
「朝5時のバスに乗るために通りを歩いていました。前を向いて歩いているはずなのに、気が付くと視覚が広がり通りを上から見下ろしていたのです。そこにはもう一週間前に亡くなっていたはずの母らしき人の姿が見えました。ふと振り返ると、その奇妙な体験は消えてしまいました」
この一瞬の出来事がグラフマン氏の好奇心を掻き立てた。彼は認知神経学者で、シカゴ・リハビリテーション研究所で実施されている脳障害研究のディレクターを務める人物だ。
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この度グラフマン氏のチームは、そうした理解を超える瞬間につながる脳のプロセスの一部を特定した。どうやら神秘体験は脳が抑制を解き放ち、”認知の扉”を開いたことに起因するようだ。

神秘体験の間、人は高位の力とつながったように感じ、しばしば隠された知恵あるいは天啓を得たと口にする。臨死体験や恍惚状態での幻視から瞑想によるトランスまで、こうした体験は世界中で報告されているが、そのメカニズムは今もって謎に包まれている。
従来の研究からは、神秘体験に関してプッシュ論とプル論という2つの大まかな説が提唱されてきた。
プッシュ論は単一の”神領域”の活性化が神秘体験の原因とするもので、これによればその領域が損傷を受ければ神秘体験は起きないことになる。反対に、プル論は抑制機能が低下することで、神秘体験の扉が開くと考えるもので、現在論争中のトピックである。抑制機能が低下することで、神秘体験の扉が開かれる
グラフマン氏が得た証拠は、プル理論が神秘体験の裏にあることを示唆している。彼らの研究では、神秘体験の経験がある脳に損傷を受けた116人のベトナム戦争帰還兵を分析し、これを脳障害あるいは神経疾患のない32人の兵士と比較した。また彼らは戦争の前後に心理テストを受けている。
「しばしば帰還兵からは神の言葉を聞いた、あるいは家族の姿を見たといった報告がされています」とグラフマン氏は説明する。これは一般的な神秘体験である。
同チームはさらに、神秘スケールという神秘体験分析の確立されたテストを使用して、患者のインタビューも行っている。このスケールは、一体感や法悦感ならびに時空を超越した感覚について問うものだ。さらに調査に参加した全帰還兵の脳を高解像度のCTスキャンで撮影もしている。

詳細な分析から、背外側前頭前皮質という特定の領域の損傷が、特に神秘体験の増加と関連があることが判明した。これは前頭葉にあり、抑制機能の鍵となる部分だ。
「前頭葉は人間の脳で最も進化した領域で、世界から受ける知覚的な入力を管理し、意味を与えることを助けています」とグラフマン氏。この前頭葉の抑制機能が低下すると、認知の扉が開き、神秘体験が起こりやすくなるようだ。
![3]_e](https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/0/3/03fe5e35.jpg)
これまでの研究は、対象が数名のボランティアであったり、脳を損傷する前後の分析が伴わないものだったが、今回の研究はそうした問題点をクリアした上で実施されている。
研究結果は、側頭葉での活動も神秘体験と関連があることを示唆している。しかし神秘体験に決定的な役割を果たしているのは背外側前頭前皮質であるようだ。また、こうして体験された神秘体験には直接的な説明などありようもないが、脳は超自然的な説明を用意して満足している可能性もある。
via:livescience・translated hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
昔、記事になっていた寝不足だとアイディアが浮かびやすいっていうのも
プル論に近い状態だからなのかな。
2. 匿名処理班
不思議な体験した人ってそれが事実だと思い込んでる当たり、普通の人じゃないよね。
幻覚っていう考えというか、元々疑うって事がなく、信じる事から始める。オカルトそのものだよ・・・だからといって原因を完全に探ろうとするこの人は逆の意味で普通じゃないw
3. 匿名処理班
脳が損傷受けると新たな能力が開花するって事かな?
三国無双の体力が残り少ない赤状態だと、真・無双乱舞が発現できるみたいな感じ?
4. 匿名処理班
この研究結果を見た、普通の学者「神秘体験とは、脳が生み出している現象なのだ」
この研究結果を見た、そっち系の学者「この脳の部分が神とつながるチャンネルなのだ」
5. 匿名処理班
まあ死後の世界があるかどうかは
わからんがあればまだ「救い」はあるよな・・・
いや人によっては救いどころか「地獄」か?
