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地球から95億km彼方で、探査機ニューホライズンズが長い眠りから目覚める

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(著)

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Image credit:NASA
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 2006年に地球を旅立ち、冥王星の素顔を初めて人類に見せてくれたNASAの探査機ニューホライズンズが、過去最長となる眠りから目を覚ました。

 ニューホライズンズは長旅の間、限られた電力を節約するために何度も眠りを繰り返してきたが、2025年8月からの眠りは321日間と、打ち上げ以来最も長いものとなった。

 それでもニューホライズンズは、1年前に地球から受け取った「この日に起きてね」という約束をずっと覚えていて、その日が来ると自分の力でしっかりと目を覚ましたのだ。

参考文献:

冥王星の素顔を初めて人類に届けた探査機

 ニューホライズンズは、2006年1月にNASAが打ち上げた無人探査機で、実に20年もの間、真っ暗な宇宙でひとり旅を続けている。

 打ち上げ時の速度は当時の史上最速で、目的地は太陽系の果てにある冥王星だった。

 2007年2月に木星のそばを通過して加速し、2015年7月、ついに人類史上初めて冥王星に接近した。

 2015年にニューホライズンズが送ってきたハート模様の冥王星の姿を、覚えている人も多いだろう。

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2015年7月13日にニューホライズンズが撮影した冥王星 Image credit:NASA

 その後も旅は終わらず、2019年1月には雪だるまのような形をした小天体アロコスを至近距離で観測し、人類が間近に調査した最も遠い天体の記録を打ち立てた。

 アロコスがあるのは、海王星の外側に広がる「カイパーベルト」と呼ばれる領域だ。

 カイパーベルトには45億年前に太陽系が生まれたときの残骸である凍った天体が数千個も存在し、冥王星はカイパーベルトで最大の天体である。

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Image credit:NASA/JHUAPL/SwRI

電力を節約するため最も長い眠りにつく

 現在ニューホライズンズは、地球から約95億km離れた、カイパーベルトの外側の端に近い場所を飛び続けている。

 ニューホライズンズの電力はRTG(放射性同位体熱電気転換器)と呼ばれる原子力電池でまかなわれている。ボイジャーなど遠方探査機と同じだ。

 この電池は、プルトニウムが少しずつ減っていくことと、装置そのものが古くなっていくことで、年々発生する電力が下がり続けている。

 使える電力が限られていくため、管制チームは長い移動期間中、探査機を「休眠モード」に切り替えて電力と資源を節約し、寿命を延ばしてきた。

 ニューホライズンズは2007年以降、数日から数か月の休眠を20回以上も繰り返しながら旅を続けてきた。

 2025年8月7日、ニューホライズンズは打ち上げ以来最も長くなる眠りについた。

 休眠中、地球からの指示の送信やデータの受信は行われないが、ニューホライズンズは眠りながらも搭載した3つの観測機器を動かし続け、カイパーベルトの天体や太陽から流れ出る粒子のデータを集めていた。

 さらに毎週1回、「こちらは異常なし」を意味する信号を地球へ送り続けていた。

 運用マネジャーのアリス・ボウマン氏によると、321日間の報告はすべて「正常」で、機内はどの週も全く異常がなかったという。

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Image credit:NASA/Johns Hopkins APL/Southwest Research Institute/Serge Brunier/Marc Postman/Dan Durda)

1年前に受け取った指示を頼りに自力で目覚める

 眠りにつく前の2025年7月、地球からニューホライズンズのコンピューターに、目覚めの日時を指定した指示が送信され、保存されていた。

 ニューホライズンズは地球との約束を1日もたがえず、予定通りの日にきちんと目を覚ましてみせた。

 2026年6月23日、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所の管制チームは、ニューホライズンズが眠りから目覚めたことを確認した。

 あまりに遠くにいるため、目覚めを知らせる電波がスペインにあるNASAの巨大アンテナに届くまで、8時間52分かかった。

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メリーランド州ローレルにあるジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所のミッションオペレーションセンターでホライズンズの様子をチェックする研究者たち Image credit:NASA/Johns Hopkins APL/SwRI/Justin Gladden

眠りの間に集めたデータを地球へ、旅はまだまだ続く

 目覚めたニューホライズンズは、まず自分の健康状態を地球へ報告し、続いて眠りの間に集めた観測データを送信する。

 約3週間後には紫外線を観測する装置も再び動き出し、太陽系の外れに広がる水素ガスの分布を調べる予定だ。

 NASAは、これから電力がさらに減り、通信の遅延も長くなっていく状況に備えて、地上と探査機のソフトウェアの更新も進めている。

 すでにニューホライズンズの活躍で、複数のユニークな天体が発見されているが、科学者のポンタス・ブラント氏によると、カイパーベルトは従来の想定よりはるかに広範囲に広がっている可能性があるという。

 カイパーベルトには、未探査の準惑星が数百個、さらに小さな天体が数千個も存在しているかもしれない。

 ニューホライズンズが2029年以降も探査を続けることができたら、太陽圏を抜けて星間空間へと入り、ボイジャー探査機の歴史的な足跡をたどることになるかもしれない。

現在のニューホライズンズの位置はNASAの公式ページで確認できる。Eyes on the Solar System – New Horizons – NASA/JPL

 目覚めたばかりのニューホライズンズが送ってくるデータの中には、太陽系の本当の姿を知る手がかりが眠っているかもしれない。

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この記事へのコメント 16件

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  1. 8光時間の彼方で期待される働きを十分に果たす探査機!健気さすら感じられるようだ
    きっと太陽系の謎と不思議をこれからもたくさん送ってきてくれるんだ

    • +19
  2. カイパーベルト寒そうだなあ。この暑さを分けてあげたい。

    • +8
  3. ボイジャー1号、2号の名前があまりにも強烈に印象づけられているのでこの探査機の名前は脳裏を横切ることすらなかった。今後、人類の知への探究に引き続き貢献してボイジャーに肩を並べてほしい。

    • +7
  4. おいらの英語の能力は、中学レベルのまま寝てるのである。

    • +4
  5. 凄すぎる・・
    1年も前に受けた指令を記憶してるなんて

    • +6
  6. ニューホライズンズの電源、ボイジャーたちと同様に原子力電池なんだね。

    • +7
  7. ボイジャーが電池が切れて
    寿命が来たら任務を代行すると
    聞いた事がある

    • +6
  8. ニュー・ホライズンズの主電源は原子力電池で太陽光発電機は搭載していないので太陽との距離は関係無いです

    • +5
  9. 探査機ニューホライズンズ

    ホライズンではなく、ホライズンズにちょっと驚いた

    • 評価
  10. 20年かけて8光時間か
    お隣の恒星系でさえ気が遠くなるような遠さだ

    • +1
    1. プロキシマ・ケンタウリに着くまでに9万3千年かかるらしい。
      (そっち方向に飛んでるわけでもないんだけど)
      その頃は人類はいなくなってそうだよね。

      • +1

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