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オオカミが羊を食べないよう教育する「国家ウルフ計画」が発足(フランス)

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(著)

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 羊を食べないようオオカミを教育することなど、できるのだろうか?フランスでは、絶滅の危機に瀕していたオオカミを保護するプロジェクトが功を奏し、オオカミが戻ってきたのはよいものの、今度はオオカミが農場の家畜を襲うようになった。

 オオカミを駆逐するのか、保護するのかで、牧羊家と環境保護論者とが険悪な状態になっている。そこで、フランス政府は対策として、オオカミを教育する“国家オオカミ計画”を提案した。この計画が物議をかもしている。

 これは、オオカミをベジタリアンにし、羊のかわいらしさを教え込むというわけではなく、家畜の群れを襲うオオカミを捕まえて、羊を食べないように教育し、IDをつけて放すという試みだ。

 理論的には、オオカミはこの体験によってかなりのトラウマを受けて、羊に手を出さなくなり、鹿やイノシシ、ウサギなど他の野生動物を狩るようになるという。それでも、被害が出るようなら、ID識別で家畜を襲った当のオオカミを見つけ、射殺するというわけだ。

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 かつてフランスのオオカミは数が増えすぎて、農夫やハンターに殺され、1930年代に絶滅した。半世紀以上たって、彼らはイタリアの国境を越えてフランスに戻り始め、1992年、東南のメルカントゥール国立公園でつがいのオオカミが目撃され、復帰が確認された。

 現在、フランスには250頭前後のオオカミが生息していて、その90パーセント以上はアルプスに、残りはフランス東部や、東ピレネーを含む南西部に散らばっている。ヨーロッパの野生動物に関するベルヌ条約によって、オオカミは保護されていて、2007年、脅威がある場合を除いて、フランスもオオカミを特別に保護する哺乳動物のリストに加えた。

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 しかし、オオカミの数が増えるとともに、家畜の群れへの脅威は増した。2008年、オオカミに殺された羊の数は公式には2680頭、これが2011年には4920頭になり、2012年には5848頭に増えた。国はこれに対して200万ユーロもの賠償金を支払っている。

 オオカミの保護か駆逐かについて、農業関係者と環境活動団体というふたつの大きなグループが反目しあっていて、政治家を含む国立オオカミ協会が、双方のコンセンサスをまとめたにもかかわらず、頑なに対立している。

 その主張は多分に感情的で、高地アルプス地方のピエール・ベルナール・レイモンド上院議員は、昔からいるオオカミはそれほど恐ろしいイメージはないとして、駆除に激しく反対した。一方、反オオカミ派は、年間11頭まで射殺していいことになっている現在のオオカミ規制は柔軟性に欠けると主張している。

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 2013~2017年の計画では、オオカミの数が極端に減らないよう、科学的に評価・見積もりして、数を調整することになるだろう。オオカミは今もこれからも厳しく保護していかなくてはならない動物だが、その種が生き残っていくための健全な個体数を気に留めながら、管理していく方法を微調整することは可能だと、環境農業の省庁は共同声明の中で言っている。

 アメリカでのオオカミ教育の先行実験は成功しているのだから、フランスでもそれが役立つかどうか見極める労を惜しむべきではないと言う意見もあれば、オオカミ教育など、サメに教育すると言っているようなもので、ばかげていると一蹴する人もいる。まるで堂々巡りだ。次はどうなるのだろうか? 野生のオオカミを調教するのか?

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via:Wolves to be ‘educated’ not to kill sheep

原文翻訳:konohazuku

 難しい問題だよね。ニホンオオカミを絶滅させてしまった我々としては、一度は絶滅したフランスに、またオオカミが戻ってきたという事実にだけ関して言えばうらやましい限りなのだが、そもそも人間が完璧に生態系をコントロールできると考えること自体難しいと思うわけだし。

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この記事へのコメント 44件

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  1. それってオオカミを飼い馴らすってことだよね。
    もはや野生のオオカミとはいえないなあ。

    • +6
  2. もうオオカミの毛を刈れるように遺伝子変えたらどうだい

    • +7
  3. 調教された狼ってもう犬なんじゃないの?
    要は家畜化なんでしょ?

