メインコンテンツにスキップ

反社会的な人物はどのように相手を信頼し結束するのか?その鍵を握るのは「制裁」だった(オランダ研究)

記事の本文にスキップ

58件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
pixabay
Advertisement

 社会生活を送っていれば、相手を信頼しなければいけない状況が必ず訪れる。ありふれた家庭の問題から、政治家同士のなんだか腐敗の臭いがする密約まで、そこに自分以外の他者が関わるのなら、大なり小なり相手を信頼しなければ何もできない。

  さて、この世には信頼とは無縁そうな反社会的人格を持つ人が一定数存在する。だが、そうした人物とて一人で生きているわけではない。

 それどころか、ヤクザやマフィアのように、反社会的な者たちが多く集まる組織に所属することだってある。他者が関わるそこでは、信頼が不可欠だろう。

 そんな場合、反社会性人格の持ち主はどうするのだろうか?

 オランダ・アムステル大学などの行動経済学者や社会心理学者による新しい研究は、この点に光を当てている――鍵を握るのは「制裁」なのだそうだ。

反社会的人物は基本的に他人をほとんど信頼しない

 研究では、被験者に一連のテストを受けてもらい、マキャヴェリズム(マキャベリズム)・共感の欠如・経済的/社会的リスク選好傾向といった反社会性人格の診断をした上で、「信頼ゲーム」をプレイしてもらった。

 マキャヴェリズムとは、どんな手段や非道徳的な行為も、結果として利益を増進させるのであれば許されるという考え方のことである。

 ここから明らかになったのは、反社会的な人物は他人をほとんど信頼していないということだ。

 「人にはそれぞれ好みがあるだろうが、それでもまあ合理的な行動を取るだろう」——こんな甘いことを彼らは考えていないのだ。

 また相手が自分に寄せる信頼など何とも思っていないらしく、簡単に裏切ってしまう。

この画像を大きなサイズで見る
pixabay

制裁という罰があれば裏切りが少なくなる

 ところが裏切りに対し制裁が加えられるような状況では話が変わる。制裁に対して強い反応を示し、そう簡単には裏切らなくなるのだ。

 だが万が一、相手に裏切られた場合は容赦なく制裁を加える。先ほど述べたように、彼ら自身は相手からの信頼など屁とも思っていない。そのくせ、相手に裏切られたときは、自分が損をしてでも徹底的に制裁を加えるのだ。

 しかも、それは怒りや憎しみのような激情に駆られたものではない。緻密な計算に基づく戦略的なものだ。

この画像を大きなサイズで見る
pixabay

制裁に強い反応を見せるのが反社会的人格の特徴

 なぜ、反社会性人格の人物は制裁に対して強い反応を示すのだろうか?

 どうやら、彼らは相手もまた自分と同じように考え、行動するだろうと思っているようだ。

 もし裏切られたら、自分は裏切り者に徹底的に報復をする。だから自分が相手を裏切った場合は、同じく徹底的な報復を行ってくるだろうと想定しているらしい。

反社会的組織の血の掟

 ギャングやマフィアなど反社会的勢力と呼ばれる組織は世界中に存在する。信頼できなさそうな人物が集まっているにもかかわらず、彼らの結束力は案外強そうに見える。

 だが、もしかしたら、彼らの結束の基盤にあるものは、一般人のそれとは違うものなのかもしれない。それはお互いの信頼感ではなく、裏切ったら始末されるという制裁に対する恐怖なのかもしれない。

 この研究論文は『PNAS』に掲載された。

追記:2019年6月の記事を再送してお届けします。

References:The dark side of personality/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 58件

コメントを書く

  1. ゆるい社会には反社会的だが、リスクの高い組織には順応しやすい。
    これは利害を重視した社会性と言えるのかもしれない

    • +6
  2. 興味深く読んだけど、でも社会的制裁っていうのもあるよね
    勤め先からの解雇などは、怒りや憎しみからではなく冷静に行われるし
    所属する集団からみて「ありえないこと」をした場合は、何かしらの制裁が行われるんじゃないかな

    • +20
    1. ※5
      ※8
      ある程度は「社会的な人物」でも同じだよねと言える
      もしくは「反社会的な人物であろうと結局共同体や組織の中の罰則付きのルールには従う」と言えるということなのかも
      …反「社会的」ってなんなんだろうね、犯罪者等のそれはミクロ視点とはいえ社会じゃないのか?とか思考が混乱するね

