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どうしてお酒が飲みたくなるのか? 細胞レベルで記憶の形成に影響を及ぼしているから(米研究)

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(著) (編集)

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Image by wildpixel/iStock
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 朝を迎える頃には、昨晩飲んだお酒の味なんてもう覚えていやしないだろう。

 だが、脳の奥深くにはおぼろげにその記憶が残っており、馴染みの飲み屋のニオイやら喧騒やら光景といったきっかけで蘇る。人がちょっと今夜は一杯やっていくか! となるのはそんなときなのだそうだ。

 普通の人でもそうなのだ。飲み会や飲み屋、あるいは友達と遊びに行ったりといったシチュエーションは、アルコール依存症の人ならば飲まずにスルーするなんて相当に難しいことであろう。

お酒は細胞レベルで記憶の形成に影響する

 『Nature』(10月23日付)に掲載された米ペンシルベニア大学のガボール・エゲルヴァーリ氏らの研究によると、お酒に関係する記憶はとんでもなく強力なのだそうだ。

 お酒の記憶には、お酒を飲んだ場所のニオイや音や光景といった刺激で満ちている。これらは無視するには難しいほどの「お酒を飲みたい!」という欲求を引き起こす。

 なぜ、お酒の記憶はそこまで強力なのだろうか? エゲルヴァーリ氏によれば、それはお酒が細胞レベルで記憶の形成に関与しているからなのだそうだ。

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Image by Michal Jarmoluk from Pixabay

体がアルコールを分解する際に飲んだ記憶が形成される

 これまでのミバエを使った実験では、アルコールによってある細胞経路が開き、それによって記憶の形成が影響されてしまうらしいことが明らかになっている。

 そこで今回の研究グループはマウスを使ってさらに詳しく調べてみることにした。

 その結果、体がアルコールを分解することで、最終的にお酒に関する記憶の形成にまで影響が及んでいることが判明した。

 お酒を飲むと、体は肝臓でアルコールを分解し、一連の代謝産物に変える。そのひとつが「酢酸塩」なのだが、これは脳がお酒の記憶を作り出すためのレンガのようなものだと考えることができる。

 酢酸塩は素早く血液の中に流れ出し、肝臓から脳まで運ばれる。そして脳に到達すると、記憶をつかさどる領域である海馬の細胞に直行する。すると今度は「ACSS2」という酵素が酢酸塩を運び始める。

 酢酸塩がレンガなのだとすれば、さしずめACSS2は建築屋といったところだ。ACSS2は酢酸塩を「ヒストン」というDNAが巻きつくタンパク質に積み上げるからだ。

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Image by CurvaBezier/iStock

お酒によるメカニズムの変化

 こうしたプロセスから示唆されるのは、アルコールがちょっとしたエピジェネティックス(DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子機能を調節する制御機構)な変化を引き起こし、遺伝子の発現やACSS2の作用を左右しているということだ。

 これが最終的にアルコールにまつわる強力な記憶の形成をうながす。飲み会に行ったり、友達と出かけたりするとなんだかお酒を飲みたい気分になってしまうのは、こうした記憶が合図になっているからであるらしい。

メカニズムを利用することで飲酒予防効果も

 だが、こうしたプロセスをうまく利用してやれば、お酒を飲んだ記憶が強化されないよう予防することもできるようだ。

 アルコールを用意した飼育箱でマウスを育てた実験では、それが撤去された後もマウスはアルコールが置かれていた場所をウロウロするようになった(「条件付け場所嗜好性」が生じた)。だがこの条件付け場所嗜好性は、脳内のACSS2にも影響を受けることがわかったのである。

 ACSS2レベルが通常の範囲内にあるマウスの場合は、その行動も典型的なもので、どちらの部屋に行くか選ばせると、以前にアルコールを飲んだ場所へ向かった。しかしACSS2レベルを下げたマウスでは、そのような嗜好性を見せなかった。

