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お酒を飲んでないのに酔っぱらう。体の中で勝手にアルコールを作りだす腸内細菌の存在が明らかに(中国研究)

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(著) (著)

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 腸は第二の脳ともいわれている。腸内細菌が人間の心や体に及ぼす影響は数知れず、様々な研究が進められている。

 3年前、ニューヨーク在住の女性がお酒を飲んだわけでもないのに飲酒運転で捕まるという事件が発生した。原因は、お腹の中で勝手にアルコールが作られてしまうという彼女の特異な体質だった。

 この奇妙な事件は当時ニュースにもなったので、「腸発酵症候群」や「自動醸造症候群」と呼ばれる症状に聞き覚えのある人もいるかも知れない。

 このほど、中国・首都児科研究所による研究で、一般的な腸内細菌であっても体の中で大量のアルコールを作り出す変種がいることが明らかになった。

 そしてその細菌は非アルコール性脂肪性肝疾患とも関係があるかもしれないとのことだ。

ご飯を食べただけで酔っ払ってしまう珍しい病「腸発酵症候群」

 非アルコール性脂肪性肝疾患はその名のとおり、まったくお酒を飲まないのに肝臓に脂肪が蓄積してしまう病気のことだ。

 症状が悪化するとまるで長年お酒を飲み続けでもしたかのように肝臓に傷がつき、やがて機能しなくなってしまう。

 その原因はよくわかっていないが、世界的には成人の4分の1がその影響を受けているとされ、また肥満・高血圧・インスリン耐性・高脂血症との関係も指摘されている。

 一方、腸発酵症候群は非アルコール性脂肪性肝疾患よりもずっと珍しく、炭水化物を食べただけでお酒を飲んだときと同じように酔っ払ってしまう症状だ。

 典型的なケースでは、感染などの結果として胃腸にイースト菌(ビールの発酵に使われるのと同じもの)がたまってしまい、それらが糖やデンプンをエタノールに変えてしまうことが原因だ。

 そうした人は、困ったことにご飯などを食べただけで酔っ払ってしまうのだという。

 そこで研究チームのユアン・ジン氏らはこれらの症状を持つ患者を診察した際、まず腸内イースト菌の検査を行った。ところが、結果は陰性だったらしい。

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通常の4~6倍ものアルコールを生み出す変種の腸内細菌を発見

 そこで患者の大便を調べてみると、普通とは違うクレブシエラ・ニューモニエという細菌が発見された。

 この細菌は腸内細菌としては特に珍しくもないが、その患者の場合、どういうわけか通常の4~6倍ものアルコールを作り出す変わり種だったのだ。

 つまり、この新しい細菌もまた飲まなくても酔っ払ってしまう症状の原因であるかもしれず、さらには長期的な飲酒によるものと同じ症状をきたす肝臓病とも関係がある可能性が疑われた。

 そして今度は非アルコール性脂肪性肝疾患者43名と健康な人48名の大便を調べたところ、患者の6割の腸で高度から中度のアルコール生産能力を持つ例の細菌が発見された。

 一方、健康なグループでは6%のみで、この変種と非アルコール性脂肪性肝疾患との関連性を強く臭わせる結果が得られた。

 なお、今回調査の対象となった人の中に腸発酵症候群の人はいなかったとのこと。

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マウスにアルコール生産細菌を食べさせると肝臓に脂肪が蓄積

 この発見は、両者の関連性を強く示唆しているが、それを証明まではしていない。

 そこで研究チームは、3ヶ月間マウスに患者から手に入れた変種のアルコール生産細菌を食べさせるという実験を試みた。

 すると1ヶ月もするとマウスの肝臓に脂肪が蓄積し始め、2ヶ月後には傷がついている兆候まで見られるようになった。

 これらの症状は、同じ期間アルコールを飲ませ続けたマウスと類似していたとのことだ。

 ユアン氏らは今後、大人と子供を含めたより大規模な研究を行い、この細菌株を持つ人とそうでない人がいる原因を究明したいそうだ。

 この研究は『Cell Metabolism』(9月19日付)に掲載された。

References:NCBI / cell-metabolism / written by hiroching / edited by usagi

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この記事へのコメント 32件

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  1. たいていの病気って何かしら目的あるものが多い
    この病気も何か目的あって誕生したともうのだが
    自然のやることはなんだかわからんな

    • -3
  2. 毎日運転してるから自分がこうだったら…困るー!
    これは調べてもらえたりするのかなぁ?

    • +3
    1. ※3
      検査自体は、やってもらえると思うよ?
      ただし、『陽性(アルコール生成菌が腸の中に居る!)』
      と出た場合には面倒な事になりそう。
      最悪の場合には、何の保証も無いまま免許失効になる危険性も有る
      (こういう判例は聞いた事が無いので、どうなるかは知らんが)
      でも…、
      『腸内にアルコール生成菌が居ても、自然だから運転し続けて良い』
      とは絶対にならないと思う(日本って何でも事無かれ主義だからね?)

      • +1
    2. ※3、※10
      自己RESだけど…、
      いくら何でも、いきなり免許取り上げにはしないかな?だって生活に困るものね?断言はできないけれど…、
      『お医者さんに掛かって医師の処方を受けて下さい。アルコール生成菌を減らす努力を』『何時々までに医師の処方を受けないと、免許更新はしません』(期日的余裕有り)
      …辺りは有り得るかも?
      考えてみると、今まで許されていた事が法改正によって禁止される場合には、期日的な余裕を設けて、その期間に対策してもらう…という手法が採られるのが普通だった。だからこの例も、いきなり車が運転できなくなる事は有り得ないかもね?

