この画像を大きなサイズで見る研究者たちは、サソリがブラジルの都市を「侵略しつつある」と警告している。ブラジル各地で、サソリによる刺傷がかつてないペースで増加しているのだ。
とくに都市部の住宅地やスラム街では顕著になっており、忍び寄る毒針の危険は、特に子どもや高齢者にとって命に関わる問題だ。
その理由は、急速な都市化と気候変動の影響、サソリの適応能力の高さにあることが、最新の論文で指摘された。
この研究結果は、学術誌『Frontiers in Public Health』(2025年5月8日付)に掲載された。
急増するサソリによる刺傷被害、1日550件
サンパウロ州立大学の研究者らが主導した調査チームは、ブラジル保健省が運営する「感染症情報システム(SINAN)」のデータを調べた。
その結果、2014年から2023年の10年間で、ブラジル国内のサソリ刺傷は117万件以上にのぼり、年間報告件数は66,986件(2014年)から170,616件(2023年)へと、155%の増加していたことが明らかとなった。
現在では1日あたり約550件が報告されており、この傾向は今後も続くとみられている。
研究チームの予測によれば、2025年から2033年の間に発生する新たな刺傷は200万件を超える可能性があり、年間発生数は2033年には約27万5千件に達する見込みだ。
この画像を大きなサイズで見るなぜサソリは急増したのか?
サソリが都市で急増している背景には、いくつかの要因が重なっている。研究者らは主に、都市化による環境の変化、気候変動、そしてサソリ自身の生態的な適応力を挙げている。
この点について、研究チームの筆頭著者であり、毒性学の専門家でもあるマヌエラ・ベルト・プッカ博士は「都市化が生態系を根本的に変えた」と指摘する。
都市は無意識のうちに、サソリに必要なもの「隠れ場所、安定した暖かさ、安定した食糧供給」をすべて提供してしまっているという。
とくに、ファヴェーラと呼ばれる高密度住宅のスラム街では、廃材、壁のひび割れ、開放された排水溝などがサソリの格好の隠れ家となり、餌となるゴキブリやクモも豊富に存在するため、野生動物であったはずのサソリが都市部に定着し、拡散しやすくなっている。
さらに、気候変動による気温の上昇や湿度の増加も、サソリの活動範囲拡大を後押ししている。都市部が高温多湿化することで、本来は熱帯性のサソリが生息できる条件が広がっているのだ。
このような環境で特に問題視されているのが、ブラジルイエローサソリと呼ばれる「ティティウス・セッルラトゥス(Tityus serrulatus)」である。
都市部に広く定着している体長6〜7cm程度のこの種は、交尾せずにメスのみで繁殖できる単為生殖能力を持ち、餌がなくても1年以上生き延びることができる。こうした特性が都市環境に見事に適応し、個体数の急増につながっているという。
さらに、都市の下水道には天敵がほとんど存在せず、通年を通して暖かく湿度も高いため、サソリにとっては理想的な生息空間となっている。こうして、サソリは人間の生活圏のすぐそばに「新しい生息地」を築きつつあるのだ。
この画像を大きなサイズで見る刺されるとどうなる?致死率は0.1%
サソリに刺された場合の主な症状には、強い痛み、発赤、腫れ、しびれ、吐き気などがある。重症化すると筋肉のけいれん、不整脈、呼吸困難や肺水腫に至ることもある。
とくに小児や高齢者は、体力や免疫力の関係から毒の影響を強く受け、命に関わることがある。
2024年の暫定データでは、ブラジル国内でおよそ20万件のサソリ刺傷が発生し、133人が死亡している。これはヘビによる年間の死亡者数を上回っている。
研究チームは、報告されている件数のうち約0.1%が致死的だとしているが、実際には農村部や医療機関へのアクセスが悪い地域で、通報されないケースが多数あるとみられ、実数はさらに多い可能性があるという。
この画像を大きなサイズで見る対応と課題
ブラジルの公的医療制度では、サソリ刺傷の治療を無料で受けることができ、一部の病院や救急センターでは抗毒素(抗血清)が備蓄されている。
しかし、医療資源の地域間格差や医療機関の受け入れ態勢の限界が課題となっており、とくに都市の周縁部では対応が追いついていない。
