身羽毛で覆われたモフモフティラノなんかがその最たる例。皮膚の化石も発見されてて羽毛が生えてた痕跡すら見つかってないのは学者さんたち知ってるから、少なくともあんな羽毛の生え方した再現図なんか作ったりしない。

      「長年の研究」と「ちょっとネットの情報見知った」とでは情報として雲泥の差がある。

      • +7
    3. >>5
      こういう分野こそ(現状の)AIの苦手とするところなんだが。
      現状のAIは膨大な元データから傾向を見出すのが得意、というよりそうするようにつくられている。この研究でなされたような、限られた元データを基に、キーとなる情報を識別してそれを論理的に使って結論を組み上げていくのには向いていない。それは人間の出番となる。
      これが出来るようになるのが強いAI研究の目指すところであろうが、強いAIが出来ていないのは周知の事実であるし、この頃の生成AIの流行でむしろ実現が遠のいたのではないかと個人的には思えるところもある(大量の元データから情報を「フラットに」使って結果を組み上げる方式が流行している)。

      • +4
      1. >>22
        現存する膨大な生物のデータからその傾向を見出してじゃあこれはどう予想できる?
        ってAIにやらせてみる話なんだけど
        その結果から人間が改めて考えてみればいいと思う

        化石とかのごく一部が発見されたものではなく既に骨格は全てわかっているものの再現を想定

        • -3
        1. >>24
          色々な研究機関でそのためのデータ蓄積を頑張っている段階じゃない?
          確か日本でもどこかの大学がAIをつかってやろうとしていたはず
          まず学習させてやらないと何もできないのは、AIも人間と一緒なんです

          AIくんが何も学習させないで突然何でもやってくれるたらそれはシンギュラリティを突破している

          • +2
        2. >>24
          記事読んでないだろ
          コレバラバラな状態で岩石に埋まった状態の骨を透過した3D画像で組み合わせたって話だぞ

          • +2
  4. こういうのって現代の動物の骨だとちゃんと再現できるんだろうか?
    できるから運用されてるんだろうけどどれ程の完成度なのか見てみたい

    • +2
  5. その頃、襲われたわけでもなく何が地獄のだよ~~

    • -5
  6. また一つ 愉快な復元図が破壊された…

    • +5
  7. オタマジャク・・・えええええええ?(@Д@;)

    • 評価
  8. 地獄のおたまじゃくしを召喚できる自分が通りますよっと

    • 評価
  9. 地獄のオタマジャクシってネーミングセンスが最高なんだがw

    • +8
  10. 全長2メートルの強肉食性サンショウウオ…みたいな奴だよね。
    オオサンショウウオのような皮膚表面や模様だったかも?

    • +3
  11. 昭和のオッサンには分かる、「タイワンドジョウ」

    • -2
  12. >水面下で待ち伏せして、強力な力で獲物に噛みつく

    彼等が最初に上陸したグループだとしたら
    当時の地上に獲物になるような動物はあまり居ないのでは。
    水面下で待ち伏せして水面下の獲物を襲った・・・・とか?

    • 評価
    1. >>19
      この論文を翻訳通してざっと読んだばかりだが、実際、この論文でも水中の大型動物を捕食
      するのに向いた特徴が述べられている(ただし、陸上動物を捕食するのにマイナスになるような特徴ではない)。もっと言えば、論文では陸上動物を待ち伏せて捕食するという点は特に述べられていないように思える。「ワニのように」とは述べらているが、ワニも水中の動物を捕食するし、そのことを否定している言も無い。
      この論文中でも述べられているが、他の研究から胴体も高さがあまりなく横方向に広い形状であったことが示されている。全体的に平たい形状は、ヒラメやキアンコウがそうであるように水底にへばりついて近くまで来た獲物に襲い掛かるスタイルに向いている。この研究で再構成された頭骨では眼窩が真上に近いほど斜め上を向いて開口しているが、これも骨のラインからの飛び出し具合が大きい目を持っていたのであれば、体を低く隠しつつ周りを見ることに向いていることになる(ただし、これはワニも同様の特徴を持っており、水面下に体の大部分を隠しつつ目は水面上に出して水辺に来た陸上動物を待ち伏せるのに向いた特徴でもある)。
      個人的に気になるのは四肢の大きさである。ワニやシャチ、ある種のウナギ等、水中から躍り上がって水辺近くの陸上にいる動物を捕食する現生動物はいくつか知られている。そのような行動をするということは、陸上から水中に戻らなければならないということであり、実際、それらはそれを可能にする身体構造を持つ(ワニならば陸上でも十分に体を支えれる脚があり、シャチならば強大な胸鰭があり、ウナギならば体全体の動きで陸上を移動できる)。しかし、クラッシギリナスは四肢が貧弱な動物とみなされており(それはこの研究でも別に否定されていない)、横方向に幅広い胴体はウナギのように体全体をくねらせて陸上を動くような運動には不利に働く。

      • +1
  13. いや~ん
    おたまじゃくしは可愛いのがお仕事なのに
    かわいくない奴をおたまに擬すなんて許さん

    • +1
  14. まあ古くはイグアナドンの親指、近年ではハルキゲニアに羽毛恐竜
    科学の進歩で復元図が変わるのは当たり前

    • +2
  15. ワニっぽいなら、それに因んだ改名が必要ですね💧

    • -1
  16. トップ画はまさに地獄のオタマジャクシの形相だわ
    これがオタマジャクシだったとして

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

絶滅・絶滅危惧種生物

絶滅・絶滅危惧種生物についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。