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チベットの洞窟から発見されたデニソワ人のDNAがアジア初期の人類の歴史を変えるかもしれない

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(著) (編集)

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チベットの洞窟からデニソワ人のDNAが発見される/iStock
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 デニソワ人は、ロシア・アルタイ地方のデニソワ洞窟に、約4万1千年前に住んでいたとされるヒト属の個体および同種の人類である。

 そして今回、チベット高原にある仏教徒の神聖な洞窟で、オーストラリアの研究者が石器、動物の骨と共にデニソワ人のDNAを発見した。

 この発見は、謎深きデニソワ人に関する知見が得られ、彼らがアジアに移住した際、人類の先祖とどう関わりあったのかを知る手がかりとなる。

謎多きデニソワ人

 謎多きデニソワ人はネアンデルタール人と並んで、我々現生人類であるホモ・サピエンスとは、遺伝的に非常に近い化石人類で、現生人類の一部(メラネシア人など)と遺伝子情報を部分的に共有する可能性が高いとされている。

 オーストラリアの先住民アボリジニのDNAの5%を占めているが、これまで完全な化石は発見されておらず、指と顎のわずかな断片しかない。

 わたしたちがデニソワ人について知っていることは、およそ4万5000年前から40万年前にアジア一帯に住んでいて、現代人だったらとても生きられないような、高地で生活していた者も多かったということだけだ。

 わたしたちの祖先はアフリカを出た後しばらくして、デニソワ人と出会っているはずだが、その後、彼らはほとんど痕跡も残さずに消えてしまった。

 2019年の研究では、試しに洞窟で見つかった顎の骨の破片をデニソワ人と関連づけてみた。だが、多くの専門家は、DNAの証拠がないとして懐疑的だった。

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デニソワ洞窟で発見されたデニソワ人の化石 image by:Dongju Zhang / CC BY-SA 4.0

チベットの洞窟で新たにデニソワ人のDNAを発見

 しかし今、オーストラリアの専門家チームが裏づけた新たな論文がサイエンスに発表された。今回はデニソワ人のDNAもちゃんとある。

 オーストラリア、マクォーリー大学の年代測定の専門家キーラ・ウェスタウェイは言う。「この年代測定は確実です」

 この研究では、考古学の新たな手法が機能することを証明した。化石を探さなくても、古代の人類のDNAを抽出することができるようになったのだ。

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image by:WANG Xiao / Chinese Academy of Sciences Headquarters

人類の系譜

 わたしたち人類の系譜はたくさん枝分かれしていて、複雑に混ざりあっている。

 人類はおよそ20万年前にアフリカを後にした。しかし、未踏の地(terra nullius)に直接向かったわけではない。

 当時は世界にはすでに、ネアンデルタール人やデニソワ人、インドネシアで発見されたホビットのようなホモ・フローレシエンシスなど、さまざまな人類がいた。

 遺伝子研究が始まったおかげで、わたしたちのゲノムの中にある遺伝子を発見することができた。例えば、現在のチベット人は、高地でも生活できるデニソワ人の遺伝子をもっている。

「わたしたちのご先祖さまがアフリカを出て、オーストラリアへのルートをたどったとき、アジアのどこかでデニソワ人と出会って交配し、その遺伝子情報をそのまま運んだのです」オーストラリア、ウロンゴン大学のボー・リー教授は言う。

 現在では、さまざまなに枝分かれしていた初期の人類は皆、滅んでしまっている。

 「なぜ、人類のほかの祖先は皆、絶滅してしまったのに、わたしたちホモ・サピエンスは現在も生き残っているのでしょう? なにが、わたしたちをそんなに特別な存在にしているのでしょうか?」ウェスタウェイ准教授は問いかける。

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発掘現場 image by:

堆積物からデニソワ人のDNAを抽出

 16万年以上前の顎の骨の破片は、標高3280メートルの崖にあるバイシヤ・カルスト洞窟から見つかった。

 ここは仏教僧の聖地であるため、考古学者の立ち入りは年にほんの数日だけ、しかも、気温が氷点下18℃にまで下がる冬の夜間だけしか許されない。

 今年始め、リー教授のチームが、凍りついた洞窟での発掘を始め、ガゼル、キツネ、野牛など動物のおびただしい数の骨を発掘した。さらに荒削りの石器も見つかったが、人間の遺骨はなかった。

