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リチウムイオン電池の5倍。スマホ利用で一度充電したら5日間持つバッテリーが開発される(オーストラリア研究)

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(著) (編集)

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HearttoHeart0225/iStock
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 新しく開発されたリチウム硫黄電池によって、電気自動車やエネルギー供給網の蓄電コストが劇的に安くなるかもしれない。

 オーストラリア、モナシュ大学のマドフハト・シャイバニ氏らが開発したのは、従来のリチウムイオン電池の5倍の容量を持つ電池だ。

 充放電を200回以上繰り返しても効率が99パーセントから低下しない長寿命で、小型化してスマホなどに利用すれば1回の充電で5日は保つほど使い勝手も良いという。

リチウム・硫黄電池の問題点

 これまでリチウム・硫黄電池には、硫黄電極の容量が大きすぎて、充電と放電を繰り返すうちにここがボロボロになってしまうという問題があった。電極が壊れてしまえば、電池はすぐに寿命を迎える。せっかくの利点も台無しだ。

 ボロボロになってしまう根本的な原因は、充電と放電のサイクルで硫黄電極が伸び縮みすることだ。その体積の変化率は78パーセントにも及ぶ。

 こうした体積の変化はリチウムイオン電池にもあるが、8分の1ほどでしかない。

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NitaYuko/iStock

硫黄粒子が膨張するスペースを設ける

 そこでシャイバニ氏らは、硫黄粒子に膨張・収縮するためのスペースを設けてみることにした。

 一般にリチウム硫黄電池の電極には、膨張時のひび割れ防止対策として、内部の粒子を結合させるポリマーが添加されている。しかし新しい電池では、より少量の結合ポリマーを利用し、硫黄粒子同士が膨張しやすくなっている。

 このポリマーは粒子を密集したネットワークにするよりも、一連の橋のように機能する。これがうまくバランスして、ひび割れを防ぎつつ、大容量の放電能力も維持されている。

 硫黄は豊富に存在するうえに、非常に安い。そのため電気自動車のバッテリーコストやエネルギー供給網の蓄電コストを劇的に引き下げるだろう、とシャイバニ氏は説明する。

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pixabay

電池にまつわる倫理問題

 ただしリチウム硫黄電池もまた、リチウムイオン電池と同じような倫理問題に直面するかもしれない。

 リチウムイオン電池は、ニッケル、コバルト、マンガンといった素材を利用しているが、これらは高価で、埋蔵量が減少しつつある。しかもコバルトなどは、コンゴ民主共和国で子供が採掘しているといった、倫理面での批判もある。

 「より安い電気が利用でき、かつより倫理的な電池を開発するために、抜本的なまでに新しい蓄電システムが必要です」と話すシャイバニ氏は、数年中にオーストラリアで事業化すること念頭に、プロトタイプの試験を行う予定だそうだ。

 この研究は『Science Advances』(1月3日付)に掲載された。

References:New Battery Could Keep Phones Charged for Five Days | RealClearScience/ written by hiroching / edited by parumo

References: :New Battery Could Keep Phones Charged for Five Days | RealClearScience

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この記事へのコメント 48件

コメントを書く

  1. 安全性や耐久性を検証して
    忘れた頃に商品化するしません。

    • +3
  2. リチウムイオン電池の次世代電池は、
    世界中の企業が開発にしのぎを削っている最中だ
    問題は実験室レベルだけでなく、いかに早く量産体制を確立するか?
    に掛かっている。量産体制で先行した企業が市場を抑えるだろう

    とは言っても、基礎研究も疎かにはできない分野だと思う
    他社が試していないアイディアで一発逆転を狙う存在は数多く有る
    次世代充電地は、形勢が決するまで目が離せない分野になっていると思う

    • +8
  3. 地球上に腐るほどある海や土にある塩を使えたら
    電池革命起きるだろうな

    • +2
  4. >しかもコバルトなどは、コンゴ民主共和国で子供が採掘しているといった、倫理面での批判もある。

    いやそれ電池の問題じゃなくて採掘国の問題やん

    • +5
    1. ※5
      ちょっと信じられないんだけど良くそんなこと言えるね
      欠片も良心の呵責を感じないと言う事?

      • -41
      1. ※14
        良心というか因果関係まで考えが及ばない人

        • -9
      2. ※14そういう貴方は、常にそういう非道的、倫理的云々を考えて生きてますか?。

        • -5
      3. ※14
        技術の問題と普及・提供の問題が別と言ってるだけで、そこに問題が無いとは言ってないのでは

        • +7
      4. ※14
        そのコメには「採掘国には問題がある」ってちゃんと書いてあるのになんでそんな攻撃的なの

        • +14
      5. ※14
        やっつけるべきは子供に重労働を科す悪人って
        皆思ってるよ、何も思わない人なんてここには
        居ないから安心して!

        • -3
      6. ※14
        『採掘国の問題(だから知ったこっちゃない)』と捉えてませんか?
        『それは電池の問題点ではなく、採掘国が抱える別の問題』という
        言葉通りの意味だと思いますけど。

        倫理観は確かに大事ですが、それを主張したいあまり
        他人の発言を悪意的に捉えるようになっていないか
        省みる癖をつけた方がいいかもしれませんよ。
        自分を正義だと確信する人は容易に暴走しますから。

        • -1
      7. >>14
        言いたいことはわかるけど
        飛躍した論理に偽善の皮被せて他人を非難するのは賛同できない

        • 評価
  5. こち亀にこれと同じようなバッテリーを両津が開発した話があったな

    • 評価
  6. リチウムイオウ電池か
    とりあえず名前が紛らわしいな

    • +6
  7. リチウムイオンとリチウムイオウ紛らわしいな!

