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噴火で炭化してしまった古代のパピルスの巻物を最新のAI技術で広げることなく解読する試み(英研究)

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(著) (著)

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image credit:Diamond Light Source / Digital Restoration Initiative / University of Kentucky
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 紀元79年、イタリアのヴェスヴィオ山の大噴火により、火砕流に飲み込まれてしまったポンペイヘルクラネウムなどの古代都市。

 市民らは逃げることもできず一瞬で生き埋めになってしまったが、後世の発掘調査により、焼失を免れた様々な遺物が発掘されている。

 そのうちのひとつに「ヘルクラネウムの巻物」がある。薄いパピルス紙(古代エジプトで使用された文字の筆記媒体)の巻物で、黒焦げの塊の状態で発見された。

 非常にもろいため、広げることもできない状態で、何が書かれているかわからないままだったが、約2000年の時を経た今、最新のAI技術により、巻物を開くことなく解読できるかもしれないという。

高解像度スキャナーとAIを組み合わせた最新技術を開発

 「ヘルクラネウムの巻物」は人間が作り出した産物としてもっとも有名なもののひとつだが、実際にそれらを読み解くのは至難の業だ。

 紀元79年、ヴェスヴィオ山が噴火したときに、比類なきこの貴重な文献は大量の高温ガスと灰にまみれてたちまち炭化してただの炭の塊になってしまった。

 1752年に発掘されてから200年以上の間、学者たちはこの遺物をなんとか解読しようと神経をすり減らしながら奮闘してきた。

 だが炭化したパピルスはチョウの翅のように脆く、ちょっと触っただけでも無残にボロボロになってしまい、なにが書いてあるかわからないほどインクがかすんでしまっている。

 苦心して巻物を広げようとしては失敗を繰り返すこと数十年、最近の新技術のおかげでついに巻物を破損させることなくその内容を読むことができるようになるかもしれない。

 高解像度スキャナーとアルゴリズムを学習させたAI(人工知能)技術をかけ合わせて、レントゲンではわからなかった炭化した紙に書かれた炭素インクを可視化するのだ。

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image credit:Pixabay

炭化した2つの巻物と4つの小さな破片のスキャン準備中

 数十年の研究を経て、古代文献の著名な解読者であるブレント・シールズ氏は、このダブル技術を応用したアプローチは研究チームの絶好のチャンスだったと振り返る。

 「ヘルクラネウムの巻物」の解読は、シールズ氏にとって長年の目標だった。

 現在、イギリスにある粒子加速器を使って、固まったままの巻物ふたつと、フランス学士院が所蔵する4つの小さな破片をスキャンする準備を進めている。

 英シンクロトロン施設「ダイヤモンドライトソース」の最新シンクロトロン(円形粒子加速器)は、太陽よりも1000億倍も明るい光を放つことができ、巻物を回転させて360度すべての方向からみることができる。

 巻物をいじり回すことなく、非常に詳細にスキャンすることができるのは初めてのことになるだろう。

 シールズ氏は、

これから行うスキャンで、即座に巻物の中身を見ることができるとは思っていない。でも、中に書かれた文字の視覚化を可能にする重要な構成要素を提供してくれるだろう。

これまでよりもさらにはっきりした巻物の内部構成はすぐに見ることができるだろう。文言がぎっちり圧縮されてしまっている層を探るために、その詳細の程度を知ることが必要だ。

こうした文献をデジタル的に復元して読んで解読することは間違いなくとてつもなく難しく、そして名誉あることだ。

わたしたちは、ダメージを受けたあらゆる種類の文化的遺物の、あらゆる種類の基盤に書かれた、あらゆる種類のインクを明らかにする筋道を築くことになるだろう

と語る。

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image credit:Vito Mocella / Nature Publishing Group

手を触れることなく「ヘルクラネウムの巻物」を解読できる可能性

 こうした高解像度データをしっかり把握できれば、AIツールを使ってスキャンしながらかすかな陰影の違いをとらえることができる。

 これまでに実際に広げられて解読されている巻物の写真を集積して、古代のパピルス紙に書かれた炭素インクを識別するよう学習したソフトで、ピクセル単位でマークされている箇所を正確に特定していく。

 シールズ氏ら研究チームは、このデジタル手法で「ヘルクラネウムの巻物」の層を少しずつ”はがして”いき、実際に手を触れることなく書かれていることをあらわにすることができると期待している。

 この技術はすでに、金属を含んだほかのインクの解読に成功している。

 2015年には、シールズ氏らはこの独創的なアイデアを使って、実際に古代の文献をまったく広げることなく初めてスキャンだけで内容を読むことができた。

 炭素ベースのインクにも同じことができたら、失われた情報が詰まった文献全体が現代社会ににわかに開かれることになるかもしれない。

References:Daily mail / Science alertなど / written by konohazuku / edited by usagi

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この記事へのコメント 44件

コメントを書く

  1. 科学の進歩はすごいねぇ。これで中身が「最近の若いモンは」的な文章だと面白いなw

    • +43
    1. ※1
      ※6
      「最近の若いモンは何かにつけて『うんちうんち』ばかり言っておる!」w

      • -2
      1. ※16
        時代は変わっても人間は変わらないってことだよね

        ※17
        石炭とか、これと同じとかもっと発展したスキャナにかけると情報が取り出せたりしたら素敵なんだけど

        • 評価
    2. ※1
      実際、それに近い内容だよ。
      おそらくはフィロデモスの随筆「率直な批判について」ていう友人との付き合い方を書いた巻物の可能性が高いようだから。
      ただ、ヘルクラネウムの巻物が見つかった書庫の奥には同じ状態の多くの書庫が灰に埋もれて眠っているらしく、これで文字が読めることがわかればそちらも発掘されるかもしれないらしい。

