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隕石の衝突によって作られた砂漠のガラス「リビアングラス」

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(著) (編集)

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image credit:PUBLIC DOMAIN
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 今から2000万年前……中新世が始まって300万年が経過し、インドとアジアが衝突、今日に知られる壮大な山脈が生まれ始めた頃のこと。

 海にはケルプの森と褐藻類が出現し、急速な多様化が進行。ヨーロッパやアフリカでは、初期の類人猿が100種ほど地上ではしゃぎまわっていた。

 そんな時代、北を地中海、東をエジプトに面するアフリカのリビアは、地質学的な奇跡を目の当たりにしようとしていた。

 約100万平方キロに広がるリビア砂漠(サハラの一部)が、カラメル化して霞のような緑に輝くガラスになろうとしていたのである。

 それはリビアングラスと呼ばれる貴重なもので、形成されてから悠久の時間を超えたのちに、ツタンカーメンの墓から発掘された。

すさまじい隕石の爆発によって形成された砂漠のガラス

 リビアングラスの価値の由来はその最初の奇跡にある。

 アメリカ・コーニングガラス美術館のジェーン・クック博士によると、ガラスは、「材料が正しく混ざり、それが熱せられて、急速に冷却」されたときに形成されるという。

 しかしリビアングラスの場合はずっと複雑だ。

 「およそ2000万年前、隕石が衝突したか、大気の低いところで爆発したかして、砂漠が加熱、粉砕、爆発」した。

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istock

 その膨大な熱は、比較的純度の高いケイ砂でできた砂漠に降り注いだ。砂はあっという間に融解し、そしてすぐに冷えた。あとに残ったのがリビアングラスだ。

 「ほぼ純粋なケイ土だったために、結晶化することなく固まった」とクック博士は説明する。

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リビアとエジプト国境沿いに広がるグレートサンドシーで発見されたもの。重さ22グラムで、幅55ミリ

image credit:H. RAAB/(CC BY-SA 3.0)

ツタンカーメン王の墓から発掘

 1922年、イギリスの考古学者ハワード・カーターは、ツタンカーメン王の財宝を発掘調査していたとき、太陽神ラーを象った胸当てを発見。その中央には黄緑色をしたスカラベがはめ込まれていた。

 スカラベは古代エジプトでは神聖なシンボルであり、宝石を彫刻して作られるのが普通だった。

 しかし、胸当てを製作したエジプト第18王朝では、貴重なリビアグラスが使われていた(このことは、1998年になってイタリアの鉱物学者ビンチェンツォ・デ・ミケーレによって確認された)。

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ツタンカーメン王の墓で発掘された胸当て。中央のスカラベはリビアングラスで作られている

image credit:PUBLIC DOMAIN
 隕石の衝突で作られたガラスはほかにも存在するが、リビアングラスは「もっとも素晴らしい」と広く認知されている。

 しかも、ガラスを作る方法が”発明”されたのが紀元前1500年頃であることを考えると、2000万年前の透明な物質がとんでもない貴重品で、王の胸当てにふさわしいと考えられたのも頷けるだろう。

大昔からの贈り物は現代人の心も魅了する

 大昔、リビア砂漠に落下した破壊的な隕石は、そこに含まれていた物質が分解して融解したケイ土に混じり、リビアングラスの色と透明度に影響を与える。

 その色は、曇ったダークブラウンから鮮やかなレモンイエローまでさまざまで、現在でも見つかる。

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さまざまな形状や大きさのリビアングラス

image credit:CORNING MUSEUM OF GLASS
 それはリビア砂漠の数10キロの範囲に点在する。それだけ爆発が大きかったということだ。「かなり離れた広大で、人里離れた範囲をガラス化」したのだろうとクック博士は話す。

 それから長い悠久の時が流れた今現在も、人々は古代エジプトのファラオを飾ったそのガラスの破片を掘り続けている。

References:How a Meteor Crash Formed Stunning Desert Glass – Atlas Obscura/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. いくつか持ってる。
    カットしたペンダントもいいが、天然のままのラインの綺麗なこと。

    • +13
  2. 高熱でガラス化した砂漠はその昔
    「古代核戦争の痕跡」などと言われていた気がする・・・

    • +16
  3. ピラミッドの建造費これで払われてたんじゃね?

    • +2
  4. ミネラルショーで買おうと思って選んでたら背後にいちゃん達の「どう言ってもガラスだしな、」の会話が聞こえてきて目が覚めた。

    • +2
  5. すごい話だな。胸当てのガラスは加工した
    ものだったのか。ガラスは硬いんだが、何で
    削ったのかな。

    • +6
    1. ※7
      ですよね。
      でも、彼等は花崗岩にすら精密加工を施してますから、可能だとは思うんですよ。

      ただ、それを銅と石ころで成し遂げたなど、さらさら信じる気にはなれないんです。

      • +2
  6. テクタイトとモルダバイトなら持ってるなあ

    • +4
  7. サン・テグジュペリが砂丘の上で見つけた涙型の黒い石について書いているけれども隕石そのものではなかったんだな。

    • +4
  8. うわー…すごいな…
    これって、テクタイトとは別なのかな?
    それともリビア産のがリビアングラスと
    呼ばれてるだけなのかな?

    • +2
  9. 古代核戦争って書きにきたら、もうたくさん書かれてたw
    それにしてもすっごくきれいだな。
    削らないで、そのままの形を生かしてアクセサリーにしたい。

    • +3
  10. リビアに行ったのに知らなかった。お土産屋にもなかった。だいたいリビア人はあんまりお土産で儲けようという気がなかった。 

    • +2
  11. リビアングラスとローマングラスはほしい物リストに入ってる!

    • +1
  12. リビアングラス、パワーストーンの店でもめったに見ないね。やっぱり貴重なのか…

    天然ガラスといえば、アンダラクリスタルとかいうのがスピリチュアル界隈で持て囃されてるね
    発見エピソードや効能とやらが電波過ぎてアレなんだが、
    アンダラクリスタルって宝石自体は実在するのか?

    • +1
    1. ※18
      本人が貴重だと思えば貴石、宝のように思えば宝石では?
      アンダラクリスタルはぐぐっても、宝石としては、私の信頼に足る情報は見当たりません。透明なので玉ではないですね。
      言ってはアレですけど、アンダラクリスタルは色ガラスの破片に見えます。綺麗ですけどねー。

      • 評価
  13. 子供の頃に海岸で見つけた、侵食されて角が丸くなったガラス片を思い出した
    それの天然版って感じだ

    • +2
  14. 最近では隕石が原因って事にさせられてるのか

    • 評価

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