    • +8
  8. すごい!つまり1回充電したら5時間持つのか!

    • 評価
  9. Li-SバッテリーはSONY等でも開発が進行中だけど硫黄電極の膨張以外にも課題があるのでこれだけで実用化できるという訳ではない。

    • +3
  10. 「インフルエンザ」と「インフルエンサー」並みに紛らわしいな。

    • +6
  11. プロトも出来て無いうちから世界発表かよ ソイツの恩恵を受けられるのは IPS細胞より遥か先のミライ…多分来世だろうな

    • 評価
  12. 最近発表されてた海水から取れるってやつがこれ?

    • 評価
    1. >>19
      マグネシウムバッテリーのこと?三年くらい前の段階で二年後に商品化目処って言ってたけどそれから話を聞かないしまだまだ先の話か製品として無理だったかのどちらかなんじゃね?

      • 評価
  13. こういう画期的なバッテリーの話をだいぶ前からいくつも目にしてるんだけど
    その新しいバッテリーはいつになったら俺の手元にやってくるんだよ!!

    • +5
  14. ちょっと前にリチウムに圧力を掛けると長持ちするって記事があったね。
    容量が増えていいけど格段に値段も上がるんだろうね

    • 評価
  15. 尚、実用化されるのは2040年頃になる見通し。

    • -2
    1. >>23
      その時、俺たちは生きてるのだろうか……

      • +2
      1. ※44
        頭にプラグぶっ刺されて自分自身が電池になってるかもしれんわ…

        • 評価
  16. 硫黄なら日本にはまだまだあるんじゃないか?
    純国産のリチウム硫黄電池も夢じゃないかも

    • 評価
    1. ※26
      硫黄単体の採掘なら日本は今でも世界有数レベルだけど
      原油の精製過程で硫黄も大量に採れちゃうから、残念ながら今のところ採掘するほどの需要が無いみたい

      • +2
  17. 電池の容量が上がるってことは、それだけ高エネルギーの塊を持ち歩くことになる
    容量が大きくなればなるほど爆弾と一緒だぞ?

    • -4
  18. 電池の新技術の記事はよく目にするが実用化されることはほとんどない。
    量産になるとコストやら競争力やらで問題がでるのだろう。

    • +2
  19. 今までこういう発表が腐るほどされてきたが実用化されたのはいまだに皆無。どうなってんだ?

    • +1
  20. リチウム硫黄って、リチウムイオンの誤記かと思ったけど合ってるのね。ちと紛らわしいかな~。
    両方英語にすると、リチウムサルファかな。

    • 評価
  21. 子供に仕事がない方がよっぽど問題あると思うけど

    • -11
      1. >>36
        子供まで働かないと生活できない人達からその仕事を奪っていいのかってことじゃない?

        • 評価
    1. ※33
      子供の仕事は、よく遊び、よく学び、よく寝て、いい夢を育むことよ。

      • +1
  22. ※なお、充放電時に硫化水素が発生する模様

    • 評価
  23. 騒がなくても恐らく10年後くらいには結果が出ているよ。20年くらい前に『リチウムイオン電池は夢の充電池』とか言われていたのと状況は同じだ。でも、現在の方が競争は苛烈だと思う。現在は電気自動車用とかスマホ用とかで、充電池の性能アップ化が急務だからね。20年くらい前の『新型充電池は実現できるのであれば、まあ出来た時で良いんじゃね?』の雰囲気とは少し事情が異なると思う。

    • 評価
  24. リチウムイオン電池の次は「全固体電池」ですよ。膨張もしないし、1000回充電を繰り返しても全く劣化しない。おまけに充電可能な電流容量は3倍。実用化まであともう少しの所まで来ています。

    • +1
  25.  リチウム電池で有る以上、発火の危険は伴うもので、況してや硫黄ともなれば有毒ガスを発生してしまいます。車のような密閉性の高い空間で発火すれば、最悪の事態を招きかねません。
     残念ながら私には、次世代電池(固体電解質電池)までの繋ぎにしかならないように思いますよ。

    • 評価
  26. 200回ってホント?2000回とか200万回とかじゃなくて??

    • 評価
  27. いやコンゴの人もそれで食ってるんでしょ

    • -3
  28. 子供に労働させなければならないほど貧しく人権意識の低いコンゴが
    コバルトという希少資源の需要を失ったら、さらに貧しくなるだけだろう。
    需要供給の関係を断つことが問題の解消につながるわけではない。

    • +2
  29. よく分かってないのに全固体電池推しの人がいるけど全固体電池も電解質が固体なだけのリチウムイオン電池だよ
    だからそれでエネルギー密度が高まるなんてこともないし
    むしろ容量は現状のリチウムイオン電池よりずっと小さい

    • 評価
    1. ※42
      まあまあ…、
      技術の黎明期には、色々な事が起こるものさ。実験室レベルでの挫折は数多だろうし、大量生産の過程で振るいに掛けられ、更に社会に出てからもコストや安全性の面で鍛え上げられる。それにもしかすると次世代充電池が総崩れで、結局はリチウムイオン電池が生き残った…という展開だって有り得るかも?個人的には、これだけ次世代充電池が待ち望まれている時代なのだから、きっとブレークスルーは訪れると信じているけどね。

      思えばリチウムイオン電池だって、爆発&炎上騒ぎ等で技術的に揉まれ続けている。次世代充電池は最初からトラブルフリーになって欲しいと、願わずにはいられないよ。

      • +1
  30. 力の強い大人が採掘労働するほうが圧倒的に効率いいのになぜ子供がやっているのか、ぐぐってみるべき。

    • +1

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