メインコンテンツにスキップ

人は統計的な考えと倫理的な考えとの狭間で葛藤を抱える。統計的な判断を批判するも自分も同じ判断をしてしまう

記事の本文にスキップ

37件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 人は統計的な考えと倫理的な考えとの狭間で葛藤を抱えるものだ。

 自分だけは先入観や統計に左右されず、人を個人として社会的判断しようと試みるが、結果的には統計に頼ってしまうようだ。

 最近の研究によると、人は、ある職業の性別を当てるよう問われた際、他人が出した統計的な答えを批判するくせに、自分が判断する段階になると、その批判と同じような答えを出す傾向があることがわかったという。

 例えば、男女2人のうち、1人が医師で手術を行ったとしよう。医師は男女どちら?と聞かれた場合どうこたえるか?

 論文の著者であるアメリカ・ハーバード大学の心理学者ジャック・ツァオ氏は次のように説明する。

人は、誰かがある集団の平均値を用いて、社会グループは異なるが他の点ではまったく同質の個人を判断したりすると、それを嫌がる傾向にあります。

そうした人は良心に欠けるとみなされるばかりか、知性まで劣ると判断されてしまいます。それなのに、いざ自分で判断する段となると、強く非難したものとまったく同じ判断をするのです。

手術を行った医師の性別は?

 どういうことか例を挙げて説明しよう。

 手術を行った男性と女性についての話を耳にしたとする。

 だが医師なのは片方だけで、男性と女性のどちらが医師なのかは分からない。

 統計的には、医師に占める性別の割合は男性の方が多い。また医師以外でも手術をする可能性についても思い浮かべるかもしれない。

 一方、社会的な公正という観点からは、男性だろうが女性だろうが医師になれる。

 さて、医師の性別はどちらだと思うだろうか?

この画像を大きなサイズで見る

男性が医師という回答は批判されがち

 ツァオ氏らは、人は統計的な考えと倫理的な考えとの狭間で葛藤を抱えると仮説を立て、これを検証するためにネット上で一連の実験を行った。

 1つの実験では、参加者(199名)にある男性と女性が手術を行ったという話をしたあとで、医師が男性である可能性は医師が女性である可能性に比べて高いか低いか、あるいは変わらないかを質問した。

 次いで、被験者に対して、統計的な知見から医師が男性である可能性の方が高いと判断した「X」という人物を紹介し、このX氏の考えの公平さ、公正さ、答えの正しさ、知的レベルについて7段階で評価してもらった。

 すると参加者の大多数(93パーセント)が、医師である可能性は男女ともに変わらないと答え、X氏については不公平かつ不当であるばかりか、答えは正しくもなく知的レベルも低いと評価した。

自分が可能性を答える立場になるとX氏と同様の回答

 別の実験でも似たような結果が得られた。

 こちらでは病院で働く男性と女性が登場し、片方は医師、片方は看護師であるとされ、先ほどと同様の質問をした。

 やはり大多数(91パーセント)が、医師が男性である可能性は女性である可能性と同じであると回答した。

 前回の質問の時と同様、X氏が医師が男性である可能性の方が高いという回答をしたと紹介すると、不公平、不正確、非知的という評価が下された。

 ところがである。

 参加者に対して、同様の質問をしたところ、X氏と同じように統計的に判断したのだ。

 すなわち手術を行った男女2人のうち、手術を行った医師は男性で、病院で働く医師は男性である可能性が高いと回答したのだ。

 にもかかわらず、参加者は相変わらずX氏の統計に基づく考え方については批判していた。

この画像を大きなサイズで見る

職業による判断の差異

 さらに医師の性別ではなく、ほかの職業の性別を尋ねる実験も行われた。

 その結果、たとえばパイロットでは医師の場合と同様のパターンが確認された。

 だが面白いことに、職業が肉屋、消防士、建設現場の作業員だった場合は、平等主義的な判断やX氏の統計的回答に対する批判は見られなかった。

 これらの実験は、自分自身の社会的な判断と他人の社会的な判断の認識の仕方にはズレがあるということを明らかにしている。

 ツァオ氏は、「価値観と行動の乖離が重大な結果」をもたらすような法律、ビジネス、教育、医療といった分野において示唆に富んでいると話している。

 この研究論文は『Psychological Science』に掲載された。

References:Our Social Judgments Reveal a Tension Between Morals and Statistics – Association for Psychological Science/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 37件

