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果物や野菜のパスポート。DNAバーコードで生産者をたどることができる追跡タグが開発される(米研究)

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(著) (編集)

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生産者を探すことができる追跡タグの開発 /iStock
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 食べ物は今や世界で生産されて、さまざまな国の消費者へと送り届けられている。それは結構なことなれど、見知らぬ場所で作られた食品が、はたして本当に安全なものなのかどうか気にはならないだろうか?

 そうした食の安全の確保は、もうすぐもっと簡単なものになるかもしれない。バーコードの役割を果たすDNAが注入された追跡タグの情報を読み取ることで、生産された農場や収穫日、輸出に利用された船といった情報を簡単に追跡できるという。

 この追跡タグはいわば野菜や果物のパスポートだ。

DNAを注入した細菌がバーコードの役割を果たしてくれる

 ハーバード大学、MIT、ボストン大学の合成生物学者たちが開発したのは、遺伝子を改変した細菌だ。

 この細菌にはバーコードの役割を果たしてくれるDNAが注入されており、その情報を読み取ることで、生産された農場や収穫日、輸出に利用された船といった情報を簡単に追跡できるのだ。

 追跡タグ細菌の元になったのは、「枯草菌」と「出芽酵母」だ。

 ここにたった1つしか存在しない固有の配列を持つDNAを注入すれば、それがいわばバーコードとして機能してくれる。そうしたDNA配列は何種類かあるので、それらを組み合わせれば、バーコードの種類をほぼ無限に増やすことができる。

 あとはこうした細菌を食品にプシュッとスプレーしてやる。情報が必要になれば、食品に付着している細菌のバーコードDNAを解析すればいい。解析の所要時間は1時間ほどだ。

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固有の配列を持つDNAを組み合わせた上で細菌に注入。それを食品にスプレーすることで、収穫から数ヶ月が経っていても生産者までたどることができる

image by:Jeff Nivala/Science

高い耐久性が実証された細菌追跡タグ

 無害なものも有害なものも有益なものも含め、細菌がいたるところに潜んでいるのはご存知のことだろう。ベッドの中にも食べ物の中にも体の中にもいる。

 だが、こうした環境中に潜む細菌を追跡タグとして利用するには、それらはかなり簡単に変化したり、他の細菌と混ざってしまったりする。

 そこで追跡タグ細菌は、環境によるダメージに耐え、食品や人体の表面で長期間生存できるよう遺伝子が改変されている。

 砂、木、絨毯、草といったさまざまな環境で追跡タグ細菌が生存できる期間を確かめてみたところ、動的な環境(暴風、掃除、煮沸、電子レンジ)においてすら最長5ヶ月間、細菌を特定し、バーコードDNAの解読が可能だったそうだ。

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image by:Qian et al./Science

細菌追跡タグ付きの食物を食べても無害

 もちろん、細菌つきの食品には抵抗があるという人もいるだろう。本当にそんなものを食べても大丈夫なのだろうか? と。

 じつは追跡タグ細菌はある種の植物状態にされているのだという。通常の生きている状態とは違って、胞子のような状態になっている。だからそれを食べてもまったく問題はない。

 ついでに言うと、生物と単なるDNAが入った袋の境界にある、少し不思議な存在なのだそうだ。

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Pixabay

生産者の特定や国境などの管理にも有望

 当面は、農作物などが消費者に届けられた経路を追跡するような使い方がされることだろう。

 これは消費者だけでなく、生産者にもメリットのある技術だ。仮に食中毒が発生したとしても、その発生源をピンポイントで特定できるので、生産施設全体を閉鎖するような必要がなくなるからだ。

 なお実験で、追跡タグ細菌がスプレーされたところを人に歩かせてみたところ、4時間ほどの間はその靴からDNAの解読が可能であったとのことだ。

 この特性を利用すれば、食の安全を守るためだけでなく、たとえば国境などで人の出入りを管理する場合にも応用できるそうだ。

この研究は『Science』(6月5日付)に掲載された。

Barcoded microbial system for high-resolution object provenance | Science
https://science.sciencemag.org/content/368/6495/1135

References:inverse/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 10件

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  1. 海外の商品安全よりも己の国にある安全すら知らん人奴多いぞ
    それに下手な国産品よりも中国の冷凍品ほうが流通や処理の関係で
    新鮮だったりするぜ

    • +1
  2. 植物状態が何かの拍子で解けないと良いけど

    • +3
  3. 昔から、「このお野菜はこちらの方が作りました」と居酒屋か何だか屋のテーブルに写真つきで生産者を紹介する写真立て(?)みたいのがあったっけ。

    作物を買い取り、食卓に並ぶまでのプロセスに細菌感染や、保存法に不備があっても、すべての責任を生産者に負わせるシステム。その究極系にしか映らない。

    何も知らない生産者さんが、いい笑顔で写っているんだ、これがまた。

    • +10
  4. 何らかのミスで冬眠状態が解けてバイオでSF的な未来にならなきゃいいけど

    • +3
  5. 人んちの細菌バーコードを培養して、いくらでも詐称できちゃう気がするが、どうやって防ぐ?

    • +2
  6. 日本では違う用途での需要がある
    そんな気がしますがどうでしょうか、イチゴ農家さん

    • +12
    1. ※7
      私も真っ先に思ったわw
      葡萄農家さんもかな?

      • +5
    2. ※7
      サツマイモ農家も追加でお願いしやすw
      (もしかしたら更に米農家さんも…)

      • -1
  7. ワタシという人間が古いのかもしれないし、
    頭が固いのかもしれないけど、なんかイヤです。
    なんか怖いよ。

    • +1
  8. >解析の所要時間は1時間ほどだ。

    バーコードなら一瞬

    • +1

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