この画像を大きなサイズで見る錬金術とはただの金属を金(貴金属)に変える試みのことだ。また永遠の命をもたらす「賢者の石」の作成も目的の1つであった。
古代ギリシアのアリストテレスらは、万物は火、気、水、土の四大元素から構成されていると考えた。だとすれば金属を黄金に変成することも可能だと考えた。
これに成功した者は誰一人としていないが、錬金術師の試行錯誤で、硫酸・硝酸・塩酸などの化学薬品が発見され、現代化学へといたる扉を開くことになった。古代から中世に存在する錬金術師はある意味科学の先駆者のようなものだ。
ハリーポッターでおなじみの伝説の錬金術師、ニコラ・フラメルをはじめ、著名な錬金術師はほとんど男性であるが、時代を先取りし、傑出した業績を残した女性の錬金術師も数多く存在する。
ここでは、歴史上忘れられた存在ではあるが、錬金術および科学に深い関心を持ち、情熱を傾けた10人の女性を見ていくことにしよう。
10. ヒュパティア:記録上最初の女性科学者
この画像を大きなサイズで見る古代エジプト、アレキサンドリアにいたヒュパティアという女性は記録上最初の女性科学者である。彼女は天文学、数学、哲学を研究。また水の蒸留も行なった。
現代では単純な技術でしかないが、当時は錬金術の類であった。水を沸騰させることで、物質のエッセンスが解放され、純度を高めることができると考えられていたからだ。現代的な視点でも、それによって殺菌できるのだから確かに正しい。
ヒュパティアは美しく優雅で、話し上手であった。ゆえにアレクサンドリア総督オステレスをはじめ、数多くの男たちに求婚された。
ヒュパティアは無神論者で、オステレスはキリスト教徒。また彼女は結婚制度を信じていなかったが、2人はよき友人であった。もしかしたら恋人同士だったのかもしれない。しかしそれに嫉妬したシリルという男がアレクサンドリアを支配するようになると、異教徒の排斥に乗り出す。
オステレスは彼女に危害が及ぶことを防ぐためにヒュパティアに改宗を勧めるが、彼女はこれを拒否した。
415年、ヒュパティアはキリスト教徒の集団に拉致され、暴行の末、命を落とした。遺体からは手足が切り落とされ、焼かれたという。事件の黒幕はキュリロスだと考えられるが、カトリック教会は後年、彼を聖人として認定している。
9. スウェーデン女王クリスティーナ:錬金術研究所を開設
この画像を大きなサイズで見るスウェーデン女王クリスティーナはグスタフ2世アドルフの一人娘であり、1632年に父が崩御すると6歳にして王座についた。成長した彼女は知的な新しい考えに非常にオープンな姿勢を示すようになる。そしてストックホルムをローマのようにしたいと考え、晩年カトリックに改宗までした。
彼女には男勝りなところがあり、男装をすることもあった。また結婚を拒んだために、同性愛者ではないかと囁かれた。バチカンの文書には、彼女が両性具有と呼ばれていたとある。
そのような彼女の前にヨハネス・ブレウス(Johannes Bureus)とヨハネス・フランク(Johannes Franck)という錬金術師が現れ、賢者の石について語った。
フランクはクリスティーナこそパラケルススが予言した知性の世界に変革をもたらす「エリアス・アルティスタ」に違いないと信じた。当時、両性具有であることが極めて重要な意味を持つと考えられていたからだ。
フランクの求めに応じ、クリスティーナは錬金術の研究所を開設。また方々から貴重な古代の文献を集めた。長年の研鑽の末、彼女はついに金を作り出すことに成功したと発表するが、女であったゆえに誰も信じなかったという。
8. ソフィ・ブラーエ:天文学者の兄を支える
この画像を大きなサイズで見る1500~1600年代の有名な天文学者ティコ・ブラーエの妹ソフィ・ブラーエは、典型的な忘れ去られた存在だ。
ソフィは17歳で兄ティコの助手を務めるようになる。ティコは月食の周期を理論化したことで知られるが、1573年の月食の記録を手伝ったのがソフィだ。兄から学んだ天文学のほか、彼女は文学、数学、薬学、錬金術も研究した。