      それに問題は、体内でのアルコール生成度の深刻さがどの程度なのか?にもよると思う。ほろ酔い程度ならばまだ良いかも知れないけれど(本当は拙いけど)、深酒状態にまで至るのなら即免許停止にしないと大事故に繋がるだろうから、有無を言わせず…になりそうな気もする。でも、お酒も飲んでいないのに深酒状態になるのなら、普通は本人がとっくに気が付いていると思う。(残念だけど、そういう人は自動車を運転する職業向きじゃないと個人的には思う)でも本人に自覚が全く無いのであれば、普通はここまでの処分はないと予想する。(実際に起ってみないと、不明な点が多過ぎる)

      • 評価
    3. ※3 ※10 ※14
      本人も認識していない段階で、事故でも起こした際に
      飲んでもいないのにアルコールチェックして検出され
      病院の検査で判明した、というような状況なら
      刑事処分の対象にはならない気がする。

      ただ、酒気帯びの基準値を日常的に超えてるのを
      知っていながら運転すれば、
      65条の飲酒運転と並列的な66条の過労運転等の禁止
      (何人も、…(中略)…過労、病気、薬物の影響その他の
      理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で
      車両等を運転してはならない)に引っ掛かると思う。

      • +2
    1. ※4
      仲間由紀恵が主演の病理診断のドラマでやってたね。

      • +2
  3. ん??
    なんかすごい昔にスーパードクターKでこんな話を読んだ記憶があるぞ

    • +1
    1. ※5
      カズヤ先生でやってたねー。
      最近の続編でも「お前飲酒運転だろ」ってを話をやってた。

      • +4
    2. ※5
      それは摂取した炭水化物が食道に蓄積して発酵するケース。
      ※6にあるK2で一也が出会ったのがこれじゃなかったかな。

      • +1
  4. 中国の例は食べ物によってアルコールでない物がアルコールとして検出されてしまう例だったと思うけれど、この例は本物のアルコールが腸内で生成されてしまう例か。こういうのはどう判断されるのだろうね?最初の飲酒運転の罪は取り消されるかも知れないけれど、腸内のアルコール生成菌を一掃しない限りは、自動車の運転は禁止…なんて判断が下されるかも?本人にとっては良い迷惑だけど、事故防止の為には仕方がない気がする。

    その内に、免許を取りに行くと腸内のアルコール生成菌の有無を調べられる様に法改正されたりしてね。(だって、そうでもしないと拙いよね?)事故が起こってからでは遅いものね?日本での発生例が有るのかどうか?も気になるし。

    • +8
  5. これホントつらいらしいな
    酒の味もしないから全然楽しくないし
    酩酊しちゃって日常生活も儘ならないし
    抗生物質で治せるけどその間ずっと点滴なんだそうで

    • +6
    1. ※11
      ちなみにロシア人の場合には…
      体内で『ウオッ〇』が生成されます

      • 評価
    2. ※11
      未来のロシアで…、
      そうか、酒を買うんじゃなくて、アルコール生成菌を飲めば安い?

      ロシア内で、腸内アルコール生成菌が大流行…、

      ロシア内で、自動車事故が多発

      腸内アルコール生成菌の検査が陰性でない限り
      自動車の運転が禁止に…

      自動車が運転できねぇ?どうしてこうなった?

      • 評価
  6. つまりこの通常の4~6倍のアルコール産出を行う腸内細菌を使えばもっと効率よくアルコールの醸造が可能に…!?

    • +2
  7. ToHeart2ってギャルゲに
    コーラを飲むと酔っ払うヒロインがいたんだけど現実でもそういう症状ってあるんだろうか。
    この記事と同じと説明出来るんかな?

    • 評価
    1. ※18
      ドリンク中に糖分やデンプン質が存在しているのであれば、それを原料にアルコールが生成されるかもね?でもまあ、普通はないと思うけどね?

      ちなみに何の話か忘れたけれど、腐って凝固化した牛乳を飲むと酔っ払う異星人が出て来るSFなら見た事が有る。『何だよあれ?もしかしてヨーグルト食べても酔っ払うのか?』と思ったよ。

      • -1
  8. うまくアクアリウムに転用出来れば、発酵式でのCO2供給が主流……にはならんなきっと

    • 評価
  9. 吾妻ひでお先生なら欲しがるかもしれない(嘘です、ごめんなさい 
    ちゃんと治療受けてましたもん)。

    これアルコール飲料を作るのに効率良くなるんじゃね。

    • 評価
  10. うらやましいような、そうでないような

    • 評価
  11. 腸内で体が吸収しきれないほど糖が余ってるから、おこぼれに預かる菌が増えてるってことじゃない?
    世界的には食料不足なのに一部地域では糖尿病が国民病になるほど食べ物が余ってる。
    いつだって微生物のやつらは環境に適応して現れる

    • +2
  12. スーパードクターKで見た!
    と思ったら同じ人が何人か居て嬉しい

    • 評価
  13. 腸内細菌って結構重要だな。澱粉から蛋白質を作る奴とか、草食動物なんかはビタミンB12を作る菌を持ってるし、日本人も麦を多く食べてた頃は腸内細菌の影響で女性が米俵をいくつも担げるほど力を出せていた(ググれば写真が出てくる)。ある意味ナノマシンみたいなもんだな。

    • +2
  14. ついさっきナンダコレミステリーでやってました。
    噂程度の認識でしたがこれガチだったんですね。

    • 評価
  15. これってとっくの昔に日本で判明してるだろ

    • 評価
  16. これでアルコール作った方が酵母より効率よさそうだな

    • 評価

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