
人間は言葉や仕草でコミュニケーションをとるが、それらを持たない生物は、ある種のシグナルを発することでコミュニケーションを可能とするのだ。
野生の魚は化学物質を放出して、仲間に危険が迫っていることを知らせることがあるそうだ。
この化学物質は「撹乱合図(disturbance cue)」と呼ばれるもので、捕食者などが接近したことを警告するシグナルである。
化学物質を放出し仲間に危険を伝える魚
魚が化学物質を放出することは以前から知られていた。『Journal of Animal Ecology』に掲載された研究が初めて明らかにしたのは、その使い途である。北米の湖に生息する コイ目のファットヘッドミノウを仲間の魚と一緒、見知らぬ魚と一緒、あるいは単独で水槽に入れて、捕食者による追跡をシミュレーションするという実験では、仲間からシグナルを受け取った魚には、いわゆる防衛・逃走反応が生じることがわかった。
たとえば、じっと身じろぎしなくなったり、さっと逃げ出したり、一ヶ所にぎゅっと集まったりといった行動で、これらは魚が捕食者から身を守ろうとするときに見られるものだ。
ところが、見知らぬ魚や単独の魚からの撹乱合図を受けても、特にそうした行動は見られなかった。
ファットヘッドミノウ
Fathead minnows in my pond
撹乱合図に使用される化学物質の正体は尿素
撹乱合図は、捕食者に追われたり、驚いたりストレスを受けたりしたときに自発的に出されるもので、その主な成分は尿に含まれる尿素だ。また魚がもっともシグナルを発するのは、仲間の魚がいる場合であることもわかった。見知らぬ魚がいたり、自分しかいないような状況では、あまり発しないのだ。
「魚はシグナルを発して、近くにいる仲間に合図を送っているということですね」とサスカチュワン大学のモード・フェラーリ氏はコメントしている。
References:Fish under threat release chemicals to warn others of danger -- ScienceDaily
あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
植物もこういうので危険を知らせるのいたよね
魚もなのかぁすごいな
2. 匿名処理班
仲間思いなんやね〜
3. 匿名処理班
魚いるのに急に釣れなくなる時があるのはこれか
4. 匿名処理班
魚にも心があると思うとまた食べれるモノが減るから知りたくはなかった…
5. 匿名処理班
生存戦略は蟻とか蜂みたいのは別として、極めて個人というか個体というか利己的に行われるから
「危険だ!」→なんか出す→「お前ら逃げろ!」じゃなくて
「あぶね!」→何か出ちゃう→「あいつ何か出してる!あぶねーから逃げよ!」
てな感じかと
6.
7. 匿名処理班
「わっ、危ない!ジョワー」で仲間が逃げ出すしくみなのか。
8. 匿名処理班
※5
本文に有るように、何時も危機に失禁してるわけでは無く
仲間が近くに居るときのみ失禁だから、合図
何時も失禁したら逆に居場所を察知されるから
意識的に放尿だと思う
9. 通りすがり
>>8
魚だからおしっことかしない気がするけど
放尿なのかと考えると主成分が尿素なら確かに放尿で間違い無いですね
10. 匿名処理班
※1
昆虫なんかも、
集合フェロモンと分散フェロモンを使い分けて
群れの呼び入れや危険警告をしている種があるね。
11. 匿名処理班
俺もヤバイ状況に陥ると、くさい脂汗が出るぞ
12. 匿名処理班
※1
鳥類にもある
13. 匿名処理班
>>5
自分も単なる生理的反射を他の個体が利用しているだけかと思ったが、魚は1匹だけのときにはその物質を排出する頻度が減るらしいから仲間の存在が何らかの要因の可能性はあるんじゃないかな。