19歳で結婚し、男の子を出産。夫は彼女が32歳の時に亡くなるが、子供はすでに10代になっていたので、ソフィは自由な時間のすべてで園芸と錬金術に没頭することができた。また子供が相続した夫の不動産を利益が上がるようきちんと管理する手腕もあった。彼女が暮らしていた家は今「トロールホルム城(Trolleholm Castle)」と呼ばれている。
7. イザベラ・コルテーゼ:始めて本を出版した女性錬金術師
この画像を大きなサイズで見る16世紀イタリアでは秘密が流行しており、ごく少数の者に隠されてきたとされるレシピや秘密が本として出版されていた。
むろん富や永遠の命を探求する錬金術も人気の題材で、生涯をかけて研究を進める者からは、そうした素人は”アルケミスティ・イグノランティ(無知な錬金術師)”と軽蔑の対象であった。
女性に人気の秘密の本は、美容と子育てに関するものだ。1561年、イザベラ・コルテーゼが出版した「イザベラ・コルテーゼ夫人の秘密」は、賢者の石を求める彼女の探求の旅を述べたものだ。また香水、精油、蒸留水、宝飾品に使う金属の溶かし方といった錬金術の手法についても解説されていた。
彼女は本を出版した初めての女性錬金術師であるが、その名は歴史から忘れ去られてしまった。
6. マリー・ド・グルネー:女性初の鉱物学者
この画像を大きなサイズで見る1500年代、貴族の家に生まれたマリー・ド・グルネーだが、兄弟と同じ教育は受けさせてもらえなかった。そこで、こっそりと独学でラテン語を学び、学術的な写本を編集する程にまでなる。
成人した彼女は、女性として初の鉱物学者兼鉱山技師になった。錬金術を研究したのは、パリに引っ越して経済苦を味わったことが原因だ。また世界で初めてフェミニスト論を出版した人物でもある。
当時、大勢の人々が地下にはノームやコボルドといった妖精がいると信じていたため、鉱物の研究を進める彼女には方々から警告が寄せられた。
科学の徒として、そうした迷信の類をはっきりと否定してきた彼女であるが、皮肉なことに後年魔女の疑いがかけられ投獄されてしまう。そして外に出ることなく80歳で獄中死している。
5. エリザベス1世:錬金術への飽くなき情熱
この画像を大きなサイズで見るシェイクスピアの時代、人々は詩的なおとぎ話に夢中であった。しかし、その統治者であるエリザベス1世の関心は、帝国を拡大することと錬金術にあった。
彼女は研究者グループに参加したいと考えていたが、多忙すぎるゆえにコルネリウス・ド・ラノイという専属錬金術師を雇う。コルネリウスが賢者の石を見事発見すれば、彼女もまたそこから恩恵を受けることができると考えたのだ。
当時は宗教改革が進められた時代でもあった。処女王との異名で呼ばれたエリザベス1世は人々から女神のように崇められ、聖母マリアと比較された。
その純潔性ゆえに、彼女もまた選ばれし者であると考える錬金術師もいた。今ではほとんど知られていないが、エリザベス1世の錬金術への情熱は本物だったのだ。
4. ユダヤのミリアム:存在自体がミステリー(諸説あり)
この画像を大きなサイズで見るコーランによれば、神はモーセに黄金の作り方を教え、モーセは姉のミリアムににそれを伝えた。2人はそれでも質素に暮らしたが、やがて彼女がクアルン(Qarun)という男と結婚し、黄金の作り方を教えると、クアルンは莫大な富を生み出し、神の怒りに触れてしまう。
4世紀の有名なエジプト人錬金術師パノポリスのゾシモスもミリアムについて記述している。しかしコーランに記載されているオリジナルの話は、彼の時代の500年前のことであった。
ゾシモスがどこでそのことを知ったのかは定かではないが、ミリアムは錬金術師の師のような存在であったと主張している。彼によれば、錬金術で金属を溶かす際に不可欠な二重鍋はミリアムの発明だという。また塩酸も彼女の発明だと述べられている。
ミリアムの実在を疑う学説もある。それによれば、ミリアムとは古代エジプトでビールを発酵させていた女性錬金術師グループを指すらしい。彼女たちは確かに夫に黄金をもたらしていたのだ。いずれにせよ、業績が本当であれば、後世の科学に大きな影響を与えていたことになる。
3. クレオパトラ:蒸留器の発明
この画像を大きなサイズで見る古代の記録によると、ユダヤのミリアムの弟子の中にクレオパトラ(エジプトの女王とは別人)という錬金術師がいたという。
彼女はミリアムの二重鍋を改良し、液体を蒸留する蒸留器を発明した。また生殖についても関心を抱いていたとされる。
