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糖尿病患者に希望。人間の幹細胞を使ってマウスの糖尿病を機能的に治療することに成功(米研究)

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(著) (編集)

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dzika_mrowka/iStock
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 アメリカ、セントルイス・ワシントン大学医学部の研究グループは、人間の幹細胞を使ってマウスの糖尿病をほんの数週間のうちに治癒できることを実証した。

 『Nature Biotechnology』(2月24日付)に掲載された新しい糖尿病の治療法は、人体の中であらゆる細胞に変化することができる「ヒト多能性幹細胞(iPS細胞)」を使ったものだ。

iPS細胞から膵臓の細胞を作り出しマウスの血糖値を正常化

 糖尿病の原因の1つは、膵臓が血糖値をきちんとコントロールできるだけのインスリンを十分に作れないことだ。ならば上手く働かなくなった膵臓に新しい細胞を補給してその機能を回復してやれば、病気は治るということになる。

 そこで、研究グループは、人間のiPS細胞からインスリンを分泌する「膵臓β細胞」を作り出してやることにした。

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Peter Stanic from Pixabay

 実験では、β細胞への毒性を持つ「ストレプトゾトシン」を投与して重度の糖尿病にしたマウスに、ヒトiPS細胞を移植した。

 その結果、マウスは再び血糖値をきちんとコントロールできるようになり、病気が治ったことが確認されたのである。

 研究グループによると、マウスの血糖値は500ミリグラムを超えており、人間ならば生命を落としてもおかしくはないほど病気が進行した状態だったという。

 それがβ細胞を補給してあげたところ、2週間もすると血糖値が正常な値まで戻り、9ヶ月から1年以上も病気からマウスを守ったのだそうだ。

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JacobStudio/iStock

不要な細胞を作り出さない工夫

 この成果のキモとなるのは、β細胞の生産方法だ。

 iPS細胞を特定の細胞に変化させようとすると、必要のない細胞まで作られてしまうことがある。β細胞の場合なら、それを作ることで、ほかの膵臓細胞や肝細胞までが一緒に作られてしまう。

 今回の研究では、そうした細胞は有害ではないが、不適切であり、治療法の全体的な価値を低下させてしまうことが確認された。

 そこで研究グループは、「アクチン細胞骨格」という細胞の足場を利用して、細胞に生化学的な合図を出しつつ、必要なβ細胞だけを作り出す方法を模索した。

 「この研究では、アクチン細胞骨格の状態と膵臓転写因子の発現とのリンクを確立し、膵臓の系統仕様をうながした」と研究論文にはある。

 今はまだ研究の初期段階であって、人体に対してもiPS細胞を利用した糖尿病治療を行えるようになるのはしばらく先のことだ。それでも、今糖尿病に苦しむ人や、自分もなるのではと不安に思う人にとっては希望の光になるだろう。

References:Diabetes in mice cured rapidly using human stem cell strategy – Washington University School of Medicine in St. Louis/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

  1. まだマウスの段階です。
    治験など経て使えるようになるまで最も速くても10年はかかりますよ。

    • -3
    1. >>1
      日本で認可されるのに更に10年かかりそう

      • 評価
  2. 是非、私が生きているうちに治療法が普及する未来でオナシャス!

    • +3
  3. 「糖尿病は治る病気だから美味しいもの好きなもの大量に食べても問題なし」

    となってしまうような気がしなくもない
    まだずっと先のことだろうけど

    • -5
  4. 世界的に2025年までに治療方を確立するのを目指していて国内外で研究が進んでるから10年かからないと思う。

    • +6
  5. すごい。
    やっぱり先進国に罹患者数が多い疾患は研究が進むの早いね。

    • +3
    1. >>5
      医療先進国に糖尿病患者は日本ほど多くはないのですが、、!

      • 評価
  6. ニンゲンもたまには役に立ちまチュー
    その調子で我々鼠族の福祉に貢献するがいいでチュー

    • 評価
  7. コレで幾らでも飲めるぜ!って成らないと良いが

    • -2
    1. >>8
      一型は細胞を自分の免疫でぶっ壊されに行く方だから
      この方法はそこまで期待出来ないよ。
      と一型糖尿病の私が言ってみる。

      なお、一型糖尿病になったときの血糖値は1200超え。
      その前の定期検診では102だったんだけどねぇ。

      • +1
  8. クロちゃんを心配する必要もなくなるかもな。

    • 評価
  9. ダイアベツ怖いから朗報だね。
    これが実用化されればかなりの患者が助かるぞ。

    • 評価
  10. マジか⁉
    運動と食事療法が最善なのはわかるけど、そもそもストレスのせいでインスリンの分泌量が少ないのでなかなか改善されないこちらとしては朗報すぎる

    • +1
  11. 死んだ祖母が食事制限してるの見て育ったからこれで糖尿病で寂しい食生活を強いられる人がいなくなったら嬉しいな

    • +4
  12. 3年前に死んだ父が1型糖尿だったからこういう技術は早く実現してほしいと思う

    • +3
  13. 透析患者ってものすごく治療費がかかるそうなので期待

    • 評価
  14. ウチの母親が糖尿病で食事制限のせいでどんどん痩せていってる。その姿を見てると心が痛くてしょうがない、そして歳とは言え自分をここまで育ててくれた母親が衰弱していくのは見ていて悲しくなってくる。
    1日でも速く治療方が確立してほしい。

    • 評価
  15. 10年かかってもその治療を受けられるのは大学病院とか限られたでかい所だけで、その上まずは保険適用外の高額費用から始まるのではないかと。

    • 評価
  16. iPS細胞ができた時一番有望だと期待したのが糖尿病治療。
    臓器丸々移植しなくてもインスリン分泌細胞など関係ある部位を再生させれば治せると踏んでいたから。
    案の定、他の臓器の疾患よりは早そうだが、それでもまだ時間がかかりそうだ。もう少し早くできないものか。

    • 評価

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