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脅威の大雪崩から村を守れ!アイスランドに建設された巨大防護壁

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(著)

公開:

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Photo credit: www.ismennt.is
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 フライトエイリはアイスランドの西部フィヨルドの海岸沿いにある、人口300人の小さな漁村である。ここ土地は非常に細長く、スロートラクヴィフト(Skollahvilft)と呼ばれる険しく荒涼とした山の麓にある。この山の勾配はふつうより強く、一年のほとんどの期間、積雪が残る。これにより雪崩が起きやすいのだが、これまで幸いにも被害を受けずに済んでいた。

 そう、1995年10月早朝に突如発生した世にも恐ろしい大雪崩が起きるまでは・・・

 1995年10月27日朝4時、フライトエイリの住人は眠りについていたが。突如、耳をつんざくような轟音で目を覚ました。何事がおきたのかとあたりを見回すと、氷と岩、雪が混じった雪崩が凄まじい勢いで山から滑落してきたのだ。その雪崩の影響で、17棟もの家屋が一瞬にして雪と岩石の下に埋もれてしまった。

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Photo credit: www.leeds.ac.uk

 一旦雪崩が収まると救助作業が始まったが、押し寄せた雪が風景をまるごと変えてしまい、自分たちの家がどこにあるのかも分からないような有様だった。そしてその夜、再び雪崩が押し寄せ20人が下敷きとなって死亡した。レスキュー隊は全ての行方不明者を見つけるまで、まる2日にわたって過酷な日々を過ごしたという。

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 実はこの災害はフライトエイリだけではなかった。同年1月には、スーザヴィーク(Sudavik)という漁村の村民が大規模雪崩の被害を受け16人が死亡していたのだ

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A memorial to those who lost their lives. Photo credit:Ulrich Latzenhofer/Flickr

 何事もそうだが、人は何か起きてからじゃないと動かない。1998年になってやっと、雪崩からフレイトエイリを防護するために、「A」の形をした特別なアースダムがスロートラクヴィフト山に建設された。

 このダムは山側に向かってA型構造で形成されており、雪崩の激しい勢いを斜めに逸らすような設計になっており、防護壁も兼ねている。

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Photo credit: www.ismennt.is

 斜めになった部分の真ん中、ちょうどAというアルファベットの横棒の場所に、二重に流れを止めるための小さな堤防がある。防護壁は長さ600m、高さは15~20m。二重堤防部は高さ10m、長さ350mに及ぶ。

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Photo credit: www.ismennt.is

 1999年2月、アースダムが完成してからわずか1年後、山から巨大な雪崩が滑落してきたが、東側のダムに添って海に抜けていった。

 村は守られたのだ。翌年3月の冬にも、山から大規模な雪崩がきたが、西側の壁に抑えられて村は無事だった。現在、小規模な雪崩は定期的に起こるものの、いつも防護壁が村への激突を安全に防いでくれている。

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Photo credit: www.verkis.is

 人は何か起きるまではその平和に安穏とし油断してしまう。だが一度大きな犠牲を払うことで、二度とその被害が起きぬよう最善を尽くす。できれば有事が起きる前に対策を立てておくべきなのだろうが、昨日までの日常が永遠に続くとどうしても錯覚してしまうのは致し方のないところなのかもしれない。

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この記事へのコメント 59件

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  1. 雪崩だけでなく自然災害は怖いよ…
    でもこんな方法で防げるんだな。

    • +8
  2. 日本人としては海の方に防護壁がないのが怖い

    • +45
  3. 「備えよ常に。」
    ボーイスカウト創始者はこの言葉を標語に活動を始めたらしい。
    色んなサバイバル技術を頭に叩きこまれたよ。(経験談)

    • +8
  4. 山の傾斜がすごいなー
    RPGに出てくる、船でしか行けない村みたいな立地だ

    • +31
    1. ※7
       ワールドウォーZ式に組体操方式で来られたら無駄だし、登れない程の傾斜じゃなさそうだからロメロ系ノロノロゾンビでもダメだと思うw

      • 評価
  5. 山から雪崩は壁で防げるけどこの地形だと脇の海に雪が雪崩れ込んでざっぱーんって波来ない?

    • +2
  6. 下から見上げるとそれはノアの方舟のように…ってマスターキートンの話じゃなくて?

    • +6
  7. 日本では、雪崩を心配しなきゃけない土地は少ないかも知れないけど、土砂崩れや鉄砲水に気を使わなくちゃいかん土地は多いと思う。もちろん、津波に対する海の方面の備えもね。そういう意味では、山と海の両面からの脅威に晒されている日本の方が大変だという見方もできると思った。でも外国の例は、とても参考になるね。

    • +5
  8. 木も育たないような過酷な環境なんだな、こういう生きるために人々が力を尽くすのって素晴らしい

    • +4
  9. 色々対策を重ねるうちに最終的に
    「山を崩そうぜ」とか「引っ越そうぜ」って
    なるかもな。

    • +3
    1. ※14
      トンネル掘ってそこの中で暮らそうぜ、が選択肢にないぞ

      • +3
    2. ※14
      かって、田中角栄というお人が三国峠を崩して新潟を豪雪から救うと豪語したんですよ

      • 評価
    1. ※15
      日本人だって地震、台風、大雪、火山噴火、津波のある土地に昔から住んでんじゃん
      昔から住み続けて、これからも住み続けるんだよ

      • +14
  10. 浦沢直樹の漫画「マスターキートン」でこれにそっくりな話があった。6巻の「白い雪とノアの箱舟」だ。雪崩から山荘とふもとの村を守るために、キートンたちがV字ラッセルを作って難を逃れる話。1999年完成というから漫画よりも後にダムは作られたわけだが。いやそれにしても、現実は創作よりも驚きに満ちているな。

