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大型ハドロン衝突加速器(LHC)で新たなる粒子、”チャーミング”重粒子が発見される

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(著) (編集)

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 世界最大の加速器によって発見された新種の粒子は、二重のチャームを持つ存在を示唆している。

 スイス、ジュネーブにある大型ハドロン衝突加速器(LHC)で陽子を光速に近い速度で衝突させた結果、Ξcc++(グザイccダブルプラス)が出現した。

 2つのいわゆるチャームクォークによって構成される粒子の発見は、粒子物理学の主要な理論である標準モデルの予測の正しさを裏付けるものだ。

粒子に新顔が仲間入り

 Ξはバリオンという3つのクォークから構成される亜原子粒子だ。バリオンで最も有名なのは私たちの周囲にあるものを作り上げる陽子と中性子だろう。

 クォークには6種類あり(フレーバーと呼ばれる)、それぞれをアップ、ダウン、チャーム、ストレンジ、トップ、ボトムという。このフレーバーの組み合わせと数が変わることで、バリオンの質量と電荷が変わる。

 Ξは重い。欧州原子核研究機構(CERN)によると、チャームクォーク2つとアップクォーク1つで構成されており、3,621メガエレクトロンボルト(MeV。E = mc2を用いてエネルギーを質量に換算できるため、粒子の質量はエネルギーで測る)を持つ。

 ちなみに、陽子はアップクォーク2つとダウンクォーク1つで構成され、938MeVだ。

 Ξはほんの一瞬しか存在しないため、直接見ることはできない。ゆえにΞの崩壊生成物からその存在が特定された。つまりΞが崩壊して残すラムダ粒子、3つのK中間子、2つのパイ中間子だ。

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ついに発見された粒子

 Ξccの存在は以前から予測されていたが、その質量が不明で、理論予測が正しいものなのかどうかは分からなかった。今回の発見で理論的な正しさが確かめられた形だ。2014年に理論的な質量について述べたシカゴ大学のジョナサン・ロズナーが計測した質量は3,627MeVで、理論上の3,621MeVとかなり近い。

 実は2002年にフェルミ研究所の実験でΞが発見されたかに思われたが、これは予測より100MeVも低い数値であった。仮にLHCでも同様に質量が軽いことが確かめられれば、標準モデルにどこか誤りがあると考えざるをえなかった。しかし、今回の発見で、またもや標準モデルは生き延びることができたわけである。

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チャームを持つ存在

 この発見は、2つ重いクォークで構成されるバリオンが実際に存在することも証明した。これまでの実験では重いクォークを1つ持つ粒子なら確認できたが、2つのものは未発見で、それが存在するかどうか確かなことは不明であった。Ξのようなバリオンは2つのチャームクォークを持つため、”ダブルのチャームを持つ(doubly charmed)”と呼ばれている。

 またΞが重い仲間を”軌道”する(クォークは量子力学に従う物体であるため、野球ボールのような位置は持たない。ゆえに厳密には正しい説明ではない)軽いアップクォークを残すことも不思議である。3つのクォークが互いの周囲で凝ったダンスを踊る他のバリオンと対照的に、二重に重いバリオンは恒星系のような挙動をすると予測される。つまり2つの重いクォークが重い恒星のように互いの周囲を旋回し、軽いクォークがその連星の周りを軌道するといった具合である。

 さらに4つの基本相互作用の1つである、強い相互作用についても新しい知見をもたらすことだろう。これが強い相互作用を説明する量子クロモ力学を解き明かす貴重なツールになるからだ。

 発見の詳細は『フィジカル・レビュー・レターズ』に投稿された。

via:cern / livescienceなど/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 27件

コメントを書く

  1. これは素晴らしいね。
    今までの実験では得られなかった強い力の観測値が得られるわけだ。
    物理学も完成に一歩近づくね

    • +4
  2. そしてそれが、チャーミング人類誕生の序曲であった。
    (ゲデヒトニスの記録より)

    • +4
  3. 1段落読むごとに前の段落の内容が飛んでいく

    • +35
  4. ラージ、ハドロォォォン、コライダァァァァッー!!!

    • 評価
  5. コードギアスネタがないとはオマエラも偉くなったもんだ。

    • -1
  6. 記事にもあるけどuudの組み合わせで電荷2/3・2/3・-1/3で1になって陽子。
    uddの組み合わせが2/3・-1/3・-1/3の0で中性子。
    いずれも一番低いエネルギー状態での組み合わせ、
    「チャーム」「ストレンジ」クォークは二世代目、
    宇宙全体がもっと高密度高温だった頃にはこの記事の粒子が普通に存在できた筈だ

    • +4
  7. チャーミングな粒子さん キスさせてぇ~ いいじゃないのさ~ 何故、逃げるのよぉ~♪

    • 評価
  8. 量子クロモ力学て聞いたことなかったけど量子色力学のことなのね

    • +2
  9. ある意味間違っちゃいないんだけどMeVはミリオン電子ボルトじゃなくてメガ電子ボルトですね。

    • +8
    1. ※20
      書こうとおもったら、すでに書かれてた

      • 評価
      1. ※26
        日本でこの手の記事ではたいてい単位が GeV 、ギガエレクトロンボルトなんですね。  MeV は理解できますけど、初めて見ました。

        • +1
  10. 超高エネルギー粒子を合成する事に成功したって事
    コレが直接、関節に生活の役に立つかどうかは、これからの科学発展にかかってる

    • +1
  11. 通常STP状態では存在不可能なだけで、環境さえ整っていれば存在可能…
    太古の宇宙、万物創生の謎の解明に近付いたと観るべきか、
    踏み込んではいけない危険領域の緒の末端を掴んだと観るべきか一般人である自分には分かりかねますが、この世界の全ての物(レプトン、ハドロン、グラビドン、フォトン等で観測可能な物質に於いて)について、それらが現出した理由、発生の仮定が解明されるのは面白そうだな、と思います。

    • -2
  12. それって凄い事なのかな?
    何て言うか… 自分のようなお馬鹿さんにも分かるように
    噛み砕いて説明してはもらえませんでしょうか?
    まあ… 今度でかまいませんが…

    • +4
  13.  Ξ(グザイ)というギリシャ文字が、どうしても、文字に見えない、猛暑の日。

    • +4
  14. フォトン プロトン シンクロトロン
    科学は恋より素晴らしい

    • 評価
  15. 占星術をマスターする者はその研ぎ澄まされた五感により、タンスの角に足の小指をぶつける事もなく、達人ともなればむしろタンス小指に恐れをなし、貴金属に肌も負けない

    • 評価
  16. 「チャーミング人類」ですよ、ドロッセルお嬢様。。

    • +2
  17. MeVはたぶんメガエレクトロンボルトですよ!

    • 評価

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