image credit:banaras.hindu.university/Instagram
人口の多さに反して、メンタルヘルス専門家が少ないインド。習慣・文化も相まって、精神疾患を抱える人は社会的偏見を恐れる傾向にあり、適切な治療を受ける人が少ないという。しかし、今後そうした問題を解決していくための第一歩として、有名大学の医学機関が「幽霊学」なるコースを開始。
どうやらインドの伝統的な医療システム「アーユルヴェーダ」を用いて、心身障害または心理障害を治療することを目的としているようだ。
6か月コースの「幽霊学」とは
インドのウッタル・プラデーシュ州ワーラーナシーにあるバナラス・ヒンドゥ大学(BHU)では、今年1月からユニークな名前のコースが開始されることになった。この大学はインドでも学術と研究成果において1、2を争う総合大学だ。当初、そのコースについてはメディア側が「幽霊を見たり取り憑かれたりした人々を治療する方法を、医師に教えるための修了証書コースが大学で提供」と報じた。
そのため、一部のSNSユーザーらの間で誤解が生じ、
BHU starting a course on BhootVidya.
— Dr.Bhooshan Shukla MD (@docbhooshan) 2019年12月26日
My take -
Severe and chronic mental illnesses are treated best with modern medicine and appropriate rehab. Early intervention by modern medicine is their only hope.
For many mild ailments of mind,heart and soul field is wide open for all.
幽霊学よりも、現代医学とリハビリ療法の方が精神的健康問題に対処するにおいて、よほど適切な方法ではないのか。
So, Ghosts are real, Says BHU !https://t.co/X5BEf1Zeb8
— चिकित्सक मित्र (@Medical_Mitra) 2019年12月24日
幽霊って現実に存在したんだ。などといったツイートがなされるなど、政府運営のBHUが幽霊学のコースを始めるというニュースに対して、疑問の声があがっていたようだ。
事実として、インドの大学では「幽霊に取り憑かれた人の治療をする方法」を医師に教えるわけではない。
では、幽霊学のコースとはいったいどういう内容なのか?
andreas160578/pixabay
心身障害や心理障害の治療に焦点が当てられる
当局者の説明によると、このコースでは超常現象としばしば混同されがちな心身障害や心理障害に焦点を当て、古代ヒンドゥー教の伝統的医学である「アーユルヴェーダ」を用いた治療法の習得を行うという。アーユルヴェーダはユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)、中国医学と共に世界三大伝統医学のひとつであり、トリ・ドーシャと呼ばれる3つの要素(体液、病素)のバランスが崩れると病気になるという根本の理論をもとに、病気の治療と予防だけでなく、より善い人生を目指すものである。
BHUにはアーユルヴェーダ学部があり、同学部長は次のように話している。
幽霊学では、主に心身症や未知の理由により引き起こされる病気や精神状態、心霊作用を受けやすい状態の病などを扱います。ちなみに、アーユルヴェーダ療法には、通常漢方薬、食事療法、マッサージ、呼吸およびその他の運動療法などが含まれるという。
当学部は、幽霊関連の病を治療するためのアーユルヴェーダ療法について、医師に教えるコースを設けた初の機関になりますが、幽霊に取り憑かれた人の治療という意味ではなく、幽霊学=心の病気とアーユルヴェーダ医学では解釈した方がいいでしょう。
keshavnaidu/pixabay
インドでは、精神疾患を抱える多くの人が適切な治療を受けない
国立精神衛生研究所(Nimhans)による2016年の調査によると、インド人の14%近くは精神疾患を抱えているそうだ。また、2017年にはWHO(世界保健機関)が、インド人の20%は人生において1度はうつ病に苦しむ可能性があると推定した。
しかし、13億という人口を抱える国のメンタルヘルス専門家は、4000人未満と少なく、これらの問題についてはほとんど認識されていないという。
特に、農村部や貧困地域では社会的偏見が広まることを嫌がる理由で、実際に精神疾患に悩んでいても、専門的な助けや適切なケアを求める人はほとんどおらず、地元のシャーマンやウィッチドクターを訪れるだけで終わってしまうという。
しかし、このコースを受ける医師たちが増えれば、今後多くの人の精神病治療に役立つことを大学側は期待しているようだ。
References:mysteriousuniverseなど / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
専門家も首をかしげる世にも奇妙な精神疾患、脳疾患15の症例
文学の登場人物にちなんで名付けられた15の心理学的症状や症候群
エロトマニア、カプグラ症候群、コタール症候群など、10の稀な心理学的妄想
人間の脳は幽霊を見るようにできている。特に右脳を良く使う人は心霊現象を見やすいことが判明(スイス研究)
あらゆるものが顔に見えたり、幽霊に見えたりするパレイドリア現象は神経症の人や女性に起きやすい(日本研究)
コメント
1. 匿名処理班
学部名詐欺というか…
普通にアーユルヴェーダ学科とかそんなんじゃダメだったの?
2. 匿名処理班
※1
これを詐欺と表現する絶望的なセンスの無さ。
お前5chとまとめサイトしか居場所ないやろと思ってるけど
そこでも嫌われとるぞ。
3. 匿名処理班
「大学何学科?」
「アーユルヴェーダ」
「えっ?ユーレイ?」
どうせこんな感じでしょ
4. 匿名処理班
油まみれでマッサージする前に
カースト廃止やろ
5. 匿名処理班
インドはカースト制度を本気で止めない限りダメだと思う。
昔は昔。確かに救済の意味はあったが、現代は現代。害でしかないように思うのだけどね。
6. 匿名処理班
ハリーポッターでありそう
7. 匿名処理班
物質的な研究も大事だけど
人間が社会を改善する為には
精神面の探究もやっぱり大事だよね。
8.