    • +1
  4. 羊を食べないようにトラウマを植えつける行為が「教育」と呼ばれてることに気持ち悪さを覚えずにはいられない

    • +11
  5. その前に野生動物が増えるように森を増やすという風にはならないのか…
    野生の草食動物が増えればオオカミだって家畜を襲わないはず…

    • +4
    1. ※8
      野生の獲物を捕えるより家畜を捕食する方が狼にとって楽でてっとり早いと思われ

      • 評価
  6. オオカミがトラウマになるような教育って、物凄そうだな
    そんなことができるなら、人間に応用すりゃ犯罪者なんてゼロになりそう
    大筋で見れば、野生動物の保護にもテクノロジーを応用してきめ細かく
    やりましょうって話なんだろうけど、テクノロジーを使うなら
    羊の群れの周りに電子的なフェンスをめぐらすなど、もっと他のやり方あるはず

    • +4
  7. 日本はニホンオオカミを絶滅させてしまいニホンジカが増えまくった結果、鹿による森林への食害が深刻化して原生林が減少…鹿を減らすために撃ち殺すも、肉に需要がないため廃棄…という悲しい結果になってるからな、むやみに自然に手を加えないほうがいいと思うぜ。

    • +9
  8. オオカミ版壊れかけのラジオってわけか

    • 評価
  9. それってもうオオカミじゃないよね。オオカミによく似た犬だよね。

    • 評価
  10. 野生のオオカミにどのような「教育」をさせるつもりなのかが気になる。アメリカでは成功しているというが、成功・不成功はともかく野生動物をいったん飼育下におくというのも問題アリという気がする。
    それよりも、普通に家畜をオオカミから保護する方策を考えたほうがいいのではないだろうか。例えば、オオカミ防御のためのイヌを普及させるとか。

    • +5
  11. 狼に限らず、肉食獣って必ずしも喰う分しか殺さないってわけじゃないんだよね。
    とても喰いきれない数の獲物を殺したりすることもある。獲物がパニックを起こしたり、小屋や柵の中にいたりして逃げられない状態だと、特にそういうことが起こりやすいみたい。
    手塩にかけて育てた家畜を虐殺されたら、そりゃ農家の人が怒るのもわかるってもの。
    イタリアとかじゃ、狼が羊に被害を与えたら国が補償するって何かの本で読んだけど、
    そしたら病気で死んだ羊を狼が殺したことにして補償金をせしめようとする悪い奴らも出てきたっていうから、猛獣と境を接して暮らすっていうのは難しいものだねえ。

    • +8
  12. 動物を裁判に掛けた中世欧州の様な狂気を感じる。
    人種差別や反捕鯨にもある、欧州伝統を感じさせる狂気。

    • +1
  13. 逆に考えるんだ!オオカミの各群れのリーダーに、オオカミを調教できるあの、男、ウルフマンを導入すれば、人間と動物の共存が可能かもしれない。
    オオカミの子どもに遠吠えを教えるウルフマン
    ttp://karapaia.livedoor.biz/archives/52016648.html
    オオカミ保護施設を作り、群れのリーダーとして暮らす79歳のおじいさん(ドイツ)
    ttp://karapaia.livedoor.biz/archives/52116656.html

    • +3
  14. いいじゃん、苦肉の策でもやらんよりはマシだろ
    農家と遺伝子資源保護の妥協策として考えられたんなら試す価値あり
    たぶん失敗するけど

    • +3
  15. キツネペット化計画みたいに羊肉きらだわーって狼を探して(いるのか?
    50世代くらい続ければ…

    • 評価
  16. オオカミと戦える羊を遺伝子改造して造ったらどうだろう。
    ハブに対するマングースのように。
    「もう羊とは言わせないぜっ。」とか言わせたい。

    • 評価
  17. 逆に考えるんだ
    羊を教育すればいいと

    • 評価
  18. 人間の羊を守るためであってベジタリアンの暴挙じゃないよね?本当にそれだけのことだよね?

    • 評価
  19. 狼を殺すのが嫌なら、完全に羊放牧エリアを柵で覆って守ればいいのに。

    • 評価
  20. ムズいな。中にはベジタリアンの狼もごく稀にいるはずだからそいつらを掛け合わせて・・・とかかな。
    いったんジャレド・ダイアモンドに相談だ!

