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注射が苦手な人に朗報。口から飲み込む新型フィルムがワクチン接種に革命を起こす可能性(米研究)

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(著) (編集)

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Stephen C. Schafer, CC BY-ND
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 今、世界の研究者たちが懸命になって新型コロナウイルスのワクチン開発を進めている。

 だが、これが首尾よく開発されたとしても、安心するのはまだ早い。今度はそれを大量生産し、世界各地へと送り届けるという、これまた骨の折れる作業が待っているからだ。

 だが、テキサス大学オースティン校(アメリカ)の研究グループが開発した新型フィルムを使えば、それらの問題は解消されるかもしれい。

 安価で、ワクチンの常温保存が可能で、経口接種が可能になるので注射器いらず。ついでにかさばらないので、大量に出荷を可能にするという。

試行錯誤の末、ワクチンを保存できる経口フィルムの開発に成功

 世界的なワクチン接種率はここ10年で改善したとはいえ、それでもなお1350万人の子供たち(2018年)がワクチンを受けられないでいる。

 『Science Advances』で発表された新型フィルムなら、こうした状況を劇的に改善することになるかもしれない。

 そのヒントになったのは、昆虫などのDNAが琥珀の中で数百万年も保存されるというドキュメンタリーだったそうだ。これを観た研究者の頭脳に閃いたのが、おばあちゃんのあめ玉だ。

 単純明快だが、誰も思いつかなかったアイデアだ。研究グループは、砂糖や塩などさまざまな素材の配合を試し、琥珀のようにワクチンを保存してくれる、あめ玉ならぬフィルムの開発を進めた。

 最初は、フィルムの形成時か、保存中の結晶化によって、ワクチンとなる細菌やウイルスが死んでしまったが、450以上もの配合を試した結果、ついにワクチンを保存できる配合が見つかった。

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はしか、ポリオ、インフルエンザ、B型肝炎、エボラといった感染症のワクチンや、がんなどの治療に使われる抗体を、保護層でサンドイッチのように挟み込む

image credit:Stephen C. Schafer
 これなら注射を打つ必要がない。フィルムを口の中の舌の下または頬の位置に置くと急速にとけて吸収される。

 さらに工夫を凝らすことで、特殊な技能がなくても生産でき、しかも朝に作って、昼には出荷できるようなスピーディな生産まで可能になった。

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それまでのびん入りワクチンに比べ、新型フィルムはかさばらないので、輸送にも有利。従来、35万回分のワクチンは、注射器を除いても2730キロの重量があったが、新型フィルムならたったの3キロでしかない

image credit:Stephen Schafer and Maria Croyle.

3年前のワクチンを95パーセント保存

 ワクチンは保存している間にどんどんと効果が薄れていくものだ。その劣化のペースはだいたい保存時の温度によって決まる。

 一番良いのは冷蔵庫で保管することなのだが、それはコストをはじめとする諸問題のために、地域によってはほぼ不可能なこともある。常温で輸送・保管できるメリットが大きいのはそうしたわけだ。

 ちなみに、エボラウイルスのワクチンを3年間、密閉した容器の中で保管してみたところ、ウイルスの95パーセントがまだ活発だったそうだ。

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Maria Croyle.

環境にも優しいワクチン

 また見落とされがちだが、環境への負担が軽い点も注目に値する。

 たとえば、2004年にフィリピンで実施されたはしか撲滅キャンペーンでは、1月に1800万人への予防接種が行われたが、そのために1950万本の注射器が廃棄された。

 これは鋭く尖った針143トンと、空のびん、包装、キャップ、綿棒といったワクチンに付随する諸々の物資80トンに相当する量だ。

 一方、新型フィルムならば、ワクチンの包装だけで各地に輸送することができ、使ってしまえば後に残るのは、健康な人たちだけだ。

 研究グループは、今後2年以内の市販を目指しているそうだ。

References:newatlas / zmescienceなど/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1. コストダウン、環境に優しい、長期保存、何より痛くないといいこと尽くめじゃないですか
    早く実用化して欲しいです

    • +19
  2. 女騎士「くっ、何を飲ませた ! ? 」
    オーク「ワクチンだ」
    女騎士「フィルムを口の中の舌の下、または頬の位置に置くと、急速にとけて吸収されるワクチンだとッ ? 」
    オーク「常温保存が可能で注射器いらず。大量に出荷が可能。廃棄物も出ず、残るのはお前の健康な肉体だけだ。クックック・・・」
    女騎士「2年以内の実用化が期待されるな ! 」

    • 評価
  3. 軽量で運びやすく、かさばらず、大量の医療廃棄物が出ない、長期保存がきく。注射の苦手な人にもOK。

    素晴らしい‼これであとは、新型コロナウイルスのワクチンを、早急に開発を願うのみ。

    • +2
  4. >使ってしまえば後に残るのは、健康な人たちだけだ。

    素敵やん

    • +10
  5. 貧困層に行き渡るのが感染症撲滅には一番重要だもんな
    是非とも普及させてくれ

    • +5
  6. インスリンも注射じゃない方法あるらしい
    日本では認可されてないけど

    • 評価
    1. ※8
      インフルエンザワクチンにも経鼻式のものがあるよ
      未承認だけど
      アメリカ製のは2016年から申請しているけど認められていないらしい
      日本製は去年申請したばかり

      • 評価
  7. サンプルイラストが悪そうな兄ちゃんで
    なんかヤバい薬みたい

    • +4
  8. エボラのワクチンググったら2019年12月東京大学医科学研究所附属病院にて
    成人男性を対象に第Ⅰ相臨床試験しているみたい

    • 評価
  9. サイコーーー
    あとは採血もどうにかしてほしい

    • +3
  10. これは凄いな
    あとは一部のワクチンで問題になっている水銀等がどうなるか

    • 評価
  11. 同じ原理で生きたウイルスそのものも保管できそうだ

    • +2
  12. 素晴らしい。
    でも悪用されないことを祈る。

    • 評価
  13. 確かに革命的かもしれないが、口の中が敏感なタイプにも問題ないようにするという課題は残るな

    • 評価
  14. アレルギー性鼻炎の水なし服用可能な商品の一つに、小さなフィルム状のがある
    値段が高いのがネックだが、持ち運び便利で服用も楽なのですごく良い
    それ経験してると素晴らしく感じる

    • +2
  15. 注射が嫌すぎて病院や学校から脱走したこと数知れず。
    やっと救われる!

    • +3
  16. 注射は嫌いだが
    消化器への負担や効果の程度も考えたほうがいいと思う

    • +4
  17. 口から入れたくなーい
    慣れれば気にしなくなるんだろうけどね。

    • 評価
  18. そのうち、鼻からスプレーでシュッと一回でOKとかになる日が来るよね。
    採血なんかも無くなって、唾液をちょっととか尿をちょっとでオッケーになる。

    んで、今の人たちが19世紀の歯科医の処置道具を見て「拷問やんけ!」って言ってるみたいに、未来の人が「昔は針を体に直接刺して薬を流し込んでたんだって!」「拷問やんけ!」って言うの。

    • +4
  19. ワクチン…ワクチン…
    シートの間に卵白は存在するのかしないのか、そこが重要だ。
    無いならぜひとも使いたい、卵アレルギー持ちの重要な悩みだ。

    • +2
    1. ※23
      今のインフルエンザワクチン(皮下注射)って、ウイルス培養に鶏卵使ってるから卵アレルギーの人はダメなんだっけ?
      だとすると、フィルム化してもウイルス培養法そのものを変えなきゃどっちみちダメなんじゃ…

      • +2

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