 このことは、アルコール関連記憶の形成にACSS2が大きな役割をはたしていることを示唆している。

 アルコール依存症の患者など、自分の意思だけではなかなかお酒を断つことができない場合もあるかもしれない。

 しかしなんらかの方法で脳内のACSS2に干渉できれば、以前飲んだ記憶のせいでついついお酒に手を出したくならないよう、予防するなんてことも可能かもしれないそうだ。

References:Scientists now know how alcohol tricks your brain into craving more alcohol/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 35件

コメントを書く

  1. 家じゃ毎日のように飲むが実家に帰ると飲まなくてもなんとも思わない
    仕事のあるなしだけじゃないと思う

    • +1
    1. ※1
      嫌なことを一時でも忘れられるからお酒を飲む?

      • 評価
      1. >>19
        一時的じゃ呑む気にもならんやろ
        ギャンブル中毒やアル中じゃあるまいし

        • -2
    2. >>1
      お酒飲んだら終わりだと思ってる自分からすれば本当にお酒飲みたくない。

      お酒を飲んだら日々のささやかな楽しみが全部なくなるじゃん。
      ゲームをするときも、みんなで集まって遊ぶときも、ひとりでいるときも、愛する人といるときも全部「お酒があったらもっと楽しくなる」になってそのうち「楽しい場所にはお酒があるのが当たり前」になるじゃん。

      そうしたら普段のお酒がなかった日常に戻れない…なにか足りないなってなる。
      どんどんお酒の量も増えて、酔うまで飲む吐くまで飲む記憶がなくなるまで飲む…

      今の時代に発見されたら絶対禁止されてるやばいお手軽ドラッグナンバーワンだよ。

      • -1
      1. ※20
        確かに酒を飲んじゃいけない人間は存在すると思う。
        自分きちんと抑制出来ない人は止めた方が良い。
        でも大多数の人は楽しくお酒を飲める。

        自分は酒を飲まない家庭に生まれて「酒を飲むヤツなんてろくでもない」みたいな空気の中で育ったけど、社会に出てお酒の席を経験してからは酒=悪ではないと知った。必要以上の酒はもちろん良く無いけど、嗜む程度なら食事を楽しむのと同じ。
        ただ、やっぱりこれは大人の飲み物だなって思うよ。
        自分をきちんと管理出来ない年齢で飲むものではない。

        • +2
  2. 医者から止められる事はあっても
    是が非でも摂取しなさいと津軽弁で
    いわれる事は絶対にないのがお酒とタバコ。

    • 評価
    1. >>2
      自分の読解力がないだけかもしれないが、意味が分からないので誰かこの文章の解説を頼む。

      • +2
      1. >>4
        お酒を飲めば健康になるからバカバカ飲みなさいと医者は言わない。医療目的でお酒は勧めない。みたいな意味じゃない?

        • 評価
    2. ※2
      忘れちゃならねぇ~ 心意気ぃ~~♪

      • 評価
    3. >>2
      私の周りの人だけだろうけど毎日ガッツリ飲む人は若々しくて元気だよ男も女も
      私は酒がまったく飲めないし疲れやすいし体力ない
      私よりもずっと年上の女性が健康的で休まず働いていて趣味も豊富でキラキラしてる
      60代ですらヒールで歩き回ってる
      私の方が年寄りに感じる
      共通点は午後3時以降食べないであとは酒だけなんだよね
      一日1食で夜は寝るまでガッツリ飲む!
      ほんと羨ましい

      • -4
      1. >>21
        逆に考えるんだ。
        60代でも元気いっぱいで体力のある人だから毎日ガッツリお酒が飲めるんだよ。飲むから健康なんじゃない。
        基本的にはお酒は肌なんかは老化させるんじゃないかな。内臓も痛めるしね。

        • +3
  3. 誰とどこで遊んで何を見たかより
    誰とどこで飲んだかの記憶の方がハッキリと思い出せるのは酒のおかげ?