    • -2
  21. 最近になってオオカミ戻ってきたらしいけど、もっと違う方法はないのか
    これでは放し飼いと大差ない

    • -1
  22. >アメリカでのオオカミ教育の先行実験は成功しているのだから
    そもそもこのデータは十分なものなんだろうか?
    1,2の論文ではデータが足りないと思う
    天敵昆虫による伝統的防除法(国内に天敵のいない外来の害虫を特異的に捕食する天敵を害虫の原産地から持ち込み、国内に定着させる害虫防除法)や大量放飼法(農薬の代わりに大量に増殖させた天敵を害虫の発生時期に放飼する防除法)のように、実験室内では十分な効果が見込めても、いざ野外で試すと失敗するのはよくある話だ(一応、ベダリアテントウのような成功例もあるが・・・)
    大型の捕食者で生態系のバランスを大きく左右させうるオオカミの場合は必要以上とも思えるほどの実験をしてからでないと危険だと思う
    ほぼ間違いなく成功すると思えるほどの研究結果が複数でなければ実行すのは危険だ
    そもそもオオカミの再導入自体が十分な検証をせずに行われたと主張する研究者も決して少なくはないのだが

    • +2
  23. これは有意義な試みだと思う。これが最善かどうかはおいといて。
    オオカミ肯定派と否定派が互いの理想を振りかざしてギャンギャン罵り合ってもなんの解決にもならないから、とにかく現実的な選択肢からぎりぎりの妥協点を探ろうぜ。ってことだね。
    実際、現場にいて生活がかかっている人たちも巻き込まないと保護ってうまくいかないことが多い。

    • +3
  24. 教育するコストや成功率を考えると、電流が流れる柵や警備犬を用いたほうがいいだろ。
    あと、仕事ない奴らも多いんだからそいつらを警備に回してもいいんじゃないか?

    • +1
  25. 狼が羊を食べる行為も自然の摂理の一つ
    野生の動物を教育してしまったら、それは野生の動物ではない
    狼を悪者にしようとしているだけ

    • -2
  26. PETAがついに動物にまで菜食主義を押し付け始めたのかと思って、そのまま食われちまえと始めに思ったぜ!

    • 評価
  27. オオカミ達にとってはオオカミを駆逐しようと主張する人間は脅威なのだから
    オオカミ達によって絶滅させられても文句言えないよね。
    がんばれオオカミたち!

    • -1
  28. うまくいくかはわからないけど試してみる価値はあると思う
    何事も実際にやってみないとわからないし

    • 評価
  29. オオカミってふさふさしてるね
    撫でたいな

    • +1
  30. この西洋人的発想、人間の勝手に腹が立つな。

    • 評価
    1. ※36
      おぬしは故郷に帰れたじゃんか(滅んでたけど)。

      • +1
  31. 狼って酷い生き物だぞ。一度羊の群れに入ると食べる分だけじゃなく、いっぱい殺戮するしね。実際に家畜を飼ってる者からすると災害以外の何物でもない。だから西洋でも東洋でも狼は忌み嫌われてたわけでしょ。

    • -4
    1. ※38
      食べる分以上に殺すのが酷い生き物だってのか。ネコ科の肉食動物だって一度に1頭しか獲れないだけで、逃げない獲物が目の前に残ってるなら当然そっちも襲うだろうよ。
      それに少なくとも日本ではモテカワ愛されアニマルだったぞ
      山道に入ると一緒に歩いて安全に里まで送ってくれるってんで送り狼って言葉もあったし
      そもそも作物を食い荒らす動物を退治する「大口真神」って言われてたのがオオカミという呼び名のはじまり
      遊牧&狩猟民族のモンゴルでもオオカミは大事にされているし、アイヌでも神だったはず
      西洋では仔羊がキリスト教の神に愛されるシンボルだからそれを食べるオオカミが悪なのはわかるが、東洋で忌み嫌われてたなんてあまり聞かないな

      • 評価
  32. 鹿対策に早く狼の導入を! 懸念がある人は日本オオカミ協会ホームページの”Q&A”や「森とシカtoオオカミⅡ」を検索

    • +1
  33. 性格の大人しいオオカミを長年掛け合わせて作ったイヌでさえ
    肉食を止めてないんだから無理だろ

    • 評価
  34. 狼に羊を食うなというというのは、男に女を求めるなというようなもんだ。
    無理な事はしない方がいい。それに狼が羊を一定数食べることで羊の数がコントロールされているんじゃないか?捕食者がいなくなると被食者が必要以上の数になって面倒なことになるぞ?

    • 評価
  35. サメは単独行動の魚類、オオカミは群れで行動する哺乳類なんだから全然話が違う。
    しかし、オオカミがヨーロッパで悪者にされてたのって、九州でアナグマが悪者になってるのと同じような理由なのね…。そりゃー仕方ないわ。

    • 評価

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