      • +6
    3. >>1
      全然関係ないけどロボットが本を触らずにスキャンだけで「全部読みました、中々面白かったです。感動ものですね、繊細な表現は私の好みです」とか言ったら最高に未来だよね。

      • +6
  2. やはり最も確実に後世に残せる記憶媒体は、石板だな

    • +16
    1. ※3
      ハントとダンチェッカーが内容の解釈について喧嘩するんですね分かります。

      • +3
  3. AI部分が良くわからなかったな。何するんだろう

    • +3
    1. >>4
      単なる点の羅列を文字として浮き立たせるとかの学習と判別に使うんじゃない

      • +1
    2. >>4
      360°撮影したところでインクや紙が何重にも重なってるから、他の角度との重なり具合でインクがあるのかないのか判断させて、3次元から2次元の画像作成してるんだろ

      • +7
  4. まあ、宝物庫にあったワケじゃないし
    おばちゃん直伝、美味しいパスタの打ち方
    とか他愛もない内容だとは思う。

    • +5
  5. 「太陽の1000億倍の光」とか、子供が喜びそう!

    巻物の見た目もw

    • +5
  6. シンクロトロンの光が当たった巻物がキラキラと輝き出した。
    そして巻物が少しづつ復元されてゆくように見えた。
    「いったい何が起こっているんだ。」
    「まるで、過去の姿に戻ってゆくように見えますね。」
    「まさか、そんなことは、、」
    「所長っ、電力が急激に落ちて不安定になっています。」
    「このままでは、シャットダウンしてしまいます。」
    「あああああ、、、  」

    施設は、その後 閉鎖された。

    • -6
  7. 透視能力で秘密のあそこを見るなんて…

    パピルスが厚くなるな

    • +8
  8. ポンペイの文字とステックめいたモノを見た瞬間に心拍数が凄いことになったの自分だけじゃない事を祈る。。。

    • +2
  9. ポンペイ市民「火山で死ぬ前に・・・この小説だけは・・・焼却しておかねば・・・最後の力を振り絞ってでも・・・」

    • +27
    1. >>12
      シールズ氏「ちょっと内容確認しますねー」

      • +15
  10. 俺がこのヘルクラネウムの巻物の発見者だったらきっと広げてただろう

    • 評価
  11. 予想以上に炭だったw
    これを解読出来たらすげーわ

    • +11
  12. 一昔前の恐竜の発掘作業とかもそうだけど、
    放置しておけば残っていたデータを吹き飛ばすような真似をしていた時代がある。

    好奇心に負けず、無理に読もうとして広げなかったという選択肢をした人は偉いと思う。

    • +12
    1. ※21
      いや、もともとたくさんあったんだ。
      無理に開いたり色々やって結構いっぱいダメにしたんだよ。
      これはその生き残り。

      • +11
  13. 最初に発見した人がちゃんと重要な遺物だと気がついて形を保てたのが凄い

    • +3
  14. しかし、「強烈に明るい光」を当てて読み取るのかい?
    私ゃまた、CTスキャンみたいに一種の放射線を当てて
    読み取って行くのかと思ったよ。
    まあ、当然と普通の可視光とは違うのかも知らんな。
    「太陽の1000億倍」というのは明るさの指標で、
    波長がどうとかの説明は出ていないのものね。

    • +5
    1. >>23
      加速器の話であって使った波長は書いてないが、非破壊試験に使うのは大抵強烈なX線やγ線だよ

      • +2
  15. 貴重な歴史書とかならいいけど、黒歴史ポエムだったらどうするんだよ!!

    • +4
  16. 樹脂で固めて桂剥きすれば開けるんじゃない?
    和食の鉄人の出番だな

    • +4
    1. >>26
      発想の転換だね、そういう考えが浮かぶ人は本当に凄いと思うわ。

      • +4
    2. ※26
      少なくとも巻物の炭化だから剥がす層にはなってそうだしねぇ。

      • 評価
  17. 当時のオタクが書いたなろう小説だったりして

    〝オレまた何かやっちゃいました〟的な。

    • +1
  18. 昔テレビで何度も折り曲げた紙に書かれた文字を当てる超能力?をやってた
    ああいう人なら読み取れるはず

    • -1
  19. イカスミスパゲティ喰った翌日の真っ黒い一本ブツじゃねえか

    • -1
  20. 巻物「今日はウ○コが出なかった…明日は出るだろうか?」

    • 評価
  21. うん……こじゃん!
    ここまで炭化したものを復元出来るなんてすごいな
    機械に根気なんてないから、もしかしたら将来はかき混ぜた灰からも復元出来たりして

    • 評価
  22. ぬれてびしょびしょになったマンガ本とか小説で試してみたい。

    • +2
    1. ※40
      それは冷凍庫に突っ込こんで凍らせれば開くらしいぞ

      • +3
  23. 何年か前にx線スキャン云々って話あったが、ありゃ失敗したのか?

    • 評価
  24. これを逆にして、炭の内部に情報を保管する方法が確立したり

    • +2

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