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子供の声から不安やうつの兆候を感知するAIが開発される(米研究)

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(著) (編集)

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LSOphoto/iStock
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 現代の子供たちは、過度の不安感や孤独感、疎外感を持っていたり、うつの症状が多くみられるという。海外ではこれらを「内在化障害(internalizing disorder)」と呼び、そう診断される子供は5人に1人いるそうだ。

 なるべく早期に発見して、問題の芽を摘み取ることが大切なのだが、8歳未満の子供は心の苦しみをしっかりと伝えることができない。

 大人の側が常に心の状態を察知してやらねばならないのだが、それもままならない。そこで開発されたのがAIによる診断だ。

 子供たちの声を聴くことで内在化障害かどうかを診断できるという。

AIで子供の心を診察できるかどうかをテスト

 内在化障害であるかどうかは、専門の医師が60~90分ほどの問診を行なって診断するのが標準的なやり方だ。

 これを観察していたアメリカ・バーモント大学の生物医学工学者、エレン・マクギニス氏は、多くのパターンを機械学習で訓練したAIでやれば、もっと素早く確実にできるのでは? と考えた。

 そこで、3歳から8歳の子供71名に3分間の物語を考えてもらうという課題に取り組んでもらった。

 実験前、子供たちには物語の出来の良し悪しが評価されると伝えられる。評価者である実験者は常に厳格な口ぶりで、中立か悪い評価しか与えないことになっていた。

 また彼らが物語を語り始めてから90秒経過後と150秒経過後にいきなりブザーが鳴り、残り時間が告げられた。

 これは「トリーアの社会的ストレス課題」と呼ばれる手順を応用したもので、わざと子供たちが不安やストレスを感じるように設計されていた。

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Onoontour/iStock

子供の声ににじむ不安の検出に成功

 実験中、子供たちの声は録音され、それを機械学習で訓練したAIで解析。その子供に内在化障害の兆候が見られるかどうかを予測してみた。

 するとその結果は、実験後なされた標準的な内在化障害の診断結果とぴったり一致していたのだ。

 AIは内在化障害を80パーセントの精度で言い当てた。しかもそれを子供たちが課題を終えてからわずか数秒という迅速さで行うことができた。

声に潜む内在化障害の兆候

 AIが検出したのは子供たちの声に現れていた8種の特徴だ。特に目立っていたのは「声の低さ」「抑揚の変化や繰り返される内容」「突然のブザーに対する声色の高まり」の3つだった。

 マクギニス氏によると、こうした特徴はうつを患う人にも共通して見られるものだという。

 たとえば、うつの人は抑揚のない調子で、同じ内容を繰り返し話すことがあるが、それは今回AIが感知した声の低さや繰り返される内容となって現れていた。

 ブザーに驚いて声が高くなるのも同様だ。内在化障害の子供たちは、恐怖を喚起させる刺激に対して強く反応する傾向がある。

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LSOphoto/iStock

より手軽で優れた診断法へ向けて

 内在化障害を早期に的確に発見できれば、子供の脳はまだ発達段階にあり治療に対してもよく反応してくれる。一方で見過ごしてしまうと、取り返しのつかない場合もある。

 大切な治療の機会を逃すことのないよう、簡単にできて、それでいて確実なテストが求められる所以だ。

 これまで、AIで体の動きを解析することで、正確に内在化障害を診断することに成功していたが、この方法は、子供にモーションセンサーを着用させた上で暗い部屋に入ってもらい、おもちゃのヘビなどで驚かせてみるなど、手間がかかるという欠点があった。

 今回の声による診断なら、ただ音声を録音し、ブザーでびっくりさせればいいだけなので、手軽にできるというメリットがある。

 今後マクギニス氏らは、もっと簡単にこうした診断が行われるよう、スマホのアプリ開発を目指す予定だそうだ。またモーション解析と組み合わせる方法についても検討しているという。

 この研究は『Journal of Biomedical and Health Informatics』に掲載された。

References:UVM Study: AI Can Detect Depression in a Child’s Speech | UVM Today | The University of Vermont/ written by hiroching / edited by parumo

追記:(2019/5/ 10)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. × 内向性障害

    ○ 内在化障害

    内向性障害なんて用語は存在しない
    医学用語は造語をしてはいけない

    • +3
  2. 診断の機械化が進めば便利だな。家の中でもネットを介して診断できるようになりそう。わざわざ大したことない病気で病院にいく事もないのがいいね。

    • +7
  3. テストを受けることで
    余計にウツになってまうよ

    • 評価
  4. AIが察知しても解決できない親も多そうというか、小児鬱はそもそも親の問題が大きそうだからなぁ。
    こんな事もコンピュータに頼るのってなんだか情けない感じもする

    • +6
    1. ※4
      家庭内の問題だからこそ発見が遅れやすいし診断が難しい。
      機械という第三者を通して風穴を開けて問題視させるのが目的かなと思った。
      弱者ほど自ら助けの声をあげないので、これは児童虐待の早期発見ツールとして期待したい。

