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大きな息子スティックを持つヤドカリほど、上等な貝殻を身につけている。その理由とは?(米研究)

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 人間にとって、自分の殻から抜け出すということは、自己実現ヘ向けた旅の始まりだ。

 だがヤドカリにとって、自分の殻から抜け出すということは悪夢の始まりだ。万が一、貝殻が盗まれてしまい、代わりの貝殻が見つからなかったら、そこにあるのは「死」のみだからだ。

 その為の適応進化なのかどうかはわからない。だが、巨大な息子スティックを持つヤドカリほど、豪華な貝殻を身に着けていることが判明した。

大きい”ブツ”のヤドカリほど立派な貝殻を身に着けていた

 アメリカ・ダートマス大学のマーク・レイダー博士は、国立自然史博物館で、近縁種間で見られる大量のヤドカリのバリエーションをくまなく調査していたところ、不思議なことに気が付いた。

 もっとも上等な貝殻を持つ個体は、もっとも大きな”ブツ”(息子スティック)を持っていたのだ。

 これは、一番危険でリスキーな瞬間に貝殻を失わないための適応なのかもしれない、と博士は考えた。一番危険でリスキーな瞬間とは、すなわち交尾のことだ。

交尾時に貝殻を一部脱がなければならないヤドカリのオス

 ヤドカリが交尾をするとき、オスは貝殻を少なくとも部分的には脱がなければならない。「精包」という精子がつまった包みをメスに取り付けねばならないからだ。

 ヤドカリの交尾で体内受精は行われないが、それでもメスの貝殻に用を足さねばならない。そのためにオスは自分の貝殻から出る必要があるのだ。

 だが交尾中に脱ぎ捨てられた貝殻を盗んでしまおうと狙う盗賊がいる。

 貝殻が上等(広い、軽い、内部がなめらかにカーブしている)であるほど、それを欲しいと思う輩は多く、時には交尾相手のメスが盗もうと画策することもある。

 メスならそうした上等な貝殻のほうが卵をたくさんを抱えることができるし、オスなら”ブツ”を大きく成長(生殖能力を示すサインとなる)させられるからだ。

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貝殻の奪い合いは日常。ヤドカリの策謀ライフ

 盗賊ヤドカリは自分の貝殻から飛び出して、獲物に滑り込む。そして具合が良ければ、そのまま逃走してしまう。

 しかし、その間、もともと持っていた貝殻をしっかりと握っておかねばならない。上等に見えた貝殻が案外大したことがなかった場合、また元に戻る必要があるからだ。

 こうした行為は交尾のときになされることもあるが、特に何もしていないのになされることもある。

 彼らの社会生活はどこか根比べのようで、どこか策謀的でもある。誰かが弱って倒れていたりすると、ほかのヤドカリがそれを乗っ取る。ときには寄ってたかって、住人を貝殻から引きずり出すこともある。

Amazing Crabs Shell Exchange | Life Story | BBC Earth

大きな”ブツ”ほど自分の貝殻を守れる

 だが、そのヤドカリの”ブツ”が大きければ、盗まれる危険を少なくできる。”ブツ”が大きければ、交尾の最中に自分の殻から遠くまで離れなくてもいいからだ。

 レイダー博士はこのことを確かめようと、オオヤドカリ属の仲間328種を対象に、”ブツ”と体のサイズの割合を実際に測ってみた。

 すると上等だが脱ぐことができる貝殻を持つヤドカリは、確かに”ブツ”が長い傾向にあることが判明したのだ。

 したがって、大きな”ブツ”は、安全に交尾が行えるよう形態学的適応をした結果であると考えられるのである。

Social Networking by Hermit Crabs

巨大な”ブツ”は適応進化か?

 この仮説は、フジツボの”ブツ”と体の大きさの割合が動物界で最大であるというダーウィンの観察に立脚したものだ。

 ダーウィンは長い”ブツ”について、「交尾の射程」を伸ばし、「生態学的チャレンジを克服」するために起きた適応として進化したものではないかと推測した。

 強い自然選択圧力によって導かれたこのシナリオのことを、レイダー博士は「私有地のための秘部」仮説と呼ぶ。

 大きくて、内側がすり減った貝殻は、どんな大きさでもぴったり収まるために盗まれやすい。しかも失えば種によっては24時間以内に死んでしまうほど大切なものだ。

 そのために、こうした貝殻には、盗まれにくいよう「たいそうご立派」な”ブツ”を持つヤドカリが収まるようになったというわけだ。

 この研究論文は『Royal Society Open Science』に掲載された。

References:Improbable Research ≫ Blog Archive/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. 立派な殻に住んでいるヤドカリを見たら引きずり出してやるからな!