6. 匿名処理班
ホラーな体験はあるけど
神秘的な体験はないなー
理屈は変わらないのかな?
7. 匿名処理班
統合失調症や、違法薬物使用時に脳がこの状態になっているんだろうな
昔読んだブレインバレーを思い出す
8. 匿名処理班
オカルト系の職業の人が霊能力を鍛える為にと、
滝に打たれたり、真冬にふんどし一丁で冷水を浴びたり、断食や何日も真っ暗で虫だらけの洞窟にいなきゃならないだとか
過酷なストレスを与えてる状態においてるのはそのせいなのか
9. 匿名処理班
見えるものだけを盲目的に信じるのもどうかと思うけど
放射線や重力など、見えないものはたくさんある。オカルト的だろうと突き詰めて行けば、また新たな見えないエネルギーを発見することが出来る可能性がある
それに脳みそがそこまで万能なのかと思う
こういう事を突き詰める学者は、必要
10. 匿名処理班
脳をPCとして考えた場合
PCを操作する人が必要で
その人が魂だと想定する
すると、何かの動作後に脳がその動作の理由を処理しているのは、魂の負担を減らすためのバックアップ作業だと考えることができる
また、この考えをベースにすると
パソコン(脳)の機能が低下した為に
魂(人)の作業量が増えたためだと言える……のかなぁ?
11. 匿名処理班
死後幻覚の一種ですね。
一部の人たちは、神との遭遇や、
死者との遭遇と錯覚するみたいです。
昔から知られている現象です。
体験者が少ないので、ポピュラーではないですが。
12. 匿名処理班
その体験が幻覚であったかどうかはこの際重要ではなく「そのような刺激を受けた」という事実のみが重要なのだと思う。
私自身も神秘体験の経験が数度あるが、その度に価値観・世界観が変化したのをハッキリと覚えている。
しかし、そういった体験を神の啓示であるとか、超人的存在になったのだという妄執に囚われるのは危ういものがあると思う。
13. 匿名処理班
脳のバグかね
最近の精密機器は一部の故障で全部動かなくなるけど、昔のファミコンとかはカセット半差しで通常とは違う動作でゲームできたりした
脳の構造は一部壊れても残った部分でやりくりして動かすようなシステムなんだろう
14. 匿名処理班
体験した本人にとっては神秘と感じても、抑制性の伝達物資が相対的に不足したか、興奮性伝達物質が過剰に働いたかしただけの現象に過ぎない。そういう体験が芸術活動の元になることはあるようだが、現実と混同したらひどいことになる。
15. 匿名処理班
「脳の中の器官が一つ多い」とかじゃなく、「損傷してるだけ」って結論、
良いですね身も蓋もなくてw
16. 匿名処理班
> 前頭葉と側頭葉の損傷が、神秘体験の発現しやすさと関連することが
こういう言い回しがされるときは、だいたい100%の確度はないだろうな。
損傷を受けても神秘体験しない人もいるんじゃね?
神秘体験とは違うなにか変な体験をする人もいるんじゃね?
一過性の体験ではなく身体異常を起こす人もいるんじゃね?
そもそもなにが神秘体験なんでしょ?その基準は?(神秘的な夢と普通の夢の違いは?)
