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こりゃまたマッドサイエンスめいた・・・りんごの細胞から人間の耳を作り出すことに成功(カナダ研究者)※閲覧注意

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 科学者は時として世にも奇妙な研究に没頭するものだ。アンドリュー・ペリングは常人の発想など完全に無視する。彼が発表した最新の論文のテーマは、りんごから人体の一部を作る方法についてだ。そう、果物のりんごである。

 ペリングの情熱はもっぱらゴミの中に宝物を見つけ出すことに注がれている。彼によれば、遊びを通じて自由でとっぴな発想ができるよう鍛えるのだという。TEDの講演で、「ちっとも不気味じゃないですよ」とペリング氏。「普段は古いエレクトロニクス製品を探しては、研究室に持ち帰っていろいろいじっています」

 マッドサイエンティストという言葉を思い起こさせる彼は、カナダ、オタワ大学に研究室を持つれっきとした科学者だ。この研究室はアスパラガスで脊椎の怪我を治そうとしたり、かなり変わったものを研究している。

 研究室の最新プロジェクトは、りんごの細胞から人間の耳を作ってしまおうという、やはり耳を疑いたくなるものだ。この耳は天然物と違って音を聞くことはできないが、形は完全に同じで、人間の細胞まで有している。

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きっかけはリトル・ショップ・オブ・ホラーズのオードリーII

 ペリング氏は最初からりんごで耳を作ることを狙っていたわけではないそうだ。発端となったのが、映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』に登場する動き回る植物オードリーIIだ。これを観て、研究室でもそのようなモンスターを生み出すことができないかと思いついたのだという。

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 そこで研究室のメンバーであるダニエル・モドゥレフスキー氏が、手始めに葉っぱを実験台に植物の構造を支える足場となるセルロースから細胞を取り除いてみた。しかし、葉のワックス状のコーティングを剥ぎ取ることが難しいと判明。悩んでいたところ、他のメンバーが毎日りんごを食べている姿を見て、代わりにりんごを使ってみることにしたのだそうだ。

 「罪のないマッキントッシュのりんごを実験台にして、その細胞とDNAをすべて取り除き、それから人間の細胞を植え付けたんです」とペリング氏は説明する。

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 「で、そうやってりんごから細胞全部を取り除いて残ったのが、このセルロースの足場です」

 このセルロースの足場を顕微鏡で見ると無数の穴のようなものが開いている。ここに人間の細胞を埋め込むことができる。写真で青く染色されているのが、人間の細胞である。

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 ペリング氏の奥様が耳の形にカットしたりんごからセルロースの足場を取り出し、そこに人間の細胞を移植する。こうして作られたのが今回の耳である。この足場は人体に移植することが可能だという。

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りんごから取り出した足場で臓器や皮膚を

 現在、足場を利用して肝臓、心臓、皮膚など作り出す、それぞれに特化された幹細胞の研究が急ピッチで進められている。患者自身の幹細胞から内臓を培養できるようになれば、世界的な臓器不足が解消されるだろう。

 しかし問題はその足場自体にある。市場に流通している足場は、特許だったり、動物や死体などを基にしていたりするため、非常に高いうえに問題も多いのである。そこでりんごから取り出した足場だ。このプロジェクトの重要性は、りんごの値段を他の人体形成技術と比べてみればわかるだろう。

ご自宅で簡単に人体形成

 「理念を重視する会社を起業しました。自宅でも簡単にできるようなシンクとはんだごてのキットを開発中です」

 スパイダーウォートというペリング氏の会社は、足場を作成する機器を開発したほか、この技術をオープンソースとして公開した。詳しいやり方についてはインターネットで知ることができる。現時点ではまだ販売されていないが、情報はこちらで閲覧可能だ。

 ユニークな発想をするペリング氏だが、科学の世界で創造性を失わずにいることは難しいという。クリエイティブとは、たまたま起きるようなことではなく、そのためは多大が努力が必要なのだそうだ。

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 「私たちは自分たちに制約を設けてしまいます。それがそれ(創造性)を殺す考え方や条件を育てるのです」と話す彼が創造性を保つ秘訣とは、熱狂的でエネルギーに満ちた人たちと付き合い、自分や他人に”遊び”を許可することだという。そのうえでアイデアや計画がもっと斬新なものにならないか問いかけるのだそうだ。

 「誰にでも生まれつき当たり前にできることではないかもしれません。ですが、しばらく挑戦してみれば慣れてきて、普通にできるようになりますよ」

 そうこうしているうちに、いつの間にか普通とは違う考え方が身に付いて、斬新な発想ができるようになるそうだ。

 「ほとんどは上手くいきませんけどね! でも試してみることです。そうした中にときどきキラリと光る金が眠っているんですよ」

Andrew Pelling This scientist makes ears out of apples.

via:plosmentalflossdailymailなど/ written hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 83件

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  1. あくまでもリンゴは足場か
    人間の細胞を宿したリンゴが成るのかと勘違いしてしまった

    • 評価
  2. 複雑な形状だったら3Dプリンタの出番になりそうね。

    • +1
  3. よくわからんけど、この耳かじったらシャリシャリするの?