    • +16
  11. ――その日、人類は思い出した。
    奴らに支配されていた恐怖を。鳥籠に囚われていた屈辱を……。

    • +1
  12. 昨今の温暖化で、歴史上例のない自然災害が起こりやすくなっている。
    それらは前例がないために誰も予想できない。
    起こってからでは遅いが、その時まで誰も考えもしなければ、それは仕方がないものなのだ。

    • 評価
  13. 裏山の込みの画像見ると、防護壁の高さに不安を覚えるわ…

    • +4
  14. たとえ100%自然災害防げても人同士争っている
    間は安住の地などない模様。

    • +1
  15. 有効に機能しているなら何よりだ
    自分たちの暮らしをなるべくそのままの形で守るのは大切なことだ

    • 評価
  16. 08年の岩手・宮城内陸地震で山一つ無くなる程の大規模な地すべりが起きたけど
    日本も人事じゃないんだよなぁ・・・
    最近も広島の住宅地で大規模な土砂崩れがあったし
    危ない所に家を建てないと土地が足りないという事情があるのはわかるが・・・

    • +3
  17. 未だに事故前水準まで線量が下がらない場所に住んでると
    一度や二度の事故程度では、大多数の人が
    「あれは他人事」と考えてしまう事実を痛感させられてしまう
    その意味では、見た目的にはまだ不安は感じるものの
    現実の脅威に対しきちんと手を打ったこの町は立派だと思う

    • +1
  18. 最後の3枚反対側の写真怖いわ
    広島の土石流どころじゃないな

    • +1
  19. ついグーグルアースで見に行ってしまった
    すぐ見つかるしはっきり見える

    • +2
  20. 1995年以降、この地域で大規模な雪崩が増えてるって事であってる?

    • 評価
  21. 定期的に雪かきしないと役に立たなくね?

    • 評価
  22. 見た感じ人工島みたいだし、それほどこの土地に愛着あるとは思えないんだけど
    安全な土地に移住したほうが良いんじゃなかろうか

    • -2
  23. グーグルマップで探すときは「フラトエイリ」で検索するといいよ。
    「イ」無しね。

    • 評価
  24. 「レスキュー隊はすべての死体を見つけるまで」これは表現としてどうだ?
    全ての行方不明者とか全ての遺体とかの方が良いかと。

    • -1
  25. この場所で集落が維持できてるのが凄い。血が濃くなっちゃいそうだけどどうなんだろ。何でここにってやっぱり思っちゃうけど、でも逆に何かで世界が破滅した時、こういうところだけ残るんじゃないかな。

    • +3
  26. これもある意味免疫機構と言えるんじゃないか。

    • 評価
  27. ウォール教が生まれるまでもう少しだなw

    • -1
  28. 見れば山が崩れて海に陸地が出来たところっぽいし
    何千年もすれば隣も崩れて村が広くなりそう

    • 評価
  29. グーグルアースで見たけど凄いところだねえ。典型的な氷河地形。山の上の方はボコボコとカールだらけだし、この入り江自体がなめらかで急斜面のU字谷だから雪崩は避けられない。防壁がちゃんと機能してくれてよかった。
    ただ、日本人としてはやっぱり津波が気になる。アイスランドはプレートの湧き出し口だからプレート沈み込みで大地震が起きる日本とは逆だけど、あんなに海面近くに家建てて大丈夫かなあ。Aの横棒あたりに住宅を移転した方がよくない?

    • 評価
    1. ※47
      Flateyri・1995の検証・CG再現番組があるのですが、そこ(A字の右下部とその下に広がる家のない地域)はモロに雪崩が襲ったあたりなので壁あっても抵抗あるのかもしれませんね
      漁業に海産加工、そして交易の町としての歴史も2世紀以上とあっては海岸から離れにくくもあるのかな

      • +2
  30. 地形に溶け込んでて自然にできた要塞みたいに見えて何かいいな。
    防護壁作ってコンクリートの聳え立つ壁を思い浮かべちゃう。

    • 評価
  31. こうして空撮の写真見てるから危険そうって思うけど、日本も同じように空撮の写真で見ると、けっこう危険そうに見える場所に住んでるよ。
    水と自然に恵まれてて人間が生きやすくてそれでいて安全な場所なんてのは限られてて、そういう場所だけに全ての人間が住めるわけじゃないんだろうね。

    • 評価
  32. ここってもしかして雪崩の影響で出来た天然の埋立地なんじゃ・・・

    • +3
  33. この防御壁は役に立っているに見たいだけど・・・
    日本だとこのようなバックアップシステムは使わなければ「無駄」と言われて、非難の対象となります
    被害が起こってから初めて作ることができます。

    • +3
    1. ※51
      フィヨルドだから、谷底の方は平らだろうし、元々こういう地形なんではないかなぁ。

      • 評価
  34. 山には木が一本も生えてなくて陸地がまっ平らでまるでシムシティで作ったかのような地形だ

    • 評価
  35. 300人て街中ほとんど知り合いみたいなもんなんだろうな…

    • 評価
  36. 5年も経つんだから今頃はもう東北の海岸線にもこういうのがぐるっと建ってなきゃおかしいんだよな・・・

    • +1
  37. ウォールシーナというより、東西南北の突出区かな。実際に防御壁を築いてしまうところに、雪崩に屈してたまるかというより心意気を感じる

    • 評価
  38. いつ今までより大きいの来るかも分からないし、もっと高くした方がいい気がする・・

    • 評価
  39. 頂上は平らだなー
    どうしてこんなに平らなんだろう
    山頂はどうなってるんだろう

    • 評価

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