      強いて両者の違いをあげるとするなら「社会的」な人間は、「罰則がない場合でも違反すると長期・短期的デメリットが発生し自分が損失を受けるような約束事や決まりごと、つまり法律ではなくマナーに類するものもちゃんと守る」とかそういうのがある、とでも言うべきなんだろうか?
      でもそれも反社会的な人間同士でもそういうの普通にあるよなあと結局思うし…(罰則として明記されてないだけで損失が罰として機能してるシステムだよね)
      本当の意味での「反社会的」って犯罪組織にも加わらず、他者とつるむことも無く、アナーキーで目的もなく社会に反抗するための破壊活動や殺人だけを目的とするサイコな人とかにならない?とか哲学的な事を考えてしまう

      • 評価
  3. なんだかそういう映画の感想文みたいな論文だね

    • +1
  4. 何かの原因(国、家族、友人などに裏切られるなど・・)があって、「後天的に人を信じられなくなった人達」と、サイコパスのように、「生まれつき人を信じていない人達」とでは、全く意味が違ってくると思う・・。
    反社会勢力に「入りやすい」のは、前者の「後天的に人を信じられなくなった人達」だと思うので、その辺は整理して考えた方が良いと思う・・。
    (サイコパス的な人達は、逆に一般社会側にいる事が多いような気がするので・・。)

    • +2
    1. ※7
      成育環境に問題があった人とサイコパスの2択の意味がわからない
      生まれつき良心の痛みを感じづらく(サイコまではいかない)、刺激的なことが好きで
      普通の社会生活になじめない、悪事に手を染めやすい人達もいるんだよ
      酷く勉強ができなかったり毎日学校に通えなかったりすると普通の仕事に就くのも難しいしね
      そういう人達も反社会勢力になりやすい

      • +8
  5. 当たり前じゃ?と思った自分は反社会的なのかな。

    この世界は「法律に違反したら捕まえて制裁」なんてシステムになってるんだから制裁を支持する人の方が多いのでは。

    自分が制裁を受けていないということは自分が間違っていない、認められていることを実感できるし制裁は必要だと思うかな。
    制裁が無ければ自分が間違っていることに気付かないし、他人のせいで自分が不当に危害を加えられる可能性も出てくる。

    • +12
    1. ※8
      当たり前と思ってる人はむしろ多いと思う。
      ただ、その「思う」を「である」という事実に変え、論文化するには多大な労力がいる。

      • +10
    2. ※8
      国単位でも経済制裁や戦争という制裁があるし、
      むしろ「信用」なんて事が一部の善良な市民同士でしか行われていないんじゃないかな・・・

      • 評価
    3. ※8
      反社会的ポイントは、自分の法律に従って制裁を加えようとする点だね。自分ルール
      おイタにはおしおきがあって然るもの。でもこういう人は制裁が苛烈なんだよ
      例えば、あいつもこいつもすぐ「死刑にしろ!」とか言うパターンw
      ネットによくいるアレ。見かけたことあると思う。子供ならいいけど大人が本気で言ってたらやばい

      • +7
      1. ※44
        長年ネット見てるけどまず見たことないよw
        クビにしろならわりとみる

        • -4
        1. ※48
          自分はニュースに関するコメント欄や実況で嫌というほど見てきたw
          まぁただの例えだからどっちでもいいんだけどさ
          やっちゃいけない事とそれに対するお仕置きがあるのはどこも当然だけど、記事で言ってるのは理不尽な程大きな制裁を加えようとする人たちだよ~ってこと

          • 評価
    4. >>8
      反社会的な奴はその「法律」を自分たちで勝手に作って、国の法律よりも上に置くのよ
      だからあなたは全然反社会的じゃなくて、むしろ正常な一般人よ

      • +1
  6. 制裁があるから裏切らないって
    いたって普通のことな気がするが……

    • -9
  7. 人間がいかに発達しても根底にあるものは獣と変わらないんだと
    思うときがあります

    • +13
    1. >>12
      孤独月の2番目の最後のサビの歌詞を思い出しました。
      (解せない事が有っても、本能のままに……)←結構刺さる。

