メインコンテンツにスキップ

アラビア半島の砂漠に眠る5000年前の文明をAI技術で発見!

記事の本文にスキップ

11件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
Advertisement

 世界最大級の砂漠、アラビア半島のルブ・アル・ハリ砂漠にあるサルク・アル・ハディド遺跡の砂の下に眠っていた5000年前の文明の痕跡が発見された。

 この発見は、アブダビのハリファ大学の研究チームが、最新の衛星画像とAIを駆使して探し出したものだ。

 過酷な環境ゆえに到達できないような場所でも、現代技術の発達により、その謎が続々と解き明かされようとしている。

足を踏み入れることすら困難な「空白の地」

 ルブ・アル・ハリ砂漠はアラビア半島南部の3分の1を占める世界最大級の砂漠で、その面積は約65万km²にも及ぶ。

 この広大な砂漠はあまりに過酷な自然条件のため「空白の地」とされ、従来の発掘調査ではほとんど手が出せなかった。

 砂丘の形は常に変化し、地表は視界を遮る砂に覆われているため、地中探査機や地上調査では精度も効率も上がらない。そのため長年にわたり、この地の歴史は「未知のまま」だった。

この画像を大きなサイズで見る

AIと衛星技術が導いた5000年前の文明の手がかり

 この壁を打ち破ったのが、アブダビのカリファ大学の境・地球物理学研究所のダイアナ・フランシス博士率いる研究チームだ。

 彼らは、人工衛星に搭載した合成開口レーダー技術(SAR)技術を活用し、AIによる自動解析によって地下構造を可視化した。

 SARは航空機や人工衛星に搭載して利用するレーダーの一種で、レーダー装置側が直線移動することを利用して装置の実際の開口面よりも大きな開口面を持つ仮想的なレーダーとして機能する観測装置のことである。

 地表の変化や物体の形状を高精度で検出できるため、砂に覆われた地層や構造物の存在までも把握できる。

 この技術により、ルブ・アル・ハリ砂漠のサルク・アル・ハディド遺跡と呼ばれる場所で、およそ5000年前に存在していた人類の痕跡が検出された。

 フランシス博士は、「UAEの多くは砂漠で、地上から調査するのは非常に困難だった。だからこそ、衛星データと、それを解析するAI技術が重要だった」と語る。

この画像を大きなサイズで見る
2019年11月26日に撮影された、アラビア半島のルブ・アル・ハリ砂漠北東部の移動砂丘地帯に位置するサルク・アル・ハディド遺跡の「Worldview-3」衛星によるカラー調整済み画像。(a)は観測地域の西側、(b)は東側を示している
https://doi.org/10.3390/geosciences13060179 ( CC BY 4.0 )

驚異の精度と三次元モデルで過去の歴史が紐解かれる

 このAI技術の精度は非常に高く、発見された地下構造物の位置誤差はわずか50cm以内だ。さらに、このシステムはスキャン結果を基に3Dモデルを生成することができるため、構造物の形状や大きさも視覚的に再現できるという。

 このモデルは今後の発掘作業や保存活動において重要な役割を果たすことになると予測される。

 この研究成果を受けて、UAE政府の文化機関であるドバイ・カルチャーが、発掘許可を正式に出した。これは、技術が現実の歴史調査に直結した証でもある。

この画像を大きなサイズで見る
https://doi.org/10.3390/geosciences13060179 (CC BY 4.0

 研究チームの論文では、今回の手法が「今後、より広い範囲や類似した環境下での考古学調査に応用できるよう改良されるべきだ」と述べられている。

 フランシス博士も「この地域にはまだ多くの未発見の文化的歴史が眠っている」と強調しており、AI技術の進化によって、砂漠の下に眠る古代文明が次々と明らかになる可能性がある。

この画像を大きなサイズで見る
リモートセンシングと機械学習を使用した考古学遺跡の検出と予測 https://doi.org/10.3390/geosciences13060179 ( CC BY 4.0 )

 このように、人工知能という現代のテクノロジーが、5000年前の人類の足跡を現代に呼び起こす手助けをしている。

 今後、AIを活用した歴史探索が世界各地に広がれば、私たちの知らない過去が次々と明かされていくことだろう。

 この研究は『Geosciences』誌に掲載された。

References: MDPI / Mymodernmet

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 11件

コメントを書く

    1. 正しいとか正しくないとか何目線なんだ…

      • -16
      1.  少なくとも人類の利益にはかなってるし、ほかの生物に害はなしてないから誤っているとは言えない。 そのうえで期待した効果が得られるなら正しいといってもいいように思います

        • +12
  1. 掘れば石油か遺跡が出てくるアラビア半島

    • +1
  2. 日本のもこれで調べてみて欲しい。
    ピラミッド疑惑の山とか。

    • +5
  3. 人類の初期移動とアラビア半島
    アラビア半島は、アフリカからユーラシア大陸への人類の移住ルートとして重要な「橋渡し」の役割を果たしたと考えられています。約12万〜6万年前、ホモ・サピエンスがアフリカを出て世界各地に広がる際、紅海を渡るか、あるいは「南アラビア回廊」を通じて移動した可能性が指摘されています。この時期、アラビア半島は現在よりも湿潤で、緑豊かな環境だったとされ、移動を支える資源が存在していました。

    • +4
  4. 5000年前は気候が今とは大分違ったのかな?

    • +4
  5. 今はGPSもあるから現在地と帰る方向は迷わないだろうけど、砂嵐で地形が変わると発掘調査は難しいから、今回のように事前にある程度目星を付けてから、ここ掘れわんわんするのは効率がいいね。

    • +8
  6. 道具として使える状態に至ってるAIは殆ど判別系の分野だから最適な選択だね
    微々たるものかもしれないがAIによる人類の意図的な進化なのかも
    AIの平凡な使われ方で大きな成果を出している事例は興味深い

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。