錬金術では、人間の体液と泥や粘土を混ぜて「ホムンクルス」なる生物を作れるとされていた。このように考えられたのは、当時、人間の精子には極小サイズの完全な人間「ホムンクリ(homunculi)」が含まれていると誤解されていたことが原因だ。
一部の錬金術師は、女性の子宮がなくてもホムンクリから直接、人間を作り出せると考えていた。そしてこのようにして作られた人間は、女性によって”汚染”されていないので、特別な能力を備えているはずだと考えられた。
クレオパトラが生殖に関心を抱いたのも、ホムンクルス理論が間違っていると感じたからかもしれない。無論、正しいのは彼女の方だ。
2. カテリーナ・スフォルツァ:タルク水を発見
この画像を大きなサイズで見る1400年代に書かれた『実験(experimenti)』という写本で、カテリーナ・スフォルツァはタルク水(talc water)なる若返りの水を発見したと述べている。またこれを使うことで銀を黄金に変え、ペストまで治療できると主張している。
錬金術の研究に没頭していた彼女だが、特にそれを公表しようとは考えていなかった。彼女はただ健康や美容、あるいは経済的成功の秘密を個人的に知りたいと願っていた。
地元の薬局に赴いては、さまざまな質問をしながら薬についての知識を身につけた。特に若返りの薬と治療薬に強い関心を抱いていたが、蓄財にも興味を示した。
彼女が実験で得た知識は息子に伝えられ、彼もまた錬金術師としての道を歩んだ。銀行と政治で巨大な権勢を振るったメディチ家を興したのは、彼女の孫である。
1. マリー・ムルドラック:貧しいものに無償で薬を分け与える
この画像を大きなサイズで見るルイ16世の治世、マリー・ムルドラックはフランスの貴族の家に生まれた。ベルサイユで薬とアルコールと異性に溺れるのが貴族の常であったが、マリーは錬金術に興味を持つようになる。そして法定の上限以上に加熱できるかまど付きの研究所を作ってもらえるよう王に懇願した。
マリーが主に使った素材は、塩と硫黄と水銀だ。また動物実験を行なったり、美容にいい物質を作ろうともした。
非常に控えめな性格で、繰り返し実験を行い、真実であると確信に行ったったものしか発表したくないと綴っている。また完成した本を2年間も手元に置いた理由について、男性は女性を見下すようにできており、女性は知識を誇るべきではないからとも述べている。
しかし男と女にさしたる違いはないと悟ったことで、ついに出版を決意する。錬金術師として有名になると、彼女は貧しい者たちに無償で薬を分け与えるようになった。2冊目の本のタイトルは『女性に役立つ便利で簡単な化学(La Chymie Charitable et Facile, en Faveur des Dames)』である。
References:10 Forgotten Female Alchemists From Throughout History – Toptenz.net/ written by hiroching / edited by parumo














機知に富むは人でありそこに男女の隔たりなし
「クリスティーーーナよ!」
ウィリアム・ハーシェルの妹とかラボアジエの嫁とかアインシュタインの最初の嫁とか、歴史的人物の支えに女性が居た事はもっと知られてもいいね。
偉人や偉業に性別は関係ないけど
メンソレータムのラベルの顔が
オッサンだったら嫌だな。
錬金術師じゃなくて科学者だろ
ヒュパティアは「アレクサンドリア」って映画おすすめ
古代〜中世ではなく、近世も入っているね
錬金術に限らないなら、物理学者であり、欧州で初めて女性で
大学教授になったラウラ・バッシも有名。65歳で教職に復帰し、
ニュートン物理学を教える。実験を重視した彼女の授業は人気があった
ヒュパティアは牡蛎の貝殻で肉を削がれたのではなかったか
映画じゃさすがに見せてなかったけど
錬金術だけでもコレだけ名前が上がるのだから
伝えられてないだけであらゆるジャンルで活躍した女性はもっといるのだろうなあ
チコ・ブラーエに妹が居て兄を助けたというのは知らなかった。
もしかしてケプラーとも面識があったのかな・・・?