    • +6
    1. ※6
      そうなるとリンゴのセルロースによる足場は不要になるな

      • 評価
    2. 幹細胞からの臓器生成は足場づくりの難しさが鍵だったので、※6 の言ってる3Dバイオプリンタは結構まじめに開発競争になってる

      • -1
  4. りんごはアレルギ源の人が多いけど大丈夫なのかな
    軟骨なら媒地がセルロースでもいいとは思うけど分解吸収できない媒地で内臓の柔軟性どうすんだ

    • +14
  5. 耳を欠損した人に移植できるとかそういう話?

    • +14
  6. なんか嘘くさい・・・・・
    大体細胞の拒絶反応がでるから
    DNAを取り出しても弊害が、
    培養ができるわけが無い
    これなら普通にシャーレに細胞に必要な
    栄養分や酸素等を与えていたほうが
    培養しやすいはず
    なんでリンゴなんだよ?
    それに耳の形になるのか?

    • +3
    1. ※10
      意味があるとすれば一つだね
      これはビーガンなんだよ

      • 評価
    1. ※11
      youtube観ると解るけど、耳の形にリンゴを掘ってセルロース化した土台に人間の細胞を埋め込み育ててるだけだよ

      • +22
  7. ……ひらめいた!な人が出てくるだろうなぁ……

    • +5
  8. >研究室でもそのようなモンスターを生み出すことができないかと思いついたのだという。
    やっぱりマッドサイエンティストじゃないか!

    • +1
  9. 実現したら えらいことですよ!
    彼の名が変な学者として記憶されるのではなく。偉大なる先覚者として尊敬されることを期待する! けど、ね。

    • +36
  10. リンゴからすべての細胞を抜き取るとセルロースが残るのか……
    セルロースは人体でいうとこの骨みたいなもんてことでいいのかな
    骨の周りにペタペタと他の生物の細胞をくっつけるイメージでこの記事読んでるんだけど。

    • +3
  11. デカいヤツを作りたいときはスイカを使えばいいのかな?
    向こうってスイカカービング好きじゃん?

    • 評価
  12. すげーキモいけど将来凄く役立ちそうで頑張ってほしい技術

    • 評価
  13. わけがわからんが、この研究が未来で何かの役に立つのかもしれない

    • -1
  14. 一見ギョッとするけど、安価に人体の欠損を治せる道につながるなら、素晴らしい。

    • +2
  15. カラパイアの記事で久しぶりに気持ち悪いと感じたわ
    これ食べたら人間を食べることに……ならないか

    • +13
  16. ペリングさんの実益のある利他心的発想に憧れる。

    • -2
  17. 人の身体の一部だとギョッとするけど、これ利用したらもしかして食肉とか製造出来ちゃう?

    • 評価
  18. いろんな果物で身体のパーツを付け替えるのが流行りに

    • +1
  19. 細胞の組織を定着させるための足場にリンゴの繊維質を使ったって事?なんだかいい匂いのしそうな耳だねw

    • 評価
  20. この科学者さんは何か成功例はあるの?
    どこから研究費が来てるのか気になる。

    • +5
  21. 豚から内臓を作ろうとするよりは罪悪感がない気がするので、悪くない発想だと思う。

    • +1
  22. リンゴを足場にして細胞を定着させても強度が足りなかったり、カビとか菌の繁殖で直ぐにダメになりそう。
    やるならせめてヘチマみたいな強度のあるものとかにしないと、奇をてらっただけの実験(研究とは呼ばない)にしか見えない。

    • 評価
  23.   彡 ⌒ ミ
      (´・ω・`) あのあの 耳も良いけど髪の毛もよろしくお願いします

    • +11
  24. お爺さんはりんごの足場を
    具合の悪くなった耳に移植してもらいましたが、
    運悪く取り除けず残った1個の細胞から
    なんと、林檎が生えてきて、
    毎年たわわに美味しい林檎が実り
    その林檎をもいでは売りに出したところ
    とても評判になり、家計も安定し、
    楽しい余生を過ごしましたとさ。
    めでたしめでたし。

    • -1
  25. 11のような頭でっかちにはわからんだろうな

    • +17
    1. ※42
      歯もよろしくお願いしたいです(´;ω;`)

      • 評価
  26. ミスター・ブロンド「なんだとーっ!」
    ヴィンセント・コルレオーネ「なんだとーっ!」
    マイク・タイソン「なんだとーっ!」
    あ!プロレスの忘れた。

    • +13
    1. アリにたかられたり、異性から耳をカリッっとされそうね
      ※44
      安定した家計から耳の治療費を賄わないのか

      • -1
  27. 細胞の培養の基盤を、寒天のかわりにりんごにしてみました、って事なのかな?
    違ってる?