検査した人数に対する、症状別の比率くらいは公表してほしいな。
こういう問題は結論の陰でどんな取捨選択をしたのか分からないと評価しようがない。
17. 匿名処理班
脳の存在そもそもが神秘的だなぁ
でも正確な未来予知とかそういった人知を超えたような現象は存在しないのかな
18. 匿名処理班
このカオスな現象の世界からコスモスだけ取り出して、文化的社会的に理解可能なように編集したものが人間の意識に届けられ認可されるのではないだろうか。刻々と入力するデータから意味のある理解可能なストーリーを作り上げ、因果や関係性を見出し、それを処理する事で生存してゆくのではないか。その様な生存のために必要な編集作業の力が弱まったり、別種の編集が行なわれたときに、生のデータがそのまま脳を圧倒してしまったり、データから神秘的な物語が作られたりすることが神秘体験と呼ばれるのではないだろうか。
19. 2
今知り得る科学とか知識が全てならば Google先生に勝る神なし と思うのよ。
瞑想でも薬でも酸素不足でも、そこへ辿り着く道はどうやら色々あるらしくて、でもなんにせよ、その結果「こういうのがあるらしい」のだとしたら、「幻覚だ」「神秘だ」「電気信号だ」と決めつけちゃうより、「薬は嫌だけど自分も見れたらおもしろそうだなあ」と想像するのが正しい道の様な気がしてならない。
20. 匿名処理班
前提として軸足を「脳の器質的な現象」すなわち形而下においている以上
この事象は解明不可です。
21. 匿名処理班
神秘でもなんでも本人に起こってること自体は事実なんだろうから、
医療関係が研究することで医療に役立つようなことが見つかるかもしれないと思うよ。
22. 匿名処理班
神秘体験っていうのは
それが幻覚だろうが夢だろうが真偽はどうでもいい。耐え難い苦悩のなかにあった人に、まさに天から光が差したように、神様から救いが差し伸べられたように、苦悩が受け入れられ、希望が見えたとき。それまで世界を押さえつけていたものがパッと消え去り、すっきり爽やかに晴れ渡って、今までとは違うように見える。だから視点が変わって悟りを開いたように感じる。
(とにかく非現実的で神秘的なので、そのまま宗教に傾倒してしまうパターン でも悟りって一回だけじゃないしゴールじゃないんですけどね)
私はカトリックとかじゃないけど、欝で長く苦しんでいたときにこれがあった。欝が治ったわけでもないし今も苦しんでる…それでもあれは貴重な体験だった。視点を変えさせてくれたから。
23. GoN
カメラのNikonが松果体と第三の目について記事を書いてたぞ。
あの辺には高次元との結び付きを生む知覚機能があるようだな。
24. 匿名処理班
人間の脳(より正確には動物の神経細胞組織)は、結局量子コンピュータであり、現段階ではその存在を証明できない「量子波」によって、どこかに接続していて、人間の意識は実はスマホでyoutubeの動画を見るのと同じように、そのどこかから「ダウンロード」されて、脳で再生されているだけかもしれないよ?
少なくても、「重力波」の存在か確認された以上、「量子波」が存在しないという理由はないと思うし。
で、普通の状態ではその接続状況は、せいぜい「ナローバンド」程度のものだけど、ある状態をクリアすることで、「ブロードバンド」化ができるのかもしれない。
で、そのための条件の一つが、今回の記事における「抑制機能が低下すること」かもしれないしね。
そして、座禅の目的はその状態を意識的に作ることかもしれないし。
その上で、必要があることがあるとすると、それは「オカルト」とか「神秘現象」とかいう考え方を変えていく必要があるということ。
何しろ、スマホで動画を見ることは、神秘的なことでもなければ、オカルト的なことでもないからさ。
ただ、100年前の人間がスマホで動画を見ている人間の様子を見たら、平たい板の表面を眺めて何をしているのかと、不可思議に思うだろうけど。
25. 匿名処理班
人間の器官は一つの受精卵から分化するから、損なわれた部分を
他が補えるように出来ているかもね。
26. 匿名処理班
マジェスティック神秘マン
27. 匿名処理班
前頭葉側頭葉型認知症など攻撃性が高まる(感情などの抑制が効かなくなる)認知症や、レビー小体型認知症(幻覚が主になる認知症)や、アルツハイマー型認知症(委縮する部位は異なるけど進行したらどこが次に委縮してくるかは精密にはほとんど検査できてない現代社会を脅かす最も多い認知症)の人が見る幻覚や妄想が、「神秘体験」と一緒だとすると・・・オカルトとか関係ない現実にガッカリする・・・不思議大好きちゃんとしては。
でもそれが、認知症とかの脳疾患(脳血管性の認知症とかにも)役立てるとなってくると、研究、応援し(*´з`)〜♡
恍惚の人な〜んて、本当に達観してたのかも??
