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伝説の金属「オリハルコン」とは?地中海で発見された古代遺物を現代科学で探る

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(著)

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Image by Brigitte Werner from Pixabay WIKI commons / CC BY-SA 4.0
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 古代の神秘的な金属「オリハルコン」と聞いて「アトランティス」、「プラトン」がすぐに頭に思い浮かんだ人は、立派な「不思議と謎」マニアである。

 この金属は古代ギリシアやローマの文献で言及されているもので、幻の金属だとされてきたが、現代の科学と考古学がその正体を解き明かしている。

 プラトンが伝説の「アトランティスの建物に使用されていた」と記したこの金属は、「金に次ぐ価値を持つ」とされたが、2014年の地中海での発見により、現実のものである可能性が高まった。

 オリハルコンの正体は、一体何だったのか?この記事では、その歴史と科学的調査を通じて解説する。

オリハルコンとは?その由来と歴史的言及

 「オリハルコン」という名前は、ギリシャ語の「山の銅」を意味する言葉に由来している。この金属はプラトンの著書『クリティアス(Critias)』に登場し、アトランティスの神殿や壁、床を覆う装飾として記述されている。

 プラトンはこの金属について「金を除けば最も貴重」と述べ、赤い光沢を放つ性質を持つと書き残している。

 また、1世紀ごろのローマ時代に活躍したキケロ(Cicero)やプリニウス(Pliny the Elder)といった歴史家たちの文献にも登場しており、オリハルコンが古代で広く知られた物質であったことがうかがえる。

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著書でオリハルコンの存在を記述したプラトンのブロンズ像 Image by mvivirito0 from Pixabay

21世紀におけるオリハルコンの発見

 2014年、イタリアのシチリア島近海にある古代ギリシャの町「ゲラ(Gela)」の沖合で、潜水士が40個の金属の塊を発見した。

 その後、2016年にも同じ場所から約10m離れた地点でさらに47個の同様の金属が見つかった。

 これらの金属塊(インゴット)は、約2,500年前に沈没した船の積み荷だと考えられている。

 この金属塊は科学的に分析され、銅と亜鉛を主成分とする「銅亜鉛合金」、真鍮であることがわかった。

 これらの発見は、オリハルコンが真鍮であり、その存在を裏付ける重要な証拠となった。

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シチリア島ジェラ博物館に展示されているオリハルコンと思われる金属のバー image credit:
Emanuele riela
/ WIKI commons / CC BY-SA 4.0

古代ローマ時代のオリハルコン

 さらに、2019年の研究では、古代ローマ時代の硬貨にもオリハルコンが使われている可能性が示された。

 電子顕微鏡を用いた調査によれば、アウグストゥス帝の治世(紀元前23年)やネロ帝の改革(紀元63~64年)以降に鋳造された一部の硬貨には、銅と30%の亜鉛を含む合金が用いられていたことが判明した。

 これらもオリハルコンの一種と考えられる。

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古代ローマの硬貨の一種、セステルティウス貨に使用されたとされるオリハルコン金属  image credit:CNG / WIKI commons CC BY-SA 2.5

オリハルコンは銅亜鉛合金

 科学者たちは、オリハルコンが単一の物質ではなく、「銅と亜鉛を主成分とする合金の一種」という説を有力視している。

 アメリカの化学者で化学史家でもあるアール・ラドクリフ・ケイリー博士は、1964年の論文で「オリハルコンは一種類の合金を指すのではなく、特定の亜鉛含有量を持つ銅亜鉛合金の総称である」と述べている。

 ローマ時代のオリハルコンには、現代の真鍮よりも低い亜鉛含有量が特徴的だったという。

 オリハルコンは、かつて神話や伝説の中だけの存在だと考えられていた。しかし、現代の科学と考古学の進展によって、その実態が明らかになりつつある。

 赤い輝きを持つと言われたこの金属は、古代において装飾や通貨として用いられ、銅と亜鉛の合金で構成された「古代の真鍮」だった可能性が高い。

 オリハルコンの謎を追う旅は、古代と現代を結びつける鍵となるだろう。

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この記事へのコメント 26件

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  1. なーんだ真鍮か、ってならないのは『オリハルコン』という名前自体に魅力的な何かが感じられるからだよね

    • +20
  2. オリハルコンもヒヒイロカネも「所有者の意思により姿を変える金属」という伝承があるけど、それを「鋳造加工が容易な金属」と解釈するなら、どちらも銅や亜鉛による類似の合金という可能性はありそう。

    • +32
    1. 現代でも合金って最新の科学技術の研究のテーマだもんね。
      特に現代は昔より、適材適所に必要な素材がいるから、細分化されているし

      • +6
    2. >「所有者の意思により姿を変える金属」という伝承があるけど

      それ伝承じゃなくて近代のオカルトの創作では?

      • +3
  3. イタリア語で真鍮は「oricalco」だとか
    伝説でも何でも無く現代まで普通にオリハルコンが受け継がれていた

    • +13
    1. Wiktionaryで見たら真鍮自体はottoneらしい
      オリハルコンのイタリア語がoricalcoだって

      • +5
  4. アダマンタイトも似たような扱いだよな
    どっちが硬いかは知らんけど

    • 評価
  5. アニメの影響かゲームの影響か知らないけど、オリハルコンって何故か銀色のイメージだった。
    真鍮色なのかあ……

    • +9
  6. 勇者ロトの剣はけっこう簡単に作れそうだな。

    • +7
  7. オリハルコンといえばスプリガンでしょーが

    • +5
  8. オリハルコンが反重力物質という設定のSFがあった気がする

    • +2
  9. ちなみに狩猟やってる方が開発しためちゃくちゃ硬い銅のセトハルコンってのがあるよ〜

    • +8
    1. まるで瀬戸さんが作ったような名前・・・って本当に制作者瀬戸さんだったわ
      ステンレスより固いとか合金の世界は深いんだな~

      • +10
  10. ま、、、まだ俺達にはミスリルが残されているから!

    • +6
    1. ミスリルはアルミ説が。しかも近代のトールキンの創作なのでオリハルコンみたいな伝説的なロマンがない

      • +11
        1. ヒントも何もミスリルはトールキンによる創作だっての。

          • +1
  11. ローマ時代のセステルティウス貨幣は銀製と黄銅製の2種類があった。オリハルコン(=真鍮)でも造られていたとすれば、それは銀貨からの改鋳のためだったのかもしれない。

    • +2
  12. でも記述はオリハルコンが赤なんだね、気になるな・・・
    それって銅なのでは?

    • +4
    1. 純粋な銅なんて、そのころは存在していないよ

      • +1
  13. 翻訳しだいで解釈の仕方も色々変わるんだよね。
    昔は「火のように輝く金属」と言われてたんだよ。
    アウリハルク=山の銅ってのは変わらないと思うんだけど。

    • +5

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