space-1422642_640_e
UKT2 from Pixabay

 オランダ、ライデン大学の天文学者はスーパーコンピューターのニューラルネットワークを使用して、10,000年以上にわたって太陽系をモデルし、最終的に地球に衝突する可能性のある小惑星をシミュレートした。

 その結果、地球に衝突するリスクのある地球近傍天体が11個特定されたという。現時点では危険ではないが、将来的には地球に衝突する可能性もあるそうだ。
スポンサードリンク

ニューラルネットワークで衝突の危険性を予測


 『Astronomy & Astrophysics』(2月4日付)に掲載された研究は、ニューラルネットワークを利用したものだ。

 まずスーパーコンピューターで、今後1万年分の太陽と太陽系惑星の軌道をモデル化し、それぞれの天体の相対的な位置関係を追跡。そのうえで、少しずつ”過去”へさかのぼりながら、もし地球から小惑星を宇宙へ放り投げたらどうなるのかシミュレーションした。

 こうすることで、地球に衝突する可能性がある”仮想"小惑星の軌道ライブラリを作成し、この仮想ライブラリの中に現在の小惑星に相当するものがないかチェックする。

 またこの仮想軌道ライブラリは、ニューラルネットワークに危険な小惑星を特定する方法を教えるためにも使われる。

 最初の計算にはライデン大学のスーパーコンピューター「ALICE」が使用されたが、一度ニューラルネットワークの訓練が完了すれば、普通のノートPCでも危険な小惑星を探せるという。

 研究グループは、このシステムを「HOI(Hazardous Object Identifier)」と呼んでいる。オランダ語で「やあ」「こんにちは」の意だ。

1_e9
Credit: ESA / P. Carril

地球に衝突する可能性がある100メートル級の小惑星を特定


 NASAのデータベースで検証したところ、HOIはすでに知られている潜在的に危険とされる地球近傍天体を90.99パーセントの精度で特定できたという。

 さらに、これまでリスクなしとされながら、じつは危険かもしれない小惑星を11個も見つけ出した。それらは2131〜2923年に地球と月の10分の1の距離まで近づくと予測されており、いずれも直径が100メートル以上ある。

 ちなみに1908年にシベリアに激突し、半径30〜50キロ範囲の森林を焼き払った「ツングースカ大爆発」を引き起こした隕石は、50〜80メートルだったと推測されている。発見された11個の小惑星のヤバさが分かるだろう。

 じつは11個の小惑星の軌道はかなり混沌としている。そのため、しらみ潰しにシミュレーションを行い、そこから確率計算をするような既存のソフトウェアでは、その危険性を認識することができなかったのだそうだ。

asteroid-179319_640_e
Reimund Bertrams from Pixabay

ニューラルネットワークを使った研究はこれからが本番


 研究グループのポルトギース・ズヴァルツ教授によると、今回の研究は手始めの練習に過ぎないという。この手法が実際に有効であることが証明されたので、さらにニューラルネットワークや入力データを改善して、今後の研究につなげたいとのことだ。

 ニューラルネットワークを使った手法は、宇宙関連組織が利用している既存の手法よりずっと速いという利点もあるようだ。小惑星の危険性を早期に察知することができれば、それだけ長い対策の時間を確保できる。

 一方、軌道計算の小さな揺らぎであっても、最終的に大きな差異になるという難しさもあるのだそうだ。

References:Leiden astronomers discover potential near earth objects - Astronomie.nl/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい
早ければ2022年。地球衝突やばいんかーい!“潜在的に危険”な小惑星が新たに10個発見される(NASA)


危険な小惑星との衝突から逃れるには?太陽系全体を動かす恒星エンジン(ステラーエンジン)構想


小惑星が地球に接近!そのときNASAやESAはどう対応する?


太陽系のアステロイドベルト(小惑星帯)から飛来する小惑星を避ける術を我々はまだ知らない


2032年、ツングースカ隕石の3倍以上の規模をもつ小惑星が地球に衝突のおそれ(ロシア宇宙庁)

この記事に関連するキーワード

キーワードから記事を探す

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年02月25日 20:36
  • ID:92SjGppg0 #

”2131〜2923年に”
宇宙規模じゃ誤差なんだろうけど広すぎるわ

2

2. 匿名処理班

  • 2020年02月25日 20:41
  • ID:AiwZdFEn0 #

ラディッツとナッパとベジータと
あと8個か

3

3. 匿名処理班

  • 2020年02月25日 21:42
  • ID:.fcqrCjw0 #

日本にはニューガンダムと下地島迎撃基地
があるから大丈夫。
糸守はちょっとミスって撃ち漏らしただけ。

4

4. 匿名処理班

  • 2020年02月25日 22:27
  • ID:HG8VoHEf0 #

小惑星「やあ」

5

5. 匿名処理班

  • 2020年02月25日 23:19
  • ID:Z4ExnNdc0 #

怪彗星ツイフォンなら「3026年7月2日午前8時5分に再び地球へと接近し、その際には今度こそ地球と衝突する可能性が極めて高い」って岩本博士が言ってた

6

6. 匿名処理班

  • 2020年02月25日 23:50
  • ID:koFvLGzG0 #

広い太陽系の中で地球なんて「点」でしかない
点と点が衝突するなんて奇跡でしかない

7

7. 匿名処理班

  • 2020年02月26日 00:36
  • ID:Rkb88nlA0 #

※5
なお、本当に再襲来した上に、凶悪怪獣化してえらい事になった模様。

8

8. 匿名処理班

  • 2020年02月26日 07:29
  • ID:pvK9zgmT0 #

地球に衝突した地点をスタートとしたシミュレーションじゃ衝突する可能性が確率高く見積もられるだろうよ。
まあそれでも存命中は当たらんのかーい。

9

9. 匿名処理班

  • 2020年02月26日 11:00
  • ID:sZtivJ910 #

※1
「たった1万年」「わずか100万km」なんて言葉が飛び交うのが天文学とか地質学の世界だからね
恐竜絶滅につながった白亜期末の隕石衝突も「6604万年前、前後誤差2万年」まで確定してるそうで、これ「地質学的には」とんでもない精度
つくづく人類の歴史なんてちっぽけなものよ・・・

10

10. 匿名処理班

  • 2020年02月26日 16:51
  • ID:9YqF4Oj90 #

どれが、アンゴルモアの大王かな。

11

11. 匿名処理班

  • 2020年02月26日 22:31
  • ID:6zb4sGPz0 #

※6
その「点」はそれこそ天文学的数があるからな

12

12. 匿名処理班

  • 2020年02月27日 08:23
  • ID:plJdMlZ30 #

>>1
最初から100年とかにして、もっと精度を上げたシミュレーションをして欲しかった
100mではなく30mクラス以上にするとかさ
数十年後には遥かに技術も進んでるだろうから、一万年なんてのは今は要らない

13

13. 匿名処理班

  • 2020年02月27日 23:40
  • ID:Q9ymItfm0 #

>2131〜2923年に地球と月の10分の1の距離まで近づくと予測されており
はい、解散
未来は後の君たちに任せた

自分的にはこうだが
こういう基礎研究が後々役に立つんだろうな
その頃にはなにかしら対策も可能になってるだろうか

お名前
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク