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35億年前の月に巨大小惑星の衝突の痕跡を発見。地球でも同時期に衝突が起きていた

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(著)

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Image by Istock / mikdam
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 今から約35億年前、月に表面が溶岩となって流れ出すほどの、巨大小惑星が衝突していたことが明らかとなった。

 アメリカの研究チームがアフリカに落下した月のかけらを詳しく調べたところ、ちょうど同時期に、地球でも大きな小惑星の衝突が起きていたことがわかった。

 この時期の太陽系では、あちこちの天体に小惑星が次々とぶつかっていたのだ。

 この研究成果は『Geology』誌(2026年5月12日付)に掲載された。

参考文献:

月のかけらが記録する太陽系の歴史

 地球や月が誕生してからしばらくの間、宇宙はとても荒れていた。

 35億年前は、あちこちを漂う小惑星や岩のかたまりが、できたばかりの天体に次々とぶつかっていた時代だ。

 荒々しい時代の記録は、地球の上ではほとんど残っていない。地球では大地が動き、風や雨が岩を削り、古い岩石が次々に作り変えられてしまうからだ。 

 だが、地球の衛星である月には大気も雨もなく、大地が大きく動くこともない。

 一度刻まれた傷あとは、何十億年もそのまま残る。当時の月の石を調べれば、太陽系の大昔をのぞき見ることができる。

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2022年12月5日、オリオン宇宙船の乗員モジュールに搭載されたカメラがとらえた月の表面 Image credit:NASA / JSC

アフリカの月の隕石に3度の小惑星衝突の跡

 アメリカ・コロラド大学ボルダー校の惑星科学者キャロリン・クロウ氏ら研究チームが調べたのは、西アフリカのマリで2017年に発見された「NWA 12593」という隕石だ。

 この隕石は、月から飛ばされて地球に落ちてきた、月のかけらである。

 なぜ月のかけらが地球に落ちているのか。

 月にほかの天体が衝突すると、その衝撃で月の表面の岩が宇宙へ弾き飛ばされることがある。

 飛ばされた岩の一部は長い時間をかけて宇宙をさまよい、やがて地球の重力に引き寄せられて落ちてくる。

 研究チームがこの月のかけらを詳しく調べたところ、過去3回、小惑星が衝突した跡が刻まれていた。

1度目は35億年前。月の表面を溶かすほどの巨大小惑星衝突

 3つのうち最初の衝突が最も大きく、放射性物質の量から年代を測ると、およそ35億年前に起きたとわかった。

 天体がぶつかったときの熱は、飛んできた天体がもっていた運動の勢いから生まれる。大きな天体が高速で衝突すると、その勢いが熱に変わって岩石を溶かすことがある。

 35億年前の衝突は、月の表面が溶けて溶岩のような状態になるほどの高温になるほどの規模だった。

 それを示すのが、月のかけらに残っていたキュービックジルコニアという鉱物だ。

 ダイヤモンドによく似た人工宝石として知られ、アクセサリーにも使われている。とても高い温度でしか生まれず、温度が下がる途中で別の形に変わってしまうため、月や地球の表面ではもとの形のまま残ることがほとんどない。

 だがアフリカの月のかけらには、キュービックジルコニアが高温で作られた痕跡が残されていたのだ。 

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NWA 12593の電子後方散乱回折データ Image credit:Geology

2度目の衝突の痕跡は隕石の形に刻まれていた

 月のかけらは、様々な種類の小さな岩が混ざり合い、ひとつに固まってできている「角礫岩(かくれきがん)」と呼ばれる岩でできている。

 最初の衝突で溶けて固まった月の表面に、2度目の衝突が起きて表面が砕け、砕けた岩のかけらが衝突の熱で再び固められた証拠が、隕石の形に刻まれていた。

 研究チームは、岩のでき方をコンクリートの歩道にたとえている。

 コンクリートを割ると、中から小さな石が出てきて、セメントで固められている様子が見える。

 角礫岩も同じで、いろいろな岩のかけらが衝突によって混ぜ合わされ、固まってできあがる。

3度目の衝突で地球に運ばれてきた

 3度目の衝突の証拠は、月のかけらが地球で見つかったという事実が伝えている。

 さらに新たな衝突が起き、その衝撃で角礫岩のかたまりが月から弾き飛ばされたのだ。

 月を離れたかけらは地球へ向かう軌道に乗り、長い旅の末にアフリカへ落ちてきたと考えられる。

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Image by Istock mikdam

地球でも同時期に小惑星の衝突が起きていた

 研究チームが驚いたのは、最初の月の巨大小惑星の衝突が起きた時期が35億年前だったことだ。

 ほぼ同じ年代に地球と、木星と火星の間の小惑星帯に存在する、平均直径が525kmである大きな小惑星「ベスタ」も、小惑星による衝突を受けた痕跡が残されている。、

 月から来たアフリカの隕石、地球、ベスタに、ほぼ同じ年代の巨大衝突の記録がそろっていた。

 この一致は、太陽系の歴史の中でも特別な時期を物語っている。

 惑星が作られていたころは、無数の天体がたえずぶつかり合っていた。それがしだいに落ち着くと、今度は小惑星どうしがぶつかって壊れ、飛び散ったかけらが月や地球やベスタといった大きな天体にときおりぶつかる時代へ移り変わっていった。

 3つの天体に残された衝突の跡は、ちょうどその境目の時代をとらえていた。

 地球に落ちた月のかけらは、太陽系全体の過去の歴史を結びつける役割を果たしたのだ。

 35億年前といえば、地球で最初の生命の痕跡が現れたころでもある。

 生命がどんな環境の中で芽生えたのかを知るうえで、当時どれくらいの衝突が起きていたのかは欠かせない情報になると研究チームは考えている。

 アフリカで拾われた小さな月のかけらは、私たち自身の起源をたどる旅にもつながっている。

まとめ

この研究でわかったこと

  • アフリカに落ちた月のかけらから、35億年前に月で起きた巨大な小惑星衝突の証拠が見つかった
  • 衝突は月の表面を溶かすほど激しく、高温でしかできない鉱物がその証拠になった
  • 月・地球・小惑星ベスタの3つで、ほぼ同じ時期の衝突の跡がそろっていた

まだわかっていないこと・今後の課題

  • 3つの天体の衝突が、同じ小惑星によるものかどうかはわかっていない
  • 35億年前にどれだけの衝突が起きていたかは、生命が芽生えた環境を知る手がかりとして調査が続いている

References: DOI.doi.org/10.1130/G54386.1

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この記事へのコメント 1件

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  1. 35億年前の太陽系は思春期で反抗期だったんだな。
    家庭崩壊しないでよかったよ

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