コメントを書く

  1. 人間の出生比率が男女で男105:女100だそうだから
    一部職業で比率の偏りはあるものの
    男女どっちと聞かれて男性と答えるのは安牌

    • -2
    1. ※3
      年寄りがいます→性別は?の場合について、日本の場合は「女性」が安牌ですね。
      区間 55 ~ 59 歳で男女比が逆転しますね。(総務省統計局の人口推計平成30年5月報より)
       
      日本の場合は、女医と言ったりするので、あえて女性とわかる言い方もありますね。また、英語などだと -ess という接尾語で女性を表しましたが、最近のポリコレの影響で、そういうのもなくなりつつあります。例)スチュワーデス、ウェイトレス

      • -1
      1. ※27
        doctoressに関しては、ポリコレ以前から
        既に古語とか死語の類だったかと。

        もともと古代は医者と祈祷師の区別が無いような状態だけど、
        近世ぐらいから男のdoctorは科学的に進歩していったのに対し
        doctoressは「怪しげな呪ない婆さん」「魔女」
        みたいなニュアンスが抜けなかったから、
        近現代のまともな女医はdoctorを名乗った
        …みたいな話を聞いたことがある。(うろ覚えでソース未確認)

        ちなみに、日本語では、江戸時代に「女医者」といえば
        女医のことではなく「婦人科医」、というか
        ぶちゃけ「堕胎専門業者」みたいな意味を指した。

        • 評価
    2. ※3
      なんかずれてない?この記事の内容自体もずれてるように感じるけど

      • 評価
  2. 自身に直接的な実害が無い、或いは具体的な解決、利益を得る目的でない場合・ 情況において、
    語弊があるかもしれぬが、社会正義を発揮したい、正義感ぶりたい、みたいなものかな?。
    それはある種の見栄や虚栄のようなもの?。
    またそういう行動をとるのは性格的なものあるのかもしれないが、そのような社会正義を追求する教育を受けた結果?、周囲の社会風潮?、同調圧力?。
    短時間で考え付いただけだから、反証或いは修正求む。

    • +5
  3. >男性が医師という回答は批判されがち

    違う
    国による
    イスラムでは逆の結果になる
    一部のグループの結果を全体の結果として考察してはいけない

    • -5
    1. ※6
      というか、価値感の是非を問うているわけじゃなくて、批判されがちなのに、批判している人にも何の予備知識も与えない状況で同じ質問をしたら、男性が執刀したと回答する割合が多いんだよね、それってなんかチグハグで変だねっていうことはいいたいなんだ話だと思うよ。
      といいながら、一方が執刀するならばもう一方は看護師であろうと推測すれば、看護師には超絶圧倒的に女性が多いので統計的にもそんなに偏ってはない気がするんだけどね、現在においては。
      でもバイアスはいくない。気をつけててもはまってしまうものだから、常に客観的にものが見られるようにしたいなぁとは思う。

      • +4
  4. 何もかも同じにして公平なのが倫理的とは全然思わないし、肉屋や建設作業員が男性的だというのもとんだ女尊男卑である。ようは高級な職業は女性も同じくらい認められるべきだという、逆差別があり、実際は外科になりたがる女性は少ないのだ。(人を切るなんて職業は、長時間の肉体労働だし、グロテスクなのは肉屋と大差ないからだ)

    • -8
  5. ノーヒントで当てなきゃいけないなら統計的にありそうな方を選ぶよね

    • +15
  6. これはよくありがちだね
    例えば、「その人の言動が信頼できるかは社会的地位や職業や学歴や顔や服装では決まらない」という客観的事実を認識してても、相手と対峙するとそういったスペックが高い人の言うことを鵜呑みにする人は多い

    詐欺師はその心理をついてくるし、芸能人が出てる情報番組やCMなんかもその心理を利用してる

    • +9
  7. 統計的な考えを無視して女性を持ち上げるのは「倫理的な考え」ではないだろ

    • +4
  8. 面白い実験だけど質問文で誘導してそうな気もする
    この結果だけでは何とも言えないな

    • +6
  9. あまりに抽象的すぎる記事で、俺にはこの論文の著者が何を主張したいのかさっぱりわからん

    • +4
  10. X氏は「統計的に男性の確率が高い」と判断した。
    被験者がそれを評価する際に「性差別的な考えで判断した」と見てしまう。
    結果、X氏の判断は低評価となる。

