メインコンテンツにスキップ

膀胱が勝手にアルコールを醸造してしまう。一切お酒を飲まない女性の尿からアルコールが検出

記事の本文にスキップ

36件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Alexas_Fotos from Pixabay
Advertisement

 その女性は一切お酒を飲まないと申告していた。にもかかわらず尿検査ではいつもアルコール陽性反応がでており、アルコール中毒を疑われていたが実はそうではなかった。

 この61歳の女性は、世にも奇妙な”膀胱発酵症”だったことが判明したのだ。つまり、膀胱でアルコールを含む尿をつくってしまう珍しい症状だ。

 これまで、腸内細菌が原因で腸内にイースト菌がたまってしまい、糖やでんぷんをアルコールに変換する「自動醸造症候群」という稀な疾患があることは知られていたが、膀胱でアルコールが醸造されていたのは初めてのケースである。

アルコール陽性反応により肝臓移植を断られていた女性

 61歳のこの女性は、肝硬変と糖尿病を患っており、肝臓移植の待機者リストに登録を希望していた。しかし、どこの病院に行ってもいつも同じ壁にぶつかっていた。

 尿検査をすると必ずアルコール陽性反応が出てしまうのだ。これは、薬物中毒と同じ症状のため、医師からアルコール中毒だと判断され、肝臓移植待機者リストへの登録を断られていたのだ。

 しかし、この女性は一切お酒を飲んでいないと主張する。アルコール依存症の治療を勧める医師の言うことを無視して、女性は、ピッツバーグ大学医療センターを訪ねた。そこで、ついに本当の原因と治療法がわかった。

この画像を大きなサイズで見る
DavidPrahl

膀胱内でアルコールが醸造されていたことが判明

 ここでの尿検査の結果、アルコール分解時に生成されるエチルグルクロニドと硫酸エチルが陰性であることがわかった。

 さらに血液検査でも、エタノールは検出されなかった。血中にアルコールはないし、本人も酔ってもいない。それならば、尿中のアルコールはどこからきたのか?

 よくよく調べた結果、この女性の膀胱内には、アルコールを醸造するときに使われる酵母カンジダ・グラブラータという菌がいることがわかった。

 つまり、この女性の膀胱は、アルコールを発酵させる微生物がいる醸造所のような働きをしていたということだ。女性の膀胱からこの酵母菌のサンプルを採って培養してみると、ちゃんとアルコールができた。

 アルコールを醸造するには、いくつかの要素が必要だ。水、糖、酵母、無酸素状態がその条件だ。女性は糖尿病だったこともあって、そこにこの酵母が加わることで、たまたま膀胱内がこの条件に合うアルコール生成に理想的な環境になっていたというわけだ。

この画像を大きなサイズで見る
Steve Buissinne from Pixabay

膀胱でアルコールが醸造されたのは世界初のケース

 この研究結果を発表した同大学の臨床毒性学研究室室長で病理学准教授、玉真健一氏は、次のように語っている。

この条件を生み出した最大の理由は、患者が糖尿病の治療を怠っていたことだと思います。ブドウ糖の濃度が高い膀胱の環境が、酵母の増殖と活動にとって絶好の条件となるからです。

さらに、糖尿病はそれ自体が免疫不全の原因になることが知られています。今回のケースでは、それも酵母菌が膀胱で活発に繁殖する助けになったと思われます

 胃など消化器官では、腸内細菌の働きで、酵母や糖が結合して、アルコールができてしまう自発的発酵の症状がみられることはある。「自動醸造症候群」と呼ばれるものだ。この場合、炭水化物を食べただけで、酔っぱらったようになってしまうことがあるという。

 しかし、この女性のケースのように膀胱でのアルコール醸造は珍しい。まだ正式な名称はないが、”膀胱発酵症”とか、”尿の自発的醸造症”と呼ばれている。

 とりあえずこの酵母菌を取り除くために、女性は経口抗真菌薬を処方された。

 更に、ピッツバーグ大学医療センターでは、彼女の状況を考慮し、肝臓移植の待機リストに登録することを検討している

References:iflscienceusatodayなど/ written by konohazuku / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 36件

コメントを書く

    1. ※2
      >血液検査でも、エタノールは検出されなかった。
      とあるので呼気にも出ないし大丈夫でしょ

      • +6
      1. ※10
        同じような症状で免停喰らった話もあるぞ

        • -1
        1. ※24
          製造場所が膀胱ではなくて胃などの消化器系だったとかでは?
          膀胱での醸造は世界初のケースと記事内にも書かれてるし

          • +3
    2. >>2
      なぜ?まさかアルコール検査を全て尿でしてるとでも?

      • 評価
    3. >>2
      自動醸造症候群の人はテレビの再現VTRで捕まってましたね……。警察に認知されてない病気なので。

      • +3
    4. ※2
      判断基準が尿で、なおかつ診断書とかの根拠を一切提示できなければ規則通りの罰則を適用するしかないよね

      • +1
  1. カンジダって性病のイメージあるけど、仲間の菌は酒造ったりしてるのか。

    • +11
    1. >>3
      カンジダ菌っていうのは酵母っぽい活動してる菌類(イースト菌)の総称なので、同じカンジダでも分類学的な仲間ってわけじゃない。
      発酵食品や口臭の原因、腸内菌としてまで色々いる。

      • +9
    2. ※3
      日和見感染もあるから
      性感染症とは言い切れないよ

      • +1
  2. 薬物中毒者のように、薬物で移植した肝臓を壊すことはないと思うが、
    糖尿病の治療を怠る患者だから、糖尿病による合併症で体を壊すはず。

    ドナーから提供された貴重な肝臓!
    もっと健康に気を使う人に移植した方がいいと思うが。

    • -16
    1. ※5
      『健康に気を使う人に移植した方が』なんていう命の選別を何故外野のあなたがするのかな?

      • +7
    2. >>5
      なんか糖尿病の治療を怠っているというコメントがちらほらあるけど、
      何度記事を読み返してもそんなこと書いてないんだけど…?
      もしかして、アルコール依存症の治療を勧める医者を無視して、のとこ?
      これって前後の文読めばわかるけど、単にアル中の診断を唯々諾々と受け入れずにセカンドオピニオンしに行っただけじゃないの
      だから

      患者「アルコールなんて一滴も飲んでません!」
      医者「ハイハイ患者は皆さんそう言うんですよねーじゃあ治療の具体的な内容を(ry」
      患者(アカンこいつ人の話聞かへん。他の医者に診てもらわな…)

      こういう展開の可能性のが高いと思うけど

      • -1
      1. >>43

        記事の最後の方に、研究結果を発表した准教授のコメントとして
        「この条件を生み出した最大の理由は、患者が糖尿病の治療を怠っていたことだと思います。」って記載がありますよ。

        • +1
  3. カンジダは水虫のイメージというか近いし・・・性交しない人間でもなる

    • +6
  4. ある意味豊穣の女神みたいではあるが……
    治療して体調が良くなるといいですね。

    • +16
  5. オレのオシッコもビールのような泡立ちなんだよね

    • +1
    1. >>11
      病院へどうぞ。早期治療おすすめします。

      • +7
  6. 映画の「紅いコーリャン」で、新酒を入れたカメにおしっこ入れたら美酒になったって話は、もしかしたらカンジダのせいだったのかもしれん

    • +3
  7. ハイヌウェレとかオオゲツヒメみたいな神話の元にはこんな体質の人がいたのかも…と想像するとおもしろい

    • +13
  8. 呼気では出ないのに尿検査でアルコールという
    不思議な状態になるな

    • +2
  9. 面白い話のようではあるけど早く待機者リストに加えてあげないとマズいんじゃ…

    • +3
    1. ※38
      糖尿病になった上その治療を怠る様な年老いた人間に移植は
      無駄どころか他の患者の機会損失だと思う

      • -6
  10. 薄幸の美少女とかは風情あるけど発酵の微症状はちょっとイヤですね

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。