共著者のエリアネ・カンディアーニ・アランチス教授は、「刺されたら症状が出るのを待たず、すぐに最寄りの医療機関に行くべきです」と呼びかけている。
本研究では、ブラジルだけでなく、パラグアイ、ボリビア、メキシコ、ベネズエラなどの周辺国でも同様にサソリ刺傷が増加していると報告されている。
これは、気候変動によってサソリが好む高温多湿な気候が広がり、生息域が拡大しているためだ。
この画像を大きなサイズで見るサソリは敵ではない、生態系における役割も
本研究には関与していないが、イギリス・レディング大学の生態学者、マヌエラ・ゴンサレス=スアレス博士は、「この件数は予想を上回るもので、重要な変化だといえる」としながらも、「刺されても致命的でないケースが大半であり、過度に恐れる必要はない」と冷静な視点を示している。
筆頭著者のプッカ博士は、「サソリは人間の敵ではありません。彼らは自らを守るために刺すのであって、攻撃しているわけではないのです」と語る。
サソリは、ゴキブリや害虫を捕食し、都市環境や自然生態系のバランス維持に貢献する存在でもある。
それでもなお、人間が作り出した都市の無秩序な拡大や不衛生な環境、そして進行する気候変動が、サソリと人間の距離を縮め、刺傷リスクを高めていることは否定できない。
編集長パルモのコメント

サソリが更に増加し、被害が拡大されることがわかっているなら、誰もが簡単に買える抗血清を薬局に置いておくという手もあるかもしれない。そういえば サソリの毒は害虫駆除などに有効活用できるらしく、最近ではサソリを養殖して毒を抽出する業者が増えてきているというニュースを2024年にお伝えしたけど、何とか有効活用できないものかな。ゴキブリを食べてくれるという点においては、刺されさえしなければ家にお招きしたいくらいなのだが。
References: Scorpions are taking over: the silent and escalating public health crisis in Brazil / Scorpions ‘taking over’ Brazilian cities with reported stings rising 155% / Scorpion Stings Are Surging in Brazil with Sting Rates Rising 155%
















適応して都市部にもいるのか・・・
砂漠にしかいないと思ってたわ
15発もらわなければ大丈夫だ!(多分)
耐えきったら止血もしてくれるし
検索したらこのサソリ、単為生殖するとか。
本当?強すぎない?
ゴキブリと蠍で蠍の方が強いの?
恨み節
それは梶芽衣子主演の『女囚さそり』な
毒は体格や体重によっても効果の強弱が違うらしいから大柄なブラジル人なら実際そう脅威じゃないんだろうけど子供なんかは心配だよな
日本で言えば
ムカデ大発生!
みたいな感じ?悪夢やね、、
ああーっとォ ? ここでまさかの救世主、ゴキブリホイホイの登場だァ !
いくらGを食ってくれるとはいえサソリはちょっと…
昔、沖縄で蠍が大量発生した時はニワトリを放って食べさせたんだよな たしか
聞いてはいたけどサソリの毒ってホント雑魚っって感じだな
なんか昔の映画や漫画とかでは刺されたら即昇天くらいの大げさな描写がされてたけど
そういうときは長年の浅はかさを恥じるもんやで😮💨
一国で年間100人以上毒で殺してる生物はなかなかいないんじゃないか、まあ件数が多いせいではあるが。それに一万人以上血清治療を受けてるし
うん。
(蚊にはちょっと負けてるけど)
>筆頭著者のプッカ博士は、「サソリは人間の敵ではありません。彼らは自らを守るために刺すのであって、攻撃しているわけではないのです」
いや博士、「攻撃は最大の防御」ですから
漢方で薬効があるようだから、中国の人に都市部のさそりを取りに来てもらってはどうだろう。
あっと言う間に駆除してくれて、ごっそりさそりを持ち帰ってくれそう。
まさにWin-Win。
例え0.1%でも家の中にまで出るようじゃ人間と生活圏が被らないブラックマンバのがまだ安全だよ