メインコンテンツにスキップ

休憩を取りながら学習したほうが記憶力が上がる。マウスの脳からわかった分散効果の意外なメカニズム

記事の本文にスキップ

14件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

  学校の成績を上げたかったり、どうしても合格したい資格があったりするのなら、一夜漬けするよりも、適度に休憩をはさみながら反復して勉強したほうが学習効果が高い。

 これは「分散効果」や「分散学習」と呼ばれるもので、すでに19世紀にはドイツの心理学ヘルマン・エビングハウスによって指摘されていた。

 分散効果の正しさはその後もずっと確認されてきたが、それが発揮される具体的な仕組みは今もなおよくわかっていない。

 『Current Biology』(7月28日付)に掲載された研究では、その背後にあるらしき神経細胞の活動が観察されている。それによると、その仕組みはちょっと直感に反するものであるようだ。

脳の分散効果の仕組みを理解するためマウス実験

 ドイツ、マックス・プランク神経生物学研究所などのグループは、適度に休憩をはさみながら反復して学習した方が記憶力が上がるという「分散効果」の仕組み理解するために、迷路に隠されたチョコレートをマウスに探させるという実験を行なっている。

 マウスは1日に3回だけ迷路に挑戦できた。迷路の構造やチョコレートの位置は毎回同じなので、隠し場所をきちんと覚えておけば、その都度ご褒美をゲットすることができた。

 ただし再挑戦できるまでの間隔はマウスによって違う。すぐに再挑戦させてもらえるマウスもいれば、次の挑戦までしばらく待たされるマウスもいた。

 さらにこの実験の翌日にも同じ迷路に挑戦してもらう。マウスは前日のことを忘れずに覚えており、見事チョコレートをゲットできただろうか?

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

長期的には休憩を長くとったマウスの方が記憶力がアップ

 面白いことに、短期的には、再挑戦までの間隔が長かったマウスは、なかなかチョコレートの場所が覚えられなかったという。この点、集中して迷路に挑戦したほうがご褒美の在処を記憶しやすかったようだ。

 ところが翌日になると、学習効果が逆転する。チョコレートの場所をはっきりと覚えていたのは、間隔を長くとったマウスだったのだ。

意外な神経活動のパターン

 研究グループは、このとき脳内で起きていた出来事も観察している。彼らが観察したのは、学習プロセスを担う「背内側前頭前皮質(dorsal medial prefrontal cortex)」という脳の領域だ。

 直感的には、迷路に再挑戦するまでの間隔が短いときは、似たような神経回路が活性化すると思えるのではないだろうか?

 挑戦が連続していれば、それらを同じ出来事として処理するだろうと考えられるからだ。一方、再挑戦までの間隔があけば、新しい出来事として処理されるので、別の神経細胞が活発化する。

 ところが実際に起きたのは、それとは正反対のことだった。

 同じ神経細胞が活発になったのは、再挑戦までの間隔が長いときだったのだ。そして短い間隔で連続して挑戦した場合、異なる神経細胞クラスターが活発になった。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

分散効果の背後にあるメカニズム

 研究グループによると、この直感に反する現象は、学習と学習の合間に長期記憶が強化されることを示すものと考えられるのだという。そして、これこそが分散効果の背後にあるメカニズムであるようだ。

 ちなみにマウスの場合、翌日にチョコレートの在処を一番覚えていられたのは、30分か60分間隔をあけたときだったという。これより短くても長くてもダメだったそうだ。

 なら人間はどうなのかって? そう焦らずに、まずは繰り返し勉強する習慣をつけてみてはどうだろうか?

References:Neuroscientists discover how taking breaks while learning improves memory / written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. そもそも集中力続かないので休憩の合間に申し訳程度に勉強する感じになるよ…(あとは無駄に部屋を片付け始めたり)

    • +6
  2. 結果よりも
    「マウスにチョコレートは大丈夫なんだっけ?」
    という点が気になった

    • +2
    1. ※2
      ネズミはチョコレートが大好きみだいだよ
      チョコレートがネズミの害を受けたり、ネズミ捕り用のエサに使われているみたい

      • 評価
  3. 私みたいに5分前に置いたメガネの場所が分からなくなる老いた脳でも
    同じ効果が得られるんだろうか。

    • 評価
    1. >>3
      それ超短期記憶に放り込んで忘却してるだけだから
      長期記憶に入れる行動取ればちゃんと記憶に残るはず

      • +1
  4. 休憩の間に勉強をやるスタイルのワシには無意味な研究

    • +4
  5. ネズミで休息1時間って人間だともっと性能の長く必要なのかな
    あれかな、寝た方が記憶定着するとかって奴かな

    • +1
  6. 「正解を憶える」というより
    「不正解だった経路を忘れる」ために、
    試行の間を開けるのが有効、って感じか。

    一気にやって、ワンセットの記憶として頭の中でゴッチャになると
    翌日また間違った経路に迷い込みやすい。
    間を置いて、最後に行った正解の経路だけが記憶に鮮明だと、
    それ以前にやらかしたバタバタの記憶は 頭から消し去りやすい、と。

    • +2
  7. 「憶えたら一旦忘れろ」と受験の頃に言われたっけ

    • +1
  8. 短気で繰り返した方が同じ経路を使いそうなのに意外だね

    • +3
    1. ※12
      これ、一日に3回だけの試行だけど、
      もうちょっと迷路の難易度を上げて5回試行にして、

      1.短時間に5回繰り返す
      2.均等に長時間 空けて5回試行する
      3.短時間に3回繰り返し(この時点で半ば正解に近づく)、
        少し間を置いてもう1回、さらに間を空けてもう1回

      みたいにしたら、どうなるんだろう?

      • +1
  9. よーし、積極的に休憩すっぞー_(:3」∠)_ 

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。