昨今続々と地球に似た環境の惑星が発見され話題を呼んでいるが、またしても興味深い惑星の正体が明らかとなった。
海王星と同じくらいの大きさの太陽系外惑星から大量の水(水蒸気)が発見されたという。その惑星の名は「HAT-P-26b」。430光年先の恒星をぴったりとした軌道で公転する2011年に発見された惑星だ。 ある惑星が恒星を公転している場合、惑星が前を通過するために恒星の光が定期的に陰る。これが惑星が存在する証拠になる。そして通過するとき、光は惑星の大気を通り抜ける。その光を分析することで、大気の組成を知ることができる。ハッブル望遠鏡でHAT-P-26bの4度の通過を観測した結果、そこに大量の水が含まれていることが判明したのである。
暖かい海王星、「HAT-P-26b」
地球以外の惑星の大気から水が発見されたのはこれが初めてではない。実際、木星・土星・海王星・天王星という太陽系内の巨大ガス惑星のいずれからも発見されており、太陽系内ではかなり一般的だ。しかし太陽系外惑星の大気から水を検出することはその距離ゆえに難しい。通常、外惑星の大気データを得られたとしても、それは木星のような大きな惑星のものだ。
HAT-P-26bの場合、もっと小さいという点で画期的である。海王星と同じくらいの大きさと質量で、恒星にずっと近いことから、いわば「暖かい海王星」と例えることができる。
HAT-P-26bは巨大ガス惑星
海王星と同じく、HAT-P-26bは巨大ガス惑星だ。ゆえに水が存在したとしても、おそらく生命はいないだろう。
しかし水分の含有量から惑星大気の組成も窺うことができる。そして、どうやら重元素(水素とヘリウムよりも重い元素)があるようなのだ。
重元素の豊富さのことを金属量といい、そこから惑星形成の手がかりを得ることができる。それによれば、HAT-P-26bは今よりも恒星に近い場所で形成されたようである。
惑星の大気に含まれる重元素の豊富さを表すためによく太陽が引き合いに出される。太陽よりも重元素を含む惑星なら金属量が多い。その反対なら少ない。HAT-P-26bの場合、太陽の4.8倍の重元素しか持たず、太陽系の金属量の標準よりもかなり少ないと考えられる。
HAT-P-26bの金属量は木星に近い
意外にも木星や土星のような巨大ガス惑星は太陽より重い元素をそれほど多く持たない。木星の金属量は太陽の5倍、土星は10倍である。一方、海王星や天王星のようなより小さな巨大ガス惑星の金属量は太陽の100倍。HAT-P-26bの金属量は木星に近いことになる。このことから、HAT-P-26bはそれが属する恒星の側で形成されたと推測される。太陽が誕生したとき、その周囲は回転する熱いガスと瓦礫の円盤に囲まれていた。円盤の太陽から離れた部分は非常に温度が低く、やがて氷となる――この氷はより重い元素が豊富であった。
このために海王星や天王星のような太陽から遠く離れた巨大ガス惑星は、金属が豊富な氷を大量に含んでいる。おそらくより太陽に近い場所で形成されたと思われる木星と土星は、そうした氷が少ない。HAT-P-26bも後者に似ていると考えられる。
だが、これはあくまでHAT-P-26bの大気で観測された水の量に基づく推論である。それだけで金属量を推測するには注意が必要であると主張する専門家もいる。かならずしも間違っているわけではないが、確証を持つには至らないかもしれない。
大気の研究が異星人遭遇のカギ
それでも水の量は有力なデータで、太陽系外惑星の大気を詳細に調べることで、その表面についても理解を進めることができる。HAT-P-26bは生命を宿す環境ではないかもしれないが、それに適した他の惑星があるかもしれない。大気の研究を進めるほどに、生命に適した大気とその組成を持つ太陽系外惑星の発見に近づくのだ。太陽系外惑星の見つけ方は確立されている。それはもうルーチン作業になっている。次の段階は、そこに大気があるかどうか知ることだ。現時点において、それは木星のような惑星ではルーチン作業である。次の段階は、もっと小さな惑星での作業をルーチン化することだ。
そのための強力なツールがもうじき手に入る。来年、NASAはハッブル宇宙望遠鏡の後継機とみなされるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を打ち上げる。これが稼働すれば、これまでは不可能だった太陽系外惑星の詳細な観測を行うことができる。HAT-P-26bの大気について、さらなる詳細なデータも入手されるに違いない。
