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1種類だけじゃなかった。最強の電気を放つ種から最弱の種まで、奥深いデンキウナギの世界。

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(著) (編集)

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Image by wrangel/iStock
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 南アメリカのアマゾン川、オリノコ川の淡水域には、まるでスタンガンかのように生体発電で獲物を麻痺させる生き物が潜んでいる。にょろっとした長い体のデンキウナギである。

 1766年、スウェーデンの動物学者カール・フォン・リンネによって初めてデンキウナギ(Electrophorus electricus)が特定されると、そのショッキングな特性はすぐさま様々な人たちの想像力を大いに刺激した。

 これまで、デンキウナギ属(Electrophorus)は1属1種のみが分類されていたが、最近の研究によると、新たに2種のデンキウナギが紹介された。

 その種類によって電気の強さは異なるという。ここでは奥深きデンキウナギの世界を見ていこう。

1種しかいないと考えられていたデンキウナギ属に3種が確認

 これまで約250年の間、デンキウナギ属には1種しかいないと考えられてきた。しかし、つい先日、状況が一変した。

 『Nature Communications』(9月10日付)に掲載された研究によって、新たにElectrophorus voltaiとElectrophorus variiの2種が紹介されたからだ。

 それによると、遺伝子、形態、生態に関するデータを集め、分析を進めたところ、大アマゾンに3種の別個の系統が存在することが明らかになったとのこと。

 ただし外見的には、頭部とエラの微妙な形状からしかその違いを知ることができないそうだ。

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Image by MagicColors/iStock

デンキウナギはウナギにあらず

 ひとつ大切なことは、デンキウナギはウナギのような形をしているが、ウナギではないということだ。和名に「ウナギ」が入っており、体形は細長い円筒形であるが、ウナギとは体の構造や生活史が異なり、全く別の仲間に分類されている。

 成魚は全長2.5mに達し、滑らかで灰色っぽい平らな体や歯のない口を持つデンキウナギは、「デンキウナギ目ギュムノートゥス科デンキウナギ属」(デンキウナギ科を設ける説もある)に分類され、ウナギよりもナマズに近いとされる。

 だが、獲物を仕留めるほどの強烈な発電をするデンキウナギ属はギュムノートゥス科で唯一の種だ。

Electric eels leap to shock predator

種によって異なる電気の強さ

 新たに発見されたElectrophorus voltaiは、史上最強の電撃を放つ。従来知られていたデンキウナギが放つ電気は650ボルトだが、E. voltaiは860ボルトをバチバチと発生させることができる。

 ちなみに家庭用のコンセントは100ボルトだが、それでもそこにフォークを突っ込んでみようなどバカなことをする人はいないだろう(絶対やっちゃダメ!)。860ボルトの電撃がどれほどの威力なのか想像できるというものだ。

 しかも、おそらく860ボルトはデンキウナギの限界というわけではない。今回の研究では107匹が試されただけだが、体が長い個体ほどより強力な電気を放てることがわかっている。今回は捕獲されなかった特大のE. voltaiなら、きっとそれを上回る放電をするに違いない。

 3番目の種となるElectrophorus variiは、文字通りの電気ショックという点で、研究者にとってそれほどショックではなかった。だが、その理由は興味深いものだ。

 この種は濁った低地の水の中に潜んでいる。こうした生息環境では、ミネラルがたっぷり含まれているおかげで、電気が伝わりやすい。つまり、より少ない発電で同じだけの電気ショックを獲物に与えられる。

 E. variiとは反対に、ほとんどのE. voltaiの場合、従来のデンキウナギよりも若干、伝導性の低いところで暮らしている。彼らが強烈な電撃を放つのはつまりそれが理由なのかもしれない。

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Image by University of Sao Paulo Zoology Museum