 だが、化石は必要なかった。人類は移動した先あちこちでDNA、唾液、皮膚の断片、排泄物を残していた。長い時間がたっても、凍土のおかげでDNAが残っている可能性があった。

 DNAを抽出する新たな精密技術を使って、4万5000年前から10万年前の4つの堆積物層からデニソワ人のDNAを取り出すことに成功した。

 「しかし、どれくらい信頼性があるのでしょうか? これは新しい技術なので、まだまだ疑問があります」グリフィス大学の古代DNAの専門家サリー・ワセフは言う。「長年の間にDNAが土の中でどうなるのか、汚染されないのか、という疑問が残ると思います」

 デニソワ人の化石はほとんど残っていない。しかし、堆積物から彼らのDNAを抽出できるのなら、もっとあちこちで見つかるかもしれない。

 「これは、新たな可能性の幕開けになるかもしれません。もしかしたら、世界中の博物館にある化石がデニソワ人のものかもしれないのです。わたしたちがそれがデニソワ人のものだと知らないだけなのかもしれません」フリンダース大学の地質考古学者マイク・モーリーは言う。

References:amp.smh/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 16件

コメントを書く

  1. >人類はおよそ20万年前にアフリカを後にした。しかし、未踏の地(terra nullius)に直接向かったわけではない。
    つい科学ドキュメンタリー番組で「人類は~」なんて言いうと
    未知の土地へ直接足を踏み入れるかと思いがちだがそこは違うというのは重要

    • +3
  2. ネアンデルタール人もデニソワ人も多数派のホモサピエンスと交配して消えたのが正しいだろ

    • +5
  3.  一昔前は、宗教絡みの偏向した学者も沢山居たからな。
     「人類はアフリカから」と言う常識も疑った方が良いんじゃなかろうか。

    • -6
    1. ※4
      まあ、DNAを用いた最新研究では、人類のアフリカ発祥説を疑うのは難しいでしょうねえ。

      DNAによる研究が進んでいなかった時代には、「北京原人がアジア地域の現世人類の祖先だ」という説がまことしやかに唱えられていましたよね。
      でもって、その説を強力に推進したのが、当然ながら、かの中国の方々でした。

      「政治が科学に土足で踏み込んだりしてはならない」という教訓の一つのケースですね。

      • +9
      1. >>5
        戦後の日本では「政治が科学に土足で踏み込んだりしてはならない」だのと良く言われるけど、古今東西政治と科学ってのは切っても切れない関係にあるよな。
        天文学や気象学などの自然科学は、古来からずっと政治と密接な関係に有る筈だよ。

        • -5
  4. へぇぇ
    そういや日本人のDNAってチベット人と近かいってどっかで見たな
    我々の先祖もデニソワ人かも知れんのか

    • +7
    1. ※6
      なぜかそうらしいね
      高地特化型なのかな? そういえば長距離走に強みがあるね

      • -1
  5. これも、ネアンデルタール人も
    交雑してくうちに圧倒的に数の多い現生人類に飲み込まれて
    純血がいなくなっただけなんだろうな

    • +3
  6. 翼竜が気になって記事が頭に入ってきません。

    • +9
  7. 現生人類は生き残ったのではなく、単に最後に滅んでるだけなのでは? デニソワ人は4万年前、ネアンデルタール人は2万年前に姿を消した。今はホモ・サピエンスが消える最後の2万年なのかもしれない。

    • +3
  8. サムネの合成写真、なんで翼竜が飛んでんだよ
    まさかデニソワ人は6600万年以上前の恐竜時代に生息してたとか言わないよな?

    • 評価
    1. ※12
      ほんまや
      どこのゲームからパクってきたの

      • 評価
  9. 実際には「交雑した」って感じかね。
    それらの混ざった雑種が「ホモ・サピエンス」ってだけなのかもね。

    • +5
    1. >>13
      ほんそれ
      どんどん混血化して、強く残ったDNAにホモ・サピエンスって付けちゃっただけだろうな。
      将来的にあらゆる国の血が混ざって、あらゆる肌や髪の色も混ざった人類が宇宙に行くんだろうな

      • 評価

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