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シベリアの北極圏、ヤマル半島にある世界最大の自然の冷蔵庫「氷のトンネル」

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(著) (編集)

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 シベリアの北西部に、北極海に向けて突き出したヤマルという半島がある。「ヤマル」とは、地元の言葉、ネネツ語で「世界の果て」を意味するそうだ。

 伝統的なトナカイの遊牧が行われている地域であり、また、数年前には謎の陥没穴も発見されている(関連記事)。

 さて、このヤマル半島の付け根付近、オビ川の河口近くにあるのがノヴィ・ポルトという村だ。人口が2千人に満たないこの村の地下には、「世界最大の自然の冷蔵庫」と言われる氷のトンネルがある。

 しかし、陥没穴とは違い、このトンネルは人造なのである。実に「冷蔵庫」としての需要を満たすために造られたものなのだ。

水産加工業の発達

 ノヴィ・ポルトは、1920年代に北極海航路の中継地として設立された村だ。航行する船に燃料の石炭を補給する港であった。

 その後、魚の加工工場が建設され、村の主要産業は水産加工業にシフトした。ノヴィ・ポルトで加工された北極海の魚は、主に西ヨーロッパへ向けて輸出された。

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image credit: Amuzing Planet

 だが、ひとつ問題があった。シベリアの「世界の果て」とはいえ、夏場はそれなりに暖かくなる。7月~8月の平均気温は10℃~12℃だ。人間にとっては十分涼しいが、水揚げされた魚は傷んでしまう。

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image credit: Amuzing Planet

永久凍土でできた極大の冷蔵庫

 そこで、1940年代から1950年代にかけて、魚の貯蔵用に造られたのがこのトンネルだ。”Мерзлотник(Merzlotnik)” と呼ばれている。

 「永久凍土の穴」といったような意味になるらしい。ヤマル半島の地表の下には、一年中凍ったままの永久凍土層があるのだ。

 トンネルの中は永久凍土層によって一年中-12℃前後に保たれている。長さは1kmを超え、細い側道や貯蔵用の横穴が200ほど付属しているのだ。総床面積は7,000平方メートルで、2,000トンの魚を貯蔵しておける。

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image credit: Amuzing Planet
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image credit: Amuzing Planet

 この大きなトンネルを切削するのに使われたのは、ツルハシをはじめとする手持工具だ。スターリン時代、シベリアへ送られた人々が労働力とされ、10年かけて凍った土を削っていったのである。

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産業が移り変わっても

 ノヴィ・ポルトの現在の主要産業は石油だ。ヤマル半島で石油とロシア最大量の天然ガスが発見され、ノヴィ・ポルトでも石油の輸出を行うようになったのである。

 だが、「天然の冷蔵庫」は今も現役だ。2008年には、「ヤマル半島の地域的重要記念物」というステータスを授与されている。

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image credit: Amuzing Planet

References: Amusing Planet / Wikipedia など / written by K.Y.K. / edited by parumo

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. どーせソ連がシベリア送りにした連中でも使ってんだろwと思って開いたらマジだった

    • +10
  2. 「シベリア送り」がシベリアの木の本数を数える仕事や穴をほって埋める作業だけじゃなかったんだなあ…

    • +2
  3. このあたりにはオビ川って言うデッカイ川が流れてて、その流れを変えて肥沃な土地を作ろうとソ連人たちが頑張ってた時期があったんだけど、結局うまくいかずに放棄しちゃったみたいだね、終いには水爆まで使う計画だったらしいよ。

    • +4
  4. 氷属性のキャラの最強装備が手に入る
    ダンジョンでしょ?

    • +3
  5. 此処で亡くなった日本人も居るんだろうか

    • +4
  6. こういう自然を利用した施設は、なんかワクワクする。他にも地熱を利用してパンを焼いたり、温泉の湯気で蒸し物を作ったりが、個人レベルで日常的に利用できるとかね。日本でも、廃線した鉄道トンネルの安定した温度を利用したワイン貯蔵庫は見たことがある。

    • +4
  7. シベリアが地の果てなら日本は、地の果てのその先、ということになるな。

    • +1
  8. ワインやお酒の保管場所にもよさそうだ
    個人的には削りまくって酒の氷や割る水にしたい

    • +1
    1. ※10
      マイナス12度だから、ワインや酒の保管は無理だと思う。長野の酒屋へ入った時に、商品が全部冷蔵庫に入っていて驚いたことがある。閉店後に暖房を切った後に零下になることがあり、瓶が割れたり品質が変わるのを防ぐためだそうだ。

      • +5
      1. ※11
        雪国だと、凍らせない為に冷蔵庫に入れるから。
        暖房の無い廊下なんかに飲料の缶出して置くと後で後悔する位。

        • +4
  9. トーホグ地方の冬場は
    気温よりも冷蔵庫の方があったかい
    食糧が凍らないようにする為に仕舞っておく

    • +3
    1. ※12※13
      つまり「温める」ために「冷蔵庫」に入れるんですよね。

      • +1
  10. これだけ貯蔵できると、災害時食糧には困らなくていいなあ。

    • +1

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