    つまり飲みニュケーションは、少しなら意味があるのか?

    • 評価
  4.  かつては、毎晩アルコール換算で200cc以上飲まないと眠れませんでしたが、5年前、一念発起の末に辞め、一週間程は眠り難かったですが、そのまま辞めてしまいました。
     今は、会社の忘年会や接待で多少、飲む事は有りますが、翌日以降、欲しくなる事は有りませんね。

    • 評価
    1. ※5
      年齢は?老化で飲めなくなってそれを禁酒成功って言っても説得力ないし
      こっちはバリバリイケイケの青年ですから

      • -17
  5. アルコール以外でもあらゆる依存症に同じメカニズムが働いてそう

    • +5
  6. そんなん酒だけじゃない。XX依存症と呼ばれる症状
    はみんなそんなもんだ

    • -2
  7. 記憶ってのはそもそも細胞の働きによるものだから、
    酒が記憶に影響を及ぼすのならば、
    それが細胞レベルである事は、ごく当たり前の事だと思う。

    • +1
  8. 付き合いで飲む事はあるけど自分から飲みたいとは全く思えないし、他の人が酒を飲みたがる理由を理解出来ない
    アル中の親に育てられた記憶はお酒に関する記憶より強そうだ

    • +3
  9. なら何故二日酔いの苦しみの記憶は残らないのだろう……
    もうこんな飲み方はするものか、そう決意しても何故人は繰り返すのだろう……

    • +3
  10. じゃあ酒なんて一滴も飲みたくないと思ってる俺の脳内では逆の作用が働いてるわけだ
    酒のにおい味場所人物すべて不快だからな

    • +4
    1. ※18
      > 俺の脳内では逆の作用が働いてるわけだ

      本来であれば、薬物(アルコール)による不快な体験を強く覚えていることが「正の作用」でなんだろな。
      アルコールの作用は、原始時代の狩猟採集生活において不利でしかなかったはずだ。
      より生存可能性を高めうように、不利な薬効は避けるように進化の淘汰圧は働いたはず。

      にもかかわらず、現代はアルコールの薬効を「良いモノ」と感じる人間がはばを利かせてる。
      人類に、何があったんだろうな。

      • 評価
      1. ※27
        生物はすべてアルコールを「よいもの」と感じるらしい

        酒を分解できない人間は遺伝子の異常だ
        東アジア人にしかいない
        自分は人相をみるがアルコールが駄目なタイプは顔でわかるよ
        自分は遺伝子異常ではなく 進化ではないか、とおもってる
        東アジアンは一番進化したヒトだから

        あとね、酒が駄目なタイプは素面で饒舌な人が多いね

        • 評価
      2. >>27
        宇宙人が地球に怪電波みたいなやつを流す実験のようなアレをしたんだよ!

        • 評価
      3. ※27
        アルコールを嗜好するのは人間だけじゃなくて、猿でも動物でも皆アルコールを好むことが知られてる

        • 評価
  11. 酒を止めて10年以上経つけど、この間ノンアルコールビールを飲んだら、ホップの味で酒飲みだった頃の感覚を思い出してしまったよ。 脳は恐ろしいな。

    • +1
  12. 日本人はACSS2レベルが比較的低い感じなのかな?
    本格的に運動してる人は飲酒頻度少ない気がするけど断酒してるとレベル下がるとかあるのかな?

    • 評価
  13. 酒を飲みたいと思ったことが一度もない
    宴会の席でも出来る限り酒は飲みたくないや
    一生飲む機会が無くなるならそんなに嬉しいことはないってぐらい

    • -2
  14. 酒が売ってなければ買わない!
    飲まなくても平気なんだけど

    何故か、飲まないと損してる気がする
    多幸感のせいでしょ??
    オマケに、飲むほどに増すらしいし
    困ったもんだ

    • 評価

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