また、エリザベス女王が錬金術に関心があったことも知らなかった。
エリザベス女王の御典医ギルバートが世界で初めて「磁気について」
を書けたのは、女王の錬金術への関心もあったのかもしれない。
わりと近代まで、科学=錬金術だったわけだし。
つうかヒュパティアは、業績より、殺され方の残酷さが有名かも。
女性王族錬金術師なんて某岸田メ〇ルのアトリエくらいのファンタジーかと思ったら意外といるものなのね。
知識も知識欲も、身分性別関係ないとは思うが、当時の奇異の目はいかほどだったかと考えるとかなり肝の据わった人物だったんだろうな。
こういう歴史に触れるとやっぱローマキリスト教って○○だわの感想しか浮かばないな
>クレオパトラが生殖に関心を抱いたのも、ホムンクルス理論が間違っていると
感じたからかもしれない。無論、正しいのは彼女の方だ。
いや、感じたかも知れないって推定で言ってるのに、それを真実だとして
正しいのは彼女のほうだってあんた・・・。
ここだけ気になった。
今で言う化学やね
1600年代の女性も目を大きく見せようとすることに美意識を見出していたのだなと、クリスティーナ女王を見て全く関係ない感想を抱いてそっちばっかり気になりだす肖像画だった
古代アレキサンドリアでは、錬金術にかぎらず、オカルト的なうさんくさいものと科学が
同時に研究されてた。
ヘレニズム時代の特徴である、なんでもまぜまぜする諸神混交文化がのちのちまで受け継がれていった結果だと思うけど。
エリザベス1世に関しては
「歴史から忘れ去られた」んじゃなく、
それ以外の功績が大きすぎて
「(当時の先進科学として)錬金術のバックアップにも噛んでます」
程度の逸話に過ぎない、ってだけでは。
>銀行と政治で巨大な権勢を振るったメディチ家を興したのは、彼女の孫である。
メディチ家の本業は銀行じゃなくて薬屋だったのを考えると、なるほどなと。
そういえばキュリー夫人も錬金術師の末裔という感じはある。
クリスティーナって、デカルトの死亡原因の人か
「またお前か」
こういうのをもっと広めたい。きっと男女の間で肉体的な差はあっても、能力や知識•探求欲などの脳や精神の部分で差はないと思うから。
でも、時代時代の社会の中で女性は常に学問や探求分野から遠ざけられていた。女のくせに•女とはと。
確かに女性の多くは子供を我が身の様に愛して慈しみ、多くの時間を子供に注ぐ方を喜びとするが、それと学習欲と探究心は別。だけど男性は許さない。
今日、学者や偉大な功績を残した人の多くは男性だが、それは女性のそうした人が時代に埋れていったからではないか?そして、『女性は控えめが美徳』『女性が男性より偉大な事をしたとはシャクだ』という男性の考えから、功績を無視し、語り継がなかったからではないか?
だって、少し前まで、むしろ今でも世界と社会の流れは多くは男性が牛耳っているのだから。
男女に差はなく、男も女も同じである。という認識をきちんと持てば、世界はもっと広がると思う。
ミリアムって女性預言者だと思っていた。
こういうの見るともったいねーと感じる
女というだけで彼女らが軽んじられたり排斥されることが無ければ発見されていた理論や技術があったかもしれないと思うと
はぇ~~…みんなすっっっっごくカッコいい…
歴史に名を残すのは男ばかりだけど
女のくせに生意気だとか、そもそも女は学門から遠ざけるとかで
平等な機会が与えられてなかったから当たり前だよね
かといって平等に学門の機会が与えられても、男は研究や学門に没頭しても許されるところがあるし家族(妻など)が支えてくれるんだけど
女がそれをやるのはけっこう難しそう…
だっき「ほえー、国めちゃくちゃにするんご」
ヒーロー「そんなことすんな」
男「女だったらなんでもいい!どんどんみつぐんや!」
民間にもこういった知識欲と情熱を持った女性たちはたくさんいて、功績は男が掠め取るか魔女として差別されていたんだろうな…
そして現代では「偉大なる発明はみんな男!女は劣ってる!」と男女差別の正当化の口実にされる
地獄かよ