      • 評価
  8. 死刑囚の研究では、神様が粗ぶってて、えげつない罰を与える宗教を信じる人ほど死刑になるような犯罪を起こすことが少ないってのもあった。それは超自然的な力にはあらがえないってのが大きいらしい。
    現実の脅威の前では神様の罰なんかより犯罪集団に居続けて殺しもやっていくってことなんかな

    • +6
  9. 日ごろ愛と平和を説きながら「神の天罰」「地獄の存在」を都合よく
    利用するのと同じだなw

    • +9
  10. はぁ~~~~ (-_-;)

    色んな人がいるんだね… (-_-;)

    • -2
  11. ゴッドファーザーのドン・コルレオネは裏切りをすごく悲しんでいたけれどあれは映画だから?

    • +1
  12. 行動原理だけみてるとポルポトやスターリンを思い出すな

    • +5
  13. 日本では正義をうたいながら反社会的な人たちがいます
    歴史では「中核」「核マル」「共産」と言われ、もっと多くがいましたが
    あさま山荘のように互いが互いを頃しあいました。

    彼らの特徴は、いわば”思想”です。理想とする”思想”のためなら、破壊活動や
    反社会的な活動、札人活動を躊躇せず。頭の中の理論で残虐性を発揮します。
    比較的高学歴な人が陥りやすく、特定の大学生が、点字ブロックに座り込み
    抗議をするのも同じ思想の出発点です。

    • -1
  14. って事は、悲しい事だけど「イジメ」という反社会的な行動には、今のところ「制裁」が無いからあり続けるものなんだね

    • +7
    1. ※24
      逆の気がする。

      特に仲間外れや吊るし上げ系のイジメは、むしろ
      いじめられっ子の側が何か集団の和を乱す事をしたと称して
      いじめっ子ら側は「制裁」のつもりで私刑的な爪弾きを
      実施しているケースが少なくない。

      • +13
    2. >>24
      本人と親の情報を顔写真つきで志望校周りや就職先に回す制裁があるなら
      本人も軽い気持ちではやらんし
      親も兆候レベルでがっつり対策するだろうね

      • +2
    3. >>24
      イジメってのは非常に “社会的” な行為だよ。

      イジメってのは一般に、複数人の集団が一人ないしより少数に対して行う行為。”彼ら(いじめる側集団)の社会” を「より楽しく充実したもの」にする娯楽として実施される。
      娯楽(アミューズメント)の提供は、社会貢献行為の一つだ。もっとも「彼らの社会」の内だけでの話でしかないけどな。

      • -1
  15. 最終的には暴力で解決する集団だから「暴力団」。
    意味や由来から見直すと実に見事にとらえて
    表している言葉だという事がわかる。

    • +11
  16. そもそも反社会組織なんか国じゃないんだからマキャベリズムと並べるのがおかしい
    マキャベリズムのような何かで、敢て命名するなら「原始盗賊主義」とか「原始山賊主義」って所だろ
    「粗暴脳筋帝王学」でもいいな

    • -6
    1. ※26
      なかなか興味深い話だと思う。

      亡くなられた小室直樹博士なら、「原始山賊瀬主義からどのように国家が成立するか」
      について旧ソ連の成立過程などを、引き合いにしながら一冊の本にしていくかも。

      ていうか、こういうテーマで書かれた本って既にあったかも。

      何にしても、反社会集団において、「連帯感」を担保するために必要なのが、「制裁」という話ね。

      しかし、近代国家における「法律」って、違反者に対して制裁を加える前提で作られているから、結局「国」っていうのは信頼ではなく、「反社会的性質を持つもの(無法者)」を「制裁」で縛ることで成り立つものかも。

      まあ、結局は性善説に立脚するか、性悪説に立脚するかの違いだと思うけど。

      • 評価
  17. 家庭内暴力とかクレーマーとかこれじゃない?
    自分勝手なくせに自分の非は認めないで人を責めるじゃん。

    • +3
  18. イヌイットのクンランゲタとか見ると部族社会ですらサイコパスや和を乱すマン排除システムがあったことがわかる

    • +8
  19. 社会派も反社会派も制裁行為はあるんでその点で大差ないんじゃないのかな?
    むしろ、何もしてないのに吊るし上げが出てくる社会派の方が、闇は深いと思う。