    無記名のアンケートか、実験者が被験者に聞き取り調査したか、でも変わりそうだね。
    聞き取り方式だと「自分は性差別をしない」という見栄が入り込むかも。

    • +4
  11. 現実(統計)が伴っていないにも関わらず倫理的理想に基づいて発言をしないといけない風潮を考えるとごく自然な結果のようにも思える

    • +2
  12. 現実と理想の違いを、納得(許容)できる人か、できない人か、という所の問題が大きいと思う・・。
    そして、「現実と理想の違いを納得(許容)できない人」の方が、世の中には多く存在しているのかもしれない・・。

    • 評価
  13. >>X氏については不公平かつ不当であるばかりか、答えは正しくもなく知的レベルも低いと評価した。

    そんな評価して自分もX氏と同じ回答をするような人は、確かに知的レベルが低いと思う。
    正しく自分を間接的に評価していると言える。

    • 評価
  14. もっとこうトロッコのジレンマみたいな話かと思ったら出来の悪い大学生が一晩で書いたレポートみたいな内容でちょっと残念。
    しかし倫理的な判断が正しいという前提はまず如何か?1人の命で2人が助かるなら1人を犠牲にするのに躊躇は無かろうに。その1人が俺でも結論に躊躇いはない。

    • -5
  15. そもそも何のために批判するんだろう?

    • +2
  16. お医者さんプレイでは自分(♂)は患者役です。

    • 評価
  17. 判断できない事は「判断できない」と答えてみれば?

    • +1
  18. 意味わからん
    ランダムで抜いたカードは絵札か否か
    否やろ

    赤か黒か
    わからんやろ

    ジョーカーか?
    2枚はいっててもまず引かんやろ

    • 評価
  19. 統計的な考えと理論的な考え、そのどちらもこうであって欲しいと言う個人的な願望の前には無力だという意味で等価だよ

    • 評価
  20. ポリコレが骨の髄まで浸透しきってないと理解出来ない研究だね
    分からない人が多いのはある意味健全なのか欧米に対して政治的意識が遅れてる状況なのか
    この研究で言う所の「倫理的」な人に言わせれば後者なんだろうしべつに否定はしないけどさ
    個人的には健全なまま政治的正しさを追求するルートもあると信じたいね
    欧米の人はこんな不毛な研究がされること自体がおかしいって思わないのかな

    • -3
  21. 公的な見解と、個人的な見解は異なるというだけの事だろう。 誰でも自分は良識のある市民です、と見られたいわけだから。

    • 評価
  22. 人間とは 言ってることと
    やってることは違うんだなぁ~

    • 評価
  23. 何も条件を付けずに「どちらが医師か」と問われれば「わからない」を封じられれば、それは確率の高いほうを答えるだろう、だって単純に確率論だから
    統計で石の絶対数は男性の方が多いって結果があるなら、「男性である確率が高い」のは当然に矛先のずれたことだよね

    「男と女、どちらが医師にふさわしいか」とでもきかれりゃ、そりゃ信条に左右されるけど

    • +3
  24. 英語のリスニング問題で、上司=女性、秘書=男性というシチュエーションがすんなり頭に入って来なかった時、自分もかなりとらわれてるな、と思いました。

    • 評価
  25. これ、色々な問題の根源だったりするね
    これ自体を自覚することも重要だよな
    難しいんだけどね

    • 評価
  26. 統計というもの正しいが、全ての統計が正しいとも限らないし、正しい統計だったとしてもそれが全てではない
    だから倫理も正しいんだよな。

    でもどちらを取り過ぎても事実を見誤る。バランスが大事だよ

    • 評価
  27. これ書いたやつは本音と建前って言葉知らんのか

    • 評価
  28. 「現状こうなっている」というのと「こうあるべき」というのを混同している気がする。
    現状の分析なら統計学を使うし、将来の方向性なら倫理的側面が大事。ぜんぜん矛盾してない。

    • 評価
  29. 答え方は国によって変わりそうだね。文化や価値観や環境のバイアスがあると思う。

    統計的には~なのでこちらの可能性のが高いと思うが、確実に判断出来るような材料がなく問題として成立していない。とか男女どちらかで答えようとしてる周りの空気を読まずに真面目に答えると日本では引かれたり叩かれたりしそうだ。無難に大多数が答えるであろう「男」と答えるのが倫理()になりがち。これも一応統計と倫理の葛藤とは言えるかな。

    • 評価
  30. そもそも、今回の医師の場合、性別がどちらかなんて関係ない。助けてくれるって頑張ってくれたらそれだけで良いよ。こういうのを発表するってこと自体、男女差別ありますよねって確認したいだけなのでは?…と、疑ってしまった。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。