    • -1
  28. 「りんごと耳?りんごの木にみみが生るの???」
    >研究室でもそのようなモンスターを生み出すことができないかと思いついたのだという。
    「?????」
    三次元の培地を簡単に作れないかなって話なのかな

    • -1
  29. おいおいスゲーまともだし有用な技術なのに「りんごの細胞から」とかデタラメ書くからマッドサイエンティストにされちゃうんだよ!
    使ってるのはりんごの立体構造を支える骨組みだけだし、りんごの細胞は残らないよ?再生医療で難しいのは立体の臓器を作ることで、そこが課題になってるのをこの人は非常に安価で安全な方法を見付けてくれたんだから、賞賛されるべき。物凄い重要な発想の転換をもたらしてくれたんだよ。

    • 評価
    1. 記事ではリンゴリンゴいっててよくわからなかったんだけど、※49のおかげでなんとかストンと落ちた
      耳ができるっつったって形は奥さん作ってるだけだし、結局何やってるの?としか思えなかったからねw

      • 評価
  30. 臓器でも皮膚でも、細胞を培養して動物の組織として形づくるには足場が必要になる
    その足場を何にするかという研究はどこでもやっていて、セルロースを扱う方法もある
    これはその発展で林檎で代用したということだ

    • -1
  31. リンゴ以外の果物でも出来るかな?。例えばオレンジとか。

    • +1
  32. バナナでも出来るかな?。別の神話ではバナナが知恵の実だったし・・・。

    • +20
  33. 耳がリンゴになったらおもしろかったよ。

    • +6
  34. よし!この耳でテディベアを創ろう(白目)

    • +2
    1. ※55
      このままでは恵理加が死んでしまう…

      • 評価
  35. つまり、りんごの細胞から耳を作り出したわけではないって事かな?!

    • 評価
  36. 日本の研究者なら「キクラゲでやってみよう」って思うはず。

    • -1
  37. セルローズがなんか色々な分野でき来てる感じだな。
    車のボディに使えるほど強度も出せることができるし、生分解もできる。

    • 評価
  38. これでデビルイヤー着けてデビルマンになりたい

    • -1
  39. こういう変わった研究をする人がいる事で
    未来に生きる技術が生まれるのかな

    • -1
  40. たのむから林檎からは林檎を作ってくれよw

    • +3
  41. 記事内の説明では音は聞けないって書いてあるけど、臓器移植に使うなら機能しないとまずいよね。
    全くの門外漢だからよく分からないんだけど、例えば弾力性・伸縮性みたいなものも本物と同じになるのかな?

    • +4
  42. これ、リンゴで云々ってのが重要なんではなくて、セルロースが組織形成の足がかりになるってことが言いたい記事なのでは。
    拒否反応のでない物質で形状を規定できるなら、欠損部位再生への更なる改善に繋がる。
    そういうことでしょ?

    • +1
  43. 腹が減ったら自分の耳を食べる事が出来るのかな?

    • +1
  44. >ペリング氏の奥様が耳の形にカットしたりんご
    さらっと書いてるが奥様の技術凄いな
    ファンタジーのエルフの耳みたいな形にカットしてもらえば
    その形のまま足場が組めるんだろうか?

    • -3
  45. 植物から動物細胞が生み出されるのか、と思ってビックリしたじゃねーかw
    音は聴けない、って書いてるけど、作った部位は外耳なんだから当たり前じゃねーかw
    ……真面目な話、培養臓器の足場って高価なモノだったのね、初耳だわ(耳だけに)
    リンゴを素材に安価で作成可能なら、これはかなり朗報だよね

    • +6
  46. 別にりんご耳を食べなくても、りんご耳で音を聞きながら、普通の丸いりんごを食べればいいのだよ
    耳に適したりんごの品種を作ろうね

    • 評価
  47. 人の耳の形に形成しただけかと思ってた
    予想よりもはるかに凄かった

    • +1
  48. つまり細胞壁だけ残して型にするみたいなことなのか

    • +1
  49. で、これは食べるとシャリシャリして美味しいの?

    • +1
  50. 軟骨やコラーゲンの代わりになるってことだな

    • 評価
  51. 「研究チーム、続いて『ほっぺ』の形成にも成功!」

    • -1
  52. 耳の形に切ったりんごを足場に人間の細胞を培養しましたということか

    • -1

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