    • +4
  20. 恐怖によって支配しようというのは頭の悪い人たちの行動様式だな。前頭葉の問題だと思う、理性で感情を押さえられない人たち。

    • +4
    1. >>32
      その恐怖という感情には鮮度も大事だからねぇ
      恐怖の感情の鮮度が落ちれば絶望の感情に変わり、最後は虚無るから

      • 評価
  21. そりゃ「消すぞ」と脅されれば従うしかないだろうな
    反社会的じゃなくても普通の社会でも同様。
    他人を支配する恐怖政治は原始人の頃から変わらないのでは?
    要は金と力のみ。信用なんて取り敢えずの形だけ。

    • -4
  22. よく思い出してほしい制裁や罰とすぐに押し付けてきたのは幼少期に過ごした学校ではないか?
    我々は反社会的に育てられ反社会的人格を植え付けられてるのでは

    • +3
  23. 制裁だけでなく束縛も重要。
    束縛がないなら逃げてしまえば良い。

    • +3
  24. フィリピンの友人が、ドゥテルテの私刑部隊の暗躍のおかげでマフィアが投降して治安がだいぶ良くなったと言っていた

    • +8
  25. 人を信頼する男気のある人がうっかりヤクザの世界に入ったら
    それはそれは想像を絶する気苦労が絶えないんだろうな・・・

    • +6
    1. >>40
      フィクションだとわりとそういう人が主要キャラだったり。
      フ○ブルとか。

      • 評価
  26. 「信頼って何?」と聞かれてマトモに答えられない様なら、誰かを信頼するなんてできないよね。我々は人の信じ方を学校からも親からも学んでこなかったし。制裁や束縛で統率を取る事しか我々は学んでないんだ。本当に息苦しいし悔しい。

    だが、そんなやり方は長くは続かない。人間が持つ「やる気を無くす」能力はだけは、どんな絶大な暴力を以ってしても決して奪えない。

    人を信頼する事は大切だけど。簡単には身につかない。人の信じ方を勉強しないといけないな。

    • 評価
  27. 昨日久々にファイト・クラブ見たけど(時々見返します。好きなので。)、あれは暴力に惹かれた、既存の秩序とか不合理な価値観を壊したい男たちが集まっていくからこの記事の趣旨とは違うか。

    • 評価
  28. 制裁がなかったら普通に裏切るのが普通の人とは違う反社会的な人物の特徴でしょう。 
    自分も人に心から感謝しないし、感謝されても嬉しくない。自分の利益しか考えてないし、心から人を信じない、自分に損が無ければ恩があっても裏切るし。裏切られても信じてないし何もしてあげてないからどうでもいい。報復とかはあまりしようと思わないが…
    情はあるし、感動して泣けるし、反社会的な人物ではないはず… ただただ空虚。自分はただ頭が悪いだけか?

    • -1
  29. 規則や規制が嫌いだから自由を求めてそっちの世界に行ったら表の世界より上下関係厳しくて
    恐怖で支配されていたでござる。

    • +1
    1. >>54
      「暴力は全てを解決する」って何処かで聞いたセリフを思い出しました

      • 評価
  30. 昨今日本国内でも話題にのぼる「核の抑止力」に近しいものを感じる、、、

    • 評価
  31. 報酬が待ってる信頼はもてないけど報復が待ち受ける信頼は持てると
    喜びや安心を感じ取るための報酬系が弱く
    不安や恐怖を感じ取る受容体が強い脳構造をしているだけってことかな

    • 評価
  32. まさにこんな奴が上司だった。辞めてって助かったけど、こんなに異なる考え方で育ってきた人間がいるんだと衝撃を受けた。50年ほどの人生で見てきた色んな人たちとは別物だった。それでもやっていけるだけの悪い意味でのしたたかさが強烈だった。

    • 評価
  33. 反社というネーミングにセンスがなくて、反社は暴力社会主義者であって反社会的ではない。
    犯罪者軍団やテロリストとかの呼称の方がより正鵠を射た表現になる。
    人間の掟(法律)を守れない裏切り者の集まりは、暴力という猿の掟に頼るしかないだけ。

    • -1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。