via:spitzer・spaceref・express.・thevergeなど
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コメント
1. 匿名処理班
人類がたまたままだ発見できてないだけで、生物がいる天体は珍しくないと思う
2. 匿名処理班
宇宙の広さて、高度な文明を持つ星を見つけるまでに数万年かかるくらい広いのかもね…。
3. 匿名処理班
※1
いわゆる人間型の存在する確率は非常に低いといわれています
現在考えられてるものは細菌とかアメーバタイプであり
水以外の液体内で生きていけるものみたいです
ただ現在の学者の考えてることですし、意外に地球上にも
ひょっこり生活してるなんてお笑いあっても面白いです
4. 匿名処理班
※1
太陽系内ならともかく太陽系外となると惑星の情報のごく一部が分かっただけでもニュースになる。生物がいたとしてもそれが分かるのはもっと先。
たまたま、じゃなく単純に技術力が足りない
5. 匿名処理班
※1
生命の定義が必要かもですね。
タバコモザイクウィルスを検索すると「結晶になる」という話(1946年のノーベル化学賞)がでてきます。他の方はわかりませんが、私の常識の外に感じます。こういうのを発展させると鉱物のような生命もありそうですね。
まぁ、骨格を持つ我々からすると、甲殻類などの外骨格型生物なんて異星人だといわれても信じるくらい違いますしね。血色素が私らは鉄なのに、銅を血色素としているとか、どんだけ違うのよ!ってくらい。
でも、水蒸気とか夢が膨らみますわ。
6. 匿名処理班
地球じゃありふれてるように感じるけど、宇宙規模で言えば水って
砂漠の中の宝石どころじゃないぐらい貴重なんだなぁと思う
恵まれすぎだろ地球
7. 匿名処理班
※1
そもそも生命の定義が有機物である必要はないし、もしかすれば無機物で構成された生命体も存在しうる可能性というのは非常に高い
むしろ地球の生物同様にデオキシリボ核酸によりDNAコードが構成され、有機物によって体が構築されている生物のほうが珍しい可能性すらある
生きてる内にその一端でいいから知りたいね……
8. 匿名処理班
大気中に浮いて生活するような生物なら可能なのでは?
水中に浮いて生活する微生物の様なもの
9. 匿名処理班
まぁ〜ほぼいないんだけどね宇宙人なんてw
かつて水があったりとわりといい環境の火星でも見つからない時点で自分が生きているうちには会える気がしない
もう地球が生命の起源でいいじゃないかここからほかの星に拡散させればいい
でもlv426惑星には絶対に殖民しないからな
10. 匿名処理班
残念ながら地球上の生命ですらどういう過程を経て誕生したのか解明できてないレベルだから、宇宙にどんなタイプの生命がどんな惑星に誕生するのかも全く解らないんだよね。だから可能な限り地球に似た惑星を探しているけど、除外された惑星にも可能性はあるんだよね。
11. 匿名処理班
公転周期が半端無いな
もし何か居たとしたらメッチャ寿命長かったりするのかな
12. 匿名処理班
単細胞生物が地球外で発見されたとしても、そのインパクトは計り知れないほどだろうな。
13. 匿名処理班
生命なんて滅多にいないけどさ
地球にしかいないって考えも宗教っぽくて嫌だわ
14. 匿名処理班
現在の技術だと系外惑星を検知するには、その公転面の延長に地球が無いとダメだよね。
逆に言えば、公転面が地球を向いてない惑星が大量にある筈だよね。
15. 匿名処理班
地球にしかいない、ってことはありえないが、見つけられるか、だと限りなく不可能に近い。サハラ砂漠に無造作に捨てたダイヤの粒を探せ、みたいなもん。たしかにそこにあるだろうが、一生かけても見つけられないレベル
16. 匿名処理班
ちょっとわからないのは、原子の存在は吸収スペクトルから判ると思うのだけど、水分子が存在することはどうやって分かったのだろう?
水素原子や酸素原子の存在は判っても結合してるとわかるんだろうか?
17. 匿名処理班
知的生命体とコンタクトを取れるのはいつになるのか。
18. 匿名処理班
もしかしたら数億年前に地球人みたいな知的生命体が他の星にいたかもしれない
もしかしたら数億年後に地球人みたいな知的生命体が他の星で誕生するかもしれない
仮に同時期にいたとしてもどっちかが星間飛行できるほど文明が発達してなければ会うのは不可能
19. 匿名処理班
「暖かい海王星」じゃなくて、「
ホットネプチューン」って言う固有名詞だろ
わざわざこんな書き方するってことは分かってねーだろアホ