      • +18
      1. >>8
        「弱者ほど自ら助けの声をあげない」ってすごくいやらしい言い方だと思った。
        まず自分も弱い立場に落っこちる可能性があるって現実を無視してるところが傲慢に聞こえる。自分をこっち側、被虐児をあっち側に置いて見下してるみたい。弱者って言葉がもう上から目線でいやらしい。誰だって明日車にはねられれば明後日から弱者なのにね。

        あと、助けを求めても余計にややこしくなるから耐える方を選ばざるを得ない人が大半だと思うのに、当人の怠慢や能力不足にすり替えてる感じ。はねた車の持ち主がVIPだったら声なんか上げても拾ってもらえない、上げ続ければ狂人扱い、知性があれば黙らざるを得ない。心愛さん事件からもっと学ぶべきだと思う。

        • +2
    2. >>4
      確かに情けないね。大人の側の教育力が低下してる
      ただ、学校教師に反抗だと誤解されて叱責されることがなくなるだけですごい楽になるんじゃないかと思う

      • 評価
  5. 人の目で見たほうが早いでしょw
    よっぽど偏った環境でもない限りこどもの気分なんて結構すぐ変わるし

    • -16
    1. ※5
      わからない親というのが存在して、その親の子供が病気になったら、という話だと思うよ
      子の様子がわからない親でも子供を大事にしたいという気持ちが無いわけじゃない
      こういったツールで子の異常を知り、対処できるならどんどん使えば良い

      • +10
    2. ※5
      人間が診察すれば専門医で60~90分ほど要するのが
      3分+数秒で簡易チェックできるって話でしょ。

      そんな1時間以上かかる診察を子供に受けさせるのは
      よっぽど疑いが強い段階でないとなかなかだけど、
      AIで3分なら、リスクの高い子(発達障害などで
      クラスから浮いていて二次障害を起こしやすい子など)を
      定期健診として全員スクリーニングに掛けたりもできる。

      あと、「見れば分かる」と言うが、小児鬱って
      成人の典型症状と違って、落ち込みとかでなく
      いつもやたらと苛立ってたり
      些細なことに過敏反応して攻撃的だったり
      妙なテンションで過活動だったり
      といった、一見 鬱とは正反対の言動で表れることもあるよ。

      • +5
  6. 意識して見れば分かると思うけど
    落ち込んでるとか分かってもそれが病気かどうか判断できる親はそういないかも
    あと親じゃなくて学校とかで判断できるってのがいい日本ではやらないだろうけど

    • +6
  7. これを欺くような知恵を付けた子が増えるとしか。

    会社のストレスチェックの結果がね、深刻なストレスを感じてる社員はいないんだって!!
    (゜∀。)(゜∀。)

    • -1
    1. >>7
      機械での検知方法を理解出来るようにならないと無理な方法が使用されると思います

      以前TAKARA TOMYがバウリンガルやニャウリンガルを販売してましたが
      対象の生き物には元から言語を持ちません
      感情の表現を音に出してる事を利用して音から感情を推測して表示するように出来ています
      人間にも適用可能だったので同社が人間の嘘を見抜く為のストレスレベルを表示する機械を作りましたとさ

      • -5
      1. >>14
        確認したところTAKARA TOMYは販売はしてたけど作ってはいなかった

        失礼しました

        • 評価
  8. この実験子供達の自由な創造力に少なからず悪影響を与えそう

    • 評価
  9. 医療診断のAI化が進めば医師の思い込みによる目に見えない誤診も減るかも。

    • +6
    1. ※10
      医療のAI化は怖いなぁ・・・
      バグがあったらとんでもないことになってしまう

      • -4
    2. ※10
      もうAI診断はだいぶ進んでいて、最終診断を医師がするようにする予定だそうです。
      AI診断の途中経過を見れるようにして、参考にするそうですよ。

      • +1
  10. 本題はさておき、こうやってAIに管理される社会になって行くんだなぁ

    • +1
  11. 本題に関係ないのだが、一番最初に出てくるサムネ用の写真、女の子が壁にもたれ掛かって座り、右手で顎を支えてるんだと思うが、その手が骨張っててスジスジ・・・ちょっと怖い。
    そういう意味では一見なんの変哲も無い子供だが・・という本題にピッタリだが・・

    • 評価
  12. 言葉で伝えにくい子どもにだと素晴らしい話に思えるけど
    こういうのは面接で求職者に使えば、メンヘラ除けなり
    メンタル弱い人を振り分けるツールにされるよね

    • -1
  13. AI診断怖いとかいうけど、精神科やメンタルクリニックの世話になった身で言わせてほしい。
    先生によって大した事ないだろとか、いい年して…って時に言われ診られるくらいならAIに短時間で適切な診断してほしい。

    • +2

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