
船葬墓とは、船体に遺体を収めて棺にしたり、船そのものを副葬品として遺体と共に埋葬する墓のことで、バイキング時代(793年 - 1066年)に良く行われていた。
今回発見された船葬墓の船は、一度に6人分の遺体を乗せることができるほど大型で、高い地位にある者に使用されるものだという。
高い地位のバイキングの棺を納めた船葬墓
研究チームは、オスロにあるノルウェー文化遺産研究所(NIKU)のメンバーで構成され、この新しい探知機を使って今回の発見に至った。NIKUによると、このような大型の船葬墓は、豪華な装備を備えたバイキングの墓で、その社会でもっとも地位の高かった者の遺体がおさめられるものだという。
船葬墓は水葬とは違い、船体を用いるものの、墓そのものは陸上に存在する。

ノルウェー初の体系的地球物理考古学
西部のクヴィネゾル自治区アイレット近くを通る高速道路建設計画があり、その調査中に今回の発見があった。この付近はかねてから、バイキングの埋葬地があることが知られていたが、これほど大きな船葬墓が発見されたのは初めてのことだ。
プロジェクトマネージャーのマニュエル・ガブラーによると、研究チームメンバーは、ノルウェーのさまざまな地域で、大規模な地球物理考古学の経験が豊富だが、技術を体系的に駆使した今回のような発見は初めてとのことだ。
考古学者のヤニ・コーセヴィックは、この船に埋葬されている人物についてはなにもわからないが、ほかの船葬墓の例からすると、高い地位にあった者だと思われるという。
当時、船は高価なものだったため、葬られているのは重要な人物だったのでしょう。豪華な埋葬をすることで、それを表わしたかったのだと思います。高い地位にいた者は、たいてい船葬墓にされています

バイキング時代の豪華な埋葬
この船葬墓は、沿岸部のバイキング居住地で、いくつかの小さな埋葬塚と共に見つかった。船葬墓は、スカンジナビア半島全体で起こった鉄器時代後半のもので、その後、793年から1066年までバイキング時代が続く。
船葬墓は、バイキング社会の特別な埋葬習慣で、今回の発見は、こうしたバイキング社会の理解を深め、鉄器時代のこの土地の利用法について学ぶことができることを意味している。
ガブラーは、新しいスキャン技術を実際に使って、このようなエキサイティングな発見ができるのが大変におもしろいと語る。
The Oye boat. Viking age boat burial found in Kvinesdal, Norway
現代の道路が古代遺跡の運命を左右する
この船葬墓は、実際にはまだ発掘はされていないため、船に財宝などの副葬品があるかどうかはわからない。さらに、この船を将来的にどうするかということもまだわからない。考古学的に重要な場所に新たな道路を建設する計画を支持する考古学者はほとんどいないだろう。
だが今回のケースの場合、研究チームは計画されているルートにはまったく異存はないとしている。
ノルウェーの現在の状況は複雑なのだという。新しい道路がバイキングの遺跡をもろに通過するのなら、工事が始まる前に発掘が行われることになるだろう。
だが、別のルートに変更されるのなら、この船葬墓や周辺の興味深い遺跡は、あと1200年の間はそのまま残されることになる。
以下の動画は2019年に発見された小型のバイキングの船葬墓アニメーション
Elite Viking Burial Boat Discovered 30ft Underground in Norway | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
こっちも腐るほど縄文から弥生など多く発見されたが
開発の時間が早くてその調査が間に合わなくなりひっそり
破壊された多くの遺跡がある
日本の失敗をノルウェーの関係者は真似してほしくないな
2. 匿名処理班
NIKUが面白すぎて記事の内容が入ってこなかった笑
3. 匿名処理班
なぜだか小さなバイキングのビッケのアニメを思い出した
4. 匿名処理班
北欧には他に船の形に石を並べて墳墓にしたものがあります。日本のいろいろな地方で丸木舟の形の舟型木棺が発掘されていますし、最近だと中国の四川で大量の舟型木棺が出土しています。東西の船と死の結びつきが面白いです。
5. 匿名処理班
>>3
クラーケ族では族長の息子だし戦績もすごいから あるいは…
6. 匿名処理班
埋葬された時点では「現代」だったんだよな
俺の墓は1000年後にはどうなってるんだろう