デンキウナギの全容解明はこれから

 これは始まりに過ぎない。研究チームは、最先端の技術を駆使して、南アメリカに存在するすべてのデンキウナギを探し出そうとしている。

 2種の新種はこの5年がかりのプロジェクトの1年目にして発見された。このペースなら、これからもどんどん未知のデンキウナギが発見されると期待できるだろう。

 これまで冒険家や学者たちが地球上に存在するありとあらゆる生物を記述しようと試みてきたが、目の前に存在する種ですら完全な理解には程遠い。一度捜索が始まれば、いったいどれだけの発見があるのか想像もつかないのだ。

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Image by stacey_newman/iStock

危惧される絶滅

 だが、研究者が最先端技術を手に入れた一方、残された時間は少ないかもしれない。南アメリカで進む急激な開発のために、生物が暮らしている環境は危機に直面しているからだ。

 毎年、数多くの新種が発見されているが、同時に多くの種が姿を消している。そして、そうした今起きている絶滅のほとんどは人間の活動に起因している。

 「これについて私たちは大きな責任を負っていると思います」と米コーネル大学のケーシー・ディルマン氏は話す。

 デンキウナギが絶滅してしまう危険は今のところないが、言うまでもなくアマゾンでは数多くの生物が暮らしている。

 そこに存在する生物多様性を完全に理解することなく、人間のうかつな開発が生態系に与える影響を把握することはできない。

 効果的かつ効率的な保全を行うためにも、私たちは一刻も早く、豊かな生態系の複雑なパズルを解きほぐさねばならないのだ。

References:nature / smithsonian-scientists/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 25件

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  1. コンビニの前にぶら下がってる虫捕りの青いバチバチが850vだってさ

    • +8
  2. 環境DNAで分析してから、未確定の物を探すほうがいい。
    新種を求めて、根こそぎ総ざらいで捕まえる今のやり方は止めよう。
    そのほうが、よけいな場所を荒らさなくて済む。

    • +1
  3. 攻撃と防衛に加えてレーダーとしても使っている
    驚異的かつ興味深い生きものだと思う

    • +2
    1. ※4
      なんかで見たけど、ブヨブヨな上に味もなくて不味いらしい。
      そして、生だと金属の味がするとか……。

      • +3
    2. ※4
      「平坂寛 デンキウナギ」でググるべし

      • +6
  4. 懐いとる
    電圧が低ければペットとしてかわいいかも

    スリスリ バチバチ

    • 評価
  5. 子供の頃からデンキウナギ大好きだわ。

    • 評価
  6. 860ボルトか…、心臓の弱い人なら心臓麻痺を起こしそう。
    いや水の中だし、500ボルトでもヤバイか?
    餌を捕まえる時には、電撃、電撃なのか?

    • +1
  7. 自然現象や奇怪な生物に驚かせてもらえるのも、自然環境があってこそ
    加藤先生のような「自然生物の伝道師」も自然環境が破壊されれば活躍の場を奪われる
    アマゾン破壊は洒落にならん。地球の損失。地球は消耗品じゃない。代替星は実質的に皆無

    • +1
  8. コンセント100ボルトなのか
    子供の頃蛍光灯の電極をコンセントに挿すとどうなるの?って先生に聞いたら本当に死ぬから止めろって言われたの思い出したわ
    それよりも8倍以上の電気を出すとは凄いな
    彼らはどういう経緯で「そうだ、発電して生存競争生き残ろう」と思ったのだろうか

    • +1
    1. ※18
      「こうすることで生き残ろう」っていうのは間違い
      「こうなったら生き残れちゃった」が正しい

      • +1
      1. >>20
        偶然の出来事から進化を遂げるのって科学の発展に似てるよね

        • +1
  9. >私たちは一刻も早く、豊かな生態系の複雑なパズルを解きほぐさねばならないのだ。

    いや、分解したら人間には元に戻せないと思うぞ。そっとしとけ。

    • 評価
  10. 生態とか体の構造とか
    電気を使うことに特化していて
    本当に面白い生物だ

    • +2
  11. 放電できないホーデンを自家発電 頑張る。

    • 評価
  12. 静電気は数千Vあります。でも死にません。
    電圧が電気の威力の強さと勘違いされてる人が余りに多いものですね
    お勉強してください

    • 評価

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