9. 匿名処理班
封建社会(カースト制)の崩壊と無宗教化がうつ病増加の原因だと思うんだけどね。
自由資本主義社会ほど人を精神的に病ませる社会はないと思う。
10. 匿名処理班
私が若い頃も精神疾患はまだまだタブー感があったな
統合失調症なんかはまた別だろうし
一家を支える大黒柱とかだと病院に行かざるを得なかったけど
学生が鬱病とかまだまだヒソヒソされるから行きづらかった
なんとなくだけどネットの世界で偏見が弱まった気がする
(逆にネットでメンヘラに会ったら気をつけろ、トラブルを起こしやすいぞみたいな偏見は広まったとは思うけど)
11. 匿名処理班
ホグワーツじゃないんだから…
12. 2
西洋こそ正義!古い文化や迷信は排除せよ!で失われたものは日本だって大きい。
今ある限定された知識の中での「科学的でない」と言う短絡的な思考で排除していいものばかりではない。
もちろん長い歴史の中で、嫌になるほどのインチキが混じっているからこその嫌疑なのだけど、その真髄にはとんでもない知識と技があるのは間違い無く、だからこそ大学での研究に意味があるはず。
自業自得の部分はあるけど「インド人だから」でインチキくさいと思ってしまうのは仕方ないことですが、むしろ発展の方を望んじゃうよ。
13. 匿名処理班
カトリックのエクソシストみたいなもんだな
14.
15. 匿名処理班
地下迷宮があったり、名前を呼んではいけない人がいるんでしょ?
16.
17. 匿名処理班
メンタルヘルスに関する資格証書ってところかな
18. 匿名処理班
近代化は、現在も進行中。
19.
20. 匿名処理班
精神科の受診に偏見を持っている人が多いから、便宜的に「幽霊学」と称して、そういう人にも抵抗の少ないアーユルヴェーダ療法での精神病治療を目指す。
↑この理解で合ってる?
患者へのコミットメントとして、けっこう画期的で良い気がするけどなー
21. 匿名処理班
Wiki見ただけだけど…
患者本人ばかりを治療するのがメインになりがちな現代医学よりも、全体観の医学らしいアーユルヴェーダ系の方が精神医療に向いてるかもとは思う。
環境に適応しようとした結果が心理障害…ってことはよくあることだからね。
それに、心理障害を抱えた人とそうでない人とは物理的に同じでも見ている世界観が違ってるから、「幽霊学」はある意味合ってるかも知れないなぁ〜なんて思ったり。
22. 匿名処理班
※20
西洋でも、昔気質で精神科受診に偏見や抵抗がある層に向けて
カウンセラーの資格を取った上で、診療所でなく
牧師として告解室で話を聞いたりしている例もあると聞く。
(というか、カウンセラーという職種自体が
昔の教誨師の役割から分離して出来上がった感じらしいし。)
あと、プラシーボ効果も含め
心気症や不安障害のような類には“ありがたい祈祷”が効いたり、
戦地帰りのPTSDとか 身内を亡くして鬱状態とか
そういう人に毎日のお祈りや祭壇の手入れなど
一定の宗教活動を課すと、一種の作業療法みたいな感じで
心の拠ろとして無心で続けるうちに落ち着いてきたり。
23. 匿名処理班
>>2
センスを表現したいわけではないと思うけどwww
24. 匿名処理班
>>2
嫌われるとかwwwセンスを表現したいわけではないと思うが。
25. 匿名処理班
※22 うつはやっぱり、薬である程度引き上げつつ、
カウンセリング等を並走でないと
良くならない気がするよ。(個人の乾燥です。)
別に錠剤でなしに、ハーブでもいいから。
26. 匿名処理班
※9
資本主義が人に優しくないのは確かだが、
封建社会だってまったく優しくないだろう
可視化される方向に進んでることは大きな進歩
27. 匿名処理班
さてそんな人口過多なインドをぶっちぎりで抜いて
鉄道駅乗降者数世界ランキング1位〜20位を独占する
異常な通勤ラッシュに毎日耐えている日本の皆さんこんばんわ
28. 匿名処理班
※9
資本主義によって封建社会が弱くなることでインド人は「精神疾患」になる
「余裕」が生まれたんだよ。封建社会だと肉体の病気で死ぬから。
これまでインド人は鬱病になった人を「幽霊や魔物に取り憑かれた。治療法は無い」
としてきた。うつ病患者は「超自然的存在取り憑かれた者」として放置された。
でも「精神の病気も医学的に解明して治療しようぜ!」という風に
【進歩】したんだ。これは素晴らしいことだよ。
※9よ、お前が精神の病気になった時、周囲の人間に
「お前は狐に取り憑かれたんだ!」と言われて怪しげな祈祷をされたり
気味悪がられたら嫌だろ?病院で治療してほしいだろ?
29. 匿名処理班
宗教色の強かった瞑想やヨガとなどに科学のメスが入って実際に効果が期待できるものだとわかったように
これによってアーユルヴェーダ療法にも科学のメスが入って本当に有用なものかどうかがわかるのは楽しみだね