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深まる宇宙の謎。深宇宙から地球へ発せられていた「高速電波バースト」の1つが消失、その理由は?

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(著) (編集)

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freakwave_ from Pixabay
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  宇宙からときおり飛来するミステリアスな電波信号の奇妙な振る舞いは、今も天文学者の首を捻らせている。

 地球では「高速電波バースト(FRB)」と呼ばれる正体不明の電波信号がキャッチされることがある。わずか数ミリ秒だけ続く強力な電波で、それが持つエネルギーは膨大だが、発生源は今のところよくわかっていない。

 これまで、いくつかの高速電波バーストが確認されていたが、その1つのバーストが消失したという。

高速電波バースト「R2」消失の謎

 高速電波バースト(以下FRB)の中には宇宙の同じ場所でチラチラと反復して観察されるものもある。

 初めて反復するFRBが観測されたのは2012年のことで、「FRB 121102」や「R1」と呼ばれている。発生源がある銀河は、30億光年離れた矮小銀河だ。次の観測は2018年で、「R2」という。

 ASTRONオランダ電波天文学研究所のレオン・オーストルム氏らは、ウェスターボーク合成電波望遠鏡(WSRT)でR1とR2をそれぞれ130時間と300時間観測。その特徴やR2が位置する銀河の解明を試みた。

 結果、R1からは30回のバーストが検出されたのだが、なぜかR2からは何も検出されなかった。

 これについては、R2の波長はWSRTでは検出できない種類というのが、一番単純な説明であるという。WSRTが検出できるのは青色光だけなので、この説明が正しければ、R2は赤色光を放っているということになる。

 また別の可能性としては、R2がバーストを止めてしまったとも考えられる。

 ただし、ASTRONの別の研究グループのジェイソン・ヘッセルス氏によれば、最初の説明か、R2のFRBが暗すぎて観測できなかった可能性の方が高いだろうとのことだ。

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CharDsg/iStock

FRBにもさまざまなタイプが存在する可能性

 いずれにせよ、R1とR2は互いにかなり違っているらしいことは明らかにされた。

 「もし両者が似ているのなら、R2も簡単に見えたでしょうが、そうではありませんでした」とオーストルム氏はコメントし、「明るさ、バーストが反復する頻度、さらにはそれ以外の基本的パラメーターの点でずいぶん異なっていてもおかしくないでしょう」と述べた。

 またヘッセルス氏らによる研究によれば、それらが位置する銀河もかなり異なっているようだ。

 こちらの研究では、「FRB 180916.J0158+65」という反復FRBを銀河までたどることに成功している。FRBを銀河までたどることができたのはようやく5度目で、反復するFRBとしては2つ目の例だ。

 こちらの銀河は、R1が位置する銀河とは完全に別物であったという。形が不規則な矮小銀河ではなく、天の川のような螺旋を描いているのだ。また環境もそれほど極端ではなく、R1の分析結果はそれほど当てはまらないと考えられる。

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Free-Photos from Pixabay

FRBの理論は修正を迫られている?

「今、きちんとした理論でFRBの多様性を説明できるのか、それともFRBの発生源には複数のタイプがあるのか、真剣に検討しなければならない状況にあります」とヘッセルス氏は話す。

 仮にFRBの発生源に色々なタイプがあるのだとしたら、それぞれがかなり違っているように見える理由もそれなのかもしれない。

 FRB 180916.J0158+65の地球との距離はR1のそれの6分の1なので、より詳しく観察することができる。次世代の大型望遠鏡が運用されるようになれば、FRBの謎も解明されるはずだ。

 「最終的な目標はその正体を突き止めることですが、今の時点ではデータが増えるほど、疑問が深まります」とオーストルム氏は話す。

 この研究は『arXiv』(12月27日投稿)ならびに『Nature』(1月6日付)に掲載された。

References:newscientist/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. 地球人の時間間隔で解明しようとしてもなぁ~
    グローバルな感覚で宇宙的感覚で解明しようとしてみるのも面白いのかもなぁ~

    • -2
  2. この研究チームが飲み会とかで熱く盛り上がってるやり取りは、傍から見たらきっと全く意味不明なんだろうな

    • +6
  3. 私は数行読んで話しの内容を理解しようとする気力が消失されました

    • +3
  4. 「クェーサー」という天体がある。
    元々は「強烈な電波を伴う天体」くらいの意味で日本では「準星」とも呼ばれた。
    観測装置や方法が進化するにつれてその正体が「青く見える天体」「青く見える銀河」「高エネルギーを発する銀河」というように解明されていったけれど、その内に原義とは異なる「強烈な電波」の観測されないクェーサーというのが出て来た。
    どういう事か、それは単純に「観測する角度だった」というオチだった事もある。
    宇宙は卓上の実験と違って色んな角度から観測する事が不可能だからこそ「指向性のある現象」というモノが見過ごされていた。
    そしてクエーサー程じゃないけど「赤外線で異様に明るい銀河」と言った特定の電磁波 に特徴の有る銀河というモノも判明しつつある。
    これもその一種なのか?
    それとも、何か別のモデルが必要なのか?
    宇宙も深海も、まだまだ底知れない

    • +2
    1. ※8
      クエーサーってもしかして赤くみえるのでは? 赤方偏移しているハズでしょ?
      それとも速度比較で青いって話でしょうか

      • 評価
      1. ※14
        「赤方偏移して」青く見えるほどエネルギーの強いと言う事です。
        紫外線やX線で明るい遠くの天体ですね

        • +2
  5. 発生源はクェイサーみたいなものだろうけど
    たとえば宇宙人文明が滅びかけているので最後にでっけえ花火を打ち上げたとかなら面白い
    俺たちはここにいたぞ!もうすぐ滅びるから全データを乗せて宇宙にばらまくわ!
    他の星に生物いるかわからんけどな!
    みたいな内容で

    • +1
  6. 初めから記号ばかりでよくわからないから、
    誰かまとめて

    • -2
  7. ・あるラジオがある
    ・そのラジオは時折、どこかの電波の音を拾う
    ・なんで電波を出してるのかはわからないが、それらを発信している場所を数カ所は予想できてる
    ・ところがある日、そのうちの一つから音が聞こえなくなった
    ・聞こえなくなった原因として考えられるのは「ラジオでは受信できない電波に変更された」「受信できてるが、音がすごく小さくなってしまった」「そもそも電波を発しなくなった」のいずれかである

    こういうことですかね?

    • +4
  8. この宇宙をシミュレートしてるコンピュータの基盤の上にホコリがのってショートしてるんだ。基盤が壊れる(この世界終了)のが先か、管理者が掃除のためにコンピュータの電源を切る(我々には認識できない中で世界が停止)のが先か。

    • 評価
  9. 「また一つ文明が消えたか・・・」と ワイは夜空に向かって呟いた。

    • +1
  10. え、え、え、あれとは違うの??

    隊員のお食事時の、電子レンジ「チン!」説は???

    ちゃんとした記事読んだような。。。

    • -1
    1. ※16

      オーストラリア パークス天文台の

      高速電波バースト「ペリュトン」は、

      隊員の「電子レンジ」だと解明したよ

      • 評価
  11. よく分かんねえけどオラワクワクすっぞ!

    • 評価
  12. あ な た は そ こ に い ま す か ?

    • 評価

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