人生はタヒぬまで修行ですなぁ〜
28. 匿名処理班
※2
信じるとか疑う、すなわち真か偽かっていうのは論理であり、
人間の感情とか感覚や経験というのは論理化できない。
軸が異なるものを対比させても意味が無いよ。
いずれ人類の知能が発達して、そういったものの解析を終えて論理化が可能になったら話は別だが。
29. 匿名処理班
死後幻覚は、色々な言葉で表現されています。少し前までは、臨死体験と呼ばれていました。今、流行の言葉は、明晰夢です。古いとこでは、もののけ(生きものの気配)や、ヘビ憑き、キツネ憑きなどの、動物霊の憑依体験も、これと、同じ現象です。UFOとの遭遇体験の一部も、この特徴を持っています。頭がサルで、胴体がイヌやヘビなどのキメラ動物を体験するのも、この現象の特徴です。
体験している幻覚は、心の奥底に潜んでいる欲望が、そのまま、映像化さたものです。ありと、あらゆるジャンルがあります。心の奥底に恐怖があれば、怖い幻覚が作り出されます。猜疑心があれば、その猜疑心がそのまま映像化されるので、抗争し、襲われる幻覚が作り出されます。
死後幻覚の特徴は、夢と違って、非常に、明確な体感を伴っていることです。だから、慣れないと、現実と区別出来なくて、未知の世界に迷い込んでしかったかのような錯覚に陥ります。
死後の世界や、UFOとの遭遇体験などです。平安時代の、キメラが空を飛び回っている、もののけの世界も同様です。
30. 匿名処理班
頭痛がひどくて、横になっていた時に15分ほど眠った。その間に見た夢
医者「どうしました?」
私「頭が痛くて辛いんです」
医者「そうですか、ではこのお薬を出しましょう、お大事に」
パチッと目が覚めると、頭痛は跡形も無く消えて気分爽快。
これって、脳が自己治癒力を発揮したのかな?
この手の不思議体験はよく起こるw
31. 匿名処理班
※2
世の中にはドッキリというものがある。
あれは、正常な人間ですら、
不思議体験と現実体験の区別をつけることが出来ないことを、
証明してるいい例だと思う。
ネタバレがなければ、
彼らは不思議体験として後世に語り継いでしまうだろう。
精神異常がある場合は、
そのドッキリ仕掛け人が幻覚に変わっただけの差しかない。
本人の知覚としては事実な以上、疑う余地なんてそこに存在しない。
32. 匿名処理班
該当部位を調べてみると…
>いくつかの研究において、うつ病の人やストレスにさらされ続けている人[4]、自殺した人[5]、投獄された犯罪者、社会病質者 (sociopath) 、
>薬物中毒者などの人々において前頭葉の体積や他の脳領域との相互接続が減少していることが示唆されている。
寧ろ体外情報が遮断されてクローズドになった脳内信号の滞留なんじゃ…?
33. 匿名処理班
思い込みってこわい
34. 匿名処理班
何が思い込みで、何が真実か、この境界は私達が思っている以上に曖昧である。
そこに徹底的に執着したのが科学の祖デカルトであろう。
こういう死後の世界や上位の存在なんてものを実証するには死ぬしかないからなぁ。
35. ニューサザエ鏡
※1
自分も数多くいるプチ神秘体験者の一人なんだけど。
「寝不足」って条件で見合うのが有ったので報告。
大学生の頃、定期的に期末考査の為に論文を多数、
提出しなければならなかった。
バカだからペース配分が解らず結局、睡眠不足に。
大学の図書館でお目当ての資料に辿り着いたので
喜んで書き始めたは良いけど、睡眠不足が祟って
眠りこけてしまった。
目覚めた時、ヤバい!と蒼顔になった。どうしよう!
しかしレポート用紙を見たらば枚数分はおろか、
自分じゃ書けないレベルの内容が「自分の筆跡で」
書かれてあった。
「何だコレは!?」と思ったけど提出しました。
36. 匿名処理班
※4
追い詰められたら普段出せない力が出るってこと?
37. 匿名処理班
※7
すべての真理が明らかになるまではどちらの考え方もそれ以外のアプローチも必要だよね
38. 匿名処理班
最初から不思議なことをあり得ないものと決めつけてる人たちっていうのは
不思議なことを妄信している人たちと本質的に同じだよな
39. 匿名処理班
わからないなー