    • +16
    1. ※1
      ヤメロ。
      引きずり出されない様、ハサミまで強力に発達したらどうする。

      デカいブツと強力なハサミ・・目も当てられねえ。

      • +1
  2. ヤッてる最中にパンツ盗まれるようなもんか

    • +16
    1. >>2
      ヤドカリ的にはヤってる最中に家を盗まれたくらいのショックだと思う

      • +26
  3. 生殖って生物の史上の命題だからね。人類ももっと必死になっていいのよ

    • +2
  4. ああ、これナショナルジオグラフィックで読んで、カラパイアに載りそうな案件だな~と思ってた

    • +25
  5. せっかくの上等な貝殻見つけても盗まれたら甲斐がら無いね

    • +11
  6. ブツが大きいと立派な殻を確保でき、立派な殻を持っているとさらにブツが成長する、つまりもともと持ってるやつはどんどん殻もブツも立派になり、持ってないやつはずっとこじんまりしたまま、なのか・・・?切ないな・・・

    ところでカラパイア記事における息子スティックと娘フラワーの出現率は25:1ぐらいな気がするんだが、パルモ姐、どうなの?

    • +28
    1. ※6
      そこはほら、性差として・・・ね。
      男性スタッフを入れてくれとお願いするか?ただカラパイアの雰囲気のまま娘フラワーの記事をかける人がいるだろうか。
       
      ところで、同じヤドカリの仲間のヤシガニとかタラバガニとかのブツはやっぱりデカいんだろうか。

      • 評価
  7. この記事を読んで、「やっぱり僕はオスとしての生存能力が低いんだなぁ・・」と、心から再認識させていただきました・・(涙)。

    • +18
  8. 先天なのか後天なのかどちらかよくわかんねぇな
    この博士はどちらと考えてるんだろう

    • +4
  9. 交尾の射程を伸ばすとかいう面白くも真面目な現実

    • +11
  10. ヤドカリに劣等感を刺激されるとは…。

    • +11
  11. アルソックとトステムに電話してくる・・・

    • +2
  12. ブツじゃなくて息子スティックと言い続けて欲しかったカラパイアファンです

    • +16
    1. ※16
      激しく同意w
      私もそんなカラパイアファンです

      • +2
    2. ※16
      ヤドカリの身体のサイズとブツのサイズ比からして、
      どう見てもスティックじゃ無いからとか。

      • 評価
  13. ナショジオ的には正確にはオカヤドカリだよね。殻を失い体が乾燥すると一日で死ぬ恐れがあるとか凄まじい。

    • +4
  14. 結局ブツのデカさで勝敗が決まるとか夢も希望もねえな。

    • +10
  15. こう言うの見る度に思うが
    発見した人ホント凄いわw

    • +12
  16. 俺は豪華なパンツ履いてるんだが中身のブツが・・・

    • +6
  17. ヤドカリにとって理想的な形・材質の貝殻を3Dプリンターで作って放り込んだりしたら、奪い合いが始まったりするんだろうか……ちょっと見てみたい

    • +4
  18. よく漫画やアニメなんかで「モノの所有で争うのは人間だけだ…」っておセンチなセリフでるけど結構そうでもないよね

    • +9
  19. つまりスーツを半脱ぎ状態で頑張るとスーツを盗まて悲しいことになるけども、スティックが長いとチャック下ろすだけで済む、みたいな感じですね!(たとえがヤバいかもと書いてから気づくものの、そのままパルモさんに委ねてみる)

    • 評価
  20. 俺の棲み家は狭いが、心は広いぞ。
    ブツのサイズなんか、か、関係ねえ。

    • +2
  21. 何言ってんだ ブツとか分かりにくい書き方するんじゃねーよ 

    • +1
  22. 何年も見てるワードだしいい加減慣れようと思うのに、何回見ても息子スティックというしゃかりきパワーワードで笑ってしまう。

    • 評価
  23. 動画見たけどどれがちん。。いや息子スティックかよくわからなかった

    • 評価

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